ボトックスは量と位置の調整が大切です
ボトックスは、同じ部位でも量・位置・希釈・深度で動きの残り方が変わります。特に額と眉間は、しわだけでなく眉を上げて目を開ける動作、筋力と左右差、まぶたの位置を先に確認。必要な筋へ必要な量を置き、自然な表情を残す設計と約2週間後の再評価を大切にします。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年6月8日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
自然に仕上げる4つの確認を治療順に行います
自然な表情を残すために、表情の動きを確認する、必要な部位を見極める、必要な量で調整する、自然な表情を残す、という4つを順番に行います。部位名だけを見て同じ点へ同じ量を注射するのではなく、動かしたときに働く筋と左右差から治療範囲を決めます。
最初に安静時の眉とまぶたの位置を見て、眉を上げる、しかめる、目を軽く閉じる動きを左右から確認します。次に、しわを作る筋だけでなく、目を開けるために残したい額の動きも印づけ、効かせる場所と残す場所を分けます。
治療後に確認する主な症状は、内出血、腫れ・赤み、痛み、左右差、表情の違和感、眉やまぶたの重さです。仕上がりの確認と副作用の確認を同じ動作で行うと、筋力差と注射後の変化を比べやすくなります。
額では眉を上げて目を開ける動きを残します
額の前頭筋は眉を上げる筋肉です。まぶたが重い方や、普段から額を使って目を開けている方では、横じわだけを目印に広く効かせると、眉やまぶたの重さを感じやすくなります。
診察では、力を抜いて正面を見る、眉を最大まで上げる、軽く目を閉じてから開ける、という動作を行います。安静時の眉高、上まぶたのかぶさり、左右の前頭筋の強さを比べ、眉を上げる機能を残す範囲と横じわを弱める範囲を決めます。
額の量を少なくするだけでは、注射位置や深度が隣接筋に合っていない場合の重さを避けられません。中央と外側、左右で筋の動く範囲を分け、治療点ごとに必要な効き方を決めます。
眉間ではしかめる方向と額との釣り合いを見ます
眉間では、眉を内下方へ寄せる動きと鼻根部のしわを正面から確認します。左右で寄せる強さが違う場合は、同じ点数・同じ量へ固定せず、眉頭の高さとしわが始まる位置を左右別に記録します。
前頭筋が眉を上げ、眉間の筋群が眉を内下方へ引くため、額と眉間は反対方向の働きをします。眉間だけを治療するときも額の代償動作を見て、眉頭が上がりすぎる、外側だけが強く残るといった変化を避ける設計にします。
眉間では、しかめたときの動きを記録して治療点を決める理由として、治療後30日に医師・本人の双方が2段階以上改善と評価した割合は67.5%対1.2%、70.4%対1.3%だったとの報告がありました(参考文献1)。
量・希釈・位置・深度を分けて記録します
ボトックスの量は製剤固有の単位で記録します。希釈は1mLあたりの濃度、注入量は各点へ置く液量、位置と深度はどの筋へどの広がりで届けるかに関わるため、同じ『少量』でも意味は同じではありません。
当院では、使用製剤、総単位、希釈、各点の液量、位置、深度を別々に記録します。左右差があるときは、単位だけを変えるのか、位置をずらすのか、効かせる深度を変えるのかを分け、残したい動作を損なわない組み合わせを選びます。
ボトックスビスタの国内承認は65歳未満の成人の眉間・目尻の表情じわで、額への使用は承認範囲外です。また、ボトックスビスタの単位を他のボツリヌス毒素製剤の単位へ換算することはできません(参考文献3)。
約2週間後に左右差と残した動きを再評価します
注射後は数日かけて変化が現れるため、約2週間後に安静時と同じ表情動作を繰り返します。額では眉を上げる機能と横じわ、眉間ではしかめたときの残り方、共通して眉・まぶたの重さと左右差を確認します。
効き方が弱い部位があっても、残すべき機能と左右の眉位置が保たれているかを先に見ます。当院では、診察で効き方の不足を確認した場合に必要な部位へ無料で追加調整し、強く効かせることより自然な表情を優先します。
眉・まぶたの重さだけでなく頭痛や眼症状も確認項目に含める理由として、上顔面へのボツリヌストキシン治療で少なくとも一つの治療関連有害事象を経験した割合は18%で、主な報告は頭痛、疼痛、こわばり、眼症状だったとの報告がありました(参考文献2)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 安静時の眉高とまぶたの位置を撮影し、眉を上げる、しかめる、軽く閉眼してから開く動作で額・眉間の筋力と左右差を記録します。
- しわを弱める筋と、眉を上げて目を開けるために残す前頭筋の範囲を分け、左右を同じ点・同じ量へ固定しません。
- 使用製剤、総単位、希釈、各点の液量、位置、深度を別々に記録し、製剤を変更するときは単位を換算しません。
- 約2週間後に同じ表情動作で、しわの残り方、眉・まぶたの重さ、左右差を再評価し、必要な部位だけを追加調整します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 額のボトックス | 眉を上げたときに目立つ額の横じわが主で、眉・まぶたを上げる機能を残せる状態 | 額を使って目を開ける代償が強い、眉・まぶたの下がりが強く、額の筋力低下で重さが増す状態 | 通常1回。約2週間後に眉を上げる動きと左右差を再評価 | 内出血、腫れ・赤み、痛み、左右差、表情の違和感、眉・まぶたの重さ | 表情じわ1部位 33,000円 | ボトックスビスタを使用する場合、額は国内承認適応外。コアトックスは国内未承認 |
| 眉間のボトックス | しかめたときに眉頭が内下方へ動き、眉間線が目立つ状態 | 安静時の溝だけが主、強い眉・まぶたの下がり、神経筋疾患、注射部位の感染がある状態 | 通常1回。約2週間後にしかめる動きと眉高を再評価 | 内出血、腫れ・赤み、痛み、左右差、眉・まぶたの下がり、表情の違和感 | 表情じわ1部位 33,000円 | ボトックスビスタは65歳未満の成人の眉間表情じわに国内承認。コアトックスは国内未承認 |
| 額+眉間のボトックス | 眉を上げる動きとしかめる動きの両方が強く、反対方向の筋力を同時に調整する必要がある状態 | 額の開瞼代償が強く、同時に広く弱めると眉・まぶたの重さが増す状態 | 通常1回。約2週間後に額と眉間を同じ動作で再評価 | 内出血、腫れ・赤み、痛み、左右差、表情の違和感、眉・まぶたの重さ | 表情じわ2部位 55,000円 | ボトックスビスタでは眉間は国内承認、額は適応外。コアトックスは国内未承認 |
費用の目安
- 表情じわボトックス 1部位:33,000円
- 表情じわボトックス 2部位:55,000円
- 表情じわボトックス 3部位:75,000円
- 表情じわボトックス 4部位:88,000円
すべて税込・自由診療です。当院の現行料金表ではボトックスビスタとコアトックスは共通料金です。約2週間後、診察で効き方の不足を確認した場合は、必要な部位へ無料で追加調整します。
リスク・副作用・注意点
- 注射部位の内出血、腫れ・赤み、痛み、圧痛など
- 左右差、表情の違和感、眉やまぶたの重さ・下がり、眉位置の変化、複視など
- まれに嚥下障害、発声障害、呼吸障害、全身性筋力低下、過敏症など
- 国内承認・適応: ボトックスビスタは国内承認医薬品で、承認適応は65歳未満の成人における眉間・目尻の表情じわです(承認番号22100AMX00398000)。額などへの美容使用は適応外です。コアトックスは国内未承認医薬品で、医師の責任で適法な輸入手続きを経て使用し、国内の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。製剤間で単位を換算することはできません。
強い眉・まぶたの下がり、複視、飲み込み・発声・呼吸の異常、全身の強い筋力低下、急速なアレルギー症状は直ちに確認が必要です。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Efficacy and Safety of PrabotulinumtoxinA for the Treatment of Glabellar Lines in Adult Subjects: Results From 2 Identical Phase III Studies
研究デザイン: 同一設計の多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第III相試験2本。単回治療後150日まで追跡 / 対象: 最大収縮時に中等度〜重度の眉間線がある成人330人と324人。各試験でprabotulinumtoxinAとプラセボへ3対1に割付 / 結果: 30日後に医師・本人の双方が2段階以上改善と評価した割合は67.5%対1.2%、70.4%対1.3%だった。 / 限界: prabotulinumtoxinA 20単位を眉間5点へ注射した固定手技で、額の個別調整、希釈・深度、他製剤との単位換算、約2週間後の追加調整を検証していない。著しい左右差や眼瞼下垂歴などは除外。Evolusが資金・医薬品等を提供し、設計、データ収集・解析・報告に関与。複数著者に同社の雇用・株式・報酬等の利益相反がある。PMC全文を2026年8月9日に再確認した。
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Adverse Events in Nonsurgical Facial Aesthetic Procedures: A Systematic Review and Meta-Analysis
研究デザイン: 非外科的顔面美容治療42研究のシステマティックレビューとメタ解析 / 対象: 計8,853人。上顔面ボツリヌストキシンは14研究6,254人 / 結果: 上顔面ボツリヌストキシンで少なくとも一つの治療関連有害事象を経験した割合は18%で、主な報告は頭痛、疼痛、こわばり、眼症状だった。 / 限界: 研究間異質性はI2=96.9%と高く、有害事象の定義、重症度、発症・回復時期が統一されていない。上顔面全体の統合値で、額・眉間別、製剤別、希釈・位置・深度別の発生率を示さない。著者は利益相反なしと申告。公的研究費は研究設計、解析、論文作成等へ影響しなかったと記載。PMC全文を2026年8月9日に再確認した。
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ボトックスビスタ注用50単位 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内医療用医薬品電子添文 / 対象: 国内承認の適用対象は65歳未満の成人における眉間または目尻の表情じわ / 結果: 額は承認適応に含まれず、ボトックスビスタの単位は他のボツリヌス毒素製剤の単位へ換算できない。眼瞼下垂、眉毛下垂、複視、嚥下障害、呼吸障害、全身性筋力低下等への注意が示されている。 / 限界: 電子添文は額の美容治療、個別の希釈・位置・深度、左右別配分、約2週間後の無料追加方針を検証する臨床研究ではない。PMDA製品情報と電子添文を2026年8月9日に再確認した。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 自然に仕上げるために、治療前は何を確認しますか?
表情の動き、必要な部位、必要な量、残したい表情の4点を順番に確認します。額と眉間では、安静時の眉・まぶたの位置、眉を上げる動き、しかめる動き、左右の筋力差を記録します。
Q. 額ボトックスで眉やまぶたが重くなるのはなぜですか?
もともと額の前頭筋を使って眉を上げ、目を開けている方では、その動きを弱めると重く感じることがあります。量だけでなく、位置・深度・左右差を調整し、目を開けるために必要な動きを残します。
Q. 効果はいつ評価し、追加調整はできますか?
変化は数日かけて現れるため、約2週間後に同じ表情動作で評価します。当院では、診察で効き方の不足を確認した場合、必要な部位へ無料で追加調整します。効きすぎた部位を元へ戻す調整ではありません。
Q. 表情じわボトックスの料金と承認状況を教えてください。
1部位33,000円、2部位55,000円、3部位75,000円、4部位88,000円です。当院ではボトックスビスタまたはコアトックスを用い、料金は共通です。ボトックスビスタは65歳未満の成人の眉間・目尻の表情じわに国内承認があり、額などは適応外です。コアトックスは国内未承認医薬品です。
Q. 施術後に早く連絡した方がよい症状はありますか?
強い眉・まぶたの下がり、複視、飲み込みにくさ、声の出しにくさ、息苦しさ、全身の強い筋力低下、急速に広がるアレルギー症状がある場合は、次回予約を待たずに当院へ連絡してください。
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