医師解説ニキビアドバテックス

赤み・ニキビへアドバテックスを行った治療経過

前額部の平坦な単純性血管腫(毛細血管奇形)へ、アドバテックス(ADVATx)589nmをフラクショナルモードで2回照射した症例です。治療前、1回後、2回後を同じ部位で比べ、赤紫色の範囲と濃さ、色素沈着を追います。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2025年6月1日
実質更新日
2026年8月9日
前額部の単純性血管腫へアドバテックス589nmを照射した治療前・1回後・2回後の経過

Contents

目次

  1. 治療前、1回後、2回後を上から順に比べます
  2. 単純性血管腫は、色・境界・厚み・退色を診ます
  3. 589nmを点状に分け、血管性の赤みへ照射します
  4. 1回後の反応を確かめてから、2回目の範囲を決めます
  5. ニキビ・皮脂を扱うときは、同じ機器でも評価軸を変えます
  6. 2回後に残る赤みは、深さと治療反応から次を選びます
  7. 診療で確認するポイント
  8. 治療選択の比較
  9. 費用の目安
  10. リスク・副作用・注意点
  11. 関連記事
  12. 関連施術・関連症状のご案内
  13. 執筆・監修
  14. 参考にした一次情報・ガイドライン
  15. よくあるご質問

治療前、1回後、2回後を上から順に比べます

上段は治療前、中段はアドバテックス1回後、下段は2回後です。前額中央に縦長に続く平坦な赤紫色の斑を同じ範囲で比べています。

1回後は中央の濃い赤紫色が淡くなり、2回後には病変全体がさらに目立ちにくく見えます。治療部位に強い褐色色素や痂皮は写っておらず、この症例では照射後の色素沈着はわずかでした。

単純性血管腫は、色・境界・厚み・退色を診ます

単純性血管腫は、現在は毛細血管奇形とも呼ばれる先天性の血管病変です。今回の前額病変は赤紫色で平坦に見え、炎症性ニキビの丘疹や、ニキビが治った後に一時的に残る赤みとは形が異なります。

診察では発症時期、広がり方、圧迫で色が薄くなるか、表面の盛り上がりや出血がないかを確認します。同じ前額でも、太い血管や深い血管が多い病変は浅い平坦な病変と反応が異なるため、写真の色だけで照射範囲を決めません。

589nmを点状に分け、血管性の赤みへ照射します

589nmは酸化ヘモグロビンに吸収される黄色の波長です。この症例ではフラクショナルモードを選び、前額の病変を点状に分けて照射しながら、赤紫色の濃い範囲と周囲の正常皮膚を見分けました。

照射直後の赤みや熱感が落ち着いてから、病変の面積、最も濃い部分、周囲との境界を同じ距離で撮影します。照射直後の反応ではなく、次の治療までに残った赤紫色を治療効果として記録します。

589nm固体レーザーを複数回に分けて追う理由として、4回後に医師評価の顔面紅斑が左右とも31%改善したとの報告がありました(参考文献2)。

1回後の反応を確かめてから、2回目の範囲を決めます

1回後の写真では赤紫色が淡くなっているため、同じ病変へ2回目を重ねています。2回後はさらに目立ちにくくなっていますが、薄い赤色は残っており、完全に消えたかではなく、濃い範囲がどこまで縮小したかを評価します。

次回は1回目と2回目の赤み、腫れ、色素沈着を照合し、残る血管の色と深さに合わせて照射範囲を更新します。前回と同じ範囲を機械的に重ねず、薄くなった部分と残る部分を分けます。

単純性血管腫を黄色レーザーで複数回治療する理由として、病変の大きさは平均5.23回で68.8%退縮したとの報告がありました(参考文献1)。

ニキビ・皮脂を扱うときは、同じ機器でも評価軸を変えます

アドバテックスは589nmと1319nmの2波長を搭載し、赤ら顔、赤あざ、炎症性ニキビなどへ用います。本症例は前額の血管病変へ589nmを照射した経過で、ニキビの丘疹数や皮脂の変化を示す症例ではありません。

炎症性ニキビでは赤い丘疹・膿疱、新しくできた皮疹数、面皰、皮脂を部位ごとに数えます。血管性の赤みへ589nm、真皮加熱や炎症性ニキビへ1319nmを組み合わせる場合も、前額の単純性血管腫とは別の写真所見と治療目標で追います。

2回後に残る赤みは、深さと治療反応から次を選びます

2回後に薄い赤みが残る場合は、同じ589nm照射を追加するか、血管の深さ・太さに合う別の血管レーザーを検討します。盛り上がり、結節、出血、急な色調変化があれば、診断を見直してから次の治療へ進みます。

単純性血管腫は深い病変ほど照射回数が増え、レーザーだけで完全に消えないことがあります。この症例では1回後、2回後と薄くなる過程を確認できるため、次回も同じ撮影条件で残る赤紫色の範囲を測り、治療を続けるかを決めます。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 初診では前額の赤紫色斑について、発症時期、広がり、圧迫での退色、盛り上がり、出血歴を確認し、単純性血管腫と一過性の炎症性紅斑を分けます。
  • 治療前に病変の面積、最も濃い部分、境界を撮影し、平坦な血管性病変へ589nmのフラクショナル照射範囲を設定します。
  • 1回後の赤み、腫れ、色素沈着が落ち着いた時点で同じ部位を撮り直し、薄くなった部分を含めて2回目の範囲を更新します。
  • 2回後は残る赤紫色の深さと太さを見直し、同じ589nmを続けるか、別の血管レーザーや保険診療を含む治療へつなぐかを決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ADVATx 589nm・医師スポット/フラクショナル 平坦な単純性血管腫、限局した毛細血管、赤紫色の血管性病変 診断がついていない赤い腫瘤、盛り上がり・出血・潰瘍がある病変、感染・強い皮膚炎・日焼け直後 本症例は1回後、2回後を比較。色と深さに応じて複数回 痛み、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着。まれに水疱、熱傷、色素脱失、瘢痕 1cm×1cmまで6,600円/超える場合は1cm2ごと4,400円 国内未承認医療機器。自由診療
ADVATx 589+1319nm・全顔 顔全体の赤みに炎症性ニキビ、皮脂、毛穴が重なる状態 前額の限局した血管病変だけを治療する状態、感染・強い皮膚炎・日焼け直後 赤み・皮疹数・皮脂を回ごとに再評価。5回コースあり 痛み、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素変化。まれに水疱、熱傷 全顔・スポット照射込み1回30,000円/5回139,000円 国内未承認医療機器。自由診療
パルス色素レーザーなどの血管レーザー 面積が広い、深い・太い血管が混在する、標準的な血管レーザー治療を検討する単純性血管腫 血管病変と確認できない色調、照射部位の感染、強い日焼け・皮膚炎 病変の深さ・色・年齢・前回反応に応じて複数回 痛み、赤み、腫れ、紫斑、痂皮、色素沈着・色素脱失、まれに水疱、熱傷、瘢痕 保険適用となる疾患・機器・算定条件では自己負担割合に応じる。自費は医療機関により異なる 使用機器と診断ごとに国内承認範囲・保険適用を確認

費用の目安

  • ADVATx 589nmスポット・医師施術:1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cmを超える場合は1cm²ごと4,400円(税込)
  • ADVATx 589+1319nm 全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円(税込)
  • ADVATx 顎下オプション:1回6,000円(税込)

限局した血管性病変は医師スポット料金、全顔の赤み・ニキビ・皮脂を同時に扱う場合は全顔料金を用います。照射面積と回数で総額が変わります。

リスク・副作用・注意点

  • 照射中の痛み、照射後の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着
  • まれに水疱、熱傷、色素脱失、瘢痕
  • 日焼け直後、照射部位に感染や強い皮膚炎がある場合は照射できないことがある
  • 国内承認・適応: ADVATxは日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。当院では医師の責任のもと適法な輸入手続きにより入手しています。米国FDAでは510(k) K250189のクリアランスがあり、589nmの使用目的にポートワイン母斑・血管腫を含む良性皮膚血管病変、炎症性ニキビなどが記載されています。米国の510(k)クリアランスは日本国内の承認を意味しません。国内未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

強い痛み、水疱、拡大する腫れ、白色・暗紫色の皮膚変化、治らないびらん、発熱がある場合は予定日を待たず連絡してください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Sarac G, Kapicioglu Y. Dermatol Ther. 2019;32(6):e13078. doi:10.1111/dth.13078. PMID:31465145.

    Efficacy of 577-nm Pro-Yellow laser in port wine stain treatment

    研究デザイン: 577nm黄色レーザーを4週間隔で3〜10回行った後ろ向き症例集積 / 対象: ポートワイン母斑の患者26人。女性15人、男性11人、平均年齢24.7歳、1〜50歳 / 結果: 平均5.23回の照射後、病変の大きさは平均68.8%退縮しました。深い病変では必要回数が多く、臨床的に完全消失しない病変がありました / 限界: 対照群のない小規模症例集積で、577nm Pro-Yellowレーザーの結果です。本症例の589nm ADVATx、2回のフラクショナル照射と同じ機器・波長・条件ではありません。PubMed抄録と書誌情報を2026年8月9日に確認し、原著全文は購読制限のため確認できませんでした。 / 利益相反: PubMed抄録・書誌に資金提供と競合利益の記載はありません。

  2. Cohen DK, Gonzalez NE, Bloom BS, Goldberg DJ. J Cosmet Dermatol. 2018;17(5):770-774. doi:10.1111/jocd.12742. PMID:30291670.

    Use of a novel 589-nm solid-state laser for treatment of facial erythema

    研究デザイン: 589nm固体レーザーを月1回、計4回行い、医師と参加者が左右の顔面紅斑を評価した前向き単群研究 / 対象: 顔面紅斑の治療を希望した24人。女性16人、男性8人、平均年齢51.1歳 / 結果: 医師評価の紅斑は左右とも31%改善し、参加者評価は右23.2%、左22.8%改善しました。有害事象は一過性の照射後紅斑でした / 限界: 対照群のない小規模研究で、対象は顔面紅斑です。本症例の単純性血管腫、前額の589nmフラクショナル照射2回を直接検証していません。PubMed抄録・書誌と出版社公開抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は購読制限のため確認できませんでした。 / 利益相反: Advalightが研究費を提供し、Goldberg医師が研究助成を受けたと記載されています。他の著者は商業的支援者との重要な利害関係なしと記載されています。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. この症例は何を何回治療しましたか?

前額部の平坦な単純性血管腫へ、アドバテックス589nmをフラクショナルモードで2回照射しました。上から治療前、1回後、2回後を並べ、赤紫色が段階的に薄くなる経過を比較しています。

Q. 単純性血管腫とはどのような病変ですか?

現在は毛細血管奇形とも呼ばれる先天性の血管病変で、平坦な赤から赤紫色の斑として見られます。色、境界、厚み、圧迫での退色、盛り上がりや出血の有無を診て治療方法を決めます。

Q. なぜ589nmを使うのですか?

589nmは酸化ヘモグロビンに吸収される黄色の波長で、血管性の赤みを標的にします。この症例では点状に分けるフラクショナルモードで照射し、1回後の反応を見て2回目の範囲を決めました。

Q. アドバテックスはニキビにも使いますか?

炎症性ニキビやニキビ後の赤みへ使う場合がありますが、この症例は前額の血管病変です。ニキビでは丘疹・膿疱、面皰、皮脂、ニキビ後の赤みを分け、589nmと1319nmの使う範囲を組み直します。

Q. 費用と国内承認状況を教えてください。

589nm医師スポットは1cm×1cmまで6,600円、超える場合は1cm2ごと4,400円です。全顔・スポット照射込みは1回30,000円、5回139,000円です。ADVATxは国内未承認医療機器で、医師の責任のもと適法に輸入しています。

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