症例紹介クマ治療ヒアルロン酸

目の下のクマへ下眼瞼脱脂を行い、1か月後にヒアルロン酸1ccを追加した症例

目の下のクマは、眼窩脂肪の膨らみと涙溝・ゴルゴラインの凹みが重なって見えることがあります。本症例ではCO2レーザーを用いた経結膜脱脂を先に行い、1か月後に残る凹みへボリューマXC 1ccを追加しました。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年3月26日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面では、脂肪の膨らみと涙溝・ゴルゴラインを分けます
  2. 斜位では、脱脂1か月後に残る凹みを見直します
  3. 反対方向の斜位で、ボリューマXC 1cc注入直後のつながりを確認します
  4. 手術と目周りの注入で、注意する症状を分けます
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

正面では、脂肪の膨らみと涙溝・ゴルゴラインを分けます

正面写真は、初診時とヒアルロン酸注入直後の比較です。初診時は眼窩脂肪の突出による目の下の膨らみと、その下に続く涙溝・ゴルゴラインの凹みが重なり、下眼瞼から頬への段差が影になっています。

最初にCO2レーザーを用いたクマとり結膜法で眼窩脂肪を切除し、1か月後に残った涙溝とゴルゴラインへヒアルロン酸製剤のジュビダームビスタ ボリューマXCを合計1cc、カテラン針を使用して追加しました。写真では、膨らみを減らす手術と凹みを補う注入を段階的に行った後のつながりを確認します。

CO2レーザーを用いた後も結膜と皮膚側を同じ項目で確認する理由として、モノポーラ電気手術との比較ではCO2レーザー群で結膜浮腫が少ない一方、術後の内出血、結膜炎、審美的満足度には差がなく、モノポーラ群の3人に結膜肉芽腫が生じたとの報告がありました(参考文献1)。

斜位では、脱脂1か月後に残る凹みを見直します

一方向の斜位では、眼窩脂肪の前方への突出と、内側の涙溝から外側のゴルゴラインへ続く斜めの影を分けます。脂肪を減らしても、この凹みが残ればクマの影は残ります。

本症例では手術と注入を同時にせず、術後1か月にふくらみが減った状態で凹みを再評価しました。先に眼窩脂肪の突出を整えることで、ボリューマXC 1ccを追加する目的を、残った涙溝・ゴルゴラインの段差へ絞っています。

手術後に涙溝を見直す理由として、脂肪の切除不足は外科医評価で4.9%、涙溝変形は9.7%、下眼瞼後退は1.2%で、患者満足度は100点換算で平均92.8点だったとの報告がありました(参考文献2)。

反対方向の斜位で、ボリューマXC 1cc注入直後のつながりを確認します

反対方向の斜位でも、初診時とボリューマXC 1cc注入直後を比べます。目の下の膨らみが減ったうえで、涙溝・ゴルゴラインから前頬へ移る境界がなだらかになっているかを確認します。

注入直後は、製剤による形の変化に針孔周囲の腫れが重なる時点です。左右差、凹凸、青み、むくみを再診で見直し、正面と両側の斜位で影が戻る位置を終了点にします。

ボリューマXC 1cc注入後も目周りの形と腫れを再確認する理由として、眼窩下の凹みに用いた経過では初回平均1mLで18%が3か月以内に追加治療を受け、内出血10%、腫れ3%、輪郭不整2%、チンダル現象1%との報告がありました(参考文献3)。

手術と目周りの注入で、注意する症状を分けます

経結膜脱脂では、1週間程度の内出血、内出血を伴う場合は1ヶ月程度の腫れ、軽度の下眼瞼外反、左右差、軽度の凹凸の残存が起こることがあります。急に強くなる眼窩の痛み、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野の変化、複視は予定の再診を待たずにご連絡ください。

ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみのボリューム増大で国内承認されています。涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は承認範囲に含まれず、眼窩周囲は電子添文でも注入しないよう警告される領域です。注入後の皮膚の青白化、異常な痛み、見え方の変化は直ちに評価します。

ジュビダームビスタ ボリューマXCの国内承認部位は中顔面・下顎部・こめかみです。涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は承認範囲に含まれず、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告されています(参考文献4)。

急な眼窩痛と視機能変化を緊急対応へ分ける理由として、眼窩内出血は約0.055%、永久的な視力喪失を伴うものは約0.0045%で、多くは術後3時間以内でしたが数日後にも起こり得るとの報告がありました(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 初診時は正面と両側の斜位で、眼窩脂肪の膨らみ、涙溝、ゴルゴライン、前頬の支え、皮膚色を別々に記録します。
  • 膨らみが影の中心なら経結膜脱脂を先に行い、術後1か月にふくらみがどこまで減り、どの凹みが残ったかを同じ方向から見直します。
  • 残る涙溝・ゴルゴラインへ注入する場合は、前頬までの曲面を整える量を決め、目周り特有のむくみや青みを増やしていないかを確認します。
  • 本症例ではボリューマXC 1cc追加直後までを正面と両側斜位で記録し、その後の腫れが落ち着いた時点で左右差と影の戻り方を再評価します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
CO2レーザーを用いた経結膜脱脂 眼窩脂肪の突出が目の下の膨らみと影の中心で、皮膚切除を必要としない状態 涙溝・ゴルゴライン、色素・血管、皮膚弛緩だけが見え方の中心で、脂肪突出が乏しい状態 通常1回。術後1か月に膨らみと残る凹みを再評価 痛み、腫れ、内出血、血腫、左右差、凹凸、下眼瞼外反、結膜浮腫、感染など 経結膜脱脂術 189,000円(税込) 手術手技。CO2レーザー機器は機種と使用目的ごとに承認範囲を確認
脱脂後1か月の再評価 脂肪の膨らみが減った後に涙溝・ゴルゴラインや頬の凹みが残る状態 急な眼窩痛、急速な片側腫脹、眼球突出、視力・視野変化、複視がある状態 本症例は術後1か月。異常症状は予定日を待たず診察 約1週間の内出血。内出血を伴う場合は約1ヶ月の腫れが続くことがある 術後診察・処置は手術契約と実施内容による 経過観察自体は医薬品・医療機器の承認対象ではない
ボリューマXC 1ccによる涙溝・ゴルゴラインの補整 脱脂後も形の凹みが残り、前頬までの境界が影になる状態 強いむくみ、皮膚色が主因、眼窩周囲の血管リスクを許容できない状態 本症例は1か月後に1回。注入直後と腫れが落ち着いた後に再評価 痛み、腫れ、内出血、凹凸、チンダル現象、遷延性浮腫。まれに血管・視覚合併症 1本1cc 77,000円+カテラン針11,000円(税込) ボリューマXCの涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は国内承認範囲外。電子添文は眼窩周囲への注入を警告

費用の目安

  • 経結膜脱脂術:189,000円(税込)
  • ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込)
  • 症例と同じ治療の計算例:合計277,000円(税込)

2026年8月9日に総合料金表を正本として確認した現在の税込・自由診療料金です。クマ治療専用ページには経結膜脱脂術200,000円(吸入麻酔代込)の表示もあり、ローカル正本間で不一致があります。本稿の患者表示は更新日の新しい総合料金表189,000円を採用しています。

リスク・副作用・注意点

  • 経結膜脱脂:痛み、腫れ、内出血、血腫、感染、左右差、凹凸、脂肪の残存・取りすぎによる凹み、軽度の下眼瞼外反、結膜浮腫、流涙、ドライアイ、複視など
  • ヒアルロン酸:痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、青み、遷延性浮腫、硬さ・しこり、感染、遅発性炎症・結節など
  • まれに眼窩内出血、血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など、緊急処置を要する合併症
  • 国内承認・適応: 経結膜脱脂は手術手技です。原資料はCO2レーザーを用いた結膜法と記載していますが、使用機種・承認番号・承認された使用目的は記載されていないため、機器単位の承認範囲は確定していません。ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的に使用します。涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は承認範囲外で、電子添文は眼窩周囲への注入を警告しています。承認範囲外使用では、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

急に強くなる眼窩の痛み、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野の変化、複視、皮膚の青白化、異常な痛みがある場合は直ちにご連絡ください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Chen CF, Mao SH, Yen CI, et al. Carbon Dioxide Laser Transconjunctival Lower Blepharoplasty: An Objective and Quantitative Comparison to Monopolar Electrosurgery. Plast Reconstr Surg. 2023;152(4):747-753. doi:10.1097/PRS.0000000000010255. PMID:36723988.

    Carbon Dioxide Laser Transconjunctival Lower Blepharoplasty: An Objective and Quantitative Comparison to Monopolar Electrosurgery

    研究デザイン: 経結膜的下眼瞼形成術でCO2レーザーとモノポーラ電気手術を比較した無作為化比較試験。 / 対象: 2018年8月から2021年3月に経結膜的下眼瞼形成術を受けた78人。年齢、性別、局所麻酔量、脂肪切除量は両群で差がなかった。 / 結果: CO2レーザー群は術中の熱感と術後結膜浮腫が少なかった。術後内出血、結膜炎、審美的満足度には差がなく、モノポーラ群の3人(7.89%)に結膜肉芽腫が生じた。 / 限界: CO2レーザーとモノポーラ電気手術だけの比較で、冷刃メスやバイポーラとの直接比較ではない。PubMed抄録では機器設定、割付隠蔽、追跡期間の詳細を確認できず、この症例の出血量や回復を予測する資料ではない。原著全文は取得できず、2026年8月9日にPubMed抄録と書誌情報を再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため不明。

  2. Kashkouli MB, Pakdel F, Kiavash V, et al. Transconjunctival Lower Blepharoplasty: A 2-Sided Assessment of Results and Subjects' Satisfaction. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2013;29(4):249-255. doi:10.1097/IOP.0b013e31828ecfb9. PMID:23645352.

    Transconjunctival Lower Blepharoplasty: A 2-Sided Assessment of Results and Subjects' Satisfaction

    研究デザイン: 単一眼形成外科医が行った経結膜的下眼瞼形成術の診療録と術前後写真を用い、外科医評価と患者評価を比較した後ろ向き横断研究。 / 対象: 6か月以上追跡できた164人。女性133人、平均年齢50.7歳、平均追跡22.8か月だった。 / 結果: 外科医評価では脂肪の切除不足4.9%、涙溝変形9.7%、下眼瞼後退1.2%。患者評価では順に3.7%、0.6%、1.2%で、満足度は100点換算で平均92.8点だった。 / 限界: 単施設・単一術者の後ろ向き研究で、術式の詳細や併用手技が本症例と同一ではない。再手術例と追跡6か月未満を除外しており、CO2レーザーの効果、術後1か月の個人結果、ヒアルロン酸追加の必要性を示さない。原著全文は取得できず、2026年8月9日にPubMed抄録と書誌情報を再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため不明。

  3. Hall MB, Roy S, Buckingham ED. Novel Use of a Volumizing Hyaluronic Acid Filler for Treatment of Infraorbital Hollows. JAMA Facial Plast Surg. 2018;20(5):367-372. doi:10.1001/jamafacial.2018.0230. PMID:29621374; PMCID:PMC6233621.

    Novel Use of a Volumizing Hyaluronic Acid Filler for Treatment of Infraorbital Hollows

    研究デザイン: 単一の民間診療所で診療記録と患者質問票を評価した後ろ向き観察研究。ボリューマXCを涙溝、鼻頬溝、眼瞼頬溝のいずれか又は複数へ使用した。 / 対象: 21〜85歳の101人、202眼。女性90人、平均年齢54歳、平均追跡12か月、初回平均使用量1mLだった。 / 結果: 18人(18%)が3か月以内に追加治療を受けた。内出血10%、腫れ3%、輪郭不整2%、チンダル現象1%で、ヒアルロニダーゼは3%に使用された。回答者のFACE-Q平均は目元満足71.1、治療決定満足65.6だった。 / 限界: 比較群のない単施設の後ろ向き研究で、質問票回答率は41〜42%だった。米国でのボリューマXC眼窩下使用を評価したもので、日本の承認範囲外使用に相当し、脱脂1か月後のゴルゴライン・涙溝へ1ccを追加した本症例を直接検証しない。著者は利益相反なしと申告した。NCBI PMC EFetch原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  4. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。承認目的、使用方法、警告、有害事象、臨床成績を記載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 中顔面・下顎部・こめかみが承認部位で、涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は含まれない。血管内注入を禁止し、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の脱脂、1か月後の追加、注入直後の画像変化を検証する研究ではない。PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。

  5. Hass AN, Penne RB, Stefanyszyn MA, Flanagan JC. Incidence of Postblepharoplasty Orbital Hemorrhage and Associated Visual Loss. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2004;20(6):426-432. doi:10.1097/01.iop.0000143711.48389.c5. PMID:15599241. Erratum: Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2005;21(2):169.

    Incidence of Postblepharoplasty Orbital Hemorrhage and Associated Visual Loss

    研究デザイン: 米国眼形成再建外科学会会員への質問票による回顧的調査。出血の発症時期、治療、視力喪失を集計。 / 対象: 237人の回答医師が経験した眼瞼美容手術269,433件。眼窩内出血149件、一時的視力喪失48件、永久的視力喪失12件。 / 結果: 眼窩内出血は約0.055%、永久的視力喪失を伴う出血は訂正後約0.0045%。多くは術後0〜3時間に起き、24時間後にリスクは低下したが、数日後にも発症した。 / 限界: 医師の記憶に基づく質問票で想起バイアスがある。上・下眼瞼、術式、切開器具が混在し、CO2レーザーによる経結膜脱脂だけの発生率ではない。原著全文は取得できず、2026年8月9日にPubMed抄録、訂正文、書誌情報を再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため不明。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの順番で治療しましたか?

CO2レーザーを用いたクマとり結膜法で眼窩脂肪を切除し、1か月後に残った涙溝とゴルゴラインへジュビダームビスタ ボリューマXC 1ccをカテラン針で追加しました。

Q. なぜ脱脂とヒアルロン酸を同じ日に行わなかったのですか?

先に脂肪の膨らみを整え、術後1か月に残る凹みの位置と深さを確認してから、注入が必要な範囲を決めるためです。本症例では涙溝とゴルゴラインの残存を確認して1ccを追加しました。

Q. 写真はヒアルロン酸の完成時ですか?

写真は初診時とボリューマXC注入直後の比較です。直後は針孔周囲の腫れも重なるため、左右差、凹凸、青み、むくみは経過後にもう一度確認します。

Q. この症例と同じ治療の現在の料金はいくらですか?

総合料金表では経結膜脱脂術189,000円、ボリューマXC 1本1cc 77,000円、カテラン針使用料11,000円で、合計277,000円です。いずれも税込・自由診療です。

Q. ボリューマXCを涙溝やゴルゴラインへ使うことは国内承認ですか?

ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみのボリューム増大で国内承認されています。涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は承認範囲に含まれず、電子添文は眼窩周囲への注入を警告しています。

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