POTENZA PRIMEで変わる治療設計の考え方
POTENZA PRIMEの進化点は、出力を一律に強くすることではなく、適応別のチップとモードを使い分け、治療の深さ、RFの入れ方、薬剤導入を肌悩みごとに組み立てやすくなったことです。従来POTENZAとの違いを、ドラッグデリバリー、肝斑・赤み、毛穴・ニキビ跡、針なしタイトニングの順に説明します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年6月12日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
進化したのは、機械の強さではなく治療設計の細かさ
画像は、従来POTENZAとPOTENZA PRIMEの違いを4つの軸で示しています。従来の限られたチップ構成に対してPrimeは適応別にチップを細分化し、CP25中心だった薬剤導入にはPMP系とBoost Mode、S16中心だった肝斑への照射にはMLS・VMLSという選択肢が加わります。
従来機でも、チップ、出力、針の深さ、ショット数、薬剤の導入方法を変えることで、肝斑、毛穴、ニキビ跡、ドラッグデリバリー、タイトニングを設計してきました。Primeでは選択肢が増えるため、同じ『ポテンツァ』でも、何を改善したいかに合わせて治療条件をさらに分けられます。
従来POTENZAの調整項目に、Primeの分岐を加える
従来POTENZAは、針を使う侵襲式RFと針を使わない非侵襲式RFを備え、針を使う場合は深さ、RFモード、絶縁・非絶縁、薬剤導入用チップなどを選べる機器です。当院では、診断した所見に合わせて、チップ、深さ、出力、ショット数、薬剤を一組で決めます。
Primeでは、長さの異なる針を組み合わせるX Tip、RF照射後に通電せず追加穿刺するBoost Mode、非侵襲式と侵襲式のRFを一つのチップで扱うMLS、複数深度へ照射するVMLS-X36を使い分けます。針の長さ、通電工程、侵襲式・非侵襲式、照射深度を、診療で確認した所見に沿って個別に選べることが特徴です。
マックームの導入は、RFと穿刺の順序まで設計する
ニキビ跡や毛穴へマックームを導入するときは、薬剤名だけでなく、どのチップで何層へRFを入れ、いつ通電を止め、どの段階で薬剤を通すかを決めます。従来のPumpingチップは針の挿入と抜去に伴う圧変化を利用し、PrimeのBoost ModeはRF照射後に通電しない追加穿刺を行う設計です。
当院では、凹みの深さと範囲を先に記録し、RFで狙う層と薬剤導入の工程を分けます。Boost Modeを選ぶ場合も、追加穿刺による赤み・腫れとの釣り合いを見て、針の深さ、ショット数、薬剤量を同時に増やさないようにします。
肝斑・赤み・血管性要素は、同じ写真の中で分けて設計する
肝斑の部位に赤みや血管性要素が重なる場合は、色素の濃さ、紅斑の分布、炎症の強さを別々に記録します。PrimeのMLSは皮膚表面へ加える非侵襲式RFと針から加える侵襲式RFを一つのチップで組み合わせ、VMLS-X36は長さの異なる針で複数の深さへRFを入れる構成です。
チップ名から治療を決めるのではなく、まず遮光と外用を基盤にし、どの所見へRFまたは穿刺を追加するかを決めます。外用を補助する穿刺の根拠と、RFで熱を加える根拠は分けて確認し、赤みが強い時期は刺激量と治療間隔を調整します。
肝斑治療では、外用だけで変化が乏しい場合に穿刺を追加する選択肢があります。補助的なマイクロニードリングにより、対照治療との差は4週から現れ、24週で最も大きかったとの報告がありました(参考文献1)。
毛穴・ニキビ跡・肌質改善は、凹凸の深さから逆算する
毛穴の開きと萎縮性ニキビ跡を同じ設定で一括して照射せず、浅い質感の乱れ、ローリング型のなだらかな凹み、境界の明瞭なボックスカー型、深いアイスピック型を写真と斜光で分けます。RFマイクロニードリングを選ぶときは、狙う深さに合わせてチップと針の深さを決めます。
Primeで選べるチップが増えても、深い瘢痕へ一律に強いRFを入れる設計にはしません。瘢痕の底が癒着している場合はサブシジョン、深い点状瘢痕では別の治療を先に検討し、RFは面状の凹凸と質感を整える役割として組み込みます。
萎縮性ニキビ跡へRFマイクロニードリングを組み込む根拠として、治療後に瘢痕が改善し、主な副反応は一過性の紅斑・浮腫・痛みだったとの報告がありました(参考文献2)。
針なしタイトニングは、皮膚表面からRFを届ける
たるみ治療では、針を使わないタイトニング用チップで皮膚表面からRFを加える選択肢があります。赤みや点状出血を伴う針治療とは工程が異なり、フェイスラインやほうれい線周囲のゆるみを確認して照射範囲を決めます。
当院では、毛穴・瘢痕の凹凸が主なら針を使うRF、輪郭のゆるみが主なら非侵襲式RFというように、最優先の所見からモードを選びます。複数の悩みがある場合も同日にすべてを重ねず、写真で追う所見と回復日数を決めてから治療順序を組みます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に、肝斑・赤み、毛穴・萎縮性瘢痕、輪郭のゆるみのうち、今回の写真で追う所見を一つ決めます。
- 次に、針を使うRFか非侵襲式RFかを選び、チップ、モード、深さ、出力、ショット数、薬剤の順に条件を組みます。
- 施術後は赤み・腫れが戻るまでの日数と同じ条件の写真を記録し、次回は複数の設定を同時に変えず、一項目ずつ調整します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| POTENZA PRIMEで変わる治療設計の考え方 | 診察で主因と治療層が一致し、期待できる変化と限界を理解できる状態 | 活動性炎症・感染、強い日焼け、妊娠等で安全条件を満たさない場合 | 施術内容と反応により1回または複数回 | 施術により赤み・腫れ・内出血・痂皮など | POTENZA PRIMEの費用は、チップ、薬剤、照射範囲、回数で変動します。 | 国内未承認。医師の個人輸入等による使用。入手経路・海外承認・救済制度の対象外となる可能性を表示 |
| 標準的な外用・内服/炎症治療 | 活動性ニキビが残る状態 | 陥凹瘢痕だけが残り炎症がない状態 | 数週〜数か月 | 刺激・乾燥など | 保険診療は処方内容により異なる | 国内承認薬でも適応・用法を確認 |
| 治療を急がず経過観察 | 診断が未確定、症状が軽い、生活要因の調整を先に評価できる状態 | 急速な悪化、出血・潰瘍、感染、視機能障害など早期評価が必要な状態 | 必要時に再診 | なし | 診察料・検査料は診療区分により異なる | 医薬品・医療機器を使用しない場合は該当なし |
費用の目安
- POTENZA PRIMEの費用は、チップ、薬剤、照射範囲、回数で変動します。
- ポテンツァ 赤ら顔・にきび・毛穴治療 全顔 1回 ¥55,000 / 3回 ¥156,750
- 肝斑治療コース 全顔 5回 ¥165,000
実際の提案内容は、どの適応を優先するかで変わります。診察時にご確認ください。
リスク・副作用・注意点
- 針を使う設定では、赤み、腫れ、点状出血、ひりつきが数日続くことがあります。
- 薬剤導入を伴う設定では、導入成分に応じた刺激感や赤みが出ることがあります。
- 肝斑や赤みが不安定な時期は、刺激の入れ方によって色調が悪化することがあります。
- 国内承認・適応: 国内未承認。医師の個人輸入等による使用。入手経路・海外承認・救済制度の対象外となる可能性を表示
細かい設定が可能でも、刺激量の調整が重要です。施術前後のケアと経過確認をご案内します。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Efficacy of Microneedle as an Assisted Therapy for Melasma: A Meta-analysis and Systematic Review of Randomized Controlled Trials
研究デザイン: 肝斑へのマイクロニードリング補助療法を扱った18件の無作為化比較試験のシステマティックレビュー・メタ解析 / 対象: 5か国の計1,245人。女性98.23%、18〜60歳、Fitzpatrick I〜V型 / 結果: 対照群との差は4週から認められ、解析上は24週で最大だった。レーザー併用サブグループでは4週の群間差はなく、8週・24週でマイクロニードリング併用群が上回った。重篤な有害事象は報告されなかった。 / 限界: 薬剤、針の種類・長さ、治療間隔、併用治療が不均一で、針条件同士を直接比較できない。RFマイクロニードリングは除外されており、POTENZA PRIME、MLS、VMLSの効果を直接検証した研究ではない。
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Fractional Radiofrequency Microneedling as a Monotherapy in Acne Scar Management: A Systematic Review of Current Evidence
研究デザイン: 萎縮性ニキビ跡へのRFマイクロニードリング単独療法を扱った16研究のシステマティックレビュー / 対象: 前向き研究6件、無作為化比較試験6件、後ろ向き研究3件、比較研究1件の計481人 / 結果: 収載された全研究でRFマイクロニードリング後の萎縮性ニキビ跡改善が報告された。主な副反応は一過性の紅斑、浮腫、痛みで、追跡期間内に重篤な有害事象は報告されなかった。 / 限界: 評価尺度と機器・治療条件が不均一でメタ解析は行われず、Fitzpatrick VI型は含まれず、追跡は最長6か月。複数機器を含むRFマイクロニードリングの研究で、POTENZA PRIME固有のチップ、Boost Mode、MLS、VMLSを比較した研究ではない。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. POTENZA PRIMEは従来のPOTENZAより出力が強い機器ですか?
主な違いは、適応別のチップやモードが増え、RFの深さ、薬剤導入、侵襲式・非侵襲式の組み合わせを細かく設計できる点です。単純に出力を強くすることを目的とした更新ではありません。
Q. PumpingチップとBoost Modeは何が違いますか?
Pumpingチップは針の挿入と抜去に伴う圧変化を薬剤導入へ利用します。Boost ModeはRF照射後に通電せず追加穿刺する工程で、RFを入れる段階と導入のための穿刺を分けて設計します。
Q. 肝斑にはMLS・VMLSを必ず使いますか?
必ずではありません。肝斑の色素、赤み、血管性要素、炎症を分け、遮光・外用を含む治療順序を決めたうえで、MLSやVMLSを追加する所見があるかを判断します。
Q. POTENZAの費用はいくらですか?
2026年8月8日確認の料金表では、赤ら顔・にきび・毛穴の全顔は1回55,000円・3回156,750円、瘢痕治療・薬剤導入の全顔は1回66,000円・3回188,100円、マックーム追加は22,000円、肝斑の全顔は5回165,000円です。料金表にはPrime専用の別加算は掲載されていません。
Q. ダウンタイムと国内の承認状況を教えてください。
針を使う設定では赤み、腫れ、点状出血、ひりつき、痂皮などが生じることがあり、当院施術ページでは赤み約3日、腫れ約2日、鱗屑3〜7日を目安としています。POTENZA PRIMEは国内未承認医療機器で、当院医師がJeisys Medical Inc.から個人輸入しています。国内に同一性能の承認機器はなく、未承認機器による副作用は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
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