医師解説シミルビーフラクショナル

ルビーフラクショナルとは|シミ・くすみへの適応と治療回数

ルビーフラクショナルは、694nmのルビーレーザーを点状に分けて全顔へ照射するシミ治療です。7症例の写真をもとに、スポット照射との違い、5回を1クールとする治療設計、15回まで続けた経過を紹介します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2025年10月22日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 開業時から続けている全顔のシミ治療
  2. 点状に照射するフラクショナルと694nmの特徴
  3. 5回を1クールにして反応を積み重ねる
  4. 5回症例1・2|薄いシミ、くすみ、口周りの色調
  5. 5回症例3〜6|頬のシミ、そばかす、色むら
  6. 15回症例|大小・濃淡の異なるシミを長期で治療
  7. 診療で確認するポイント
  8. 治療選択の比較
  9. 費用の目安
  10. リスク・副作用・注意点
  11. 関連記事
  12. 関連施術・関連症状のご案内
  13. 執筆・監修
  14. 参考にした一次情報・ガイドライン
  15. よくあるご質問

開業時から続けている全顔のシミ治療

ルビーレーザーは、10年以上にわたり色素性病変の治療に使われてきた波長です。当院でも開業時からシミ・くすみ治療へ導入し、記事作成時点では年間施術数が2,000件を超えていました。

1枚目の写真では、頬に大小の褐色斑が点在する治療前と、細かな色素が減って頬全体の色調が整った治療後を同じ斜位で比較しています。ルビーフラクショナルは、境界のはっきりした1個のシミだけを狙うのではなく、全顔に散在する細かなシミ、そばかす、くすみ、色むらをまとめて治療するときに用います。

点状に照射するフラクショナルと694nmの特徴

フラクショナル照射では、レーザーを細かな点の集まりとして皮膚へ届けます。面で強く照射するスポット治療より熱を分散しながら全顔を扱える一方、照射の抜けを作らないようにショットを重ね、複数回に分けて色素の変化を追います。テープ保護を通常必要としない照射法ですが、赤みや微細なかさぶた、炎症後色素沈着は起こり得るため、照射後の反応も次回設定に反映します。

ルビーレーザーの波長は694nmです。532nmと694nmはいずれもメラニンへ吸収されますが、694nmは酸化ヘモグロビンへの吸収が低く、メラニンを標的にしやすい特性があります。当院では波長だけで施術名を判断せず、パルス幅、出力、スポット径、照射密度を合わせて治療内容を決めます。

皮膚反応に合わせて設定する理由として、強い照射と穏やかな照射で日光黒子の除去率に差がなかった一方、ルビーレーザー後の炎症後色素沈着は強い照射33.33%、穏やかな照射7.47%だったとの報告がありました(参考文献2)。

5回を1クールにして反応を積み重ねる

ミルフィーユを1層ずつ扱う図は、皮膚の回復と色調の変化を確認しながら治療を重ねる考え方を示しています。当院では5回を1クールとし、肌の反応に合わせて出力を段階的に調整します。1クール後も新しいシミや色むらを抑えたい場合は、2クール目以降をメンテナンスとして続けます。

光老化によるくすみを治療するときは、ルビーフラクショナルに高濃度レチノールやハイドロキノンのホームケアを組み合わせることがあります。画像8・9の症例ではスキンブライセラムとミラミンを併用しており、外用による乾燥や赤みが強くならないよう、使用量と照射前後の休薬期間を治療計画に入れます。

『フラクショナル』は格子状・点状の照射方法、『トーニング』は色調を整える治療目的を示す呼び方です。当院のルビー治療は、694nmをフラクショナル照射して顔全体の色調を整えるため、ルビーフラクショナルトーニングとも呼んでいます。

ルビーフラクショナルを複数回に分けて評価する臨床根拠として、低出力694nmフラクショナルQスイッチルビーを2週ごとに6回行い、最終照射16週後のMASI平均が15.1から10.6へ低下し、色調の明るさを示すL値が56.6から59.9へ上昇したとの報告がありました(参考文献1)。

5回症例1・2|薄いシミ、くすみ、口周りの色調

症例1は、顔全体のくすみと細かな薄いシミ、口周りのくすみに対して5回照射した経過です。正面写真では、頬から鼻の細かな褐色斑と口周りの色調が整っています。ホームケアとしてスキンブライセラムとミラミンを併用しました。

症例2も5回治療で、正面と右斜位を比較しています。頬に散在していた細かなシミが減り、顔全体のくすみが明るくなった経過です。この症例でもスキンブライセラムとミラミンを併用しています。

5回症例3〜6|頬のシミ、そばかす、色むら

症例3は頬を中心に広がるシミと顔全体の色調を、症例4は頬のそばかすを5回治療した経過です。正面・斜位写真では、大小の褐色斑が薄くなり、顔全体の色むらが整っています。そばかすは表皮にメラニンが多い病変で、メラニンへ吸収される694nmを治療へ用います。

症例5は濃いシミと顔全体の色むら、症例6は頬から鼻、額にかけての細かなシミを5回治療しています。症例5では濃い色素の減少と頬のハリ、症例6では細かな色素と色むらの減少、表面のなめらかさを正面・斜位で確認できます。

15回症例|大小・濃淡の異なるシミを長期で治療

症例7は、両頬に大小と濃淡の異なるシミが多数点在し、光老化による肌のハリ低下もみられた症例です。ルビーフラクショナルトーニングを15回続け、左右斜位写真でシミの数と濃さが減り、頬の色調とハリが整った経過を示しています。

この症例では、最初の5回を終点にせず、残る色素の分布と毎回の回復を見ながら治療を継続しました。治療回数はシミの数、濃さ、照射後の反応、ホームケア、希望する仕上がりを同じ写真条件で見直して決めます。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 診察では、全顔に散在する薄いシミ・そばかす・色むらと、境界明瞭な濃いシミを分け、盛り上がりや色の不規則さがある病変は拡大鏡所見も確認します。
  • 細かな色素が広範囲にある場合はルビーフラクショナル、狙う病変が限られる場合はスポット照射として、治療範囲と必要回数を決めます。
  • 5回を1クールとして、同じ角度の写真でシミの数・濃さ・全体の色調を比較し、照射後の赤みやかさぶたが予定どおり回復していれば次の出力と2クール目の要否を検討します。
  • 高濃度レチノールやハイドロキノンを併用する場合は、外用による刺激を照射反応と重ねないよう、使用量と休薬期間を施術日程に組み込みます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
Qスイッチルビースポット 境界明瞭な日光黒子など 肝斑面、診断未確定病変、多数を一度に治療したい場合 通常1回後に経過観察 かさぶた、赤み、PIH、色素脱失 1cm²まで6,600円/以後1cm²ごと4,400円 機器・使用目的ごとに国内承認を確認
ルビーフラクショナル/トーニング 多発する表在性色素、色むらの一部 活動性肝斑、炎症、診断未確定病変 複数回、毎回反応を再評価 赤み、乾燥、微細なかさぶた、PIH、色素脱失 全顔1回16,500円/初回5回66,000円/継続5回55,000円 機器・照射法・使用目的ごとに承認を確認
外用・遮光 肝斑、PIH、再発予防、刺激を避けた維持 外用刺激が強い状態、診断未確定病変の自己治療 毎日、数か月ごとに見直し 刺激、乾燥、かぶれ、薬剤固有の副反応 製品・処方により異なる 薬剤・濃度・目的ごとに承認を確認

費用の目安

  • 全顔(看護師施術)1回 ¥16,500 / 1クール目5回 ¥66,000 / 2クール目以降5回 ¥55,000 / 医師施術 1回 ¥27,500

公式料金表を2026-07-06に取得して整理しています。回数、施術者、適応によって費用は変わることがあります。

リスク・副作用・注意点

  • 照射後1週間以内に、照射部位にかさぶたができることがあります。
  • 炎症後色素沈着が生じることがあり、元の肌状態に戻るまで3カ月以上かかることがあります。

紫外線対策、保湿、摩擦予防などのアフターケアが大切です。実際の注意点は診察時の説明もご確認ください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Jang WS, Lee CK, Kim BJ, Kim MN. Efficacy of 694-nm Q-switched ruby fractional laser treatment of melasma in female Korean patients. Dermatol Surg. 2011;37(8):1133-1140.

    低出力694nmフラクショナルQスイッチルビーの肝斑研究

    研究デザイン: 前向き単群研究 / 対象: 肝斑の韓国人女性15人。顔へ低出力694nmフラクショナルQスイッチルビーを2週ごとに6回行い、最終照射4週後と16週後まで評価した。 / 結果: 最終照射16週後のMASI平均は15.1から10.6へ低下し、色調のL値は56.6から59.9へ上昇したとの報告がありました。 / 限界: 15人の単群研究で対照群がなく、女性の肝斑だけを対象としている。日光黒子、そばかす、くすみ、当院の5回・15回治療や外用併用の効果を直接示す研究ではない。

  2. Negishi K, Akita H, Tanaka S, Yokoyama Y, Wakamatsu S, Matsunaga K. Comparative study of treatment efficacy and the incidence of post-inflammatory hyperpigmentation with different degrees of irradiation using two different quality-switched lasers for removing solar lentigines on Asian skin. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2013;27(3):307-312.

    アジア人の日光黒子に対する照射強度とPIHの比較

    研究デザイン: Qスイッチルビーと周波数倍化Nd:YAGを、強い・穏やかな照射終点で比較した研究 / 対象: Fitzpatrick III〜V型のアジア人193人、日光黒子355病変。4群に分けて1回照射し、4週後に評価した。 / 結果: 4群で除去率に有意差はなく、炎症後色素沈着はルビー強照射33.33%、ルビー穏やかな照射7.47%、Nd:YAG強照射23.18%、Nd:YAG穏やかな照射8.47%だったとの報告がありました。 / 限界: 日光黒子への単回スポット照射の比較であり、フラクショナル照射、全顔治療、5回治療の設定や個人のPIH率へ数値を直接転用できない。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査

    レーザー機器と使用目的の国内承認確認先。

  4. Lasers Med Sci. 2022

    Laser therapy in melasma: meta-analysis

    22研究694人。機器・設定の異質性に注意。

  5. Dermatol Ther. 2022

    Laser treatment of post-inflammatory hyperpigmentation

    PIHのレーザー治療レビュー。

よくあるご質問

Q. ルビーフラクショナルはどのようなシミに向いていますか?

全顔に散在する細かなシミ、そばかす、くすみ、色むらをまとめて治療したい場合に用います。境界明瞭な濃いシミはスポット照射、盛り上がりや不規則な色がある病変は拡大鏡所見や病理診断を含む別の評価を先に行います。

Q. 治療は何回受けますか?

当院では5回を1クールにしています。掲載した6症例は5回、シミの数と濃淡が多い1症例は15回の経過です。1クール後の色素量と照射後の回復を比較し、2クール目やメンテナンスを決めます。

Q. スポット照射との違いは何ですか?

スポット照射は選んだ病変を面で狙い、ルビーフラクショナルは点状の照射を全顔へ重ねます。フラクショナルはテープ保護を通常必要としませんが、赤み、微細なかさぶた、炎症後色素沈着が生じることがあります。

Q. レチノールやハイドロキノンも一緒に使いますか?

くすみや光老化を同時に治療するときは併用することがあります。症例1・2はスキンブライセラムとミラミンを併用しており、刺激を抑えるため照射前後の使用日程を調整します。

Q. ルビーフラクショナルの料金はいくらですか?

全顔は看護師施術1回16,500円、1クール目5回66,000円、2クール目以降5回55,000円、医師施術1回27,500円です。いずれも税込の自由診療料金です。

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