医師解説皮膚腫瘍・ほくろCO2レーザー

ほくろ治療でレーザーと切除をどう選ぶか

顔の4mm以下で平坦・茶色に近いほくろはCO2レーザー、4mmを超えて盛り上がりがあり、灰色・黒色で深さがあるほくろは切除を選びやすくなります。鼻翼溝の症例では、切除線を溝へ沿わせて傷あとを目立ちにくくしました。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2023年8月12日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. ほくろは大きさ・盛り上がり・色・場所を一緒に見ます
  2. 4mm以下で平坦・茶色に近いほくろはCO2レーザーを検討します
  3. 4mmを超える盛り上がったほくろは紡錘状切除を検討します
  4. 形や色に不規則さがある病変は病理診断を優先します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

ほくろは大きさ・盛り上がり・色・場所を一緒に見ます

ほくろには、小さいものから大きいもの、平坦なものから盛り上がったもの、茶色に近いものから灰色・黒色のものまであります。治療法を選ぶときは、大きさだけでなく、表面からどの程度の深さまで母斑細胞があると考えられるか、切除線を自然な溝やしわへ沿わせられるかを確認します。

今回の症例は鼻翼溝に接する、盛り上がった灰褐色の病変です。画像1の正面写真では、治療前の病変と、切除後に病変がなくなり、線状の傷あとが鼻翼溝に沿っている状態を比較しています。

4mm以下で平坦・茶色に近いほくろはCO2レーザーを検討します

当院では、顔にある直径4mm以下で平坦な小さいほくろ、色が茶色に近いものを、CO2レーザーで比較的きれいに除去しやすい病変の目安としています。CO2レーザーは病変を蒸散させるため、線状の切開創を作らずに治療できます。

浅く削れば傷は小さくなりますが、深い部分に母斑細胞が残ると再発することがあります。反対に、再発を減らそうとして深く削るほど、陥凹や瘢痕の可能性が高くなります。小さく良性と判断した顔面病変に向く方法であっても、深さと傷あとのバランスを見ながら照射します。

治療後は、上皮化するまで約10〜20日間、軟膏と被覆材で保護します。上皮化後も赤みが落ち着くまでは紫外線対策を続け、色素沈着、陥凹、瘢痕、再発の有無を確認します。

CO2レーザー後に再発と陥凹の両方を追う理由として、顔面の複合母斑・真皮内母斑では81%が1回で治療され、1年後の再発は2%、線維化は3%、陥凹と瘢痕は各2%との報告がありました(参考文献2)。

4mmを超える盛り上がったほくろは紡錘状切除を検討します

当院では、4mmを超え、盛り上がりがあり、灰色や黒色に見えるほくろは、紡錘状切除を検討します。病変を深部まで一塊で取り、必要な場合は切除した組織を病理検査へ提出できることが、レーザー蒸散との大きな違いです。

切除後は線状の傷あとが残りますが、病変の場所と皮膚の張力を見て切開線を設計すると、自然な溝へなじませられる場合があります。今回の鼻翼溝の症例では切除線を溝に沿わせました。画像2の斜位写真では、病変がなくなり、細い淡い赤色の線が鼻翼溝に沿う経過を確認できます。

深い・盛り上がった病変で切除を選ぶ理由として、良性色素性母斑では外科的切除の除去率が96.4%、再発率が2.1%で、CO2レーザーの美容満足度は8.4/10、再発率は12.9%との報告がありました(参考文献1)。

形や色に不規則さがある病変は病理診断を優先します

左右非対称、境界の不規則さ、複数の色調、急な拡大、出血や潰瘍がある病変は、まずダーモスコピーで観察し、必要に応じて生検または切除で病理診断を行います。見た目がほくろに似ていても、良性母斑以外の皮膚腫瘍が含まれるためです。

CO2レーザーで蒸散すると、病変全体を病理検査へ提出できません。そのため、良性と判断でき、病理標本を残す必要がない病変だけをレーザーの候補とし、診断を確かめる必要がある病変は切除を選びます。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 最初にダーモスコピーで左右非対称、境界、色調のばらつきを見て、最近の拡大、出血、潰瘍の有無を確認します。病理診断が必要な所見があれば、レーザーではなく生検または切除を優先します。
  • 良性母斑と判断できたら、最大径、平坦か隆起か、茶色・灰色・黒色のどれに近いか、毛の有無、推定される深さを記録し、『4mm以下で平坦・茶色に近い病変』と『4mmを超えて盛り上がった病変』を分けます。
  • 切除する場合は、鼻翼溝やしわの方向、皮膚の張力を見て、病変を取り切れる切除幅と、線状瘢痕をなじませる方向を同時に設計します。
  • CO2レーザー後は上皮化、陥凹、色素沈着、6か月以内の再発を、切除後は創部、病理結果、線状瘢痕の経過をそれぞれ確認します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
CO2レーザー蒸散 良性と判断した小さな隆起性病変、線状瘢痕を避けたい場合 悪性疑い、病理必須、深い・大きい母斑 1回後に治癒と残存を評価。再治療あり 出血、感染、陥凹、PIH、色素脱失、瘢痕、再発等 5mmまで1個5,500円/顔取り放題55,000円 機器・使用目的ごとに国内承認確認
切除縫合・病理検査 悪性鑑別、深い病変、完全除去を優先 線状瘢痕を許容できない、部位的に単純閉鎖困難 通常1回、抜糸・病理説明 出血、感染、離開、線状瘢痕、ケロイド、左右差等 保険適用の可否・大きさ・部位で異なる 病名・目的により保険診療を判断
経過観察・皮膚科評価 良性で治療不要、診断を先に確かめたい場合 悪性疑いを放置、急な変化がある場合 定期・変化時 治療によるダウンタイムなし 診察区分により異なる 必要時病理検査・専門連携

費用の目安

  • CO2レーザー:5mmまで1個5,500円、5mm〜1cmごとの追加1,100円。
  • 顔のほくろ取り放題55,000円。切除・病理は診療区分、大きさ、部位で異なります。

診察で病理検査の必要性を決め、レーザー費用と保険診療を分けます。

リスク・副作用・注意点

  • 出血、感染、痛み、滲出、PIH、色素脱失、陥凹、肥厚性瘢痕、ケロイドが起こり得ます。
  • レーザーでは母斑細胞が残り再発することがあります。
  • 診断未確定病変を蒸散すると病理評価が困難になります。

良性診断が治療選択より先です。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Guo Z, Wang C. Aesthetic techniques for melanocytic nevus management: clinical outcomes, cosmetic satisfaction, and safety-a systematic review and meta-analysis. Front Med (Lausanne). 2026;13:1761270. doi:10.3389/fmed.2026.1761270.

    色素性母斑に対する外科的切除・レーザー・その他の美容治療の比較

    研究デザイン: 2000年1月から2025年5月までに報告された色素性母斑の美容治療を対象とした系統的レビュー・メタ解析 / 対象: 46研究、良性色素性母斑4,201病変。外科的切除、CO2レーザー、Er:YAGレーザー、電気手術、削皮術などを含む。 / 結果: 外科的切除の除去率は96.4%、再発率は2.1%、CO2レーザーの美容満足度は8.4/10、再発率は12.9%だったとの報告がありました。真皮内母斑は接合部母斑より再発が多く、相対リスクは1.82でした。 / 限界: 選択済みの良性病変が中心で、母斑の型、治療手技、評価法、追跡期間が不均一であり、観察研究を多く含む。疑わしい病変をレーザーで処理する根拠や、本症例の個別再発率を示す研究ではない。PubMed書誌とEurope PMCの原著全文を2026年8月8日に再確認した。

  2. Köse O. Efficacy of the carbon dioxide fractional laser in the treatment of compound and dermal facial nevi using with dermatoscopic follow-up. J Dermatolog Treat. 2019;30(5):498-502. doi:10.1080/09546634.2018.1529384.

    顔面の複合母斑・真皮内母斑に対するCO2フラクショナルレーザーの1年成績

    研究デザイン: ダーモスコピーで経過を追った単施設後ろ向き研究 / 対象: 顔面の複合母斑または真皮内母斑をCO2フラクショナルレーザーで治療した330人、684病変。2か月間隔で消失まで治療し、1年間追跡した。 / 結果: 554病変(81%)は1回、89病変(13%)は2回、34病変(5%)は3回で治療された。1年後の再発は15病変(2%)、線維化20人(3%)、陥凹12人(2%)、瘢痕12人(2%)だったとの報告がありました。 / 限界: 切除との無作為比較ではなく、良性と判断された複合母斑・真皮内母斑を選択した単施設後ろ向き研究である。通常のCO2蒸散すべてに同じ結果を適用できず、病理診断の代替にもならない。PubMed書誌・抄録を2026年8月8日に再確認し、原著全文は取得していない。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査

    レーザー機器と目的の承認確認先。

  4. J Clin Aesthet Dermatol. 2019

    CO2 ablation for small congenital nevi

    成人17人の後ろ向き研究。

  5. Aesthetic Plast Surg. 2014

    Serial CO2 laser excision of facial nevi

    5〜10mm母斑25人。

よくあるご質問

Q. CO2レーザーと切除は、どのように選びますか?

当院の目安では、顔の4mm以下で平坦・茶色に近いほくろはCO2レーザー、4mmを超えて盛り上がりがあり、灰色・黒色で深さがあるほくろは紡錘状切除を検討します。実際には、ダーモスコピー所見、推定される深さ、再発をどこまで避けたいか、線状の傷あとを自然な溝へ沿わせられるかを合わせて決めます。

Q. ほくろはすべてレーザーで取れますか?

いいえ。左右非対称、境界や色の不規則さ、急な拡大、出血、潰瘍などがある病変は、病理診断を優先します。レーザーで蒸散すると病変全体を病理検査へ提出できないため、疑わしい病変は顔の取り放題を含む美容レーザーの対象にしません。

Q. CO2レーザー後に再発することはありますか?

あります。深部に母斑細胞が残ると再発し、深く削るほど陥凹や瘢痕の可能性が高まります。当院の現行案内では、治療後6か月以内に再発した場合は無料で再治療していますが、再照射の前に病変の状態をもう一度確認します。

Q. CO2レーザー後は、どのように手当てしますか?

上皮化まで約10〜20日間は軟膏と被覆材で保護し、赤みが落ち着くまでは紫外線対策を続けます。出血、感染、痛み、色素沈着、色素脱失、陥凹、肥厚性瘢痕、ケロイドが起こることがあります。

Q. 費用と保険適用はどうなりますか?

当院の現行料金は、CO2レーザーが5mmまで1個5,500円、5mmを超えて1cmまでの追加が1,100円、顔のほくろ取り放題が55,000円です。美容目的のレーザーは自費診療です。切除と病理検査は、症状、診断、大きさ、部位によって保険診療となる場合があるため、診察後に区分と費用を案内します。

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