医師解説

ポテンツァによる肝斑治療|診断・外用・遮光と組み合わせる考え方

ポテンツァによる肝斑治療は、頬を中心に左右へぼんやり広がる薄茶色の色調を見つけ、日光黒子・そばかす・ADMなどの混在を分けるところから始めます。遮光、摩擦を減らすケア、外用・内服を組み、3〜4週間隔・5回1クールを目安に色調と刺激反応を追います。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2023年4月25日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 薄茶色のぼんやりした分布から肝斑を見つけます
  2. 日光黒子・そばかす・ADMとの混在を分けます
  3. 遮光・摩擦対策・外用と内服を先に組みます
  4. ポテンツァは3〜4週間隔・5回1クールで経過を追います
  5. 1クール後は残った病変ごとに維持治療を分けます
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

薄茶色のぼんやりした分布から肝斑を見つけます

肝斑は頬を中心に左右へ似た分布で現れ、頬から顎や額まで広がることがあります。色は薄茶色で、点状のシミより輪郭がぼんやりして見えるのが基本的な特徴です。

紫外線、洗顔やメイク落としの摩擦、ホルモン変動、ストレスなどが重なると、季節や生活状況によって濃淡が変わることがあります。診察では正面・左右斜位を同じ照明で記録し、広がる範囲と濃さを追います。

日光黒子・そばかす・ADMとの混在を分けます

頬には、肝斑のぼんやりした色調と、輪郭が明瞭な日光黒子、細かなそばかす、青灰色調を含むADMが同時に見えることがあります。色、境界、左右差、深さを分けて記録し、それぞれに治療の役割を割り当てます。

点状のシミが薄くなると、その下に広がっていた肝斑が見えやすくなることもあります。最初の写真で面状の色調と点状の色素を別々に地図にしておくと、治療後にどの病変が残ったかを判断できます。

遮光・摩擦対策・外用と内服を先に組みます

肝斑治療の土台は、紫外線対策と、洗顔・メイク落としで摩擦を増やさないことです。そのうえで、シナールやトラネキサム酸の内服、ハイドロキノンやトレチノインの外用を、既往歴と肌の反応に合わせて組みます。

診察で肝斑が主と判断した範囲にはポテンツァを候補にし、輪郭が明瞭な一般的なシミには外用やレーザートーニングを配置します。色素の種類ごとに担当する治療を分けることで、同じ頬に複数の方法を順序立てて組み合わせます。

内服・外用の開始後は、色調だけでなく乾燥、刺激感、赤みも確認します。刺激が続く部位では外用の量や頻度を調整し、皮膚が落ち着いてから機器治療へ進みます。

肝斑へマイクロニードルRFを補助として組み込む理由として、5回後の色素・重症度スコアはRFとレーザートーニングの併用側で46.1%、レーザートーニング単独側で31.4%低下したとの報告がありました(参考文献1)。

ポテンツァは3〜4週間隔・5回1クールで経過を追います

当院の肝斑治療コースは、ポテンツァを3〜4週間に1回、5回で1クールとしています。2クール目以降は、左右の色調と刺激反応が安定していれば間隔を延ばし、戻り方に合わせて維持治療を組みます。

肝斑用の低刺激設定では、施術後の軽い赤みが数時間で落ち着くことがあります。設定や部位によっては赤み約3日、腫れ約2日、鱗屑3〜7日が目安になるため、回復日数を毎回記録して次の照射へ反映します。

各回では、面状の肝斑、点状のシミ、赤み、乾燥を同じ写真条件で比較します。色調だけを追わず、刺激が強く残った範囲を次回の照射から調整します。

1クール後は残った病変ごとに維持治療を分けます

5回後は、面状の色調がどこまで整ったか、輪郭の明瞭なシミがどこに残ったか、赤みや乾燥が増えていないかを見直します。肝斑の維持治療と、日光黒子・ADMなどに対する次の治療は別々に計画します。

色調が落ち着いた後も、紫外線対策、摩擦を減らす洗顔、肌に合う外用を続けます。季節や生活状況による色の戻りを同じ写真条件で確認し、照射間隔を決めます。

色調が落ち着いた後も維持治療の間隔を見直す理由として、標準治療2か月でmMASIが64.1%低下し、その後6か月RFを続けた側は明度の改善を維持した一方、RFを行わない側は治療前の明度へ戻ったとの報告がありました(参考文献2)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面・左右斜位を同じ照明で撮影し、左右へ広がる薄茶色の肝斑、輪郭が明瞭な日光黒子、細かなそばかす、青灰色調を含むADMを別々に記録します。
  • 洗顔・メイク落としの摩擦、紫外線、外用刺激、赤みと乾燥を確認し、遮光とスキンケアを整えてから内服・外用と機器治療の順序を決めます。
  • 肝斑が主な範囲へポテンツァを3〜4週間隔・5回1クールで配置し、各回の色調と回復日数を次の設定へ反映します。
  • 1クール後は肝斑の戻りと混在する色素病変を再び分け、維持治療の間隔と次に扱う病変を決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
遮光・摩擦対策・内服・外用 面状の肝斑を含む治療の土台。紫外線や摩擦、刺激反応を整える状態 トラネキサム酸の禁忌・血栓症リスク、外用で強い赤み・乾燥が出る状態 遮光と摩擦対策は毎日。内服・外用は期間を決めて色調と刺激を評価 外用の赤み・乾燥・刺激、内服薬ごとの副作用 製品・処方内容で異なる 薬剤ごとに国内承認の有無と使用目的が異なる
POTENZA 肝斑治療コース 左右へ広がる肝斑の色調を、遮光・外用等とともに追う状態 照射部位の感染、治癒していない創、強い皮膚炎、金属アレルギーの確認が必要な状態 3〜4週間隔、5回1クール。2クール目以降は反応に応じて延長 痛み、赤み、腫れ、点状出血、痂皮、鱗屑、色素変化 全顔5回165,000円 国内未承認医療機器
レーザートーニング・IPL 診断後、肝斑に混在する色調や対象病変へ照射目的を定める状態 診断未確定、炎症・日焼け直後、色素悪化やまだらな低色素斑の既往がある状態 病変と機器により複数回。色調と刺激反応を毎回比較 赤み、刺激、炎症後色素沈着、色素の濃淡変化 機器・範囲で異なる 機器と使用目的ごとに異なる

費用の目安

  • POTENZA 肝斑治療コース 全顔:5回165,000円
  • ポテンツァ時の麻酔:6,600円
  • CICAパック(オプション):4,400円

自由診療・税込です。内服・外用の費用は処方内容で異なります。

リスク・副作用・注意点

  • ニードルRFでは、痛み、熱感、赤み、腫れ、点状出血、針痕、痂皮、鱗屑、乾燥、炎症後色素沈着、熱傷、瘢痕が生じることがあります。
  • 肝斑の色調や赤みが一時的に濃くなることがあります。発赤、水疱、強い痛み、痂皮が続く場合は受診が必要です。
  • トラネキサム酸などの内服は血栓症の既往・リスク、併用薬を確認し、ハイドロキノン・トレチノイン外用では赤み、乾燥、刺激、かぶれが生じることがあります。
  • 金属アレルギー、照射部位の感染、治癒していない創、強い皮膚炎がある場合は施術できないことがあります。
  • 国内承認・適応: POTENZAは日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。当院ではJeisys Medical Inc.から医師の責任で個人輸入しています。当院施術ページに記載するFDA K201685等は海外の認証情報で、日本の承認を示すものではありません。国内に同一性能を有する承認医療機器はなく、未承認機器による健康被害は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

当院施術ページでは、針を用いる設定の回復目安として赤み約3日、腫れ約2日、鱗屑3〜7日を案内しています。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Jung JW, Kim WO, Jung HR, Kim SA, Ryoo YW. Ann Dermatol. 2019;31(2):133-138. doi:10.5021/ad.2019.31.2.133.

    A Face-Split Study to Evaluate the Effects of Microneedle Radiofrequency with Q-Switched Nd:YAG Laser for the Treatment of Melasma

    研究デザイン: 前向き顔面左右比較研究 / 対象: 臨床診断された肝斑のある韓国人15人(女性14人・男性1人、平均43.1歳)。右顔面へマイクロニードルRFと低出力1,064nm QスイッチNd:YAG、左顔面へ同レーザー単独を2週間隔で5回実施 / 結果: 5回後のPSIはRF併用側で46.1%、レーザー単独側で31.4%低下しました。Mexameterのメラニン値は併用側53.0%、単独側39.2%低下し、重大な副作用は報告されませんでした。 / 限界: 15人・単一民族で、評価は5回目から2週後までです。使用RF機器はSecretで、POTENZAを検証した研究ではありません。適切なRF強度・深度と長期再発は未確立です。Ilooda Inc.が研究資金を提供し、著者は利益相反なしと申告しています。原著全文を2026年8月9日に確認しました。

  2. Han HJ, Kim JC, Park YJ, Kang HY. Sci Rep. 2024;14:949. doi:10.1038/s41598-023-51133-w.

    Targeting the dermis for melasma maintenance treatment

    研究デザイン: 無作為化顔面左右比較の維持治療研究 / 対象: 肝斑のある韓国人女性15人。全員が2か月の経口トラネキサム酸と三剤配合外用を受け、無作為に選んだ顔半分へマイクロニードルRFを追加。11人が8か月を完遂 / 結果: 標準治療2か月でmMASI平均は5.02から1.80へ低下し、64.1%改善しました。標準治療終了後も月1回RFを6か月続けた側は明度の改善を維持し、RFを行わない側の明度は治療前へ戻りました。 / 限界: 小規模で女性・単一民族のみを対象とし、4人が維持期間中に脱落しています。全員が経口トラネキサム酸と三剤配合外用を先に受け、使用機器はSylfirm Xです。POTENZA固有の効果や単独RFを示す研究ではありません。VIOL Inc.が研究資金を提供し、著者は利益相反なしと申告しています。原著全文を2026年8月9日に確認しました。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査

    機器の国内承認を確認する正式な入口。

  4. J Dermatolog Treat. 2022

    Melasma treatment: a systematic review

    単独治療で完結しにくく併用が中心であることを確認。

  5. Lasers Med Sci. 2021

    Microneedling as an adjuvant to topical therapies for melasma

    マイクロニードリング併用の系統的評価。

よくあるご質問

Q. 肝斑と一般的なシミはどう見分けますか?

肝斑は頬を中心に左右へ似た分布で広がる薄茶色の色調が基本です。輪郭が明瞭な日光黒子、細かなそばかす、青灰色調を含むADMを、色・境界・左右差・深さから分けます。

Q. ポテンツァは何回、どのくらいの間隔で受けますか?

当院の肝斑治療コースは3〜4週間に1回、5回を1クールとしています。2クール目以降は、色調と刺激反応の戻り方を見て間隔を延ばすことがあります。

Q. ポテンツァ後の赤みはどのくらい続きますか?

肝斑用の低刺激設定では軽い赤みが数時間で落ち着くことがあります。設定・部位により赤み約3日、腫れ約2日、鱗屑3〜7日が目安になるため、実際の回復を確認して次回を調整します。

Q. トラネキサム酸やハイドロキノンも一緒に使いますか?

色調と既往歴に応じて、トラネキサム酸などの内服、ハイドロキノンやトレチノインの外用を組みます。内服は血栓症などの既往・併用薬、外用は赤み・乾燥・刺激反応を確認して使います。

Q. 金属アレルギーがあっても受けられますか?国内承認されていますか?

金属アレルギーがある場合は、使用する針の材質と既往の反応を確認して施術可否を判断します。POTENZAは国内未承認医療機器で、医師の責任で個人輸入して使用しており、未承認機器による健康被害は公的救済制度の対象外となる場合があります。

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