二重切開直後の経過で見ていること
他院の埋没法で作った二重ラインが3回外れ、残った埋没糸を抜去しながら分厚い瞼板前組織を処理して二重切開を行った症例です。術直後は完成幅ではなく、開眼・閉瞼、切開線、腫れ、出血、左右差を確認します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年8月5日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
開眼写真では、術前の二重線と術直後の開き方を比べます
上段が術前、下段が手術直後の開眼正面です。術前は他院の埋没法で作った二重ラインが3回とも外れた状態で、左右の線の高さと見え方が揃っていません。
術直後は切開線に沿う腫れと赤みがあり、二重幅が広く、左右差も強く見える時点です。黒目の見え方、眉の位置、まぶたを上げたときの動き、切開線の出血を確認し、腫れによる差と開瞼機能の差を分けます。
閉瞼では、切開線・縫合部と内部処理による腫れを見ます
閉瞼の術前・術直後では、切開線に縫合部、赤み、少量の血液付着があり、左右で腫れの出方が異なります。目を閉じたときに創縁が合っているか、出血が増えていないか、閉じにくさがないかを確認します。
本症例では残っていた埋没糸を抜去し、埋没ラインが外れる一因と考えた分厚い瞼板前組織を処理しました。切開操作だけでなく、糸の抜去と内部処理が加わるため、術直後の腫れをこの症例の処置内容と合わせて見ます。
閉じにくさや乾燥感も確認する理由として、上眼瞼手術後は1か月と6か月でドライアイ症状と角結膜染色が増え、涙液層破壊時間が短くなったとの報告がありました(参考文献2)。
埋没ラインが3回外れた経過から、切開法で組織を直接整えました
埋没法を繰り返してもラインが外れる場合は、残った糸、瞼板前組織の厚み、既存の二重線、左右差を診察します。本症例では埋没糸を抜去し、厚い瞼板前組織を処理して切開法の二重線を作りました。
切開法は、埋没糸だけで固定する方法より二重ラインを長期に保ちやすく、ラインの上に厚みが重なる状態も直接調整できます。一方で、腫れや赤みが落ち着くまで2週間〜1ヶ月程度を見込み、いったん広く作った二重幅を狭くする修正は難しくなるため、術前設計が重要です。
切開後に二重線と腫れを長く追う理由として、小切開による二重形成では初週の腫れは自然軽快し、満足度は92%、左右差は4.6%、多重線は1.6%、線の移動は1.9%、3か月を超える腫れは3.2%との報告がありました(参考文献1)。
通常の腫れ・左右差と、血腫・感染・視機能の緊急所見を分けます
術直後に見られる腫れ、赤み、少量の出血、縫合部の左右差は、切開と内部処理に伴う初期変化として経過を追います。出血の増加、片側だけ急速に強くなる腫れ、熱感を伴う赤み、膿性の分泌、発熱は、血腫や感染を疑って早めに診察します。
急に強くなる眼窩の痛み、眼球突出、見えにくさ、視野の異常、複視は、通常のダウンタイムとして待たず直ちに評価します。閉瞼不全、強い乾燥感、角膜の痛みも、二重幅だけでなく眼表面を確認する症状です。
急な眼窩痛と視機能変化を緊急対応へ分ける理由として、眼窩内出血は約0.055%、永久的な視力喪失を伴うものは約0.0045%で、多くは術後3時間以内でしたが数日後にも起こり得るとの報告がありました(参考文献3)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 術前は、残った埋没糸と二重線、瞼板前組織の厚み、皮膚余剰、挙筋機能、眉による代償、左右差を分けて記録します。
- 術直後の開眼では黒目の見え方、眉位置、二重線、左右差を見て、閉瞼では切開線、縫合部、出血、閉じにくさを確認します。
- 本症例は埋没糸抜去と瞼板前組織の処理を伴うため、初期の腫れを完成幅として判断せず、同じ正面・開閉眼で変化を追います。
- 急速な片側腫脹、強い眼窩痛、眼球突出、視力・視野変化、複視、止まりにくい出血、感染を疑う所見は、予定の再診を待たずに診察します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 埋没糸抜去と瞼板前組織処理を伴う二重切開 | 埋没ラインが3回外れ、残った糸と瞼板前組織の厚みを直接処理する必要がある状態 | 切開のダウンタイムを取れない、希望幅が定まらない、感染・出血リスクを安全に管理できない状態 | 通常1回。本症例は術直後から5日後・1か月後へ経過を追跡 | 腫れ、赤み、内出血、出血、傷あと、左右差。目安2週間〜1ヶ月程度 | 切開法(両目)275,000円(税込) | 美容目的の自由診療手術 |
| 術直後の開眼・閉瞼・創部評価 | 二重幅に腫れが重なり、切開線・縫合部・左右差・閉じ方を確認する時期 | 急速な片側腫脹、強い眼窩痛、止まりにくい出血、眼球突出、視機能変化、感染所見がある状態 | 手術直後。経過に応じて再診 | 腫れ、赤み、少量出血、左右差、閉じにくさ、乾燥感など | 術後診察・処置は手術契約と実施内容による | 経過観察と創部管理自体は医薬品・医療機器の承認対象ではない |
| 血腫・感染・視機能異常の緊急評価 | 急な眼窩痛、急速な片側腫脹、眼球突出、視力・視野変化、複視、止まりにくい出血、感染所見 | 通常の経過観察だけで待つこと | 症状が出た時点で直ちに評価 | 原因と必要な処置により異なる | 診療区分と緊急処置内容により異なる | 診断・処置に用いる薬剤・機器ごとに承認範囲を確認 |
費用の目安
- 切開法(両目):275,000円(税込・自由診療)
- 術後診察・追加処置:手術契約と実施内容により異なる
2026年8月9日に現行総合料金表を確認しました。美容目的の二重切開は自由診療です。
リスク・副作用・注意点
- 痛み、赤み、腫れ、内出血、出血、血腫、感染、創離開、傷あと、左右差、二重線の移動・消失・多重線、希望幅との差
- まぶたの開閉しにくさ、閉瞼不全、ドライアイ、異物感、角膜障害など
- まれに眼窩内出血、眼球突出、複視、視力・視野障害など、緊急処置を要する合併症
- 国内承認・適応: 二重切開は手術手技です。美容目的は自由診療です。手術で使用する麻酔薬、止血薬、縫合材料、医療機器は、販売名と承認された使用目的を個別に確認して説明します。
急に強くなる眼窩痛、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野変化、複視、止まりにくい出血、熱感を伴う赤み、膿性分泌、発熱がある場合は直ちにご連絡ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
A Modified Mini-incisional Technique for Double-eyelid Blepharoplasty
研究デザイン: 単施設で4か所小切開法を行った対照群のない症例集積。前向き・後ろ向きの記載は抄録で明確でない。 / 対象: 16〜34歳の372人を3〜12か月、平均9か月追跡。明らかな皮膚余剰がある人は適応外とされた。 / 結果: 342人(92%)が満足。左右差17人(4.6%)、多重線6人(1.6%)、線移動7人(1.9%)、3か月を超える腫れ12人(3.2%)だった。初週の腫れは自然軽快し、刺入部の傷あとは1年で目立たなくなった。 / 限界: 小切開法の結果で、全切開法、埋没糸抜去、瞼板前組織の処理、皮膚切除、眼窩脂肪・ROOF処理、眼瞼下垂手術の回復や合併症率を示さない。対照群と標準化患者報告尺度がなく、本症例の回復時期を予測できない。2026年8月9日にNCBI PubMed抄録と書誌を再確認し、全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、全文を取得できなかったため不明。
-
Effect of upper eyelid blepharoplasty on the ocular surface, tear film, and corneal microstructure
研究デザイン: 皮膚と眼輪筋の一部を切除する上眼瞼形成前後を比較した単施設前向き研究。 / 対象: 22人22眼を術前、術後1か月、6か月で評価。21人が女性、平均61歳。 / 結果: 術後1か月と6か月でドライアイ症状スコアと角膜フルオレセイン・リサミングリーン染色が増え、涙液層破壊時間が短縮した。シルマー試験と角膜共焦点顕微鏡所見には有意な変化がなかった。 / 限界: 22眼・単一術者で対照群がなく、皮膚・眼輪筋切除を伴う上眼瞼形成の結果で、本症例の二重切開、埋没糸抜去、瞼板前組織処理や術直後の合併症率を示さない。 / 利益相反: 外部資金なし。著者らは開示すべき利益相反なしと申告。
-
Incidence of Postblepharoplasty Orbital Hemorrhage and Associated Visual Loss
研究デザイン: 米国眼形成再建外科学会会員への質問票による回顧的調査。出血の発症時期、治療、視力喪失を集計した。 / 対象: 237人の回答医師が経験した眼瞼美容手術269,433件。眼窩内出血149件、一時的視力喪失48件、永久的視力喪失12件。 / 結果: 眼窩内出血は約0.055%、永久的視力喪失を伴う出血は訂正後約0.0045%。多くは術後0〜3時間に起き、24時間後にリスクは低下したが数日後にも発症した。 / 限界: 医師の記憶に基づく質問票で想起バイアスがある。上・下眼瞼、術式、併用手技が混在し、二重切開法だけの発生率ではない。2026年8月9日にNCBI PubMed抄録、訂正文、書誌を再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、全文を取得できなかったため不明。
-
医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例で二重切開を選んだ理由は何ですか?
他院の埋没法で作った二重ラインが3回とも外れ、残った埋没糸と分厚い瞼板前組織を直接処理する必要があったためです。
Q. 術直後に二重幅が広く、左右差があるのはなぜですか?
切開に加えて埋没糸抜去と瞼板前組織の処理を行ったため、切開線周囲の腫れが二重幅と左右差に重なっています。術直後は完成幅ではなく、開眼・閉瞼、出血、腫れを確認する時期です。
Q. 二重切開のダウンタイムはどのくらいですか?
この症例説明では、腫れや赤みが落ち着くまで2週間〜1ヶ月程度を目安としています。同じ症例の5日後、1か月後の写真で、二重線と腫れの変化を段階的に確認します。
Q. 術後すぐに連絡した方がよい症状はありますか?
止まりにくい出血、片側だけ急速に増える腫れ、強い眼窩痛、眼球突出、視力・視野の変化、複視、熱感を伴う赤み、膿性の分泌、発熱がある場合は、予定の再診を待たずにご連絡ください。
Q. 二重切開の現在の料金はいくらですか?
総合料金表では、切開法は両目275,000円(税込・自由診療)です。本症例の埋没糸抜去や内部処理に追加料金が生じたかは、料金表示に含めていません。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。