コアトックスの特徴とボトックス製剤の考え方
コアトックスは、Hall株由来の150kDa A型ボツリヌストキシン100単位製剤で、複合タンパクとヒト血清アルブミンを含まない組成です。韓国では眉間の表情じわに承認され、日本では未承認です。製剤名だけでなく、眉間・額・目尻・咬筋の動き、前回単位、持続と治療間隔を記録して選びます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2023年7月10日
- 実質更新日
- 2026年8月9日




Contents
目次
コアトックスはHall株由来・100単位の韓国承認製剤です
コアトックス(Coretox、開発名MT10107)は、韓国Medytox社が製造するA型ボツリヌストキシン製剤です。製品情報ではHall株由来の150kDa毒素を1バイアル100単位含み、2〜8°Cで冷蔵保存する凍結乾燥製剤とされています。ボトックスビスタと同じ菌株を用い、同等の効果を目指して開発された製剤です。
韓国では2016年にMFDSの承認を受け、20〜65歳の皺眉筋・鼻根筋の活動による中等度から重度の眉間じわが適応です。韓国の製品情報では100単位を2.5mLに溶解し、皺眉筋4か所と鼻根筋1か所の計5か所へ合計20単位を注入します。
日本のPMDAで国内承認を確認できる美容用製剤はボトックスビスタで、コアトックスは国内未承認です。韓国で承認された眉間20単位という情報と、日本で当院が行う未承認使用の対象部位・単位は分けて説明します。
コアトックスを実薬と比較した結果として、脳卒中後上肢痙縮への単回注射では、4週時の手関節屈筋MAS変化がコアトックス群−1.32、onabotulinumtoxinA群−1.40で非劣性基準を満たし、安全性にも群間差がなかったとの報告がありました(参考文献1)。
複合タンパクとヒト血清アルブミンを含まない組成です
画像2では、コアトックスの特徴として、複合タンパクとヒト血清アルブミンを除いた製剤であることを挙げています。現在の製品情報では、有効成分は150kDaのA型ボツリヌストキシン100単位、添加物はL-メチオニン、ポリソルベート20、白糖、塩化ナトリウムで構成され、ヒト血清アルブミンを使用しない組成です。
複合タンパクを含まないことと、ヒト・動物由来成分を添加物に用いないことは製剤組成の特徴です。長く繰り返す治療で抗体やアレルギー反応を抑えることが開発上の狙いですが、当院では組成だけで優劣を決めず、過去の総投与量、治療間隔、実際の効果減弱も合わせて製剤を選びます。
長期反復・高用量・効果減弱では、製剤と単位の履歴を確認します
画像3では、長期継続している方、最近効果が弱くなった方、高用量の治療を受けている方、ヒト血清アルブミンや動物由来成分を含む薬剤が気になる方を、コアトックスを検討する対象として挙げています。
診察では、眉間・額・目尻などの表情じわと、エラ・食いしばりに関わる咬筋を動かして、治療したい筋肉を特定します。そのうえで、前回の製剤名、部位ごとの単位、注射日、効き始めた日、最も効いた時期、効果が戻った時期を確認します。ボツリヌストキシンの単位は製剤固有で、ボトックスビスタの単位をコアトックスへそのまま換算しません。
注射後は約2週で左右の筋力と表情を確認します。安全情報はこの時点でまとめて確認し、赤み、腫れ、内出血、頭痛のほか、眉・まぶたの重さ、眼瞼下垂、左右差、口周りの動かしにくさがないかを部位ごとに見ます。
美容目的の注射後に確認する症状として、眉間・額へのA型ボツリヌストキシン注射後の合併症率は16%で、主な内容は頭痛、局所皮膚反応、顔面の神経筋症状であり、多くは軽度かつ一過性だったとの報告がありました(参考文献2)。
2週で効果を確認し、持続と次回時期を3〜4か月単位で記録します
ボツリヌストキシンは通常、数日で変化が始まり、1〜2週で効き方が安定します。早い段階で追加せず2週前後に評価し、その後は表情や咬筋の動きが戻る時期までを持続期間として記録します。
コアトックスの韓国製品情報では、眉間20単位の安全性と有効性を16週まで評価し、頻回投与は臨床評価されていません。国内承認品のボトックスビスタは効果が通常3〜4か月で消失し、眉間・目尻とも3か月以内の再投与を避ける用法です。製剤ごとの情報を分け、短い間隔で注入を重ねません。
現在の院内料金表では、ボトックスビスタの表情じわは1部位33,000円、2部位55,000円、3部位75,000円、4部位88,000円です。エラはボトックスビスタ・コアトックス共通で55,000円です。いずれも税込で、コアトックスの表情じわは部位と単位を確認して診察時に総額を提示します。
眉間治療の持続を考える参考として、onabotulinumtoxinA 20単位で30日時点に反応がみられた場合、効果持続中央値は最大収縮時120日、安静時131日だったとの報告がありました(参考文献5)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- まず安静時と最大収縮時を見比べ、眉間・額・目尻では眉とまぶたの位置、咬筋では噛みしめた厚みと左右差を確認して、治療する筋肉を決めます。
- 次に、前回の製剤名、部位ごとの単位、注射日、効き始め、最大効果、効果が戻った日を記録し、本当の効果減弱か、部位・単位・評価時期の違いかを分けます。
- 製剤組成と国内承認の希望を確認して選択し、注射後約2週で筋力と左右差を評価した後、3〜4か月単位の持続を次回設計へ反映します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| コアトックス | 製剤差と国内未承認使用を理解し表情筋治療を希望 | 国内承認品のみを希望、妊娠・授乳、神経筋疾患等 | 通常1回後、2週前後で評価 | 赤み、内出血、頭痛、左右差、眉・まぶたの重さ、表情変化 | 表情じわは現行料金表に独立掲載なし。部位・単位で変動 | 国内未承認製剤。入手経路・代替となる国内承認品・救済制度を説明 |
| ボトックスビスタ | 国内承認品を適応内で使用する場合 | 禁忌該当、静的じわだけを消したい場合 | 通常1回後、2週前後で評価 | 赤み、内出血、頭痛、眼瞼下垂、左右差等 | 表情じわ1部位33,000円/2部位55,000円/3部位75,000円/4部位88,000円 | 国内承認品。承認された部位・用法を添付文書で確認 |
| 経過観察・別治療 | 動きより皮膚の折れ・凹みが主体、まず診断したい | 即時の筋力低下を希望 | 必要時 | 施術由来なし。別治療は固有リスクあり | 診察・選択治療により異なる | 治療ごとに承認確認 |
費用の目安
- ボトックスビスタ 表情じわ1部位33,000円/2部位55,000円/3部位75,000円/4部位88,000円。
- コアトックスの表情じわは現行料金表に独立掲載がなく、部位・単位で費用が変動します。エラは55,000円(税込)です。
製剤名、部位、単位を分けて総額を案内します。
リスク・副作用・注意点
- 赤み、腫れ、内出血、痛み、頭痛が起こることがあります。
- 左右差、表情の違和感、眉・まぶたの重さ、眼瞼下垂、口周りの動かしにくさ等が起こることがあります。
- 妊娠・授乳、神経筋疾患、併用薬などで適応を慎重に判断します。
- 国内承認・適応: コアトックスは国内未承認です。医師の個人輸入等により使用し、入手経路、国内承認品のボトックスビスタという代替、救済制度の対象外となる可能性を説明します。
合併症率は製剤・部位・手技により異なり、コアトックス固有の発生率ではありません。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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CoretoxとonabotulinumtoxinAの第III相比較
研究デザイン: 韓国7大学病院の前向き無作為化二重盲検実薬対照多施設第III相試験 / 対象: 脳卒中後上肢痙縮220人、単回注射後4・8・12週で評価 / 結果: 4週時の手関節屈筋MAS変化はコアトックス群−1.32±0.69、onabotulinumtoxinA群−1.40±0.69で、群間差の95%信頼区間上限は非劣性マージン0.45を下回った。安全性指標にも有意な群間差はなかった。 / 限界: 上肢痙縮への単回投与試験で、顔面の美容治療、眉間20単位、咬筋、高用量反復、抗体形成、持続期間を直接比較していない。
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美容目的A型ボツリヌストキシン注射の合併症
研究デザイン: 美容目的の眉間・額A型ボツリヌストキシン注射を扱った系統的レビュー・メタ解析 / 対象: 24研究、A型ボツリヌストキシン4,268注射セッション、プラセボ1,234セッション / 結果: A型ボツリヌストキシン群の統合合併症率は16%で、頭痛、局所皮膚反応、顔面神経筋症状が多く、報告された合併症の多くは軽度かつ一過性だった。 / 限界: 製剤、部位、用量、合併症定義が不均一で、コアトックス固有の発生率や咬筋注射の安全性を示さない。70%の研究で施術者の訓練状況が記載されていない。
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ボトックスビスタ注用50単位
国内承認品の添付文書と改訂情報。
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未承認医薬品等の情報提供
国内未承認製剤の入手経路・代替・救済制度表示の公的資料。
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Duration of onabotulinumtoxinA in glabellar lines
研究デザイン: 類似設計の第III相試験4件の個別データ統合解析 / 対象: 眉間へonabotulinumtoxinA 20単位を投与された621人。30日時点の最大収縮時反応者523人 / 結果: 30日時点の反応者で、効果持続中央値は医師評価の最大収縮時120日、安静時131日だった。 / 限界: onabotulinumtoxinAの眉間20単位を対象にした解析で、コアトックス、額・目尻・咬筋、異なる用量へ持続日数を直接適用できない。
よくあるご質問
Q. コアトックスには何が含まれていますか?
1バイアルにHall株由来の150kDa A型ボツリヌストキシン100単位を含む製剤です。製品情報上の添加物はL-メチオニン、ポリソルベート20、白糖、塩化ナトリウムで、複合タンパクとヒト血清アルブミンを含みません。
Q. コアトックスは日本で承認されていますか?
韓国では眉間じわに承認されていますが、日本では国内未承認です。当院では未承認使用であることと、国内承認品のボトックスビスタという代替を説明します。
Q. コアトックスとボトックスビスタは同じ単位で使えますか?
単位は製剤固有のため単純換算しません。韓国のコアトックス製品情報では眉間合計20単位、日本のボトックスビスタ添付文書では眉間10〜20単位、目尻12〜24単位ですが、それぞれの承認用法として扱います。
Q. 効果の確認と次回治療はいつですか?
注射後約2週で左右差と筋力を確認します。ボトックスビスタの効果は通常3〜4か月で消失し、3か月以内の再投与は避ける用法です。コアトックスも短い間隔で追加せず、前回の持続を記録します。
Q. ボツリヌストキシン治療の料金はいくらですか?
ボトックスビスタの表情じわは1部位33,000円、2部位55,000円、3部位75,000円、4部位88,000円です。エラはボトックスビスタ・コアトックス共通で55,000円です。いずれも税込です。
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