しわの種類と原因別に考える治療の選び方
しわは、ちりちり小じわ、表情じわ、たるみじわの3つに分けると、治療の役割が見えやすくなります。乾燥・真皮成分の減少、筋肉の動き、骨や脂肪のボリューム低下を順に確認し、外用・機器・ボツリヌストキシン・ヒアルロン酸を選びます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年3月29日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
しわを3つの種類に分けます
しわには、目元や口元に細かく現れるちりちり小じわ、眉間や目尻など表情をつくったときに深くなる表情じわ、ゴルゴライン・ほうれい線・マリオネットラインとして見えるたるみじわがあります。
正面の真顔だけでなく、眉を寄せる、額を上げる、笑う動作と、斜め・横から見た影を比べます。線がいつ現れるか、皮膚表面に細かく集まるか、顔の立体感が減った場所に沿うかで、最初に扱う原因を決めます。
ちりちり小じわは水分と真皮のハリを補います
ちりちり小じわは、目元・口元・頬に細かく現れます。加齢や光老化によって真皮のヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンが減り、乾燥も重なると、肌のハリと水分を保ちにくくなります。
保湿と遮光を土台に、目的に合うゼオスキン製品やメソナJによる成分導入、ポテンツァのダイヤモンドチップやデンシティによるRF、アドバテックスの1319nmなどを、乾燥・弾力・色むらの組み合わせから選びます。外用・導入・熱・レーザーは働きが異なるため、一度にすべてを重ねず、優先する所見を決めて反応を見ます。
光老化が重なる細かな小じわに外用を組み込む理由として、外用トレチノインでしわ・色むら・黄ぐすみ・日光黒子が改善し、1か月から変化がみられ、24か月まで継続したとの報告がありました(参考文献1)。
表情じわは動かす筋肉と残したい表情を見ます
眉間は眉を寄せるとき、目尻は笑うとき、額は眉を上げるときに線が深くなります。同じ動きを繰り返すと折り紙の折り目のように安静時にも残るため、動作時と真顔の両方で深さを比べます。
ボツリヌストキシンは、しわをつくる筋肉の収縮を弱める治療です。眉間では皺眉筋と鼻根筋、目尻では外側眼輪筋など、線をつくる動きへ合わせます。額は前頭筋がまぶたや眉を持ち上げる働きも担うため、眉の高さと上まぶたの重さを先に確認します。
表情じわを治療後も定期的に動作で見直す理由として、眉間治療の反応者では効果の中央値が動作時120日、安静時131日で、半数を超える反応者が約4か月の効果を維持したとの報告がありました(参考文献2)。
たるみじわは引き締める範囲と支えを補う範囲を分けます
たるみじわは、真皮の弾力低下だけでなく、皮下脂肪や筋肉、骨格支持の変化が重なって生じます。顔をテントに例えると、皮膚と皮下組織は布地、骨格は骨組みにあたり、どちらの変化が目立つかで治療が変わります。
頬やフェイスラインの皮膚・脂肪のゆるみにはウルトラセルZiによるHIFUやデンシティのRFを候補にし、頬骨周囲や下顎の支持が減ってできた影にはヒアルロン酸で立体を補います。熱で引き締める治療とボリュームを補う治療は目的が反対になるため、正面・斜位・横顔で範囲を分けます。
ゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットラインが連続して見えるときは、最も上流にある頬の支持、口横の影、下顎縁の輪郭を順に確認します。支えを補った後に残る皮膚のゆるみ、または熱治療後に残る凹みを再評価し、次の治療を決めます。
たるみじわで骨・脂肪・筋・皮膚を順に評価する理由として、顔の加齢では骨格のリモデリング、脂肪区画の萎縮・移動、筋の厚みや緊張の変化、皮膚の菲薄化が層ごとに重なるとの報告がありました(参考文献4)。
支持不足へヒアルロン酸を選ぶときに部位と層を分ける理由として、顔の各層では加齢変化の始まる時期と現れ方が異なり、変化した層へ合わせて製剤と注入面を選ぶとの報告がありました(参考文献5)。
同じ顔に複数のしわがあるときは原因ごとに順番を組みます
目尻の細かい乾燥じわと笑ったときの表情じわ、ほうれい線の影は同じ顔に併存します。肌表面の水分と質感、筋肉の動き、骨・脂肪の支持を別々に記録すると、各治療で変える場所が明確になります。
まず日常の表情やまぶたの機能を損なわずに筋活動を調整し、次に立体的な支持と皮膚のゆるみを整え、細かな質感を継続して追います。主な悩みと診察所見が一致する順に治療を置くことで、変化を一段ずつ評価できます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 真顔、眉を寄せる、額を上げる、笑う表情を同じ照明で撮影し、動作時だけ現れる線と安静時にも残る線を分けます。
- 目元・口元・頬の細かな線は、保湿後に浅くなる表面の乾燥と、斜光でも残る真皮のハリ低下を触診と写真で確認します。
- ゴルゴライン・ほうれい線・マリオネットラインは、正面・斜位・横顔で頬の投影、脂肪の位置、下顎の支持、皮膚のゆるみを順に見ます。
- 筋活動が主ならボツリヌストキシン、支持不足が主ならヒアルロン酸、皮膚・脂肪のゆるみが主ならHIFUやRF、細かな質感が主なら外用・導入・肌質治療を先に配置し、反応後に残った所見を再評価します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 小じわの外用・導入・肌質治療 | 目元・口元・頬の細かな線、乾燥、ハリ低下、色むらが重なる状態 | 深い構造性の溝、強い皮膚余剰、筋収縮だけで現れる線 | 外用は毎日。機器・導入は治療ごとに複数回を評価 | 外用刺激、赤み、乾燥、熱感、腫れ、機器ごとの皮膚反応 | POTENZAダイヤモンド全顔48,400円、ADVATx全顔30,000円、メソナJ全顔+首20,000円など | POTENZA・ADVATx・メソナJは国内未承認。DENSITYも美容目的では国内未承認。ZO SKIN HEALTH製品は化粧品 |
| ボツリヌストキシン | 眉間・目尻など筋収縮で深くなる表情じわ | 乾燥小じわ、容量低下、皮膚余剰が主な線、筋力を保つ必要がある部位 | 投与後約2週で動きと左右差を確認。製剤・部位ごとに再評価 | 痛み、内出血、左右差、効きすぎ、眉・まぶたの重さ、頭痛 | 表情じわ1部位33,000円、2部位55,000円、3部位75,000円、4部位88,000円 | ボトックスビスタの国内承認は65歳未満の眉間・目尻。額などは適応外。コアトックスは国内未承認 |
| HIFU・RFによる引き締め | 頬やフェイスラインの皮膚・脂肪のゆるみが影をつくる状態 | 骨格・脂肪のボリューム不足だけで生じる凹み、極端に脂肪が少ない範囲 | HIFU・RFごとに1回後の変化を追い、再照射時期を判断 | 痛み、赤み、熱感、腫れ、しびれ、まれに熱傷・神経症状・意図しない脂肪減少 | ウルトラセルZi全顔+首128,000円、DENSITY全顔250ショット99,000円 | 当院のウルトラセルZi・DENSITYは美容目的では国内未承認 |
| ヒアルロン酸注入 | 頬骨周囲・中顔面・下顎などの支持不足や容量低下で生じる影・溝 | 乾燥小じわ、筋収縮だけで現れる線、感染がある状態 | 1回後に正面・斜位・横顔を再評価。製剤は吸収性 | 痛み、腫れ、内出血、硬さ、凹凸、しこり、感染、まれに血管閉塞・視覚障害 | 1本1cc 77,000円。部位により施術料・針代が加算 | 国内承認製剤を使用。承認部位・目的・注入層は製剤ごとに異なり、部位によって適応外 |
費用の目安
- ボトックス・ビスタ/コアトックス 表情じわ:1部位33,000円、2部位55,000円、3部位75,000円、4部位88,000円
- ヒアルロン酸:1本1cc 77,000円
- POTENZA ダイヤモンドチップ:ほうれい線・フェイスライン38,000円、全顔48,400円
- DENSITY:目周り33,000円、全顔250ショット99,000円
- ウルトラセルZi オーダーメイドHIFU:全顔+首128,000円
- ADVATx 589+1319nm:全顔1回30,000円、5回139,000円
- メソナJ:全顔+首1回20,000円、5回90,000円
自由診療・税込です。ヒアルロン酸は部位により施術料・針代が加わります。外用・化粧品の費用は製品ごとに異なります。
リスク・副作用・注意点
- ボツリヌストキシンでは、痛み、内出血、左右差、効きすぎ、眉・まぶたの重さ、閉瞼への影響、頭痛が生じることがあります。
- ヒアルロン酸では、痛み、腫れ、内出血、硬さ、凹凸、しこり、感染があり、まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害、脳卒中が起こり得ます。
- HIFU・RFでは、痛み、赤み、熱感、腫れ、圧痛、しびれがあり、まれに熱傷、水疱、色素変化、神経症状、意図しない脂肪減少が生じます。
- 外用・成分導入・レーザーでは、刺激、赤み、乾燥、皮むけ、かぶれ、熱感、腫れ、色素変化などが、製品・機器・設定に応じて生じます。
- 国内承認・適応: ボトックスビスタは国内承認医薬品(承認番号22100AMX00398000)で、承認適応は65歳未満の成人における眉間・目尻の表情じわです。額などは適応外で、コアトックスは国内未承認医薬品です。ヒアルロン酸は国内承認製剤を使用しますが、承認部位・目的・注入層は製剤ごとに異なります。当院で使用するPOTENZA、ADVATx、DENSITY、ウルトラセルZi、メソナJは美容目的では国内未承認の医療機器です。医師の責任で適法に輸入または国内正規販売元から入手して使用し、未承認・適応外治療による健康被害は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。ZO SKIN HEALTH製品は化粧品で、しわ治療を目的とした医薬品ではありません。
しわの種類ごとに使用する薬剤・機器が異なるため、副作用は治療別に説明します。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Topical tretinoin for treating photoaging: A systematic review of randomized controlled trials
研究デザイン: 無作為化比較試験のみを対象とした系統的レビュー / 対象: 20歳以上で中等度以上の光老化がある成人を扱った7試験。外用トレチノイン0.025〜5%を3〜24か月使用し、多くの試験で女性が過半数 / 結果: 全試験で、しわ、色むら、黄ぐすみ、日光黒子の臨床的改善が報告されました。早い研究では1か月から変化がみられ、24か月まで継続しました。 / 限界: 濃度、剤形、評価法、治療期間が不均一で、近年の研究が少なく、最適濃度や機器治療との比較は示しません。外用トレチノインは刺激、紅斑、乾燥、皮むけを生じ得ます。原著全文を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: 著者は利益相反なしと申告。インドネシア共和国研究技術省が研究費を提供。
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OnabotulinumtoxinA: a meta-analysis of duration of effect in the treatment of glabellar lines
研究デザイン: 類似設計の第III相試験4件を統合したメタ解析 / 対象: 眉間へonabotulinumtoxinA 20単位を投与された621人。30日後の最大収縮時に523人が反応者 / 結果: 30日後反応者の効果中央値は、最大収縮時120日、安静時131日でした。反応者の半数を超えて約4か月の臨床効果が続きました。 / 限界: 眉間、onabotulinumtoxinA 20単位、30日後反応者に限った解析で、額・目尻など他部位、他製剤、非反応者へ同じ持続期間を適用できません。単位は製剤間で換算できません。PubMed抄録と出版社の利益相反表示を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: Allergan, Inc.が解析を資金提供。複数著者が同社の従業員・株主で、他の著者にもコンサルタント等の関係が開示されています。
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医薬品・医療機器情報の確認
製剤の承認部位・用法確認先。
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The Facial Aging Process From the "Inside Out"
研究デザイン: 顔面加齢を解剖学的な層ごとに検討したナラティブレビュー / 対象: 顔面の骨格、脂肪区画、筋、皮膚に関する基礎・画像・解剖・臨床文献 / 結果: 骨格のリモデリング、脂肪区画の萎縮または移動、筋の緊張・厚みの変化、皮膚の菲薄化が、上顔面・中顔面・下顔面ごとに重なって外見へ現れると記載しました。 / 限界: 患者群を前向きに追跡した治療比較ではなく、各層の変化量、HIFU・RF・ヒアルロン酸の効果量、個人の治療順序を示しません。原著全文を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: Allergan plcが研究・執筆支援を資金提供し、同社従業員を含む全著者に企業との関係が開示されています。
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Treating Aging Changes of Facial Anatomical Layers with Hyaluronic Acid Fillers
研究デザイン: 顔面解剖層の加齢変化とヒアルロン酸製剤の選択を扱ったナラティブレビュー / 対象: 皮膚、脂肪区画、筋・SMAS、骨格と、各層へ用いるヒアルロン酸製剤に関する解剖・臨床文献 / 結果: 顔の各層で加齢変化の時期と形が異なるため、目的とする層へ合う製剤特性と注入面を選ぶことが、治療設計と有害事象低減に重要と記載しました。 / 限界: 無治療対照を置いた患者試験ではなく、特定製剤・部位の改善量や持続、HIFU・RFとの優劣を示しません。国内承認の部位・目的・注入層は各製品の電子添文を優先します。原著全文を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: 本稿の執筆・出版への研究費・助成金はないと申告。複数著者がAllergan Aesthetics、AbbVie、Teoxane等から個人的報酬または研修・コンサルタント関係を開示しています。
よくあるご質問
Q. しわはどのように3種類へ分けますか?
目元・口元・頬の細かなちりちり小じわ、表情をつくったときに深くなる表情じわ、骨や脂肪のボリューム低下と皮膚のゆるみで生じるたるみじわに分けます。真顔・表情・斜位を見比べて、複数が重なる場合はそれぞれの範囲を記録します。
Q. しわはすべてボツリヌストキシンで治療できますか?
ボツリヌストキシンは筋肉の収縮で深くなる表情じわに用います。乾燥・光老化による小じわには保湿・遮光・外用や肌質治療、支持不足によるたるみじわにはヒアルロン酸やHIFU・RFを選びます。
Q. ボツリヌストキシンの効果はどのくらい続きますか?
眉間へonabotulinumtoxinA 20単位を使用した場合、効果の中央値は動作時120日、安静時131日との報告がありました。部位、製剤、投与量、筋力で異なり、国内承認のボトックスビスタは3か月以内の再投与を避けます。
Q. ちりちり小じわにはどの治療を選びますか?
保湿と遮光を続け、光老化や角層状態に合わせた外用、メソナJによる成分導入、ポテンツァのダイヤモンドチップ・デンシティ・アドバテックスなどの機器治療を目的別に選びます。強い皮膚余剰や深い溝は別の治療対象です。
Q. たるみじわではHIFU・RFとヒアルロン酸をどう分けますか?
頬やフェイスラインの皮膚・脂肪のゆるみにはHIFUやRF、頬骨周囲や下顎の支持不足による影にはヒアルロン酸を用います。熱を入れる範囲とボリュームを補う範囲を正面・斜位・横顔で分け、先に行った治療の反応後に残る所見を再評価します。
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