医師解説目の下のクマヒアルロン酸注射

ゴルゴラインをヒアルロン酸3本で整えて中顔面とあご先のバランスを考える

目頭から頬中央へ伸びるゴルゴラインと顔全体の凹凸感へ、ヒアルロン酸製剤のボリューマ3本(3cc)を用いた症例です。中顔面の前頬支持を整え、顎先へ少量を加えた正面・左右斜位の変化から、上下顔面の重心を見ます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2025年12月24日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面|ゴルゴラインを前頬の支持から整えます
  2. 左斜位|涙溝と前頬の境界を分けます
  3. 右斜位|中顔面を整えた後に顎先を合わせます
  4. 3ccは中顔面から顎先へ、段階ごとに再評価します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

正面|ゴルゴラインを前頬の支持から整えます

正面写真は左が治療前、右が治療後です。治療前は目頭の下から頬中央へ斜めに走るゴルゴラインと、前頬の平坦さによる顔中央の凹凸が見えます。治療後は前頬に光がつながり、目の下から頬へ移る段差と斜めの影がなだらかです。

ゴルゴラインは、目頭側から頬中央へ続く中顔面の溝として見ます。下まぶたの内側から続く涙溝、前頬の高さ、頬骨外側の幅を同じ正面で分けると、溝へ直接足す範囲と前頬の支えを戻す範囲を決めやすくなります。

掲載症例ではボリューマ3本(3cc)を使い、ゴルゴラインと顔全体の凹凸感を中顔面から整えています。正面では左右の前頬が同じ高さで光を受けるか、鼻横から頬中央の影がどこまで浅くなったかを確認します。

ゴルゴラインを前頬の支持から整え、その変化を正面・斜位で追う判断材料として、中顔面のボリュームが1段階以上改善した割合は8週時96%、78週時81.7%だったとの報告がありました(参考文献1)。

左斜位|涙溝と前頬の境界を分けます

左斜位写真も左が治療前、右が治療後です。治療前は下まぶた内側の影が前頬の平坦な面へ続き、目の下から頬中央まで一つのくぼみに見えます。治療後は前頬の曲面が立ち上がり、下まぶたから頬へ移る境界が滑らかです。

斜位では、涙溝の深さだけでなく、眼窩脂肪の膨らみ、下まぶたの皮膚色、前頬の支持を別々に記録します。前頬を整えた後も眼窩下の溝が残るときは、その境界を腫れが落ち着いた同じ角度で再評価し、追加する位置を決めます。

前頬を整えた後に眼窩下の溝を別に再評価する目安として、涙溝治療の4週時に75%が満足し、全員が見た目の改善を自覚したとの報告がありました(参考文献2)。

右斜位|中顔面を整えた後に顎先を合わせます

右斜位写真も左が治療前、右が治療後です。治療後は頬中央の凹凸がなだらかになり、顎先の前方投影がわずかに加わって、下唇から顎先、顎下へ続く線が明確です。

この症例では中顔面を整えた後、顎先へ少量を加えています。顎先はゴルゴラインを埋める部位ではなく、正面の顔長と斜位の前後差を調整する下顔面の終点です。前頬の高さが変わった段階で、鼻・唇・顎先の位置関係を見直してから加えます。

中顔面を整えた後に顎先の投影を別枠で合わせる判断材料として、6か月後に顎後退が1段階以上改善した割合は81%、無治療では5%で、12か月も61%に改善が残ったとの報告がありました(参考文献3)。

3ccは中顔面から顎先へ、段階ごとに再評価します

使用したボリューマ3本は1CCずつ、合計3ccです。最初に正面・左右斜位で、ゴルゴラインの起点、前頬の高さ、頬骨外側の幅を記録します。中顔面を整えた時点で左右の光と目の下から頬への境界を見直し、残る下顔面の不足へ顎先を追加します。

施術後は同じ三方向で、ゴルゴライン、涙溝との境界、前頬の左右差、顎先の中心と投影を確認します。腫れが落ち着いた再診では、表面の凹凸・硬さ・圧痛・遅発性の腫れも触診し、追加注入はその時点の残り方から決めます。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面で目頭から頬中央へ走るゴルゴラインの起点と、左右の前頬が受ける光を記録します。
  • 左右斜位で涙溝、眼窩脂肪、下まぶたの色、前頬・頬骨外側の支持を分け、中顔面へボリューマを配分する範囲を決めます。
  • 中顔面を整えた後に正面の顔長と左右斜位の鼻・唇・顎先の前後差を見直し、顎先の少量補正を加えます。
  • 施術直後と腫れが落ち着いた再診で同じ三方向を比較し、前頬の左右差、眼窩下の境界、顎先の中心・投影、凹凸・硬さ・圧痛を順に再評価します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボリューマXCで中顔面の支持を補う ゴルゴラインと前頬・頬骨外側のボリューム不足が連続し、正面・斜位で中顔面が平坦に見える状態 眼窩脂肪の膨らみ、浮腫、皮膚色が影の中心、前頬のボリュームが十分、活動性の炎症・感染がある状態 通常1回。腫れが落ち着いた後に正面・左右斜位で前頬の左右差を再評価 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・しこり、遅発性炎症。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 1本1cc 77,000円。掲載症例は3本で231,000円。カテラン針使用時11,000円 成人の減少した中顔面ボリュームを皮下・骨膜上深部で増大する使用は国内承認範囲
涙溝・眼窩下の溝を直接整えるヒアルロン酸 前頬を整えた後も、下まぶた内側から続く容積不足による溝が残る状態 脂肪突出、朝夕で変わる浮腫、色素・血管による色が主、浅い注入で凹凸や青みが目立ちやすい状態 通常1回。腫れが落ち着いた約4週後に眼窩下の境界を再評価 腫れ、内出血、左右差、凹凸・しこり、青み、遅発性炎症。まれに血管閉塞・視覚障害 使用本数×1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円 ボリューマXCの国内承認目的に眼窩周囲のボリューム増大は含まれず、添付文書は眼窩周囲へ注入しないよう警告
中顔面を整えた後の顎先ヒアルロン酸 前頬を整えた後も顎先の後退・短さで、正面の顔長や斜位の下顔面投影が不足する状態 顎先の投影が十分、咬合・骨格・軟部組織へ別の治療が必要な状態 通常1回。正面の中心と左右斜位の前方投影を再評価 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・しこり。まれに血管閉塞、皮膚壊死 使用本数×1本1cc 77,000円 成人の減少した下顎部ボリュームを皮下・骨膜上深部で増大する使用は国内承認範囲

費用の目安

  • ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
  • 掲載症例の3本(3cc):231,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込。使用した場合)

掲載症例はボリューマ3本で、1本1cc 77,000円×3本の231,000円です。カテラン針を使用した場合は11,000円を加算します。前額を施術していないため前額施術料はこの症例の総額へ加えていません。

リスク・副作用・注意点

  • 痛み、赤み、腫れ、圧痛、内出血、頭痛、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、アレルギー、遅発性炎症・結節、眼窩下の青み
  • 血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力障害・失明、脳卒中
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXC(承認番号22800BZX00338000)は、成人の減少した中顔面・下顎部・こめかみのボリュームを増大する目的で、皮下・骨膜上深部へ注入する国内承認品です。中顔面と顎は承認された解剖学的範囲に含まれます。眼窩周囲への直接注入は承認範囲に含まれず、添付文書は眼窩周囲へ注入しないよう警告しています。

皮膚が青白くなる、網目状に変色する、異常に強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちに連絡してください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Callan P, Goodman GJ, Carlisle I, et al. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2013;6:81-89. doi:10.2147/CCID.S40581. PMID:23687448. PMCID:PMC3610404.

    Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study

    研究デザイン: オーストラリア6施設の前向き・非盲検・単群研究。Juvéderm Volumaを内側・外側頬、頬下へ注入し、必要時4週に追加。正面・側面写真とMFVDS・GAISで104週まで評価 / 対象: 両側の軽度から重度の中顔面ボリューム不足がある29〜60歳103人。平均47歳、女性81%。初回4週間の両側合計平均注入量は5.1mLで、82人が78週、72人が104週評価を完遂 / 結果: 中顔面ボリュームが1段階以上改善した割合は8週96%、52週88.2%、78週81.7%。78週に再注入せず104週を完遂した45人では43人95.6%が改善を維持。主な治療関連有害事象は一過性の内出血と腫れ / 限界: 対照群のない非盲検研究で、104週解析は再注入を受けなかった完遂者45人に限られます。初回平均5.1mLを中顔面へ用いた結果で、この症例の3cc配分、ゴルゴラインと顎を組み合わせた順序を直接評価しません。BioC原著全文を2026年8月9日に再確認しました。 / 利益相反: Allergan Australiaが研究を資金提供し、複数著者は有償治験担当者として製品提供を受け、2人はAllergan従業員でした。データ管理と統計解析は外部機関が独立して実施したと申告されています。

  2. Diwan Z, Trikha S, Etemad-Shahidi S, et al. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2020;8(4):e2753. doi:10.1097/GOX.0000000000002753. PMID:32440421. PMCID:PMC7209844.

    A Prospective Study on Safety, Complications and Satisfaction Analysis for Tear Trough Rejuvenation Using Hyaluronic Acid Dermal Fillers

    研究デザイン: 英国の前向き症例集積。カニューレでTeosyal Redensity 2を両側涙溝へ合計最大1mL注入し、2週と一部4週で満足度、腫れ、内出血、左右差を評価 / 対象: 涙溝を治療した24人・48側。女性22人、男性2人。平均35歳。2週は24人、4週は20人を評価 / 結果: 4週時は24人中18人75%が満足し、24人全員が見た目の改善を自覚。2週時は6人に軽度、1人に中等度の腫れ、2人に内出血、4人に朝のむくみを含む膨らみがあり、4週時は2人に軽度の両側腫れが残った / 限界: 対照群のない24人の小規模研究で、4週評価は20人、施術者4人、追跡は最長4週です。特定製剤・カニューレ・直接涙溝注入の結果で、ボリューマによる前頬支持、この症例の注入位置や配分を評価しません。PMC原著全文を2026年8月9日に再確認しました。 / 利益相反: 著者らは本研究内容に関する経済的利益相反なしと申告しています。

  3. Xie Y, Zhao H, Wu W, et al. Aesthetic Plast Surg. 2024;48(5):1030-1036. doi:10.1007/s00266-023-03812-2. PMID:38315229. PMCID:PMC10980616.

    Chin Augmentation and Treatment of Chin Retrusion with a Flexible Hyaluronic Acid Filler in Asian Subjects: A Randomized, Controlled, Evaluator-Blinded Study

    研究デザイン: 中国5施設の評価者盲検・無作為化・無治療対照研究。Restylane Defyneと遅延治療対照を3対1に割り付け、必要時1か月に追加して最終治療後12か月まで追跡 / 対象: 軽度から中等度の顎後退がある中国人成人148人。治療群111人、対照群37人。平均33.0歳、女性94.6%。顎主治療部位の初回・追加合計は平均2.1mL / 結果: 6か月時に顎後退が1段階以上改善した割合は治療群81%、無治療群5%。治療群の61%は12か月も改善を維持。治療後反応は腫れ86%、圧痛82.5%が多く、ほとんどは軽度または中等度で一過性だった / 限界: 中国人の軽度から中等度の顎後退だけを対象とし、Restylane Defyneを用いた結果です。この症例のボリューマ、顎への少量配分、中顔面を先に整える順序を直接評価しません。顎の主治療部位以外にも注入した参加者がいるため、顎先だけの効果へ完全には分離できません。PMC原著全文を2026年8月9日に再確認しました。 / 利益相反: Galdermaが研究資金と製品を提供し、2人の共著者はGalderma従業員、ほかの複数著者は臨床試験の担当医です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. この症例ではヒアルロン酸をどこへ使いましたか?

ボリューマ3本(3cc)でゴルゴラインと顔全体の凹凸感を中顔面から整え、顎先へ少量を加えています。中顔面を整えた後に正面・左右斜位を見直し、下顔面の終点として顎先を合わせています。

Q. ゴルゴラインと涙溝は同じものですか?

ゴルゴラインは目頭側から頬中央へ斜めに続く中顔面の溝、涙溝は下まぶた内側の眼窩縁に沿う溝です。診察では両者の境界と前頬の支持を分け、どこを先に補うかを決めます。

Q. ゴルゴラインの治療で顎先も整えるのはなぜですか?

前頬が整うと顔中央の重心が変わるため、正面の顔長と斜位の鼻・唇・顎先の前後差を改めて見ます。顎先の投影が不足するときは少量を加え、上下顔面の終点を合わせます。

Q. ヒアルロン酸3本の費用はいくらですか?

1本1cc 77,000円のため、3本(3cc)は231,000円です。カテラン針を使用した場合は11,000円が加わります。

Q. ボリューマXCの中顔面・顎・目周りへの使用は国内承認ですか?

成人の減少した中顔面・下顎部・こめかみのボリュームを皮下・骨膜上深部で増大する使用は国内承認範囲です。眼窩周囲への直接注入は承認範囲に含まれず、添付文書は眼窩周囲へ注入しないよう警告しています。

ご予約・ご相談はこちら

気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。