アドバテックス導入前に整理したい適応と向く症状
アドバテックスは、589nmと1319nmを使い分け、持続する赤み・毛細血管、炎症性ニキビ、皮脂、毛穴を同じ治療計画で扱えるレーザーです。赤みの形と炎症の有無を先に分け、全顔照射とスポット照射を組み立てます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2024年12月26日
- 実質更新日
- 2026年8月9日






Contents
目次
赤みと肌質を、589nmと1319nmで分けて照射します
当院では2025年1月にアドバテックスを導入しました。赤みだけを一様に照射するのではなく、血管が関わる赤み、炎症性ニキビ、皮脂の多さ、毛穴や肌質の変化を分け、2つの波長を同じ治療計画に組み込みます。
589nmは赤みと血管所見、1319nmは皮脂腺と真皮の熱反応を主な標的にします。早く変化を見たい赤みと、複数回の経過で見る皮脂・毛穴・ハリを同じ評価にせず、それぞれの変化を記録します。
持続する赤み、細い血管、炎症性ニキビ、皮脂を見分けます
候補となるのは、面で続く赤み、線状に見える毛細血管、ニキビ後の赤み、赤い丘疹・膿疱、皮脂の多さと毛穴が重なる状態です。血管腫、酒さ、静脈湖などの血管性病変では、色、形、押したときの退色、盛り上がり、分布を見て全顔照射かスポット照射かを分けます。
酒さでは、持続性紅斑、毛細血管拡張、丘疹・膿疱、ほてり・刺激感、眼症状を別々に記録します。ニキビでは、面皰、赤い丘疹・膿疱、ニキビ後紅斑、皮脂を分け、外用・内服で活動性炎症を治療する部分とレーザーを併用する部分を決めます。
赤みの形から治療を組み立てる根拠として、ROSCO 2019では、固定した病型名だけでなく、持続性紅斑、毛細血管拡張、丘疹・膿疱、眼症状などの表現型ごとに診断・治療するとの報告がありました(参考文献1)。
589nmは血管と赤み、1319nmは皮脂腺と真皮へ使います
589nmはヘモグロビンに吸収されやすく、面状の赤み、毛細血管拡張、ニキビに伴う炎症性の赤みへ用います。1319nmは水分を含む真皮へ熱を加え、皮脂の多さ、毛穴、肌のハリや質感を治療計画へ加えるときに用います。
赤い丘疹・膿疱と皮脂が重なる場合は、全顔へ589nmと1319nmを組み合わせ、目立つ炎症性皮疹へ589nmのポイント照射を加えます。外用治療を置き換えるのではなく、炎症性皮疹数と赤み、皮脂、乾燥を同じ時点で追えるよう治療順を決めます。
炎症性ニキビへデュアル波長を加える具体例として、2.5% BPO外用に2週間隔で4回の589/1319nmレーザーを併用した側は、治療終了3か月後の炎症性皮疹数が46%、BPO単独側は29%減少し、群間差は有意ではなかったとの報告がありました(参考文献2)。
全顔の蓄熱照射と、細い血管へのスポット照射を使い分けます
機器の照射仕様では、0.02秒の短時間に240ショットを重ねるマイクロドット状の蓄熱照射が示されています。一度に高いエネルギーを加える照射とは異なり、熱を重ねながら赤みと皮膚反応を確認できることが特徴です。
スポット径は最小1mmで、ラインやスクエアへ照射形状を変えられます。顔全体へ広がる赤みは全顔照射、鼻周囲などの細い血管や限局した病変はスポット照射とし、紫斑、腫れ、赤みなど許容できる回復期間も含めて血管レーザーやIPLと使い分けます。
症例写真では2〜5回後の変化を比較しています
症例1には、顔面の赤み・炎症性皮疹を4回後、589nmと1319nmによる5回後、2回後、別の5回後で比べた写真と、線状瘢痕の2回・3回後の経過が並びます。複数回後には、赤みや炎症性皮疹、線状瘢痕の色の見え方が軽くなった例が示されています。
症例2には、顔面の赤みと炎症性皮疹を3回後・4回後で比べた例と、別の術前後比較が並びます。当院では、面状の赤み、目立つ血管、炎症性皮疹、皮脂・毛穴から最優先の所見を決め、同じ撮影条件で1回ごとの変化を追い、次の波長・範囲・スポット照射を組み立てます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 赤みを面状の持続性紅斑、線状の毛細血管、ニキビ後紅斑、丘疹・膿疱に分け、押したときの退色、皮脂、乾燥、刺激感を同じ診察で記録します。
- 血管所見が主なら589nmとスポット照射、皮脂・毛穴・肌質が重なるなら1319nmを加え、活動性ニキビや酒さの丘疹・膿疱には外用・内服を治療の土台に置きます。
- 同じ条件の写真で赤み、炎症性皮疹数、皮脂・乾燥を1回ごとに比較し、全顔とポイントの範囲、波長、次回間隔を変えます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ADVATx 589+1319nm 全顔 | 面状の赤み、ニキビ後紅斑、炎症性ニキビに皮脂・毛穴・肌質の変化が重なる状態 | 感染、強い皮膚炎、日焼け直後、診断が定まっていない色素・血管病変 | 1回ごとに反応を確認。料金には5回コースあり | 赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、やけど | 全顔・スポット照射込み 1回30,000円/5回139,000円 | 要確認 |
| ADVATx 589nm スポット | 鼻周囲などの細い毛細血管、限局した赤み、ニキビ、血管腫を医師が照射する状態 | 顔全体へ均一に広がる赤み、血管以外の色素・凹凸・たるみが主な状態 | 病変の色・太さ・反応を見て再評価 | 局所の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、色素沈着、水疱、やけど | 1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cm以上は1cm2ごと4,400円 | 要確認 |
| 外用・内服によるニキビ・酒さ治療 | 面皰、活動性の丘疹・膿疱、刺激感・ほてり、皮膚炎など原因治療が必要な状態 | 炎症が落ち着いた後に毛細血管やニキビ後紅斑だけが残る状態 | 薬剤と症状に合わせて継続し、炎症・刺激・乾燥を再評価 | 乾燥、刺激、赤みなど薬剤固有の副作用 | 保険診療・自由診療、処方内容により異なる | 要確認 |
費用の目安
- ADVATx 589+1319nm 全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円
- 顎下オプション 1回6,000円
- 589nmスポット・医師施術:1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cm以上は1cm²ごと4,400円
- メソナJオプション 1回18,000円
全顔料金には必要な部位へのスポット照射が含まれます。
リスク・副作用・注意点
- 照射中の痛み、照射後の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感
- 色素沈着、水疱、やけどが起こることがあります。
- 日焼け直後、照射部位の感染・強い皮膚炎がある場合は照射できないことがあります。
- 国内承認・適応: 本施術で使用するADVATxは日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。当院では医師の責任のもと適法な輸入手続きにより入手しています。製造元は米国FDAで複数の適応について510(k)クリアランスを取得し、欧州CE認証を受けていると公表しています。未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
炎症性ニキビへの照射後は、平均疼痛3.4/10で、軽い乾燥・赤み・落屑は2週間以内に自然軽快し、重篤な有害事象はなかったとの報告がありました。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Recommendations for rosacea diagnosis, classification and management: update from the global ROSacea COnsensus 2019 panel
研究デザイン: 19人の皮膚科医と2人の眼科医が6回の電子調査とオンライン会議を行った、盲検電子投票による修正Delphi国際コンセンサス。140文献のレビューで質問項目を作成し、75%以上の同意をコンセンサスと定義 / 対象: アフリカ、アジア、欧州、北米、南米を代表する皮膚科医19人・眼科医2人の計21人。患者を登録した臨床試験ではない / 結果: 固定した病型ではなく、持続性紅斑、毛細血管拡張、丘疹・膿疱、眼症状などの表現型ごとに診断・治療し、複数所見には併用治療を考えるとの報告がありました。 / 限界: 患者の治療効果を比較した試験ではなく専門家合意で、ADVATxの適応・波長・回数を直接検討していない。企画・運営はGaldermaの資金提供を受け、同社は投票・議論・データ処理に関与しなかったと記載されている。原著全文を2026年8月8日に確認した。
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Efficacy and safety of the 589/1319 nm solid-state dual-wavelength laser combined with topical benzoyl peroxide for inflammatory acne vulgaris: a split-face randomized controlled trial
研究デザイン: 単施設・単盲検の左右比較無作為化試験。顔全体へ2.5% BPOを18週間外用し、無作為に選んだ片側へ589/1319nmレーザーを2週間隔で4回追加、最終照射後3か月追跡 / 対象: 18〜50歳で左右の顔に各2個以上の炎症性丘疹・膿疱がある軽症〜中等症ニキビ18人 / 結果: 最終照射3か月後の炎症性皮疹数はレーザー併用側46%、BPO単独側29%減少したが、群間差は有意ではなかったとの報告がありました。平均疼痛3.4/10、重篤な有害事象なし、3人に両側の軽い乾燥・赤み・落屑が生じ2週間以内に自然軽快しました。 / 限界: 18人・タイ単施設の小規模試験で、両側ともBPOを使用したためレーザー単独効果を示さない。群間の炎症性皮疹数、重症度、満足度に有意差はなく、酒さ、毛細血管拡張、毛穴・ハリへの結果ではない。研究条件を当院の全顔・スポット照射へそのまま適用できない。原著全文を2026年8月8日に確認した。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. どのような赤みにアドバテックスが向きますか?
面状に続く赤み、線状の毛細血管、ニキビ後紅斑、赤い丘疹・膿疱などが候補です。酒さでは持続性紅斑、毛細血管拡張、丘疹・膿疱、ほてり・刺激感を分け、外用・内服とレーザーの役割を決めます。
Q. 589nmと1319nmはどう使い分けますか?
589nmはヘモグロビンに吸収されやすく、赤み・毛細血管・炎症性の赤みへ用います。1319nmは皮脂腺と真皮へ熱を加え、皮脂、毛穴、ハリ・質感を同時に扱うときに加えます。
Q. 全顔照射とスポット照射の違いは?
面で広がる赤みや、赤み・皮脂・毛穴が重なる場合は全顔へ589nmと1319nmを使います。鼻周囲の細い血管や限局した炎症性皮疹には、最小1mm径まで調整できる589nmスポットを加えます。
Q. 何回くらい受けますか?
掲載症例には2〜5回後の比較があり、炎症性ニキビへは2週間隔で4回照射したとの報告があります。当院の料金には1回と5回コースがあり、1回ごとの赤み、炎症性皮疹数、皮脂・乾燥の変化を次の計画へ反映します。
Q. 国内で承認された医療機器ですか?
ADVATxは国内未承認医療機器です。医師の責任で適法に輸入して使用します。製造元は米国FDAで複数適応の510(k)クリアランス、欧州CE認証を公表していますが、国内未承認機器による健康被害は救済制度の対象外となる場合があります。
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