医師解説ヒアルロン酸

ヒアルロン酸3ccで目周りの凹みとほうれい線を一緒に見る考え方

目尻を含む目周りの凹みは、目の下全体の影を強く見せることがあります。ボリューマXCを合計3cc使用した症例を斜位と正面で比べ、目周りの影、前頬の支え、ほうれい線をどの順序で一緒に見るか説明します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2023年7月2日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 斜位では、目尻側の凹みと目の下へ続く影を見ます
  2. 反対側の斜位では、前頬の支えとほうれい線をつなげて見ます
  3. 正面では、目周りとほうれい線の左右バランスを確認します
  4. 診療で確認するポイント
  5. 治療選択の比較
  6. 費用の目安
  7. リスク・副作用・注意点
  8. 関連記事
  9. 関連施術・関連症状のご案内
  10. 執筆・監修
  11. 参考にした一次情報・ガイドライン
  12. よくあるご質問

斜位では、目尻側の凹みと目の下へ続く影を見ます

1方向目の斜位は、左が施術前、右が施術後です。目の真下だけでなく、目尻側から頬上部へ続く凹みを比べると、施術後は目周りの影が短くなり、頬上部との境界がなだらかに見えます。

目周りが暗く見えるときは、目尻側の凹み、眼窩脂肪の膨らみ、皮膚の色、むくみを分けます。この症例で注目するのは目尻側の凹みによる影で、色や膨らみをヒアルロン酸の量だけで解決しようとはしません。

目尻側まで評価して少量ずつ再確認する理由として、ボリューマXCを眼窩下の凹みに使用した経過では、初回平均1mLで18%が3か月以内に追加治療を受け、内出血10%、腫れ3%、輪郭の不整2%、チンダル現象1%との報告がありました(参考文献2)。

反対側の斜位では、前頬の支えとほうれい線をつなげて見ます

反対側の斜位も左が施術前、右が施術後です。目尻側の影、前頬の平坦さ、鼻翼から口角へ向かうほうれい線を一つの方向で比べると、目周りと口元の間にある中顔面の支えを確認できます。

治療では、まず前頬の支えを見直し、その後に残る目周りの影とほうれい線を別々に確認します。ほうれい線だけを厚く補うのではなく、頬の膨らみが線の近くへ寄っているのか、鼻翼基部から線そのものが深いのかを斜位で分けます。

前頬の支えを先に見る理由として、ボリューマを中顔面へ用いた経過では、78週時も81.7%が1段階以上改善し、追加治療なしで24か月まで追跡できた症例では95.6%が1段階以上改善したとの報告がありました(参考文献1)。

正面では、目周りとほうれい線の左右バランスを確認します

正面も左が施術前、右が施術後です。施術後は目尻側から前頬へ続く影と、鼻翼の外側から口元へ向かう影がやわらぎ、顔の中央が明るく見えます。斜位で見た曲面が正面でも左右に偏っていないかを確認します。

この症例で使用したのはジュビダームビスタ ボリューマXC合計3ccです。3ccは目周りやほうれい線の標準量ではなく、両方を一つの総量で整えた症例値です。部位ごとの必要量は、正面と両側の斜位を往復しながら、前頬の支えと残る影を見て決めます。

皮膚が青白くなる、網目状に変色する、通常と異なる強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。目周りと鼻翼周囲は、血管閉塞に伴う皮膚障害や視覚障害へ特に注意する部位です。

ほうれい線を別に評価する理由として、別のヒアルロン酸製剤を両側のほうれい線へ合計平均3.0mL使用した経過では、12か月時も重症度の改善が維持されたとの報告がありました(参考文献4)。

ジュビダームビスタ ボリューマXCの国内承認部位は中顔面・下顎部・こめかみです。目周りやほうれい線への直接使用は承認範囲に含まれず、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告されています(参考文献3)。

皮膚色変化や強い痛みを待たずに連絡いただく理由として、ヒアルロン酸による血流障害では、急に増す痛み、蒼白、その後の網目状の暗紫色変化を認めた段階で直ちに評価と治療を始めるとの報告がありました(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 最初に、正面で目の下の色、眼窩脂肪の膨らみ、目尻側の凹み、ほうれい線の左右差を分けます。
  • 次に両側の斜位で、目尻から前頬へ続く曲面と、頬の膨らみからほうれい線までの距離を比べます。
  • 前頬の支持不足が影を強めている場合は中顔面を先に整え、再度正面と斜位を確認して、残る目周りの凹みとほうれい線を別々に見直します。
  • この症例ではボリューマXCを合計3cc使用し、目周りとほうれい線の影を3方向で比較しました。総量よりも、各方向で影がどこまで短くなったかを終了点にします。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
中顔面の支えをボリューマXCで補う 前頬の平坦さが目周りとほうれい線の影を同時に強めている状態 目の下の色や眼窩脂肪の膨らみだけが主因、前頬のボリュームが十分な状態 1回後に正面・両側斜位で再評価し、必要な場合のみ追加 痛み、赤み、腫れ、内出血、硬さ・しこり、左右差。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 1本1cc 77,000円。症例と同じ3本は231,000円 ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみのボリューム増大で国内承認
目周りの凹みを直接補う 色や脂肪突出より、限局した形の凹みが影の主因となる状態 むくみやすい、皮膚色・眼窩脂肪突出が主因、眼窩周囲の血管リスクを許容できない状態 少量ごとに形とむくみを確認し、必要時に別日に再評価 腫れ、内出血、凹凸、チンダル現象、遷延性浮腫。まれに重い血管・視覚合併症 使用本数×77,000円。カテラン針を使用する場合11,000円 ボリューマXCの目周りへの直接使用は国内承認範囲外。電子添文は眼窩周囲への注入を警告
残るほうれい線を直接補う 中顔面を整えた後も、鼻翼基部から線そのものの深さが残る状態 前頬の重さ・支持不足が主因で、線だけを補うと口元が重く見える状態 中顔面の再評価後、残る線を必要量だけ補う 痛み、腫れ、内出血、凹凸、硬さ・しこり。まれに血管閉塞、皮膚壊死 使用本数×77,000円。カテラン針を使用する場合11,000円 ボリューマXCのほうれい線への直接使用は国内承認範囲外

費用の目安

  • ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
  • 症例と同じ3本:231,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込。使用した場合)

本症例と同じボリューマXC 3本は231,000円です。器具の記録がないため、カテラン針は使用する場合にのみ11,000円が加わる表示としました。すべて自由診療です。

リスク・副作用・注意点

  • 痛み、赤み、腫れ、圧痛、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、遅発性炎症・結節など
  • 目周りではチンダル現象、遷延性浮腫、輪郭不整など
  • まれに血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ使用します。目周りやほうれい線への直接使用は承認範囲外です。電子添文は、側副血行路が乏しい領域の例として眼窩周囲を挙げ、注入しないよう警告しています。承認範囲外使用では、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

皮膚の青白化、網目状変色、通常と異なる強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちに連絡してください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Callan P, Goodman GJ, Carlisle I, et al. Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2013;6:81-89. doi:10.2147/CCID.S40581. PMID:23687448; PMCID:PMC3610404.

    Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study

    研究デザイン: オーストラリア6施設の前向き観察研究。中顔面の容量不足へボリューマを初回4週間内に1〜2回使用し、78週時は規定条件で追加可能として24か月追跡した。 / 対象: 103人を治療し、72人が24か月来院、45人は78週の追加治療を受けず24か月評価対象となった。初回平均使用量は5.1mLだった。 / 結果: 中顔面容量不足スケールの1段階以上改善は78週で81.7%。追加治療なしで24か月まで評価した45人では43人(95.6%)が1段階以上改善した。 / 限界: 未処置対照がなく、24か月結果は完遂者かつ追加治療なしの45人に限られる。頬部中顔面へ平均5.1mLを用いた結果で、目周り・ほうれい線へ合計3ccを用いた本症例の配分や効果を直接示さない。Allergan Australiaが資金提供し、複数著者が有償研究者、製品提供受領者、同社社員だった。PMC原著全文、PubMed書誌、Disclosureを2026年8月9日に確認した。

  2. Hall MB, Roy S, Buckingham ED. Novel Use of a Volumizing Hyaluronic Acid Filler for Treatment of Infraorbital Hollows. JAMA Facial Plast Surg. 2018;20(5):367-372. doi:10.1001/jamafacial.2018.0230. PMID:29621374; PMCID:PMC6233621.

    Novel Use of a Volumizing Hyaluronic Acid Filler for Treatment of Infraorbital Hollows

    研究デザイン: 単一の民間診療所で診療記録と患者質問票を評価した後ろ向き観察研究。ボリューマXCを涙溝、鼻頬溝、眼瞼頬溝のいずれか又は複数へ使用した。 / 対象: 21〜85歳の101人、202眼。女性90人、平均年齢54歳、平均追跡12か月、初回平均使用量1mLだった。 / 結果: 18人(18%)が3か月以内に追加治療を受けた。内出血10%、腫れ3%、輪郭不整2%、チンダル現象1%で、ヒアルロニダーゼは3%に使用された。回答者のFACE-Q平均は目元満足71.1、治療決定満足65.6だった。 / 限界: 比較群のない単施設の後ろ向き研究で、質問票回答率は41〜42%だった。米国でのボリューマXC眼窩下使用を評価したもので、日本の承認範囲外使用に相当し、本症例の合計3ccやほうれい線との同時治療を直接検証しない。著者は利益相反なしと申告した。NCBI PMC EFetch原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  3. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。承認目的、使用方法、警告、有害事象、臨床成績を記載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 中顔面・下顎部・こめかみが承認部位で、目周りやほうれい線への直接使用は含まれない。血管内注入を禁止し、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の3ccの部位別配分、画像変化、目周り・ほうれい線同時治療の効果を検証する研究ではない。PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。

  4. Sattler G, Philipp-Dormston WG, Van Den Elzen H, et al. A Prospective, Open-Label, Observational, Postmarket Study Evaluating VYC-17.5L for the Correction of Moderate to Severe Nasolabial Folds Over 12 Months. Dermatol Surg. 2017;43(2):238-245. doi:10.1097/DSS.0000000000000939. PMID:28165349; PMCID:PMC5414733.

    A Prospective, Open-Label, Observational, Postmarket Study Evaluating VYC-17.5L for the Correction of Moderate to Severe Nasolabial Folds Over 12 Months

    研究デザイン: 前向き、非盲検、観察的な市販後研究。中等度から重度の両側ほうれい線へVYC-17.5Lを使用し、必要時は2週後に追加して12か月追跡した。 / 対象: 成人70人を登録し65人が研究要件を完了。両側合計の平均使用量は3.0±1.0mLだった。 / 結果: 医師評価のほうれい線重症度は12か月時も有意な改善を維持した。予想外の有害事象は2件で、赤み・腫れ・感覚低下は4日、腫れは48時間で消失した。 / 限界: 対照群のない非盲検研究で、最適補正を目標に使用量を決め、2週後の追加も許容した。VYC-17.5Lをほうれい線へ使用した研究で、ボリューマXCや目周りとの同時治療、部位別配分を検証しない。Allerganが資金提供し、著者に同社の講師、研究者、顧問、社員、元社員が含まれた。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  5. Murray G, Convery C, Walker L, Davies E. Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(5):E61-E69. PMID:34188752; PMCID:PMC8211329.

    Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion

    研究デザイン: Complications in Medical Aesthetics Collaborativeの創設理事4人が作成した、架橋ヒアルロン酸フィラーによる血流障害の認識・段階評価・初期対応に関する診療指針。 / 対象: 患者集団を登録して効果を比較した研究ではなく、血管閉塞を疑う臨床所見と対応を対象とする。 / 結果: 急に増す強い痛み、蒼白、暗紫色、網目状変化、毛細血管再充満時間の遅延を評価し、蒼白または網目状変化があれば対象領域へ直ちに治療するよう推奨した。 / 限界: 特定製品、目周り・ほうれい線への合計3cc、個別の治療結果を比較した試験ではなく、まれな合併症のため根拠の多くは理論、症例経験、専門家合意に基づく。著者全員はCMAC創設理事で、論文への資金提供はなく、内容に関する利益相反はないと申告した。NCBI PMC EFetch原著全文、PubMed書誌、Funding・Disclosuresを2026年8月9日に確認した。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計3cc使用しました。目周りとほうれい線を同時に見た症例ですが、3ccを部位ごとに固定配分する治療ではありません。

Q. 目尻側の凹みで、目の下のクマが目立つことはありますか?

目尻側から前頬へ続く凹みがあると、その境界の影が目の下全体を暗く見せることがあります。診察では色、眼窩脂肪の膨らみ、むくみと分け、照明を変えたときにも残る形の影を確認します。

Q. ほうれい線へ直接注入する前に、なぜ頬を見るのですか?

前頬の支持が低下し、頬の膨らみがほうれい線の近くへ寄ると、線との高低差が強く見えることがあります。中顔面の支えを先に見直し、その後も残る線だけを評価すると、口元へ量を集め過ぎにくくなります。

Q. ボリューマXC 3ccの料金はいくらですか?

現在は1本1cc 77,000円で、3本は231,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。

Q. ボリューマXCを目周りやほうれい線へ使うことは国内承認ですか?

ボリューマXCは、中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています。目周りやほうれい線への直接注入は承認範囲に含まれず、目周りについては電子添文でも血流の乏しい眼窩周囲へ注入しないよう警告されています。

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