フェイスラインをヒアルロン酸で整えて横顔バランスを考える
口横のふくらみを前後から挟む下顎骨の凹みへヒアルロン酸を補い、フェイスラインの連続性を整えた症例です。正面と左斜位から、頬下の影、下顎縁の前方・後方、顎先へ続く横顔のバランスを順に見ます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年1月12日
- 実質更新日
- 2026年8月9日


Contents
目次
正面|頬の支持と口横、下顎縁を分けて見ます
正面写真は左が治療前、右が治療後です。治療前は頬下から口横へ続く影と、口横のふくらみの前後で途切れる下顎縁が見えます。治療後は下顔面の外縁が滑らかになり、正面から見たフェイスラインがすっきりつながっています。
診察では、頬の支持が下がって口横へ重さが集まっているのか、口横・マリオネットの溝が深いのか、下顎骨の凹みで輪郭線が途切れているのかを分けます。この症例は、下顎縁の前後の凹みを補って中央のふくらみとの段差を小さくする設計です。
下顎縁を一続きの面として補うのではなく、正面で左右の頬下の影、口横の幅、顎先の中心を記録し、必要な凹みだけへヒアルロン酸を配分します。
点線の前後2か所を別に補い、下顎縁の連続性を正面・斜位で追う判断材料として、6か月後に左右とも1段階以上改善した割合は69.0%、無治療では38.0%だったとの報告がありました(参考文献1)。
左斜位|口横のふくらみを挟む2か所を補います
左斜位写真も左が治療前、右が治療後です。治療前の黒い点線は、口横のふくらみを挟むように、下顎縁の前方と後方にある2か所の凹みを示しています。年齢変化でこの凹みが深くなると、中央のふくらみとの高低差が強く見えます。
治療では、この前方・後方の凹みへヒアルロン酸を補い、中央のふくらみを除去せずに下顎縁の凹凸を整えます。治療後は顎先側から下顎骨体へ続く線が滑らかになり、正面と左斜位のどちらでも下顔面が持ち上がったように見える変化を確認できます。
前方の凹み、中央の口横のふくらみ、後方の凹みは成り立ちが異なります。前後2か所の不足を別々に見て補うことで、中央だけを押し広げずにフェイスラインの張りを作ります。
前方・中央・後方を分ける判断材料として、口横のふくらみは下顎靱帯より後方で広頸筋の骨への付着が緩い領域に生じ、口横から下顎へ続く溝は皮下の線維結合組織の配列が変わる境界だったとの報告がありました(参考文献2)。
口横・マリオネットと顎先は別の治療部位です
下顎縁の凹みを補う治療、口横・マリオネットの溝を直接整える治療、顎先の投影を補う治療は分けて設計します。正面で口横の幅と顎先の中心、斜位で前方の凹み、側面で下唇から顎先への前後差を確認し、同じ線へ一律に足しません。
口角から下唇、顎先には顔面動脈の枝、下唇動脈、オトガイ動脈、オトガイ下動脈が走ります。注入前は触診と既往注入歴を確認し、部位ごとに血管走行と製剤の位置を想定して、少量ずつ輪郭の変化を確かめます。
口横・マリオネットと顎先で血管走行を部位ごとに考える根拠として、下唇動脈の起始・走行は5型を組み合わせ、主幹の皮膚からの深さは平均5.91mm、2.40〜9.65mmと幅があったとの報告がありました(参考文献3)。
正面から左斜位、側面へ順に再評価します
最初に正面で頬下の影と口横の幅を見て、左右斜位で口横を挟む下顎縁の前方・後方を印します。凹みを補った後は、正面で輪郭の左右差、斜位で顎先から下顎骨体へ続く線、側面で唇・顎先・顎下の前後差を確認します。
腫れが落ち着いた再診でも同じ方向を比較し、前後2か所の段差、中央のふくらみ、顎先の投影を改めて記録します。当院のヒアルロン酸は1CC単位で料金を設定し、使用する製剤と本数、追加の要否は実際に残る段差から決めます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 正面で頬下の影、口横のふくらみ、下顎縁の途切れ、顎先の中心を別々に記録します。
- 左右斜位で口横を挟む下顎縁の前方・後方の凹みを印し、中央の軟部組織へ容量を重ねずに補う範囲を決めます。
- 側面で下唇から顎先、顎下へ続く線を確認し、顎先の投影や頬の支持が別に必要かを、下顎縁を整えた後に見直します。
- 施術直後と腫れが落ち着いた再診で同じ方向を比較し、輪郭線の連続性、左右差、凹凸、硬さ、圧痛、皮膚色を順に再評価します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 下顎縁の前方・後方の凹みを補うヒアルロン酸 | 口横のふくらみを挟む下顎骨の凹みで、正面・斜位の輪郭線が途切れる状態 | 下顎縁の容量が十分、皮膚の弛緩や脂肪量だけが輪郭の主因、活動性の炎症・感染がある状態 | 通常1回。腫れが落ち着いた後に正面・左右斜位で前後2か所を再評価 | 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり、遅発性炎症。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 | 1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円 | ボリューマXCを成人の減少した下顎部ボリュームへ皮下・骨膜上深部で用いることは国内承認範囲 |
| 口横・マリオネットの溝を直接整えるヒアルロン酸 | 下顎縁を整えた後も口角下方の溝が残り、表情筋の動きと軟部組織の境界で影ができる状態 | 中央の口横脂肪のふくらみが主、下唇動脈の走行を考慮せず一続きに容量を足す状態 | 通常1回。安静時と口角を動かした時の溝を再評価 | 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり。まれに血管閉塞、下唇・皮膚の虚血 | 使用本数×1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円 | 製剤の販売名、注入部位、使用目的により国内承認範囲内または適応外となるため個別に説明 |
| 顎先の投影を補うヒアルロン酸 | 下顎縁を整えた後も顎先が後退・短く、側面で下唇から顎先への前後差が不足する状態 | 顎先の投影が十分、咬合・骨格へ別の治療が必要、下顔面をさらに長く見せたくない状態 | 通常1回。正面の中心と左右斜位・側面の投影を再評価 | 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり。まれにオトガイ・オトガイ下動脈の血流障害、皮膚壊死 | 使用本数×1本1cc 77,000円 | ボリューマXCを成人の減少した下顎部ボリュームへ皮下・骨膜上深部で用いることは国内承認範囲 |
| 頬の支持を補うヒアルロン酸 | 頬の支持低下で頬下から口横へ影と重さが移り、下顎縁だけの補正では正面のバランスが整いにくい状態 | 前頬の容量が十分、下顎縁の局所的な凹みだけが輪郭の途切れを作る状態 | 通常1回。頬を整えた後に口横と下顎縁を正面・斜位で再評価 | 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 | 使用本数×1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円 | ボリューマXCを成人の減少した中顔面ボリュームへ皮下・骨膜上深部で用いることは国内承認範囲 |
費用の目安
- ヒアルロン酸:1本1cc 77,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込。使用した場合)
症例の使用本数と総量は元素材に記載がないため、総額は算出していません。元素材の料金欄にある前額施術料22,000円はフェイスライン症例の治療部位と一致しないため、この症例の費用へ加えていません。
リスク・副作用・注意点
- 痛み、赤み、腫れ、圧痛、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、アレルギー、遅発性炎症・結節
- 顔面動脈、下唇動脈、オトガイ動脈、オトガイ下動脈の血流障害、皮膚・下唇の虚血や壊死、神経障害
- 血管閉塞に伴う視力障害・失明、脳卒中
- 国内承認・適応: 当院で現在使用するジュビダームビスタシリーズは国内承認品です。ボリューマXC(承認番号22800BZX00338000)は、成人の減少した中顔面・下顎部・こめかみのボリュームを増大する目的で、皮下・骨膜上深部へ注入する国内承認品です。販売名、注入部位、目的が承認範囲と異なる場合は適応外使用として説明します。
注入中または注入後に、皮膚・下唇が青白くなる、網目状に変色する、異常に強い痛み、しびれ、見え方の異常がある場合は直ちに連絡してください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Safe and Effective Restoration of Jawline Definition With Hyaluronic Acid Injectable Gel VYC-25L: Results From a Randomized Controlled Study
研究デザイン: 米国19施設の評価者盲検・無作為化・無治療対照研究。治療群と対照群を3対1に割り付け、初回と30日後の必要時追加後、12か月まで下顎縁の写真評価尺度、FACE-Q、GAIS、安全性を追跡 / 対象: 下顎縁の不明瞭さが中等度または重度の成人206人。治療群157人、無治療群49人。治療を受けた156人のうち129人82.7%が30日後に追加治療を受け、初回と追加の平均総量は6.22mL / 結果: 6か月後に左右とも1段階以上改善した割合は治療群69.0%、無治療群38.0%。治療群のFACE-Qは平均45.9点改善し、GAIS改善は本人88.4%、評価医89.0%。多くの注入部位反応は軽度または中等度で2週以内に消失 / 限界: VYC-25Lを前方・後方の下顎縁、マリオネット、下顎角、顎先など複数部位へ平均6.22mL用いた結果です。掲載症例の製剤、総量、部位別配分、注入層、治療後の撮影時期を直接評価しません。対象は主に女性・白人で、無治療群にも38.0%の写真尺度改善がありました。PMC原著全文を2026年8月9日に再確認しました。 / 利益相反: 複数著者がAllergan Aestheticsの治験責任医師、顧問または講演者で、2人はAbbVieの常勤社員です。Allergan Aestheticsが資金提供し、研究設計、実施、解析、データ収集、解釈、論文の確認・承認に参加しました。
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The layered anatomy of the jawline
研究デザイン: 新鮮凍結頭部標本を層ごとに解剖し、MRI・CT所見を併用して、口横から下顎へ続く溝、口横のふくらみ、顎下溝の成り立ちと下顎縁の層構造を評価した解剖研究 / 対象: 頭部標本72体。男性32体、女性40体。平均75.2歳、平均BMI 24.2kg/m2、99%が白人 / 結果: 口横のふくらみは下顎靱帯より後方で広頸筋の下顎骨への付着が緩い領域に位置し、口横から下顎へ続く溝は皮下線維結合組織の配列変化により形成。皮下直下・皮下脂肪層に主要な神経血管構造は認めなかった / 限界: 高齢で99%白人の献体解剖で、生体の動き、個々の血管変異、製剤別の注入効果・安全性、治療後の輪郭変化を評価していません。Wiley原著本文は取得できず、2026年8月9日にPubMed掲載抄録と書誌情報の範囲を確認しました。 / 利益相反: PubMed掲載抄録には資金提供と利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため申告内容は未確認です。
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Translucent and Ultrasonographic Studies of the Inferior Labial Artery for Improvement of Filler Injection Techniques
研究デザイン: 改良Sihler染色で下唇動脈の起始・分岐・吻合を調べ、別の生体群でカラードプラ超音波により下唇動脈主幹の径と皮膚からの深さを測定した解剖・超音波研究 / 対象: 献体11体22半顔、平均69.9歳。超音波群は健康成人20人、平均33.5歳、22〜62歳、男性14人・女性6人、平均BMI 23.6kg/m2 / 結果: 下唇動脈の起始・走行は5型がさまざまに組み合わさって動脈弓を形成。超音波で主幹の平均径は1.10mm、平均深さは5.91mm、範囲は2.40〜9.65mm / 限界: 献体では血管収縮と高齢変化の影響があり、超音波群はアジア人の少人数です。測定部位は下唇赤唇縁で、フェイスライン症例の各注入点、製剤、器具、個人の安全な注入層や臨床転帰を決める研究ではありません。PMC原著全文を2026年8月9日に再確認しました。 / 利益相反: 著者らは製品・機器・薬剤に関する経済的利益相反なしと申告しています。研究はChulalongkorn UniversityのRatchadapisek Somphote Fundによるポスドク研究費の支援を受けました。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 黒い点線で示した2か所はどこですか?
口横のふくらみを挟む、下顎縁の前方と後方の凹みです。2か所を別々に補うと、顎先側から下顎骨体へ続く線が滑らかになり、中央のふくらみとの段差が目立ちにくくなります。
Q. ヒアルロン酸で口横の脂肪は減りますか?
この治療は脂肪を減らす施術ではありません。口横のふくらみを前後から挟む下顎縁の凹みへ容量を補い、中央との高低差を小さくしてフェイスラインを連続して見せます。
Q. 顎先や頬にも同時にヒアルロン酸が必要ですか?
下顎縁を整えた後、側面で顎先の投影、正面で頬下から口横へ続く影を見直します。顎先や頬の支持に不足が残る場合だけ、下顎縁とは別の治療部位として追加を検討します。
Q. フェイスラインのヒアルロン酸はいくらですか?
当院のヒアルロン酸は1本1cc 77,000円です。カテラン針を使用した場合は11,000円が加わります。必要本数は前方・後方の凹みと、追加する部位の範囲から決めます。
Q. フェイスラインへの注入で特に注意する血管はありますか?
下顎縁を越える顔面動脈、口角・下唇へ向かう下唇動脈、顎先を栄養するオトガイ動脈・オトガイ下動脈などがあります。口横、下顎縁、顎先を一続きの同じ深さで扱わず、部位ごとに血管走行を想定して注入します。
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