まぶたの左右差と三角目へ二重切開を行った直後の症例
まぶたの左右差と三角形に見える開瞼形を、印象を大きく変えない範囲で二重切開手術により整えた術直後の症例です。ハードコンタクト使用歴、額の強い収縮、左右別のデザイン、開瞼・閉瞼時の直後所見を順に解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年7月18日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
左右差と三角目を、開瞼・閉瞼・眉の動きで確認します
術前は、左右の目の開き方と二重線の見え方が異なり、一方の開瞼形が三角形に見えていました。動画には「左右差と三角目が気になる」「印象を大きく変えたくない」という希望が示されています。
ハードコンタクトレンズの使用歴と額を強く収縮させる癖があり、上眼瞼の皮膚が伸びて弛んだ状態を二重切開手術で治療しました。診察では眉を上げた状態だけでなく、額の力を抜いた状態でも左右の開きと皮膚のかぶさりを確認します。
皮膚のかぶさり、開瞼機能、脂肪・ROOFの厚みを分けます
左右差があるときは、皮膚余剰、眉の高さ、挙筋機能、眼窩脂肪とROOFの厚みを左右別に確認します。皮膚のかぶさりが中心なら皮膚量、開きの弱さが中心なら挙筋機能、上眼瞼の厚みが中心なら脂肪・ROOFの分布が治療設計の軸になります。
本症例で確認できる術式は二重切開です。切開線の設計を左右で調整し、開瞼時の印象を揃える方針としました。
皮膚、眉、挙筋機能を分けて設計する理由として、上眼瞼形成と同時に眼瞼下垂修正が行われた割合は20.5%、眉リフトは31.7%で、再手術率は上眼瞼形成のみ3.8%、眼瞼下垂修正併用9.2%との報告がありました(参考文献1)。
左右で同じ幅を写すのではなく、開いたときの形を揃えます
左右差を整えるため、左右へ機械的に同じ幅の線を置くのではなく、それぞれの皮膚のかぶさりと開瞼形に合わせて幅を変えてデザインします。目標は二重幅の数字を揃えることではなく、正面で目を開けたときの左右差と三角形に見える輪郭を整えることです。
皮膚の弛みが二重線の乱れに関わる状態では、点で固定する埋没法より、切開で二重線を設計する方法を選びます。印象を大きく変えたくない希望を踏まえ、術前の目元を基準に左右の終了点を決めます。
左右別に設計した二重線を長く追う理由として、小切開による二重形成では満足度92%、左右差4.6%、多重線1.6%、線の移動1.9%との報告がありました(参考文献2)。
正面写真で、術前と術直後の左右差を比べます
正面写真は上段が術前、下段が術直後です。術前は左右の二重線と目の開き方が異なり、額には収縮による横じわが見えます。術直後は切開線に赤みがあり、眉上にデザインの印が残る時点ですが、両眼を開けた正面で開瞼形を比較できます。
術直後は腫れの左右差で二重幅が変わるため、形の完成を判断する時期ではありません。切開線の出血、腫れ、開瞼、閉瞼を確認し、その後の写真と照合する基準にします。
動画では、瞬目と閉瞼時の切開線まで確認します
動画は上段の術前と下段の術直後を並べ、開瞼、閉瞼、視線移動、瞬目を連続して示しています。術直後の閉瞼時には切開線の縫合糸、赤み、少量の血液付着が見え、開瞼時には左右差が小さくなり、内眼角側のしわが目立ちにくく見えます。
診察では、片側だけ腫れや出血が増えていないか、完全に閉じられるか、角膜の乾燥感や異物感がないかを確認します。急に強くなる眼窩痛、眼球突出、視力・視野の変化、複視、止まりにくい出血は予定を待たず評価します。
術直後の出血と視機能を同時に確認する理由として、眼窩内出血は約0.055%、永久的な視力喪失を伴うものは約0.0045%で、多くは術後3時間以内でしたが数日後にも起こり得るとの報告がありました(参考文献3)。
術直後を基準に、同じ症例を術後1か月まで追います
同じ症例の術後1か月の記録では、開瞼・閉瞼写真で左右差、二重線、額のしわを再確認しています。術直後の赤みと腫れが落ち着いた後に、印象を大きく変えず左右の開瞼形が揃っているかを評価します。
現在の総合料金表では、切開法は両目275,000円(税込)、ROOF切除はオプション110,000円(税込)です。美容目的の二重切開は自由診療です。ROOF切除は上眼瞼の厚みにROOFが関わる場合に追加します。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 額の力を抜いた開瞼、眉を上げた開瞼、閉瞼を撮影し、左右差と三角形に見える位置を分けて記録します。
- 皮膚のかぶさり、挙筋機能、眼窩脂肪・ROOFの厚みを左右別に確認し、二重切開だけで整える範囲を決めます。
- 左右で同じ数値の幅を置くのではなく、開瞼時の輪郭と本人が保ちたい印象を基準にデザインを調整します。
- 術直後は開瞼・閉瞼、切開線、出血、腫れを記録し、同じ症例の術後1か月写真と照合して仕上がりを評価します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 左右差を調整する二重切開法 | 皮膚の弛みと二重線の乱れが左右差・三角目に関わり、左右別の切開デザインが必要な状態 | 希望する印象が定まっていない状態、活動性感染、開瞼機能障害の原因評価を先に要する状態 | 通常1回。術直後から1か月以降まで開瞼・閉瞼を追う | 腫れ、内出血、赤み、縫合線、左右差、傷あとが時間とともに変化 | 切開法(両目)275,000円(税込) | 美容目的の手術手技で自由診療。使用薬剤・器具は個別確認 |
| 挙筋機能・眼瞼下垂の評価 | 額の収縮を緩めると開きが弱い、左右の挙筋機能や眉位置に差がある状態 | 皮膚と二重線の形だけが主で、開瞼機能に問題がない状態 | 術前に左右別に評価。機能障害があれば治療法を再設計 | 診察自体のダウンタイムはない。手術内容により異なる | 診療区分、検査、術式により異なる | 機能障害と保険適用条件を確認。美容目的の二重切開とは区分 |
| 脂肪・ROOF処理の追加 | 上眼瞼の厚みに眼窩脂肪・ROOFが関わり、切開線の形成を妨げる状態 | 厚みが乏しい状態、くぼみがある状態、皮膚・挙筋機能の調整だけで足りる状態 | 二重切開と同時に必要範囲を決定 | 腫れ、内出血、左右差、くぼみ、傷あとなど | ROOF切除(オプション)110,000円(税込)。その他は処置内容により別途 | 手術手技。必要性と処理範囲を個別に説明 |
費用の目安
- 現行料金:切開法(両目)275,000円(税込)
- 現行料金:ROOF切除(オプション)110,000円(税込)
- その他の追加処置:必要性と内容により別途
2026年8月9日に現行総合料金表を確認しました。美容目的の二重切開は自由診療です。
リスク・副作用・注意点
- 痛み、赤み、腫れ、内出血、血腫、感染、創離開、傷あと、左右差、二重線の移動・消失・多重線
- 過矯正・低矯正、希望する印象との差、まぶたの開閉しにくさ、閉瞼不全、ドライアイ、異物感
- 脂肪・ROOF処理を追加する場合:くぼみ、左右差、知覚変化など
- まれに眼窩内出血、眼球突出、複視、視力・視野障害など、緊急処置を要する合併症
- 国内承認・適応: 二重切開、眼瞼下垂修正、脂肪・ROOF処理はいずれも手術手技です。美容目的は自由診療です。使用する麻酔薬、止血薬、縫合材料、医療機器は、販売名と承認された使用目的を個別に確認して説明します。
急に強くなる眼窩の痛み、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野の変化、複視、止まりにくい出血がある場合は直ちにご連絡ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
Eyelid and Brow Rejuvenation: Technical Pearls and Outcomes of Upper Blepharoplasty with or without Ptosis Correction and Brow Lift
研究デザイン: 単施設で上眼瞼形成術を行った患者の後ろ向き診療録研究。再手術の予測因子をCox回帰で解析。 / 対象: 2018年11月から2020年3月の278人、533側。平均年齢67.3歳、平均追跡8.3か月。眉リフト169側、眼瞼下垂修正109側。 / 結果: 眼瞼下垂修正は20.5%、眉リフトは31.7%で併用。再手術率は上眼瞼形成のみ3.8%、眼瞼下垂修正併用9.2%。3か月以上続く新規ドライアイは0.8%で全例改善した。 / 限界: 高齢の皮膚弛緩を主対象とした単施設後ろ向き研究で、アジア人の二重切開、三角目、ハードコンタクト使用者だけの結果ではない。術式選択に交絡があり、本症例の追加処置や再手術率を予測できない。2026年8月9日にNCBI PubMed抄録と書誌情報を再確認し、全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、全文を取得できなかったため不明。
-
A Modified Mini-incisional Technique for Double-eyelid Blepharoplasty
研究デザイン: 単施設で4か所小切開法を行った対照群のない症例集積。前向き・後ろ向きの記載は抄録で明確でない。 / 対象: 16〜34歳の372人を3〜12か月、平均9か月追跡。明らかな皮膚余剰がある人は適応外とされた。 / 結果: 342人(92%)が満足。左右差17人(4.6%)、多重線6人(1.6%)、線移動7人(1.9%)で、これらは6か月後に修正された。初週の腫れは自然軽快した。 / 限界: 小切開法の結果で、全切開法、皮膚切除、眼窩脂肪・ROOF処理、眼瞼下垂手術の成績を示さない。明らかな皮膚余剰を除外しており、本症例の左右差や仕上がりを予測できない。2026年8月9日にNCBI PubMed抄録と書誌情報を再確認し、全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、全文を取得できなかったため不明。
-
Incidence of Postblepharoplasty Orbital Hemorrhage and Associated Visual Loss
研究デザイン: 米国眼形成再建外科学会会員への質問票による回顧的調査。出血の発症時期、治療、視力喪失を集計。 / 対象: 237人の回答医師が経験した眼瞼美容手術269,433件。眼窩内出血149件、一時的視力喪失48件、永久的視力喪失12件。 / 結果: 眼窩内出血は約0.055%、永久的視力喪失を伴う出血は訂正後約0.0045%。多くは術後0〜3時間に起き、24時間後にリスクは低下したが、数日後にも発症した。 / 限界: 医師の記憶に基づく質問票で想起バイアスがある。上・下眼瞼、術式、併用手技が混在し、二重切開法だけの発生率ではない。2026年8月9日にNCBI PubMed抄録、訂正文、書誌情報を再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、全文を取得できなかったため不明。
-
医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 三角目とはどのような見え方ですか?
正面で目を開けたとき、上眼瞼のかぶさりや開き方の左右差により、眼裂の輪郭が一方だけ三角形に見える状態を指しています。二重幅だけでなく、眉の位置、皮膚量、挙筋機能を確認します。
Q. 左右差がある場合、左右で同じ二重幅にしますか?
本症例では左右で幅を変えてデザインしました。閉瞼時の線を同じ数値にするのではなく、開瞼時の輪郭と、印象を大きく変えたくないという希望を基準に調整します。
Q. 術直後に左右差が残って見えても大丈夫ですか?
術直後は腫れと出血の左右差で二重幅が異なって見えます。開瞼・閉瞼写真を基準として記録し、腫れが落ち着いた後の同じ条件の写真で再評価します。
Q. すぐに連絡した方がよい症状はありますか?
急に強くなる眼窩の痛み、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野の変化、複視、止まりにくい出血がある場合は、予定の診察を待たず直ちにご連絡ください。
Q. 二重切開法の料金はいくらですか?
現行料金は切開法(両目)275,000円(税込)です。追加処置が必要な場合は、診察後に内容と費用を別にご案内します。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。