しみが表皮の光老化サインなら、赤みは真皮の光老化サイン
紫外線は表皮でメラニン生成を促し、真皮ではコラーゲンを分解して血管と炎症を目立たせます。真皮の支持低下にバリアの揺らぎが重なると炎症が続き、しみ・肝斑の色を濃くするため、遮光から順に整えます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年4月13日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
紫外線は表皮の色素と真皮の土台へ順に影響します
表皮は約0.2mmの薄い層で、外からの刺激を防ぐバリアです。紫外線が当たると、基底層のメラノサイトがメラニンをつくり、その一部を吸収します。表面に現れるしみは、この表皮側の光老化を知る手がかりになります。
表皮で吸収しきれなかった紫外線は、約2mmの真皮へ届きます。真皮にはコラーゲンやエラスチン、線維芽細胞、毛細血管があり、肌の厚み・弾力・支えをつくっています。ここへ光の影響が重なると、赤みは真皮側の変化を知る手がかりになります。
この二つの層へ入る紫外線を先に減らすため、治療の土台は毎日の広範囲紫外線防御です。塗り直しや帽子・衣類も含め、色素治療と血管治療の前から継続します。
遮光を最初に置く理由として、日焼け止めを毎日使用した群は任意使用群より4.5年間の皮膚微細構造上の老化進行が24%少なく、相対オッズ0.76との報告がありました(参考文献1)。
真皮の光老化はコラーゲンを減らし、血管の赤みを目立たせます
紫外線を繰り返し受けた真皮では、コラーゲンやエラスチンを分解する酵素が増え、修復のたびに土台の均一さが失われます。肌の支えが薄くなると、毛細血管の拡張や周囲の炎症が表面から見えやすくなり、赤みが続きます。
真皮の支持低下と赤みを同じ照明で追うときは、線状の毛細血管、面として広がる紅斑、粗造、小じわ、弾力の変化を別々に記録します。これにより、遮光とバリアケアで落ち着く炎症と、血管を標的にした治療が必要な赤みを分けられます。
真皮の支持が弱る流れとして、UVB照射後数時間以内にヒト皮膚でMMPのmRNA・タンパク・活性が増え、コラーゲンとエラスチンを分解する方向へ動いたとの報告がありました(参考文献2)。
バリアの揺らぎと炎症がメラノサイトを刺激し、肝斑の色を濃くします
真皮の土台が弱ると、その上にある表皮のバリアも不安定になりやすくなります。乾燥や摩擦に、花粉・黄砂・化粧品などの刺激が重なると炎症が続き、赤みやヒリつきが目立ちます。
炎症で生じるシグナルは基底層のメラノサイトを刺激し、メラニン生成を増やします。そのため、赤みが続く肌では色だけを追わず、炎症を落ち着かせてから、残るしみ・肝斑と血管の分布を同じ写真で再評価します。
肝斑部では色素だけでなく真皮の血管も増えていることがあり、頬の赤みは治療順を決める重要な所見です。遮光とバリアケアで炎症を減らした後も赤みが残る場合は、色素と血管を異なる標的として扱います。
色素と赤みを同じ頬で記録する理由として、肝斑部では隣接皮膚より真皮血管の大きさが16.28%、密度が33.89%、血管が占める面積が68.75%多く、血管数と色素量に相関があったとの報告がありました(参考文献3)。
遮光、バリア・炎症、色素、血管の順に治療を組み立てます
最初に広範囲紫外線防御、摩擦の少ない洗顔、保湿をそろえます。灼熱感、落屑、湿疹、赤い丘疹がある時期は、刺激となる外用や照射を増やさず、バリアと炎症を先に整えます。
炎症が落ち着いた後は、茶褐色の色素には694nmルビーのフラクショナルトーニング、線状血管や面状の赤みにはADVATxの589nmというように、残った所見へ波長を割り当てます。1319nmは真皮への熱作用を利用する波長で、色素や血管を直接狙う589nm・694nmとは役割が異なります。
色素と赤みが同じ頬にある場合も、一度に多くの刺激を重ねるのではなく、治療後の炎症と色の戻り方を確認して次の標的を決めます。遮光、炎症、色素、血管の順に記録することで、肝斑を刺激せずに必要な治療を追加できます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 同じ照明・角度の写真で、茶褐色のしみ・肝斑、線状血管、面状紅斑、落屑・丘疹を別々に記録します。
- 広範囲紫外線防御、洗顔時の摩擦、保湿、刺激性外用を見直し、まずバリアと炎症を落ち着かせます。
- 炎症が安定した後に、残る色素へ694nmルビー、残る血管性の赤みへ589nmを割り当てます。
- 各治療後に赤み、色素、乾燥の戻り方を同じ条件で再評価し、次に扱う層と波長を決めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 遮光・バリアケア | 紫外線、乾燥、摩擦でしみ・赤み・ヒリつきが増える状態 | 持続する血管や濃い色素をスキンケアだけで除きたい場合 | 毎日。朝の遮光と朝晩の保湿を継続 | 製品により刺激、乾燥、かぶれ | 使用製品により異なる | 要確認 |
| 炎症の診断・治療 | 灼熱感、落屑、湿疹、丘疹を伴う赤み | 炎症がない色素・線状血管だけを治療したい場合 | 原因と治療反応に応じて再評価 | 外用・内服により刺激、乾燥など | 保険診療・自由診療の内容により異なる | 要確認 |
| ルビーフラクショナルトーニング | 炎症が落ち着いた後に残る表皮性のしみ・肝斑・くすみ | 赤み・湿疹が活動的な時期、血管だけが主な状態 | 複数回を同条件の写真で再評価 | 赤み、腫れ、痛み、かゆみ、乾燥、点状痂皮、炎症後色素沈着 | 全顔1回16,500円、初回5回66,000円(税込) | 要確認 |
| ADVATx | 炎症が落ち着いた後に残る線状血管・面状紅斑と肌質を分けて治療したい状態 | 色素だけが主な状態、急性の湿疹や強い皮膚炎がある時期 | 1回ごとに赤みと色素を再評価。必要に応じて複数回 | 赤み、腫れ、熱感、乾燥、刺激、色素変化、水疱、熱傷 | 全顔+スポット1回30,000円、5回139,000円(税込) | 要確認 |
費用の目安
- ルビーフラクショナルトーニング 全顔1回 16,500円(税込)
- ルビーフラクショナルトーニング 全顔 初回5回 66,000円(税込)
- ADVATx 全顔+スポット1回 30,000円(税込)
- ADVATx 全顔+スポット5回 139,000円(税込)
院内総合料金表と各施術ページの税込表示を2026年8月9日に照合した。
リスク・副作用・注意点
- ルビーフラクショナルトーニング:痛み、赤み、腫れ、かゆみ、乾燥、点状痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、瘢痕
- ADVATx:赤み、腫れ、熱感、乾燥、刺激、色素変化、水疱、熱傷
- 外用・化粧品:ヒリつき、赤み、乾燥、かゆみ、かぶれ
- 国内承認・適応: 当院が使用する販売名ナノスターアール(NanoStar R)は、色素性皮膚疾患の治療を使用目的とする国内承認Qスイッチルビーレーザーです(承認番号22900BZX00055000)。全顔のフラクショナルトーニングは承認された個別の照射方法ではなく、自由診療として行います。ADVATxは日本国内未承認医療機器で、医師の判断により適法な個人輸入手続で導入しています。承認範囲外の照射方法や未承認機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
ナノスターアールの製造販売元資料・PMDA電子添文更新一覧と、各施術ページの注意事項を記事の治療選択に合わせて集約した。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial
研究デザイン: オーストラリア・ナンボーで行われた無作為化比較試験。毎日SPF15以上の広範囲日焼け止めを使う群と任意使用群を4.5年間比較し、盲検評価者が手背の皮膚微細構造を評価 / 対象: 55歳未満の成人903人を皮膚老化解析の対象とした / 結果: 毎日使用群では皮膚老化スコアの検出可能な増加がなく、任意使用群より老化進行が24%少なかった。相対オッズ0.76、95%信頼区間0.59〜0.98 / 限界: 欠測した皮膚老化評価があり、統計学的検出力は控えめ。評価部位は手背で、顔の赤み・肝斑、特定の機器治療、現在の高SPF製品の比較を直接示さない。PubMed抄録と書誌情報を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 主な資金はNational Health and Medical Research Council of Australia。
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Molecular basis of sun-induced premature skin ageing and retinoid antagonism
研究デザイン: ヒト皮膚を用い、UVB照射後のAP-1・NF-κBとマトリックスメタロプロテアーゼのmRNA、タンパク、酵素活性を時間経過で調べた実験研究 / 対象: ヒト皮膚を対象としたが、PubMed抄録と大学リポジトリの公開書誌情報には人数の記載なし / 結果: UVB照射後数分でAP-1とNF-κBが増え、数時間以内に複数のMMPのmRNA、タンパク、活性が誘導された。これらの酵素は皮膚のコラーゲンとエラスチンを分解する。 / 限界: 分子反応を示す研究で、顔の赤みの程度、肝斑、個別機器の臨床効果を比較していない。PubMed抄録とミシガン大学リポジトリの書誌・抄録を2026年8月9日に確認したが、原著PDF本文は取得できなかった。 / 利益相反: 公開抄録・書誌情報から利益相反の詳細は確認できなかった。
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The vascular characteristics of melasma
研究デザイン: 肝斑部と同じ顔面の隣接皮膚をペアで比較した組織学的研究。色彩計、血管染色、VEGF免疫染色を使用 / 対象: 新たに肝斑と診断された韓国人女性50人。色彩計解析は30人で実施 / 結果: 肝斑部は隣接皮膚より血管の大きさ16.28%、密度33.89%、血管面積68.75%が増え、血管数と色素量に正の相関があった。VEGF染色も肝斑部で高かった。 / 限界: 同一顔面の観察・組織比較で因果関係を証明せず、対象は韓国人女性に限られる。顔面両部位が慢性的な紫外線曝露を受け、過去の複合外用に含まれるステロイドの血管影響も完全には除外できない。原著PDF全文6ページを2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: Korea Science and Engineering Foundationを通じたAjou University Chronic Inflammatory Disease Research Centerの助成。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. なぜ赤みを真皮の光老化サインとして見るのですか?
真皮では紫外線の影響でコラーゲンやエラスチンの分解が進み、支えが薄くなると毛細血管と周囲の炎症が表面から見えやすくなるためです。粗造、小じわ、弾力低下と赤みを同じ条件で記録します。
Q. 赤みがあると、肝斑が濃くなりますか?
乾燥や摩擦などによる炎症が続くと、メラノサイトが刺激されてメラニン生成が増え、肝斑の色が濃くなることがあります。まず遮光とバリアケアで炎症を減らし、残る色素と血管を分けて治療します。
Q. しみと赤みが同じ場所にあるとき、どちらから治療しますか?
遮光とバリアケアをそろえ、灼熱感、落屑、湿疹、丘疹などの炎症を先に落ち着かせます。その後、残る色素には694nmルビー、血管性の赤みには589nmを割り当て、反応を見ながら順番を決めます。
Q. 色素治療と血管治療を同じ日に受けられますか?
炎症の程度、肝斑の活動性、照射範囲、前回治療後の赤みを見て決めます。同日に行うこと自体を目的にせず、刺激を重ねた後の炎症後色素沈着を避けられる順序を選びます。
Q. ルビーフラクショナルトーニングとADVATxの料金はいくらですか?
ルビーフラクショナルトーニング全顔は1回16,500円、初回5回66,000円です。ADVATx全顔+スポットは1回30,000円、5回139,000円です。いずれも税込です。
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