医師解説

目を囲むクマを上まぶた・下まぶたに分けて診断する考え方

目を囲む暗い溝は、上まぶたの皮膚余剰・くぼみと、下まぶたの脂肪突出・涙溝が連続して見えることで生じます。この症例では上眼瞼たるみ取りと経結膜脱脂を行い、脂肪注入なしで術後1か月の上下の影を比較します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2024年1月17日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 上眼瞼たるみ取りと経結膜脱脂の術後1か月です
  2. 上まぶたのくぼみと、下まぶたの膨らみ・涙溝を分けます
  3. 斜位では、上まぶた外側のかぶさりと下まぶたの段差を見ます
  4. この症例では、皮膚のかぶさりと脂肪の膨らみを先に整えました
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

上眼瞼たるみ取りと経結膜脱脂の術後1か月です

術前は、上まぶたのくぼみから下まぶたの膨らみと涙溝へ影が連なり、目を囲む暗い溝として見えていました。上まぶたには皮膚のかぶさり、下まぶたには眼窩脂肪の前方への膨らみがあり、上下で異なる構造が疲れた印象をつくっていました。

上眼瞼たるみ取りと、まぶたの裏側から眼窩脂肪を調整する経結膜脱脂を同時に行いました。術後1か月には上下の影が軽くなり、脂肪注入を行わなくても上まぶたのくぼみの見え方が改善しています。

上まぶたのくぼみと、下まぶたの膨らみ・涙溝を分けます

上まぶたでは、皮膚のかぶさり、二重の線、眼窩脂肪の量、くぼみ、眉の高さ、まぶたを上げる機能を見ます。くぼんで見えても、容量不足だけでなく、余った皮膚の折れ込みと眉の代償で影が深くなる場合があります。

下まぶたでは、内側・中央・外側の脂肪の膨らみ、その下の涙溝、頬の支え、皮膚の薄さと色調を分けます。膨らみを減らす経結膜脱脂は影の段差を整える手術であり、茶色や青紫の色調を直接治療するものではありません。

斜位では、上まぶた外側のかぶさりと下まぶたの段差を見ます

斜位では、上まぶた外側の皮膚がまつ毛側へ重なる位置と、下まぶたの膨らみから涙溝へ移る段差が分かりやすくなります。正面だけでなく斜位を加えることで、上眼瞼の皮膚切除と下眼瞼の脂肪調整を別々に設計できます。

下眼瞼は脂肪量だけで決めず、下まぶたの縁の位置、皮膚のゆるみ、眼球表面の乾燥も確認します。膨らみを減らした後もまぶたの位置と閉じやすさを保てるよう、手術前の支持と左右差を記録します。

下眼瞼手術でまぶたの位置と支持を確認する根拠として、下眼瞼位置異常0〜12%、外反0〜11.3%、下眼瞼後退0〜4.3%との報告がありました(参考文献1)。

この症例では、皮膚のかぶさりと脂肪の膨らみを先に整えました

上まぶたの皮膚余剰には上眼瞼たるみ取り、下まぶたの脂肪突出には経結膜脱脂を配置しました。上まぶたのくぼみに脂肪注入を追加せず、まず皮膚の折れ込みと上下眼瞼の段差を整えたことが、この症例の治療順です。

上まぶたや涙溝のくぼみが残る場合でも、腫れがある時期に注入量を決めず、回復後の輪郭を見て必要性を判断します。脂肪の膨らみが残る部位へ容量を足さず、上眼瞼溝、涙溝、中顔面のどこに不足があるかを分けます。

眼周囲のくぼみへ注入を追加する前に回復後の輪郭を確認する根拠として、注入直後の浮腫・内出血・血腫に加えて、輪郭不整、持続性浮腫、青色調がみられ、視力障害はまれでも重い合併症となるとの報告がありました(参考文献2)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 上まぶたは皮膚余剰、くぼみ、眉の代償、挙筋機能を、下まぶたは脂肪の3区画、涙溝、頬の支持、色調、下眼瞼の位置を分けて記録します。
  • 正面と斜位で影の起点を確認し、上眼瞼の皮膚切除と下眼瞼の脂肪調整をそれぞれ設計したうえで、目を囲む輪郭として両者のつながりを見ます。
  • 術後1か月は上下の段差、開閉瞼、左右差を確認し、残るくぼみや色調への注入・肌治療は、手術による腫れが落ち着いた輪郭を基準に考えます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
上眼瞼たるみ取り 上まぶたの皮膚が折れ込み、まつ毛側へのかぶさりと上眼瞼の影が目立つ状態 容量不足によるくぼみだけが主、挙筋機能低下が未評価、眼表面の乾燥が不安定な状態 通常1回。腫れが引いた後に皮膚の重なり・左右差を再評価 腫れ、内出血、痛み、傷あと、左右差、閉瞼不全、乾燥感、二重線の変化 術式と保険診療・自由診療の区分により異なる 要確認
経結膜脱脂術 下眼瞼の眼窩脂肪が前方へ膨らみ、その直下に影ができる状態 涙溝の凹み・色素・血管性の色調だけが主、脂肪を減らすと凹みが強くなる状態 通常1回。術後1か月以降に残る膨らみ・凹み・色調を再評価 腫れ、内出血、血腫、結膜浮腫、左右差、脂肪の残存・取りすぎ、凹み、流涙、乾燥感、複視 189,000円。手術時の吸入麻酔11,000円を含む場合は200,000円 要確認
眼周囲ヒアルロン酸注入 手術後にも残る上眼瞼・涙溝の凹みや、中顔面の支持不足が影の主因となる状態 脂肪突出が強い、むくみやすい、感染・炎症がある、容量追加で重く見える状態 通常1回。腫れが引いた後に不足部位だけを微調整 痛み、腫れ、内出血、輪郭不整、青色調、持続性浮腫、感染。まれに血管閉塞・視力障害 1本1cc 77,000円。カテラン針を使用する場合11,000円 要確認

費用の目安

  • 経結膜脱脂術 189,000円
  • 手術時の吸入麻酔 11,000円。経結膜脱脂術と合わせる場合200,000円
  • ヒアルロン酸注入 1本1cc 77,000円。カテラン針を使用する場合11,000円
  • 上眼瞼たるみ取りは、術式と保険診療・自由診療の区分により費用が異なります。

本症例の上眼瞼たるみ取りと経結膜脱脂を同時に行った総費用は、症例資料に記載されていません。

リスク・副作用・注意点

  • 上眼瞼たるみ取り:痛み、腫れ、内出血、感染、傷あと、左右差、閉瞼不全、乾燥感、二重線・上眼瞼のくぼみの変化
  • 経結膜脱脂術:痛み、腫れ、内出血、血腫、感染、左右差、凹凸、脂肪の残存・取りすぎ、下眼瞼位置異常、結膜浮腫、流涙、ドライアイ、複視、まれな視力への影響
  • 眼周囲ヒアルロン酸:痛み、赤み、腫れ、内出血、左右差、輪郭不整、むくみ、青色調、感染、しこり。まれに血管閉塞、皮膚障害・壊死、視力障害
  • 上下眼瞼を同時に手術する場合、腫れと内出血が目の周囲へ広がり、開閉瞼の違和感が重なることがあります。
  • 国内承認・適応: 上眼瞼たるみ取りと経結膜脱脂は手術手技です。当院のヒアルロン酸治療には国内承認製剤を使用しますが、眼周囲の部位・目的によって承認範囲外の使用を含む場合があります。適応外使用による健康被害は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

術後は上下眼瞼の位置、開閉瞼、眼表面、左右差を確認し、強い痛み、急な視力変化、増える腫れ・出血があれば早期診察が必要です。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Gimenez AR, Rohrich R, Borab Z, et al. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2025;13(9):e7102. doi:10.1097/GOX.0000000000007102.

    Safety and Complications in Lower Eyelid Blepharoplasty: A Systematic Review

    研究デザイン: 下眼瞼形成術の合併症を扱った36研究のシステマティックレビュー / 対象: 34件の観察研究と2件の前向き臨床試験。原則50人以上・1年以上追跡の研究を収載 / 結果: 下眼瞼位置異常0〜12%、外反0〜11.3%、下眼瞼後退0〜4.3%との報告がありました。 / 限界: 術式、対象、評価法、合併症の定義、追跡期間が不均一でメタ解析は行われていない。収載基準を厳密に満たさない研究も一部含み、本症例と同じ経結膜脱脂単独の発生率を示すものではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  2. Nalcı Baytaroğlu H, Hoşal MB. Turk J Ophthalmol. 2025;55(5):276-286. doi:10.4274/tjo.galenos.2025.45213.

    Complications of Periorbital Cosmetic Hyaluronic Acid Filler Injections: A Major Review

    研究デザイン: 眼周囲ヒアルロン酸注入の前向き・後ろ向き研究と症例報告を対象にした主要レビュー / 対象: 涙溝、上眼瞼溝、眉周囲への注入研究を横断し、単一の総対象人数は設定されていない / 結果: 即時反応では浮腫、内出血・血腫が多く、輪郭不整、持続性・遅発性浮腫、青色調が報告され、視力障害はまれだが重い合併症との報告がありました。 / 限界: 製剤、注入層、手技、追跡期間が不均一で、重い合併症は症例報告・症例集積に依存する。脂肪注入のレビューではなく、本症例ではヒアルロン酸も脂肪も注入していない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 目を囲むクマは、上まぶたと下まぶたで原因が違いますか?

上まぶたでは皮膚のかぶさり、くぼみ、眉の代償、開瞼機能を見ます。下まぶたでは脂肪の膨らみ、涙溝、頬の支持、皮膚の薄さと色調を見ます。上下の異なる影が連なると、目を囲む暗い溝として見えます。

Q. 脂肪注入をしなくても上まぶたのくぼみが改善することはありますか?

この症例では、上眼瞼の余った皮膚を整えた後、脂肪注入なしで術後1か月のくぼみの見え方が改善しました。くぼみを容量不足だけで決めず、皮膚の折れ込み、眉の位置、開瞼機能を先に見ます。

Q. 経結膜脱脂とヒアルロン酸はどう使い分けますか?

下眼瞼の脂肪の膨らみが影の主因なら経結膜脱脂、涙溝や中顔面の支持不足による凹みが主因ならヒアルロン酸が候補です。膨らみと凹みが重なる場合は、構造を整えた後に残る凹みを再評価します。

Q. 術後1か月で治療は完成していますか?

術後1か月は、膨らみや皮膚のかぶさりの変化を確認できる時期ですが、上下眼瞼には腫れや硬さが残ることがあります。残るくぼみや色調への追加治療は、回復後の輪郭を基準に考えます。

Q. 経結膜脱脂の料金と主なリスクは?

経結膜脱脂術は189,000円で、手術時の吸入麻酔11,000円を含む場合は200,000円です。腫れ、内出血、血腫、左右差、凹凸、脂肪の残存・取りすぎ、結膜浮腫、流涙、ドライアイ、複視などが起こることがあります。

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