トライフィルプロの役割と治療の考え方
トライフィルプロは、炭酸ガスで浅い真皮の瘢痕組織を剥離し、できた空間へジュベルックなどの薬剤を届ける治療機器です。全顔の毛穴・浅い凹凸を均一に扱う薬剤導入と、凹みやシワを1か所ずつ狙う瘢痕治療を使い分けます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2024年3月1日
- 実質更新日
- 2026年8月9日






Contents
目次
マイクロサブシジョンと薬剤導入を一つの機器で行います
トライフィルプロは、炭酸ガスによるマイクロサブシジョンと薬剤注入を連続して行う機器です。皮膚を下へ引き込む浅い瘢痕組織を剥離し、剥離した層へ薬剤を届けることで、ニキビ跡の凹み、毛穴、弾力不足を同じ治療計画で扱います。
当院では、広い範囲へ均一に注入する薬剤導入と、凹みやシワを1か所ずつ治療するシワ・瘢痕治療の2通りを用い、注入薬剤には主にジュベルックを使用しています。
炭酸ガス、薬剤、炭酸ガスの3ステップで剥離した層へ届けます
最初に針先を真皮内へ留め、炭酸ガスを圧力をかけて注入し、硬い瘢痕組織を水平方向へ剥離します。次に剥離でできた空間へ薬剤を注入し、最後に炭酸ガスを加えて薬剤を周囲へ広げます。
剥離が不十分で瘢痕組織が硬いままだと、注入薬が狙った層へ広がりにくくなります。先に空間を作ってから同じ針先で薬剤を届ける順序により、浅い凹みを引き上げる操作と真皮再構築を支える薬剤注入を同じ部位へ重ねます。
炭酸ガスによる剥離とPDLLA導入を同じ部位へ重ねる根拠として、トライフィルプロとジュベルックを1回使用し、4週後に全例で瘢痕の深さと輪郭の改善が確認され、満足度VASは7〜9だったとの報告がありました(参考文献3)。
浅い真皮の癒着を、凹みの位置に合わせて狙います
手動サブシジョンは、針やカニューレを動かして線維性の癒着を切離する治療です。深く広い引き込みを面で剥離できる一方、薄い真皮内の浅い癒着を一定の層で細かく狙う操作では、出血や内出血を伴いやすくなります。
トライフィルプロでは針先を凹みの下へ留め、炭酸ガスの圧力で局所を剥離します。浅い凹みが点在する部位ではシワ・瘢痕治療、深く広いローリング型では手動サブシジョンというように、斜光と触診で引き込みの深さを見て役割を分けます。
浅い真皮の癒着と深く広い引き込みで剥離方法を分ける理由として、サブシジョンには針、カニューレ、ワイヤー、鈍的ブレードが使われ、器具の選択は瘢痕の深さと併用治療によって異なるとの報告がありました(参考文献1)。
クレーター、短いダウンタイム、治療後に残る凹みが主な対象です
ニキビ跡のクレーターがあり、出血や内出血をできるだけ抑えながら局所を治療したい方、レーザーやRF治療の後に浅い引き込みが残った方が対象になります。顔全体に毛穴・浅い凹凸が広がる場合と、硬い凹みが点在する場合では治療範囲を変えます。
凹みは、皮膚を横へ伸ばすと浅くなるローリング型、縁が立つボックスカー型、狭く深いアイスピック型で必要な処置が異なります。トライフィルプロは浅い癒着と薬剤導入を担い、深い癒着には手動サブシジョン、狭く深い穴にはTCA CROSSなどを組み合わせます。
瘢痕型に合わせて局所治療を組み替える理由として、サブシジョン後の改善率は10〜100%と幅があり、瘢痕型と併用法で結果が異なるとの報告がありました(参考文献2)。
全顔の薬剤導入と、医師による局所の瘢痕治療を使い分けます
薬剤導入は、炭酸ガスとジュベルックを全顔へ均一に注入し、毛穴、浅い凹凸、ハリ不足を面で整える方法です。全顔は300ショットまでを一つの目安にします。
シワ・瘢痕治療は、医師が凹みやシワを1か所ずつ触診し、瘢痕の硬さと深さに合わせてガス噴射回数と薬剤注入量を調整します。剥離した空間へ薬剤を届け、早期の再癒着を抑えながらハリ・ツヤの再構築を目指します。
腫れ、赤み、皮下気腫、内出血は反応ごとに経過が異なります
施術直後は炭酸ガスと剥離による腫れが生じ、2〜3日程度で軽くなるのが目安です。赤みは数時間、皮膚を触ったときのプチプチした皮下気腫は約1日、針跡は数日で目立ちにくくなります。
内出血は1〜2週間続くことがあります。広い範囲の薬剤導入か局所の瘢痕治療かで反応が異なるため、施術後は強い熱、摩擦、飲酒、激しい運動、サウナを避け、腫れや痛みが増える場合は受診します。
Clinical View
診療で確認するポイント
- まず、同じ照明の正面・斜位写真と斜光、皮膚の伸展で、面状に広がる浅い凹凸と、指で触れる硬い引き込みを位置ごとに記録します。
- 毛穴や浅い凹凸が全顔に広がる場合は薬剤導入、浅い癒着が点在する場合は医師のシワ・瘢痕治療、深く広い引き込みには手動サブシジョンを組みます。
- 経過は凹みの影、伸展時の残り方、硬さ、毛穴の見え方を別々に比べ、残った層だけを次回の治療対象にします。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| トライフィルプロ薬剤導入 | 全顔の浅い凹凸・毛穴・弾力低下 | 深い癒着だけが主 | 1回後に癒着と影を再評価し、必要時に複数回 | 腫れ・内出血・疼痛・皮下気腫・硬結・色素沈着 | トライフィル薬剤導入は全顔1回99,000円。瘢痕モード等は範囲により異なる | 機器・薬剤・手技ごとの国内承認範囲と未承認表示を確認 |
| トライフィルプロ瘢痕モード | 局所の癒着性瘢痕・折れじわ | 活動性炎症が多い、面状の色調変化のみ | 1回後に癒着と影を再評価し、必要時に複数回 | 腫れ・内出血・疼痛・皮下気腫・硬結・色素沈着 | トライフィル薬剤導入は全顔1回99,000円。瘢痕モード等は範囲により異なる | 機器・薬剤・手技ごとの国内承認範囲と未承認表示を確認 |
| 手動サブシジョン | 深く広い癒着を触診で確認できる | 浅い毛穴や赤みだけが主 | 1回後に癒着と影を再評価し、必要時に複数回 | 腫れ・内出血・疼痛・皮下気腫・硬結・色素沈着 | トライフィル薬剤導入は全顔1回99,000円。瘢痕モード等は範囲により異なる | 機器・薬剤・手技ごとの国内承認範囲と未承認表示を確認 |
費用の目安
- トライフィルプロ・薬剤導入 全顔(〜300Shotsジュベルック込) 1回 ¥99,000
- トライフィルプロ・シワ瘢痕治療 1箇所(ジュベルック込み) ¥18,000
- サブシジョン 2×2cm ¥33,000 / 5×5cm ¥66,000
- 薬剤(ジュベルック) 1cc ¥33,000 / 3cc ¥55,000
局所治療か全顔治療か、薬剤量をどこまで使うかで費用は変わります。適応は診察でご案内します。
リスク・副作用・注意点
- 施術を受けられない場合として、妊娠中、強い炎症や感染症がある場合、使用薬剤への過敏症がある場合などがあります。
- 副作用として、赤み、腫れ、内出血、色素沈着、かさぶた、熱感、針の跡、点状出血、皮下気腫などがみられることがあります。
- 施術当日の飲酒、激しい運動、サウナ、入浴は避け、施術後は乾燥と日焼けに注意が必要です。
- 国内承認・適応: 国内未承認。医師の個人輸入等による使用。入手経路・海外承認・救済制度の対象外となる可能性を表示
実際のダウンタイムは、局所治療か全顔薬剤導入か、併用治療の有無で変わるため、診察時の説明をご確認ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Subcision for Atrophic Acne Scarring: A Comprehensive Review of Surgical Instruments and Combinatorial Treatments
研究デザイン: ヒトの萎縮性ニキビ跡に対するサブシジョンの器具と併用療法を扱った包括的レビュー / 対象: 初回検索79報から47報を採用し、引用追跡で20報を追加 / 結果: 針、カニューレ、ワイヤー、鈍的ブレードの4群が使われ、器具は瘢痕の深さ、術者の選択、併用治療に応じて選ばれているとの報告がありました。 / 限界: 標準化した手技や器具間の大規模直接比較が少なく、トライフィルプロやCO2ガスサブシジョンを他の器具と比較したレビューではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。
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A Systematic Review of Treatments for Acne Scarring. Part 1: Non-Energy-Based Techniques
研究デザイン: 非エネルギー治療を扱ったシステマティックレビュー / 対象: サブシジョン10、削皮1、マイクロニードリング8、充填剤5、ピーリング12の計36研究 / 結果: サブシジョン研究の改善率は10〜100%、マイクロニードリング研究は31〜62%で、瘢痕型と併用法により結果が異なるとの報告がありました。 / 限界: 研究規模、評価尺度、対象、追跡期間が不均一で、治療間の直接比較や長期の再陥凹評価が不足している。トライフィルプロ固有のレビューではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。
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Gas Subcision with PDLLA (Juvelook): Evaluating a Hybrid Mechanical-Biologic Approach for Atrophic Acne Scars
研究デザイン: トライフィルプロとPDLLAを1回使用した前向き観察症例集積 / 対象: ローリング型・ボックスカー型萎縮性ニキビ跡の5人、24〜38歳、Fitzpatrick III〜V型 / 結果: 5人全員で4週後に瘢痕の深さと輪郭の定性的改善が確認され、患者満足度VASは7〜9で、重篤な有害事象はなかったとの報告がありました。 / 限界: 対照群のない5人の症例集積で、追跡は4週、結果は定性的評価。炭酸ガス剥離とPDLLAの寄与を分離できず、長期持続や手動サブシジョンへの優越性は示さない。本文と図説明に追跡時点の不一致があるため4週評価のみを採用し、原著全文を2026年8月8日に確認した。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. トライフィルプロはどのような仕組みですか?
炭酸ガスで浅い真皮の瘢痕組織を剥離し、できた空間へジュベルックなどの薬剤を注入し、再び炭酸ガスを加えて薬剤を周囲へ広げる3ステップです。
Q. 薬剤導入とシワ・瘢痕治療はどう違いますか?
薬剤導入は全顔300ショットまでを目安に、毛穴・浅い凹凸・ハリ不足を均一に治療します。シワ・瘢痕治療は医師が凹みやシワを1か所ずつ診て、ガス噴射回数と薬剤量を調整します。
Q. 手動サブシジョンやポテンツァとはどう使い分けますか?
トライフィルプロは浅い真皮の癒着と薬剤導入、手動サブシジョンは深く広い引き込み、ポテンツァはRFで広い範囲の毛穴・浅い凹凸を治療します。凹みの深さと広がりで順序を決めます。
Q. ダウンタイムはどのくらいですか?
腫れは2〜3日、赤みは数時間、皮下気腫は約1日、針跡は数日、内出血は1〜2週間が目安です。赤み、腫れ、内出血、色素沈着、かさぶた、熱感、点状出血、皮下気腫、感染、硬結が起こることがあります。
Q. 料金と国内承認状況を教えてください。
薬剤導入は全顔300ショットまで・ジュベルック込みで99,000円、シワ・瘢痕治療は1か所・ジュベルック込みで18,000円です。サブシジョンは2×2cm 33,000円・5×5cm 66,000円、ジュベルックは1cc 33,000円・3cc 55,000円です。トライフィルプロとジュベルックは国内未承認で、医師が個人輸入しています。国内の医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
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