医師解説

ヒアルロン酸注入のよくある質問|持続期間・痛み・ダウンタイム・溶解

ヒアルロン酸は、製剤・部位・量・注入層によって、形、持続、痛み、腫れが変わります。体内ヒアルロン酸との違い、ボトックスやHIFU・RFとの役割、必要本数、1年半の経過、溶解まで順に解説します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2025年8月20日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 顔を大きく見せず、自然に整えるための疑問に答えます
  2. 美容医療のヒアルロン酸は、形を保つよう架橋したゲルです
  3. たるみの影にはヒアルロン酸、動いたときのしわにはボトックスを考えます
  4. 顔を大きく見せないために、気になる一点ではなく全顔の支えを見ます
  5. 注入した部位を目立たせず、顔全体の印象を整えます
  6. 持続の目安は、ボリューマが1年半〜2年、唇は1年弱です
  7. 注入時は麻酔を使い、直後の白さと赤い点を分けて見ます
  8. HIFU・RFはゆるみを引き締め、ヒアルロン酸は減った支えを補います
  9. 必要本数は、治療する面積と支持点の数から決めます
  10. 1年半の経過写真で、残り方と追加治療を見ます
  11. 溶解は、形の修正と緊急対応を分けて行います
  12. 診療で確認するポイント
  13. 治療選択の比較
  14. 費用の目安
  15. リスク・副作用・注意点
  16. 関連記事
  17. 関連施術・関連症状のご案内
  18. 執筆・監修
  19. 参考にした一次情報・ガイドライン
  20. よくあるご質問

顔を大きく見せず、自然に整えるための疑問に答えます

ヒアルロン酸を検討するときは、顔が大きく見えないか、注入したことが目立たないか、痛みや持続はどうか、という疑問が重なります。最初に正面・斜位・横顔を見て、凹み、下向きの影、動いたときのしわ、皮膚のゆるみを分けます。

治療の目的を、減ったボリュームの補充、輪郭の支持、唇や涙袋の形づくりのどこに置くか決めてから、製剤と量を選びます。

美容医療のヒアルロン酸は、形を保つよう架橋したゲルです

体内にもヒアルロン酸はありますが、代謝されやすく、そのままでは注入した形を長く保てません。美容医療の製剤はヒアルロン酸を架橋して分解されにくくし、製剤ごとに硬さ、凝集性、なじみ方を調整しています。

硬さのある製剤は頬・こめかみ・下顎などの支持やボリューム補充に、柔らかい製剤は唇・涙袋など動きと形の細かな調整が必要な部位に使い分けます。

たるみの影にはヒアルロン酸、動いたときのしわにはボトックスを考えます

真顔でも残るゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットラインの背景にボリューム低下があるときは、ヒアルロン酸で支えを補います。表情を作ったときに強く出る眉間・目尻・額などのしわは、筋肉の動きを弱めるボトックスの対象です。

同じ部位に静的な影と表情じわが重なる場合は、ヒアルロン酸で形を支えた後、残る筋肉の動きをボトックスで調整します。薬剤の役割と治療順序を分けることで、どちらか一方へ量を集中させません。

顔を大きく見せないために、気になる一点ではなく全顔の支えを見ます

頬こけだけを埋めても、こめかみ、頬骨下、口元、下顎の輪郭とつながらなければ、一点だけが膨らんで見えることがあります。正面・斜位・横顔で、加齢により減った支持点と、元から十分な部位を分けます。

減った位置へ必要量を分散し、横幅を足すのではなく、頬からフェイスラインへ続く立体感を整えます。注入後も顔の輪郭線と最も高い位置を見て、過剰な膨らみを避けます。

注入した部位を目立たせず、顔全体の印象を整えます

自然な変化を目指すときは、こけた一点を大きく埋めるのではなく、顔の最も高い位置、周囲の凹み、フェイスラインへ量を配分します。前後写真では、一部位だけが突出せず、顔全体の立体感が連続して見えることを確認します。

『ヒアルロン酸を入れた』と分かる形より、目元や頬の影が軽くなり、明るい印象として見える配分を治療の目標にします。

持続の目安は、ボリューマが1年半〜2年、唇は1年弱です

頬やこめかみなどへ使うボリューマは1年半〜2年、唇や涙袋へ使う柔らかいボルベラは、よく動く部位のため1年弱を持続の目安としています。製剤名が同じでも、注入部位、量、層、動き、代謝で見え方の残り方は変わります。

期間が来たら全量を同じ場所へ足すのではなく、過去写真と触診で残存するボリュームを見ます。支持が残る部位は追加量を減らし、新たに目立つ凹みへ配分します。

注入時は麻酔を使い、直後の白さと赤い点を分けて見ます

注入前に局所麻酔を行い、リドカインを含むヒアルロン酸製剤を使います。針を刺す痛みと、製剤が入るときの圧迫感はありますが、部位ごとに針・カニューレと麻酔方法を選びます。

直後写真の白い範囲は麻酔の作用で、1〜2時間ほどで戻る経過です。中心の赤い針跡は数日残ることがあり、腫れ、圧痛、内出血、左右差、凹凸は数日から1〜2週間を目安に見ます。

顔の部位によって腫れや凹凸の出方を分けて説明する根拠として、鼻唇溝と比べて中顔面・口周囲・口唇では腫れ、しこり・凹凸、硬さの報告割合が高かったとの報告がありました(参考文献1)。

HIFU・RFはゆるみを引き締め、ヒアルロン酸は減った支えを補います

たるみをテントに例えると、HIFU・RFは残っている皮膚・皮下組織へ熱を加えて引き締め、ヒアルロン酸は減った骨格・皮下組織の支持を補う役割です。皮膚のゆるみだけを熱治療で扱うのか、頬・こめかみ・下顎のボリューム低下へ注入を加えるのかを分けます。

熱治療を先に行うと、引き締まった後に残る凹みが分かりやすくなります。ゆるみと支持低下が同時にある場合は、HIFU・RFで面を整えた後、ヒアルロン酸を必要な支持点へ置く順で組み合わせます。

必要本数は、治療する面積と支持点の数から決めます

全顔を整える量の例として、30代でボリューマ3本、50代でボリューマ5本を使った症例を示しています。唇、涙袋、顎など限局した部位は1〜2本が目安になることがあります。

年代の数字は初回計画の大まかな入口です。実際には、こめかみ、頬、口元、顎を正面・斜位・横顔で見て、減っている部位の数と1本あたりの配分を決めます。

1年半の経過写真で、残り方と追加治療を見ます

1年半前、途中経過、現在を並べた症例では、メンテナンスを重ねながら頬とフェイスラインの形が保たれています。初回の直後写真だけでなく、同じ正面条件の長期写真で、膨らみ、左右差、下向きの影を比べます。

次回は『2年たったから同じ本数』とは決めず、残っている支持と新しく生じた凹みを分けます。形が保たれている部位は足さず、必要な位置だけを少量ずつ再調整します。

溶解は、形の修正と緊急対応を分けて行います

ヒアルロン酸の過剰、位置ずれ、凹凸、しこりでは、注入記録と触診所見を確認し、ヒアルロニダーゼで分解する範囲と量を決めます。溶解後は元の凹みが再び見えるため、腫れが落ち着いてから形を再評価します。

強い痛み、皮膚の白色・紫色変化、網目状の変色、見え方の異常、強い頭痛は、通常の形の修正ではなく血流障害を疑う緊急症状です。この場合は予約日まで待たず、直ちに当院へ連絡してください。

通常の形の修正と緊急対応を分ける必要性について、非永久性フィラーの合併症は62.6%が一過性、37.4%が重度または永続性に分類され、重い合併症は鼻・眉間・前額で多かったとの報告がありました(参考文献2)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 真顔でも残る凹み・影、表情で強くなるしわ、皮膚のゆるみを分け、ヒアルロン酸、ボトックス、HIFU・RFの順序を決めます。
  • ヒアルロン酸は正面・斜位・横顔で減った支持点を地図にし、1本をどこへ配分するか決めてから総本数を出します。
  • 治療後は直後反応、1〜2週間の回復、長期の残り方を別々に記録し、追加注入、経過観察、ヒアルロニダーゼのどれが必要かを選びます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ヒアルロン酸注入 真顔でも残る凹み、下向きの影、頬・こめかみ・下顎の支持低下、唇・涙袋の形 動いたときだけ出る表情じわ、活動性の炎症・感染、量を足すと重く見える状態 通常1回。残存量を見て必要時に追加 痛み、赤み、腫れ、圧痛、内出血、左右差、凹凸、しこり 1本1cc 77,000円 要確認
ボトックス注射 眉間・目尻・額など、表情を作ったときに強く出るしわ 容量不足による凹みや、真顔でも残る深い影だけが主 通常1回。表情の動きを見て再評価 痛み、赤み、腫れ、内出血、左右差、表情の違和感、眼瞼下垂 表情じわ1部位 33,000円 要確認
HIFU・RF治療 皮膚・皮下組織のゆるみや輪郭のもたつきが主 明らかな頬こけ・こめかみの凹みなど、容量不足が主 機器ごとに1回または複数回 赤み、熱感、腫れ、圧痛、熱傷、神経症状 HIFU全顔+首128,000円/DENSITY全顔250ショット99,000円 要確認
ヒアルロニダーゼによる溶解 ヒアルロン酸の過剰、位置ずれ、凹凸、しこり、血流障害が疑われる状態 ヒアルロン酸以外の製剤、原因が確定していない腫れ、アレルギー歴がある状態 反応を見て1回または追加 痛み、赤み、腫れ、内出血、アレルギー、元の凹みの再出現 ヒレネックス100単位 44,000円 要確認

費用の目安

  • ヒアルロン酸 1本1cc 77,000円
  • カテラン針使用料 11,000円
  • 前額施術料 22,000円
  • 涙袋・唇施術料 11,000円
  • ボトックス表情じわ 1部位33,000円/2部位55,000円/3部位75,000円/4部位88,000円
  • HIFU全顔+首 128,000円
  • DENSITY全顔250ショット 99,000円
  • ヒアルロニダーゼ ヒレネックス100単位 44,000円

表示価格は自由診療・税込です。ヒアルロン酸は使用本数に、前額・涙袋・唇は部位別施術料、カテラン針使用時は針代を加算します。

リスク・副作用・注意点

  • ヒアルロン酸:痛み、赤み、腫れ、圧痛、内出血、左右差、凹凸、違和感、感染、しこり、遅発性炎症
  • ヒアルロン酸の重い合併症:血管閉塞、皮膚障害・壊死、視力障害、失明、脳梗塞
  • ボトックス:痛み、赤み、内出血、左右差、表情の違和感、眼瞼下垂、嚥下・発声への影響
  • HIFU・RF:赤み、熱感、腫れ、圧痛、熱傷、神経症状、脂肪萎縮、凹凸
  • ヒアルロニダーゼ:痛み、赤み、腫れ、内出血、アレルギー、アナフィラキシー、元の凹みの再出現
  • 国内承認・適応: 当院で使用するジュビダームビスタシリーズには国内承認品があり、ボリューマ XCは成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で承認されています。ボトックスビスタは65歳未満の成人における眉間・目尻の表情じわが国内承認範囲で、他部位は適応外使用を含みます。コアトックス、ウルトラセルZi、DENSITYは国内未承認です。ヒレネックスによる美容用ヒアルロン酸フィラーの溶解は国内承認された使用目的ではなく、未承認・適応外の治療は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

強い痛み、皮膚の白色・紫色変化、網目状の変色、見え方の異常、強い頭痛は血流障害を疑う緊急症状です。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Colon J, Mirkin S, Hardigan P, Elias MJ, Jacobs RJ. Cureus. 2023;15(4):e38286. doi:10.7759/cureus.38286.

    Adverse Events Reported From Hyaluronic Acid Dermal Filler Injections to the Facial Region: A Systematic Review and Meta-Analysis

    研究デザイン: 顔面ヒアルロン酸注入を評価した無作為化試験・臨床試験19件のシステマティックレビュー・メタ解析 / 対象: 成人の顔面ヒアルロン酸注入を評価した19研究 / 結果: 鼻唇溝と比べ、中顔面、口周囲、口唇では腫れ、しこり・凹凸、硬さの報告割合が高く、疼痛、紅斑、内出血、圧痛、掻痒、変色には明確な部位差がなかったとの報告がありました。 / 限界: 製剤、部位、針・カニューレ、注入量が不均一で、臨床試験を中心にした解析のため、まれな血管閉塞の発生率は評価できない。局所麻酔による白さの持続時間、赤い針跡が残る日数、個別製剤の持続期間を検証した研究ではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  2. Oranges CM, Brucato D, Schaefer DJ, Kalbermatten DF, Harder Y. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2021;9(10):e3851. doi:10.1097/GOX.0000000000003851.

    Complications of Nonpermanent Facial Fillers: A Systematic Review

    研究デザイン: 症例報告37件と後ろ向き研究9件をまとめたシステマティックレビュー / 対象: 46報・164人に生じた436件の非永久性フィラー合併症 / 結果: 436件中273件が一過性、163件が重度または永続性に分類され、重い合併症は鼻、眉間、前額で多く報告されたとの報告がありました。 / 限界: 合併症が起きた症例だけを集めた症例報告・後ろ向き研究で、全注入患者を分母とする発生率は算出できない。ヒアルロニダーゼの投与量、溶解率、最適な再注入時期を比較した研究ではなく、重い合併症が他部位で起きないことも示さない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. ヒアルロン酸とボトックスは、どう使い分けますか?

真顔でも残る凹みや下向きの影、頬・こめかみ・下顎の支持低下にはヒアルロン酸を使います。表情を作ったときに強く出る眉間・目尻・額などのしわにはボトックスを使い、両方が重なる場合は役割を分けて組み合わせます。

Q. ヒアルロン酸で顔が大きく見えませんか?何本必要ですか?

減った支持点へ量を分散し、一点を過剰に膨らませないことが重要です。全顔の例では30代3本、50代5本、唇・涙袋・顎など限局した部位は1〜2本を示していますが、実際の本数は正面・斜位・横顔で減っている部位の数から決めます。

Q. ヒアルロン酸はどのくらい持続しますか?

頬やこめかみなどへ使うボリューマは1年半〜2年、唇や涙袋へ使うボルベラは1年弱が目安です。製剤、部位、量、注入層、動き、代謝によって異なり、再治療前には残っているボリュームを見ます。

Q. 注入の痛みとダウンタイムはどのくらいですか?

局所麻酔とリドカインを含む製剤を使います。針の痛みと圧迫感はあり、麻酔による白さは1〜2時間、赤い針跡は数日、腫れ・内出血・凹凸は数日から1〜2週間が目安です。

Q. ヒアルロン酸は溶かせますか?料金と注意点を教えてください。

過剰、位置ずれ、凹凸、しこりではヒアルロニダーゼによる溶解を検討し、ヒレネックス100単位は44,000円です。アレルギーやアナフィラキシーが起こる可能性があり、美容用フィラー溶解は国内承認された使用目的ではありません。強い痛み、皮膚色の変化、見え方の異常は緊急対応が必要です。

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