医師解説目の下のクマヒアルロン酸注射

おでこ・目周り・あごをヒアルロン酸で整え、上下顔面のバランスを考える

こめかみからおでこ、目の下のボリューム不足をヒアルロン酸で補った後、顎へ注入し、上顔面と下顔面の重心を整えた症例です。正面と左斜位から、前額の丸み、目周りの影、頬との境界、顎先の投影を順に見ます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2025年10月21日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面|おでこ・目周りを整えてから、顎先を合わせます
  2. 目周り|涙溝の凹みと頬上部の支えを分けます
  3. 左斜位|前額と顎先の投影を上下で合わせます
  4. 上下顔面は、上顔面から顎へ進み、最後に全体を見直します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

正面|おでこ・目周りを整えてから、顎先を合わせます

正面写真は左が治療前、右が治療後です。治療前は小さくシャープな輪郭の中で、こめかみからおでこにかけての丸みと目の下のボリュームが少なく、上顔面に影が集まって見えます。

おでこと目周りへヒアルロン酸を注入した治療後は、額中央からこめかみへの曲面がつながり、目の下から頬上部へ移る影がなだらかです。さらに顎先を整えたことで、正面の下顔面に中心線ができ、上顔面の丸みと下顔面のシャープさが一つの輪郭に見えます。

前額では中央だけを高くせず、左右外側とこめかみへ光が続く範囲を見ます。額の幅と投影を変えた後に目周りと顎先を見直すことで、もとの小顔感を保ちながら上下の重心を合わせます。

額中央から外側までの曲面を同じ正面・斜位で追う理由として、額輪郭が改善した割合は1か月時97.5%で、12か月時は評価者25.3%、患者54.7%に残ったとの報告がありました(参考文献1)。

目周り|涙溝の凹みと頬上部の支えを分けます

目の下は、内側から続く涙溝、下まぶたと頬の境界、頬上部の高さを正面と斜位で分けて見ます。涙溝へ直接ボリュームを補う方法と、頬上部の支えを先に補って境界をなだらかにする方法では、狙う位置が異なります。

脂肪の膨らみ、朝夕で変わる浮腫、皮膚の色が影の中心であれば、ヒアルロン酸を足す順序を変えます。この症例では、おでこ・こめかみと目周りを同じ上顔面の中で整え、正面の目の下から頬へ続く影を再評価しています。

目の下の影を両側の容積不足として評価し、涙溝と頬上部の境界を追う判断材料として、3か月後に両側1段階以上改善した割合は87.4%、無治療では17.7%で、初回治療後12か月も63.5%だったとの報告がありました(参考文献2)。

左斜位|前額と顎先の投影を上下で合わせます

左斜位写真も左が治療前、右が治療後です。治療後はこめかみからおでこへ続く曲面と、下まぶたから頬上部への移行が滑らかになり、顎先は前方への投影が明確です。

症例では、おでこ・目周りで上顔面のボリュームを整えた後、顎へ注入しています。顎先だけを大きくするのではなく、額の前方投影、鼻・唇との前後差、下唇から顎先、顎下へ続く線を見て、下顔面の終点を合わせます。

顎先を上顔面と別の投影軸として斜位で確認する判断材料として、6か月後に顎後退が1段階以上改善した割合は81%、無治療では5%で、12か月も61%に改善が残ったとの報告がありました(参考文献3)。

上下顔面は、上顔面から顎へ進み、最後に全体を見直します

最初に正面と左右斜位で、こめかみ・前額の曲面と、涙溝・下まぶたから頬上部への境界を記録します。上顔面を補った時点で目周りの影と顔の重心を見直し、残る下顔面の不足へ顎を追加します。

施術後は、正面の額幅と顎先の中心、斜位の前額・頬・顎先の投影、左右差、表面の凹凸・硬さ・圧痛を再評価します。当院ではヒアルロン酸を1CC単位で料金表示し、先に本数を固定せず、各段階の変化を確認して次の部位へ進みます。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面で額中央・左右外側・こめかみの曲面を見て、目の下の影を涙溝、下まぶたと頬の境界、頬上部の支えに分けます。
  • 上顔面を補った後に目周りの影と顔の重心を再確認し、顎を加える前の正面・左右斜位を記録します。
  • 顎は額の前方投影、鼻・唇との前後差、下唇から顎先・顎下へ続く線に合わせ、下顔面の終点を決めます。
  • 最後に同じ正面・左右斜位で、額幅、目の下から頬への境界、顎先の中心と投影、左右差・凹凸・硬さ・圧痛を順に再評価します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
おでこ・こめかみと目周りのヒアルロン酸 前額の平坦さ、こめかみの凹み、目の下から頬上部への影が重なり、上顔面がコケて見える状態 脂肪の膨らみ・浮腫・皮膚色が目の下の主因、上顔面のボリュームが十分、活動性の炎症・感染がある状態 通常1回。上顔面を補った後に正面・左右斜位で目周りと全顔重心を再評価 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・しこり、遅発性炎症。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 使用本数×1本1cc 77,000円+前額施術料22,000円。カテラン針使用時11,000円 製剤ごとに異なる。当院現行取扱製剤では額・眼窩周囲への使用は国内承認範囲外
目の下を中心に整えるヒアルロン酸 涙溝や下まぶたと頬の境界に、両側性のボリューム不足による影がある状態 脂肪突出、浮腫、色素・血管による色が主、浅い注入で凹凸や青みが目立ちやすい状態 通常1回。腫れが落ち着いた後に涙溝と頬上部の境界を再評価 腫れ、内出血、左右差、凹凸・しこり、青み、遅発性炎症。まれに血管閉塞・視覚障害 使用本数×1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円 当院現行取扱製剤の国内承認目的に眼窩周囲のボリューム増大は含まれない
上顔面を整えた後の顎ヒアルロン酸 上顔面の丸みを整えた後も、顎先の後退・短さで下顔面の終点が不足する状態 顎先の投影が十分、下顎の骨格・咬合・軟部組織の問題へ別の治療が必要な状態 通常1回。正面の中心と左・右斜位の前方投影を再評価 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・しこり。まれに血管閉塞、皮膚壊死 使用本数×1本1cc 77,000円 ボリューマXCでは成人の下顎部の減少したボリューム増大が国内承認範囲

費用の目安

  • ヒアルロン酸注入:1本1cc 77,000円(税込)
  • 前額施術料:22,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込。使用した場合)

総額は、使用本数×1本1cc 77,000円に前額施術料22,000円を加え、カテラン針を使用する場合は11,000円を加算します。

リスク・副作用・注意点

  • 痛み、赤み、腫れ、圧痛、内出血、頭痛、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、アレルギー、遅発性炎症・結節、目周りの青み
  • 血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力障害・失明、脳卒中
  • 国内承認・適応: 当院では国内承認のジュビダームビスタシリーズを使用しています。ボリューマXC(承認番号22800BZX00338000)は、成人の減少した中顔面・下顎部・こめかみのボリューム増大が国内承認範囲です。顎・下顎部とこめかみはこの範囲に含まれますが、額と眼窩周囲は含まれないため適応外使用です。製剤ごとに承認目的が異なるため、使用する販売名と適応外となる部位を説明します。

皮膚が青白くなる、網目状に変色する、異常に強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちに連絡してください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Del Cueto SR, Urdiales-Galvez F, Gritti A, et al. J Cosmet Dermatol. 2025;24(3):e70093. doi:10.1111/jocd.70093. PMID:40026273. PMCID:PMC11874166.

    An Evaluation of VYC-17.5L for Forehead Contouring: A Prospective, Open-Label, Post-Marketing Study

    研究デザイン: フランス1施設の12か月前向き・非盲検・単群市販後研究。Day 1にVYC-17.5Lを額へ注入し、必要時Day 14に追加。正面・左右45度写真、GAIS、FACE-Q、3D画像で経時評価 / 対象: 額輪郭の凹凸がある28〜70歳80人を登録し75人が完遂。平均55.4歳、女性91.3%。初回平均0.92mL、追加を受けた26人は平均0.56mL、初回と追加の合計上限2mL / 結果: 評価者GAISで改善・著明改善は1か月97.5%、12か月25.3%。患者評価は1か月87.3%、12か月54.7%。FACE-Qと3D容積の改善は12か月まで有意。注入部位反応の多くは軽度から中等度で約1週間に軽快し、9人11%に機器関連有害事象が報告された / 限界: 対照群のない単施設・非盲検研究で、額専用の妥当性確認済み尺度を使用していません。対象は主に女性で皮膚型II・IIIが76%超です。VYC-17.5Lを合計最大2mL用いた結果で、この症例の販売名・総量、おでこ・目周り・顎の併用順序を直接評価しません。PMC原著全文を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: 複数著者がAllergan Aesthetics(AbbVie)の治験担当、助言者、講演者、トレーナーで、2人はAbbVie従業員かつ株式等を保有する可能性を申告しています。研究はAbbVieがスポンサーとなった臨床試験データです。

  2. Biesman BS, Green JB, George R, et al. Aesthet Surg J. 2024;44(9):1001-1013. doi:10.1093/asj/sjae073. PMID:38573527. PMCID:PMC11334209.

    A Multicenter, Randomized, Evaluator-Blinded Study to Examine the Safety and Effectiveness of Hyaluronic Acid Filler in the Correction of Infraorbital Hollows

    研究デザイン: 米国16施設の前向き・評価者盲検・無作為化・無治療対照・並行群研究。Restylane Eyelightを針またはカニューレで注入し、必要時1か月に追加、12か月時に再治療を選択可能として18か月まで追跡 / 対象: 中等度または重度の両側眼窩下陥凹がある22〜73歳333人。治療群287人、無治療群46人。平均44.4歳、女性87.1%、白人88.9% / 結果: 3か月時に両側1段階以上改善した割合は治療群87.4%、無治療群17.7%。初回治療後は6か月86.0%、9か月77.6%、12か月63.5%。40人12.7%に主に軽度の有害事象が報告された / 限界: 対象は主に白人女性で、慢性眼窩下浮腫、色素異常、網膜疾患などを除外しています。Restylane Eyelightを両側合計平均2.0〜2.3mL使用した結果で、この症例の販売名・量、前額と顎を併用する順序を直接評価しません。色素、血管、脂肪突出を主因とするクマへの効果は示しません。PMC原著全文を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: Galdermaが研究とメディカルライティングを資金提供し、3人の共著者はGalderma従業員です。ほかの複数著者がGalderma、Allergan、Merzとの研究、講演、助言関係を申告しています。

  3. Xie Y, Zhao H, Wu W, et al. Aesthetic Plast Surg. 2024;48(5):1030-1036. doi:10.1007/s00266-023-03812-2. PMID:38315229. PMCID:PMC10980616.

    Chin Augmentation and Treatment of Chin Retrusion with a Flexible Hyaluronic Acid Filler in Asian Subjects: A Randomized, Controlled, Evaluator-Blinded Study

    研究デザイン: 中国5施設の評価者盲検・無作為化・無治療対照研究。Restylane Defyneと遅延治療対照を3対1に割り付け、必要時1か月に追加して最終治療後12か月まで追跡 / 対象: 軽度から中等度の顎後退がある中国人成人148人。治療群111人、対照群37人。平均33.0歳、女性94.6%。顎主治療部位の初回・追加合計は平均2.1mL / 結果: 6か月時に顎後退が1段階以上改善した割合は治療群81%、無治療群5%。治療群の61%は12か月も改善を維持。治療後反応は腫れ86%、圧痛82.5%が多く、ほとんどは軽度または中等度で一過性だった / 限界: 中国人の軽度から中等度の顎後退だけを対象とし、Restylane Defyneを用いた結果です。この症例の販売名・量、前額・目周りを先に整える順序、顔全体の印象変化を直接評価しません。顎の主治療部位以外にも注入した参加者がいるため、顎先だけの効果へ完全には分離できません。PMC原著全文を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: Galdermaが研究資金と製品を提供し、2人の共著者はGalderma従業員、ほかの複数著者は臨床試験の担当医です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの順番でヒアルロン酸を入れましたか?

こめかみからおでこ、目周りを整えて上顔面のバランスを確認し、さらに顎を加えて下顔面を調整しています。最後に正面と左右斜位で額幅、目の下から頬への境界、顎先の中心と投影を見直します。

Q. 目の下の影には、すべてヒアルロン酸を直接入れますか?

涙溝そのものの凹み、下まぶたと頬の境界、頬上部の支持を分けます。脂肪の膨らみ、浮腫、皮膚色が主な場合は、ヒアルロン酸を足す位置や治療順序が異なります。

Q. 顎を整えるとき、上顔面も確認するのはなぜですか?

顎先は下顔面の終点ですが、正面の長さや斜位の投影は、額の丸みと目周り・頬の重心によって見え方が変わります。上顔面を整えた後に顎の必要量を決めることで、上下の比率を合わせます。

Q. 費用はどのように計算しますか?

ヒアルロン酸は1本1cc 77,000円です。前額施術料22,000円を加え、カテラン針を使用した場合は11,000円が加わります。総額は使用本数で変わります。

Q. 額・目周り・顎への使用は国内承認ですか?

当院で使用するジュビダームビスタシリーズは国内承認品です。ボリューマXCでは成人の下顎部・こめかみの減少したボリューム増大は承認範囲ですが、額と眼窩周囲は含まれず適応外使用です。販売名、承認範囲、血管合併症、適応外使用では医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性を説明します。

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