美容医療の学会知見を診療へ取り入れるときの考え方
2025年8月16・17日に第43回日本美容皮膚科学会へ参加し、赤み・痤瘡瘢痕のレーザー・RF、ポリヌクレオチド注入、PicoSure Pro、DENSITY、ULTRAcel Ziを確認しました。講演内容を原著と承認資料へ戻し、患者の所見・治療条件・経過記録へ落とし込む当院の手順を紹介します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年8月17日
- 実質更新日
- 2026年8月9日






Contents
目次
2日間の学会で講演・機器・医師間交流を確認しました
2025年8月16・17日に開催された第43回日本美容皮膚科学会総会・学術大会へ2日間参加しました。講演で治療知識を更新し、企業展示で新しい機器に触れ、多くの先生方と交流した学会です。
会場のランチョンセミナー4では、2波長搭載フラクショナルレーザーとポリヌクレオチド製剤を用い、赤み・皮脂・炎症・酸化へどう取り組むかがテーマになっていました。講演で得た考え方は、対象となる所見、使用した機器・製剤、治療条件、評価時期を原著と製品資料へ戻して診療へつなげます。
赤みと痤瘡瘢痕は、病変と治療層を分けて読みます
赤みの講演を診療へ移すときは、びまん性紅斑、毛細血管拡張、炎症性皮疹、痤瘡後紅斑を分けます。血管が主なら波長・パルス幅・冷却、活動性炎症が主なら標準的な外用・内服を含む炎症制御を先に検討し、改善度と痛みを同じ軸で比べます。
別の講演では「痤瘡治療、痤瘡瘢痕について―Microneedle RFによるアプローチ」が扱われ、スライドには薬事未承認の内容を含むことも明示されていました。当院では面皰・丘疹・膿疱が続く時期と、炎症後に陥凹が残った時期を分け、瘢痕ではアイスピック型、ボックスカー型、ローリング型の形態と癒着の深さから針の深度、RF、サブシジョンなどの順序を組み立てます。
血管拡張を伴う赤みで改善度と痛みを比べると、75%を超える改善はIPLで77.78%、PDLで66.67%となり、照射時の痛みはPDLの方が低かったとの報告がありました(参考文献2)。
医師間交流を、次に調べる臨床疑問へ変えます
講演会場と懇親の場では、多くの先生方と交流しました。異なる施設での経験に触れたときは、どの所見に、どの機器・製剤を、どの条件で用い、いつ、何を指標に再評価したのかを臨床疑問として持ち帰ります。
持ち帰った疑問は、対象、介入、比較、評価項目、追跡期間へ分けて検索します。講演抄録から査読済み原著へ進み、写真評価、患者評価、有害事象、利益相反まで確認すると、診察時に説明できる範囲と院内で追加記録すべき項目が明確になります。
展示機器は、作用層と安全設計を既存治療と比べます
機器紹介では、ピコ秒アレキサンドライトレーザーのPicoSure Proを確認しました。色素性病変や瘢痕へ使う機器は、標的となる色素、スポット径、パルス幅、照射終点、冷却、皮膚型別の色素沈着を、院内の既存レーザーと同じ表で比べます。
企業展示ではDENSITYの6.78MHz RFとULTRAcel ZiのHIFUも確認しました。RFは電極間で生じる加熱、HIFUは焦点へ集める加熱であり、たるみを一括して扱わず、皮膚のハリ、脂肪によるもたつき、脂肪を残したい部位、支持のゆるみを正面・斜位・横顔で分けて治療候補を選びます。
学会知見を診療へ入れるまでの4段階
第一段階は、講演で提示された対象、介入、比較、評価項目を抄録へ戻すことです。第二段階は原著全文で治療条件、追跡期間、有害事象、利益相反を確認し、第三段階で国内の販売名、承認された使用目的、必要な研修、緊急時対応、費用を既存治療と比べます。
第四段階では、導入した治療の撮影条件、機器設定、患者評価、効果が現れた時期、有害事象を院内で記録します。学会で得た知識を、赤み・痤瘡瘢痕・色素・たるみのどの所見へ使ったかまで残すことで、次の診察と患者説明を更新します。
学会知見を診療へ移すために資料を対象、比較、評価項目、結果、限界へ分けて吟味する技能では、治療資料の得点が58%から77%、診断資料が49%から68%、複数資料を扱う技能が57%から72%へ上がったとの報告がありました(参考文献1)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 赤み・痤瘡瘢痕の講演は、びまん性紅斑、血管拡張、活動性痤瘡、痤瘡後紅斑、陥凹の形態へ分け、患者の所見と一致する部分を抽出します。
- 治療候補ごとに原著の対象、比較、設定、評価時期、主要結果、有害事象、利益相反を一枚の評価表へ移します。
- 機器は国内承認、必要な研修、既存治療との差、緊急時対応まで確認し、診察では標準化写真と患者の優先課題から治療順序を決めます。
- 導入後は機器設定、同条件写真、患者評価、回復日数、有害事象を記録し、講演内容と院内経過を分けたまま説明と治療条件を更新します。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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The impact of critical appraisal workshops on residents’ evidence based medicine skills and knowledge
研究デザイン: 治療、害、診断、系統的レビューを題材に、妥当性、結果、患者への適用可能性を学ぶ各90分の批判的吟味ワークショップを匿名の研修前後テストで評価した教育プログラム研究 / 対象: 参加資格のある研修医88人。各課題の研修前回答率は30〜49%、研修後回答率は28〜47%で、回答者の70%超は内科研修医 / 結果: 治療資料の得点は58%から77%、害は65%から73%、診断資料は49%から68%、系統的レビューは57%から72%へ上がりました。 / 限界: 小規模で対照群がなく、前後回答は匿名のため個人対応せず、評価尺度も未検証です。参加者の自己選択による偏りがあり、批判的吟味教育が患者の治療成績を改善したかは評価していません。著者は利益相反なしと申告しています。原著全文を2026年8月8日に確認しました。
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Meta-Analysis of the Efficacy of Intense Pulsed Light and Pulsed-Dye Laser Therapy in the Management of Rosacea
研究デザイン: 酒皶に対するIPLと595nm PDLの直接比較研究を統合したシステマティックレビュー・メタ解析。3件は前向き左右比較、1件は後ろ向き研究 / 対象: 4研究・141人。50%超改善、75%超改善、紅斑指数、VAS疼痛を評価 / 結果: 75%超改善はIPL 77.78%、PDL 66.67%で、50%超改善率と紅斑指数の変化に明確な群間差はありませんでした。VAS疼痛はPDL群で低い結果でした。 / 限界: 直接比較は4研究だけで規模が小さく、照射条件は患者ごとに調整され、疼痛解析の異質性が大きい研究です。酒皶に対するIPLとPDLの比較であり、学会画像にある2波長フラクショナルレーザー固有の効果、痤瘡瘢痕、RF、ポリヌクレオチド製剤の結果を示しません。著者は利益相反なしと申告しています。原著全文を2026年8月8日に確認しました。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. どの学会へ参加した記録ですか?
2025年8月16・17日に開催された第43回日本美容皮膚科学会総会・学術大会です。講演、企業展示、医師間交流を通して美容皮膚科の知識と機器情報を更新しました。
Q. 講演ではどのようなテーマを確認しましたか?
2波長搭載フラクショナルレーザーとポリヌクレオチド製剤による赤み・皮脂・炎症・酸化へのアプローチ、マイクロニードルRFによる痤瘡・痤瘡瘢痕治療を確認しました。
Q. 展示されていた機器は何ですか?
写真で確認できるのは、ピコ秒アレキサンドライトレーザーのPicoSure Pro、6.78MHz RFのDENSITY、HIFUのULTRAcel Ziです。診療では機器名だけでなく作用層、治療条件、安全設計を比較します。
Q. 学会で知った治療は、どのように診療へ取り入れますか?
講演抄録から原著全文へ進み、対象、比較、治療条件、評価時期、効果、有害事象、利益相反を確認します。国内承認、研修、緊急時対応、費用を既存治療と比べ、導入後は同条件写真と患者評価を記録します。
Q. 赤みと痤瘡瘢痕では治療の選び方が違いますか?
赤みは血管拡張、びまん性紅斑、活動性炎症、痤瘡後紅斑を分けます。痤瘡瘢痕はアイスピック型、ボックスカー型、ローリング型と癒着の深さを分け、外用・内服、レーザー、RF、サブシジョンなどの順序を組みます。
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