医師解説眼瞼下垂・まぶたの診療

二重切開で腫れぼったさを改善するとき、眼窩脂肪とROOF切除をどう考えるか

末広型の狭く自然な二重を希望した方に、二重切開と眼窩脂肪・ROOF切除を行った術後1か月症例です。開眼・閉眼写真と切除組織から、中央の眼窩脂肪と外側のROOFを分け、皮膚・眼輪筋、挙筋機能、左右差まで含めた手術設計を説明します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2023年1月21日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 開眼:狭い末広型を保ちながら、上まぶたの厚みを減らした術後1か月
  2. 閉眼:傷あと、閉じ方、左右差を同じ条件で確認
  3. 切除組織:皮膚・眼輪筋・ROOF・眼窩脂肪は別々に量を決める
  4. 診療で確認するポイント
  5. 治療選択の比較
  6. 費用の目安
  7. リスク・副作用・注意点
  8. 関連記事
  9. 関連施術・関連症状のご案内
  10. 執筆・監修
  11. 参考にした一次情報・ガイドライン
  12. よくあるご質問

開眼:狭い末広型を保ちながら、上まぶたの厚みを減らした術後1か月

術前は上まぶたの中央から外側に厚みがあり、希望は内側から自然に始まる狭い末広型でした。二重切開に眼窩脂肪とROOFの切除を加え、術後1ヶ月には上眼瞼の曲面がすっきりし、希望した狭い二重線が開眼時に見えています。

手術前は、かぶさる皮膚量、眉位置、眼輪筋の厚み、中央の眼窩脂肪、眉下から外側のROOFを分けます。さらに挙筋機能と額を使う開瞼、左右の瞼裂高・二重線を確認し、眼瞼下垂による開きにくさを脂肪の厚みとして扱わないことが大切です。

上まぶたの厚みを層別に見る理由として、上眼瞼では皮下・眼輪筋下脂肪と瞼板前脂肪がみられ、眼窩脂肪の突出と挙筋腱膜が皮膚へつながる位置も二重線の高さに関係するとの報告がありました(参考文献1)。

閉眼:傷あと、閉じ方、左右差を同じ条件で確認

閉眼写真では、術前と術後1か月のまぶたを同じ正面から比較できます。術後は切開線が淡く残る時期ですが、写真上は強い腫れが目立たず、左右とも閉瞼できています。開眼写真だけでなく、傷の高さ、食い込み、皮膚の余り、閉瞼時の左右差を合わせて見ます。

術後1か月は形が整って見えても、瘢痕とむくみが変化する途中です。乾燥感、異物感、閉じにくさ、朝夕で変わる左右差を確認し、二重幅の追加修正は組織が落ち着いてから判断します。

術後1か月に閉瞼と乾燥を確認する理由として、上眼瞼手術後は1か月と6か月でドライアイ症状と角結膜染色が増え、涙液層破壊時間が短くなったとの報告がありました(参考文献2)。

切除組織:皮膚・眼輪筋・ROOF・眼窩脂肪は別々に量を決める

切除組織の写真には、左右の皮膚、眼輪筋、ROOF、眼窩脂肪が分けて示されています。治療記録では脂肪量が多い症例で、中央の深い層にある眼窩脂肪と、眉下から外側の浅い層にあるROOFの両方を処理しました。

眼窩脂肪は中央部の膨らみ、ROOFは眉下から外側上眼瞼の厚みに対応します。この症例では両方が腫れぼったさへ関与しましたが、ROOF切除はオプションであり、全員に必要な処理ではありません。既に上眼瞼のくぼみがある場合や皮膚が薄い場合は容量を温存し、取りすぎによる上眼瞼陥凹、多重線、左右差を避けます。

外側上眼瞼の厚みへROOF処理を加える理由として、ROOF切除後6か月に中央・内側・外側の上眼瞼高がそれぞれ9.68から7.25mm、7.68から5.99mm、6.82から5.54mmへ低下し、再手術を要した例はなかったとの報告がありました(参考文献3)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 腫れぼったさは、皮膚余剰、眼輪筋、眼窩脂肪、ROOF、涙腺の位置、骨格で見える場所が異なります。開眼・閉眼と上方視を比べ、挙筋機能と額の代償を先に確認してから、二重線と脂肪処理を設計します。
  • この症例は中央と外側の厚みがあり、狭い末広型を希望していたため、二重切開に眼窩脂肪・ROOF切除を組み合わせました。切除組織を層別に確認し、左右で同じ量を機械的に取るのではなく、術前の厚みと左右差に合わせます。
  • 術後1か月は開眼時の二重線だけでなく、閉眼時の傷、閉瞼、乾燥、上眼瞼陥凹、多重線を確認します。腫れと瘢痕の変化を追い、完成形と追加処置は数か月単位で評価します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
二重切開 狭い末広型など希望線が明確で、皮膚・眼輪筋・固定層を直接調整する必要がある状態 挙筋機能低下や額の代償が主で、二重線だけでは開瞼機能を改善できない状態 通常1回。術後1か月は経過途中で、完成は数か月かけて評価 腫れ、内出血、疼痛、傷あと、左右差、二重線の消失・多重化、閉じにくさ 切開法(両目)275,000円(税込) 要確認
眼窩脂肪切除を追加 中央の深い膨らみが眼窩脂肪に由来し、二重線を隠している状態 既に上眼瞼陥凹がある、容量不足が強い、膨らみの主因が皮膚・ROOF・涙腺である状態 二重切開時に必要な側・範囲だけ処理 腫れ、内出血、血腫、左右差、取り残し。過切除では上眼瞼陥凹・多重線 切開法(両目)275,000円(税込。眼窩脂肪切除の独立項目なし) 要確認
ROOF切除を追加 眉下から外側上眼瞼の浅い厚みがROOFに由来する状態 外側の厚みが少ない、皮膚が薄い、既存のくぼみがあり容量温存を優先する状態 二重切開時に必要範囲だけ追加 腫れ、内出血、感覚低下、傷あと、左右差、外側のくぼみ ROOF切除オプション110,000円、切開法と合計385,000円(税込) 要確認

費用の目安

  • 二重形成術 切開法(両目)275,000円(税込)
  • ROOF切除オプション110,000円(税込)
  • 二重切開+ROOF切除 合計385,000円(税込)

症例では二重切開に眼窩脂肪切除とROOF切除を追加しています。現行料金表には眼窩脂肪切除の独立した追加料金項目はありません。

リスク・副作用・注意点

  • 痛み、腫れ、内出血、血腫、感染、傷あと、赤み、むくみ、左右差
  • 二重線の消失・予定外の線・多重線、食い込み、開瞼機能の変化、閉瞼不全、ドライアイ
  • 眼窩脂肪・ROOFの取り残しによる厚み、過切除による上眼瞼陥凹・外側のくぼみ
  • まれに眼窩内出血、眼球突出、複視、視力・視野障害など緊急処置を要する合併症
  • 国内承認・適応: 二重切開、皮膚・眼輪筋・眼窩脂肪・ROOFの切除は手術手技で、手技自体に医薬品・医療機器の承認番号はありません。使用する薬剤、縫合材料、医療機器がある場合は、それぞれの販売名・承認範囲を個別に説明します。自由診療です。

術後1か月の開眼・閉眼経過に合わせ、乾燥、閉瞼、左右差、過切除によるくぼみ、緊急性のある視機能変化をまとめた。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Jeong S, Lemke BN, Dortzbach RK, Park YG, Kang HK. The Asian upper eyelid: an anatomical study with comparison to the Caucasian eyelid. Arch Ophthalmol. 1999;117(7):907-912. doi:10.1001/archopht.117.7.907.

    The Asian upper eyelid: an anatomical study with comparison to the Caucasian eyelid

    研究デザイン: 屍体解剖・組織学と生体高解像度MRIを組み合わせた解剖学的研究 / 対象: 韓国人9体と白人5体の上眼瞼を解剖・組織学的に比較し、健康な若年韓国人男性4人を動態MRIで評価 / 結果: 東アジア人の上眼瞼では皮下・眼輪筋下脂肪と瞼板前脂肪が多く、眼窩隔膜と挙筋腱膜の癒合位置、挙筋腱膜の皮膚・眼輪筋への挿入位置が低い二重線や単瞼の構造に関係するとの報告がありました。 / 限界: 小規模な解剖・画像研究で、ROOF切除・眼窩脂肪切除の適量、二重切開後の臨床成績を比較していない。PubMed抄録で確認できる範囲では資金・利益相反の記載を確認できず、出版社全文は購読制限がある。

  2. Aygun O, Arat YO, Dikmetas O, Karakaya J, Baytaroglu A, Irkec M. Effect of upper eyelid blepharoplasty on the ocular surface, tear film, and corneal microstructure. Arq Bras Oftalmol. 2024;87(3):e2022-0220. doi:10.5935/0004-2749.2022-0220.

    Effect of upper eyelid blepharoplasty on the ocular surface, tear film, and corneal microstructure

    研究デザイン: 皮膚と眼輪筋の一部を切除する上眼瞼形成前後を比較した単施設前向き研究 / 対象: 22人22眼を術前、術後1か月、6か月で評価。眼窩脂肪は切除していない / 結果: 術後1か月と6か月でドライアイ症状スコアと角膜フルオレセイン・リサミングリーン染色が増え、涙液層破壊時間が短縮したとの報告がありました。 / 限界: 22眼・単一術者で対照群がなく、皮膚・眼輪筋切除のみの結果で、二重切開や眼窩脂肪・ROOF切除症例の合併症率を示さない。研究は外部資金を受けず、著者らは利益相反なしと申告している。

  3. Qiu Y, Shen Y, He J, et al. Sub-brow skin excision Combined with retro-orbicularis fat resection: A Technique for upper eyelid bulkiness and laxity correction. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2022;75(4):1431-1437. doi:10.1016/j.bjps.2021.11.059.

    Sub-brow skin excision Combined with retro-orbicularis fat resection: A Technique for upper eyelid bulkiness and laxity correction

    研究デザイン: 眉下皮膚切除とROOF切除を行った単施設症例集積 / 対象: 上眼瞼の厚みと皮膚弛緩がある67人を術後6か月に評価 / 結果: 中央・内側・外側の上眼瞼高はそれぞれ9.68から7.25mm、7.68から5.99mm、6.82から5.54mmへ低下した。眉周囲の一過性感覚低下2人、軽い眉位置左右差2人があり、再手術はなかったとの報告がありました。 / 限界: 眉下切開から皮膚とROOFを切除した結果で、二重切開からROOF・眼窩脂肪を処理した本症例と術式が異なる。対照群がなく、切除量の比較や長期の上眼瞼陥凹を評価していない。PubMedは非米国政府研究支援と分類するが詳細な資金・利益相反は抄録に記載がなく、出版社全文は購読制限がある。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 腫れぼったい上まぶたでは、眼窩脂肪とROOFを両方切除しますか?

両方を切除するとは限りません。中央の深い膨らみには眼窩脂肪、眉下から外側の厚みにはROOFが関与します。皮膚・眼輪筋、涙腺の位置、既存のくぼみも確認し、必要な層だけを処理します。

Q. この症例では、どの手術を行いましたか?

末広型の狭い二重を目標に、両目の二重切開と眼窩脂肪切除、オプションのROOF切除を行いました。掲載している経過は術前と術後1か月です。

Q. 術後1か月で二重幅は完成していますか?

術後1か月は強い腫れが引いてくる時期ですが、瘢痕やむくみはその後も変化します。開眼時の線、閉眼時の傷、左右差、乾燥を追い、完成形は数か月単位で評価します。

Q. 二重切開とROOF切除の費用はいくらですか?

切開法は両目275,000円、ROOF切除はオプション110,000円で、合計385,000円(税込)です。現行料金表には眼窩脂肪切除の独立した追加料金項目はありません。

Q. 手術後に早く連絡した方がよい症状はありますか?

急に強くなる痛み、片側だけ急速に増える腫れ、止まりにくい出血、眼球突出、見えにくさ・視野変化、複視、発熱や膿がある場合は、予定日を待たず直ちに連絡してください。

ご予約・ご相談はこちら

気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。