症例紹介ボトックス

額・目尻・口角・ガミースマイル・あごへボトックスを行った症例

額・目尻・口角・ガミースマイル・あごの5部位へボトックスを行った症例です。術前・術後の正面写真では、肌が全体に滑らかに見え、口周りが動かしやすくなり、顎の梅干しじわともたつきが軽減した経過を確認できます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年7月21日
実質更新日
2026年8月9日
額・目尻・口角・ガミースマイル・あごへボトックスを行い口周りと顎の変化を確認する正面の術前術後比較

Contents

目次

  1. 術前・術後の正面で、5部位の変化を一緒に確認します
  2. 口周りが動かしやすくなり、顎の梅干しじわともたつきが軽減しました
  3. 製剤の単位・承認範囲・安全性を部位ごとに分けます
  4. 診療で確認するポイント
  5. 治療選択の比較
  6. 費用の目安
  7. リスク・副作用・注意点
  8. 関連記事
  9. 関連施術・関連症状のご案内
  10. 執筆・監修
  11. 参考にした一次情報・ガイドライン
  12. よくあるご質問

術前・術後の正面で、5部位の変化を一緒に確認します

額、目尻、口角、ガミースマイル、あごへボトックスを行い、術前と術後を正面で並べた症例です。術後は顔全体の肌が滑らかに見え、特に口周りを動かしやすくなった経過が示されています。

額では眉を上げたときに前頭筋が作る横じわ、目尻では最大笑顔で眼輪筋外側に出る放射状じわを見ます。上顔面の2部位を同時に扱うときは、しわを弱めるだけでなく、眉とまぶたの動きを保てているかを一緒に確認します。

口角では口角を下へ引く動き、ガミースマイルでは笑顔時の上唇挙上と歯肉露出、あごではオトガイ筋を収縮させたときの梅干しじわを分けます。5部位を同じ量で扱わず、それぞれの筋肉で残したい表情と口の機能を決めます。

額と目尻を同じ正面で確認する理由として、最大収縮時にしわが『なし・軽度』となった割合は、額で70.9%対2.1%、目尻で64.1%対2.1%だったとの報告がありました(参考文献1)。

口周りが動かしやすくなり、顎の梅干しじわともたつきが軽減しました

この症例で特に変化が分かりやすいのは口周りです。術後は口周りが動かしやすくなり、顎の梅干しじわがかなり軽減し、顎先のもたつき感も少なく見えます。

口角は下制筋が口角を引く力、ガミースマイルは上唇を持ち上げる筋群の力を対象にします。会話、自然な笑顔、口をすぼめる動作を比べ、口角の左右差、上唇の長さ、歯肉の見える範囲を別々に調整します。

あごの梅干しじわは、オトガイ筋の収縮で皮膚が中央へ寄る所見です。口角・ガミースマイルの治療後も下唇を閉じる機能を保ち、顎に力を入れたときの凹凸と安静時のもたつきを同じ正面で確認します。

口角の動きを治療前後で確認する理由として、口角下制筋へA型ボツリヌストキシンを用いた経過では、1か月後に口角下垂度が改善し、効果が6〜9か月保たれたとの報告がありました(参考文献2)。

ガミースマイルを最大笑顔で追う理由として、前方・左右の歯肉露出は4週、12週、24週で減少し、48週には治療前の値へ戻ったとの報告がありました(参考文献3)。

顎の梅干しじわを安静時と最大収縮時の両方で確認する理由として、オトガイ筋側へのボトックスは反対側の生理食塩水よりしわの改善を医師・本人とも識別でき、その差は両方の表情条件で有意だったとの報告がありました(参考文献4)。

製剤の単位・承認範囲・安全性を部位ごとに分けます

ボツリヌストキシン製剤の単位は製品固有で、異なる製剤の単位をそのまま換算できません。多部位治療では、販売名と各部位の単位を一組で記録し、額、目尻、口角、ガミースマイル、あごの筋力へ個別に配分します。

現在の当院の選択肢であるボトックスビスタは、65歳未満の成人における眉間・目尻の表情じわが国内承認範囲です。この症例の5部位では目尻が承認部位に含まれ、額・口角・ガミースマイル・あごは適応外使用です。コアトックスを選ぶ場合は国内未承認医薬品です。

上顔面では眉・まぶたの重さ、目尻の笑い方、下顔面では笑顔の左右差、発音、飲水、下唇の閉じにくさを確認します。強い全身の筋力低下、飲み込みにくさ、息苦しさが生じた場合は直ちに医療機関へ連絡してください。

ボトックスビスタの国内承認は65歳未満の成人における眉間・目尻の表情じわで、製品の力価単位は他のボツリヌストキシン製剤へ換算できません(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 最初に安静時の正面を撮影し、眉を上げる、最大笑顔を作る、口角を下げる、唇をすぼめる、あごに力を入れる動作を順に確認します。
  • 額は眉とまぶたを持ち上げる代償を残し、目尻は眼輪筋外側のしわを弱めても自然な笑顔が保てる範囲を決めます。
  • 口角・ガミースマイル・あごは隣接する筋肉へ作用が広がると口の動きが変わるため、口角下制、上唇挙上、オトガイ筋収縮を一つずつ評価します。
  • 施術後は約2週間で同じ動作を再現し、顎の梅干しじわ、口角と歯肉露出、眉・まぶた、笑顔の左右差を見て次回の部位別設計へつなげます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
額・目尻のボトックス 眉を上げたときの額横じわ、最大笑顔で強くなる目尻の放射状じわ 額で眉挙上がまぶたを開ける代償になっている状態、眼瞼・眉の下垂が強い状態 1回後、約2週間で眉・まぶた・最大笑顔を再評価 注射痛、赤み、腫れ、内出血、頭痛、眉・まぶたの重さ、笑顔の左右差など 2部位55,000円(税込) ボトックスビスタは目尻が国内承認。額は適応外。コアトックスは国内未承認
口角・ガミースマイルのボトックス 口角を下へ引く筋力が強い、最大笑顔で上唇挙上による歯肉露出が強い状態 口唇閉鎖、発音、飲水に支障がある状態、歯・歯肉・骨格の要因が主なガミースマイル 1回後、約2週間で自然な笑顔・口角・歯肉露出を再評価 注射痛、赤み、腫れ、内出血、口角・上唇の左右差、発音・飲水の違和感など 2部位55,000円(税込) ボトックスビスタでは両部位とも適応外。コアトックスは国内未承認
あごのボトックス オトガイ筋へ力を入れたときに梅干しじわが強く、顎先が上へまとまって見える状態 骨格後退やボリューム不足が主、下唇閉鎖の筋力低下がある状態 1回後、約2週間で安静時・最大収縮時を再評価 注射痛、赤み、腫れ、内出血、下唇の動かしにくさ、口元の左右差など 1部位33,000円(税込) ボトックスビスタでは適応外。コアトックスは国内未承認

費用の目安

  • ボトックスビスタ・コアトックス共通:1部位33,000円、2部位55,000円、3部位75,000円、4部位88,000円(税込)
  • 本症例は額・目尻・口角・ガミースマイル・あごの5部位。現行料金表に5部位一括の定額設定はありません

すべて自由診療です。現行料金表は4部位88,000円までで、5部位一括の定額を設定していません。4部位料金から5部位総額を推測して表示しません。

リスク・副作用・注意点

  • 注射痛、赤み、腫れ、内出血、頭痛、左右差、効き方の過不足など
  • 額では眉・まぶたの重さ、目尻では笑い方や下眼瞼の動きの変化など
  • 口角・ガミースマイル・あごでは口元の左右差、発音・飲水・口唇閉鎖の違和感など
  • まれに作用が遠隔筋へ及び、全身の筋力低下、嚥下障害、呼吸障害など
  • 国内承認・適応: ボトックスビスタは国内承認医薬品(承認番号22100AMX00398000)で、65歳未満の成人における眉間・目尻の表情じわが承認範囲です。本症例の5部位では目尻が承認部位に含まれ、額・口角・ガミースマイル・あごは適応外使用です。コアトックスは国内未承認医薬品です。適応外・未承認使用では、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

強い全身の筋力低下、飲み込みにくさ、息苦しさがある場合は直ちに医療機関へ連絡してください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Kerscher M, Rzany B, Prager W, Turnbull C, Trevidic P, Inglefield C. Efficacy and Safety of IncobotulinumtoxinA in the Treatment of Upper Facial Lines: Results From a Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase III Study. Dermatol Surg. 2015;41(10):1149-1157. doi:10.1097/DSS.0000000000000450. PMID:26359996.

    Efficacy and Safety of IncobotulinumtoxinA in the Treatment of Upper Facial Lines: Results From a Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase III Study

    研究デザイン: 眉間・額・目尻を対象にした第3相・無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験。最大収縮時のMerz Aesthetics Scaleを30日後に評価し、有害事象を120±7日まで追跡した。 / 対象: 中等度から重度の眉間・額・目尻の表情じわがある成人156人。incobotulinumtoxinA群105人、プラセボ群51人。 / 結果: 30日後に最大収縮時の評価が『なし・軽度』となった割合は、額70.9%対2.1%、目尻64.1%対2.1%、3部位合計55.3%対0%だった。軽度の眼瞼下垂を2件認めた。 / 限界: incobotulinumtoxinAを固定範囲で使用した研究で、本症例の製剤、単位、額・目尻以外の3部位を直接評価しない。製剤単位をボトックスビスタやコアトックスへ換算できない。PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載はなく、原著全文にはアクセスできなかった。PubMed書誌・抄録を2026年8月9日に確認した。

  2. Qian W, Zhang YK, Lv W, Hou Y, Cao Q, Fan JF. Application of Local Injection of Botulinum Toxin A in Cosmetic Patients with Congenital Drooping Mouth Corner. Aesthetic Plast Surg. 2016;40(6):926-930. doi:10.1007/s00266-016-0711-0. PMID:27734116.

    Application of Local Injection of Botulinum Toxin A in Cosmetic Patients with Congenital Drooping Mouth Corner

    研究デザイン: 先天的な口角下垂へA型ボツリヌストキシンを用い、治療前と1か月後の下垂度、持続、有害事象を観察した症例系列。対照群はない。 / 対象: 美容目的で受診した口角下垂36人。口角下制筋の動く範囲へ片側1〜3点を使用した。 / 結果: 1か月後の口角下垂度は治療前より有意に改善し、効果は6〜9か月保たれた。対象集団では開閉口障害、笑顔の左右差、流涎、構音障害を報告しなかった。 / 限界: 先天的口角下垂を対象とする小規模・非対照研究で、本症例の製剤、単位、5部位同時治療、口周りの動かしやすさを直接評価しない。PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載はなく、原著全文にはアクセスできなかった。PubMed書誌・抄録を2026年8月9日に確認した。

  3. Gong X, Tang HN, Zhang AR, et al. Application of Botulinum Toxin at the Yonsei Point for the Treatment of Gummy Smile: A Randomized Controlled Trial. Plast Reconstr Surg. 2024;153(4):711e-721e. doi:10.1097/PRS.0000000000010623. PMID:37166037.

    Application of Botulinum Toxin at the Yonsei Point for the Treatment of Gummy Smile: A Randomized Controlled Trial

    研究デザイン: 単施設・二重盲検・1対1無作為化試験。Yonsei pointと上唇鼻翼挙筋部位の2法を比較し、4、12、24、48週にデジタルノギスで歯肉露出を測定した。 / 対象: 最大笑顔で前方の歯肉露出が3mm以上ある健康な参加者49人。両群ともA型ボツリヌストキシン合計6単位を使用した。 / 結果: 両群で前方・左右後方の歯肉露出が4、12、24週に減少し、48週には治療前の値へ戻った。2法間に有意差はなかった。 / 限界: 単施設研究で、本症例の製剤・単位、口角・あご・上顔面との5部位同時治療を評価しない。研究用製剤の単位を他製剤へ換算できない。PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載はなく、原著全文にはアクセスできなかった。PubMed書誌・抄録を2026年8月9日に確認した。

  4. Beer K, Yohn M, Closter J. A double-blinded, placebo-controlled study of Botox for the treatment of subjects with chin rhytids. J Drugs Dermatol. 2005;4(4):417-422. PMID:16004014.

    A double-blinded, placebo-controlled study of Botox for the treatment of subjects with chin rhytids

    研究デザイン: 顎の片側へBotox、反対側へ生理食塩水を用いた二重盲検・左右比較・プラセボ対照試験。写真と医師・本人の客観評価を用いた。 / 対象: 動作性のオトガイ筋しわがある20人。片側ずつ異なる処置を受けた。 / 結果: ボトックス側と生理食塩水側の違いを医師・本人とも識別でき、安静時と最大収縮時の各時点で差は統計学的に有意だった。満足は11人、不満足7人、判断不能1人、強い不満1人で、1人は追跡不能だった。 / 限界: 片側処置が左右非対称を作る研究設計で満足度へ影響した可能性がある。製剤量、評価時点の数値、本症例の5部位同時治療をPubMed抄録から確認できず、現在のボトックスビスタの単位へ直接適用できない。PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載はなく、原著全文にはアクセスできなかった。PubMed書誌・抄録を2026年8月9日に確認した。

  5. アッヴィ合同会社. ボトックスビスタ注用50単位 電子添文. PMDA医療用医薬品情報. 承認番号22100AMX00398000.

    ボトックスビスタ注用50単位 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医薬品電子添文。効能・効果、用法・用量、禁忌、警告、重要な基本的注意、有害事象を収載する公的資料。 / 対象: 65歳未満の成人における眉間または目尻の表情じわ。眉間は合計10〜20単位、目尻は合計12〜24単位を承認用量とする。 / 結果: 国内承認部位は眉間・目尻で、製品の単位は本剤固有で他のボツリヌストキシン製剤へ換算できない。作用が遠隔筋へ及ぶことで、嚥下障害・呼吸障害などが生じる可能性を警告する。 / 限界: 電子添文はボトックスビスタの承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の使用製剤、部位別単位、注入点、治療順、画像変化を検証する研究ではない。PMDA公式電子添文を2026年8月9日に確認した。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの部位にボトックスを行いましたか?

額、目尻、口角、ガミースマイル、あごの5部位です。術後は肌が全体に滑らかに見え、口周りが動かしやすくなり、顎の梅干しじわともたつき感が軽減しました。

Q. 5部位へ同じ量を注射しますか?

同じ量にはしません。額の前頭筋、目尻の眼輪筋、口角下制筋、上唇挙筋群、オトガイ筋では筋力と残したい機能が異なります。使用製剤と各部位の単位を一組で記録し、製剤間で単位を換算しません。

Q. 効果はいつ評価しますか?

一般に数日後から変化が現れ、約2週間で部位ごとの効き方がそろいます。安静時だけでなく、眉を上げる、笑う、口をすぼめる、あごに力を入れる動作で左右差を確認します。

Q. ボトックス5部位の料金はいくらですか?

現行料金は1部位33,000円、2部位55,000円、3部位75,000円、4部位88,000円です。5部位一括の定額は現行料金表に設定していないため、この症例と同じ5部位の総額は4部位料金だけでは算出しません。

Q. 5部位はすべて国内承認の使い方ですか?

ボトックスビスタの国内承認は65歳未満の成人の眉間・目尻の表情じわです。この症例では目尻が承認部位に含まれ、額・口角・ガミースマイル・あごは適応外です。コアトックスを選ぶ場合は国内未承認です。

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