医師解説

眉アートメイクの色・形をレーザーで修正するときの考え方

太く入り、黒く変色した眉アートメイクにルビーフラクショナルレーザーを1回照射し、直後から色と輪郭が軽くなった症例です。目の下の凹みにはヒアルロン酸を併用し、眉の修正とクマ治療を分けながら目元全体を整えました。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年3月21日
実質更新日
2026年8月9日
太く黒く変色した眉へのルビーフラクショナル1回前後と目の下ヒアルロン酸前後を正面・斜位で示す症例

Contents

目次

  1. 太く黒く変色した眉を1回照射した症例です
  2. 黒褐色の残存色と輪郭から694nmルビーを選びます
  3. 1回ごとに現れた色を見て次の照射を決めます
  4. 薄くした後に表情で動く眉を描き直します
  5. 目の下の凹みはヒアルロン酸で別に整えました
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

太く黒く変色した眉を1回照射した症例です

眉アートメイクがやや太く入り、時間の経過で黒く見えるようになった状態に、ルビーフラクショナルレーザーを1回照射しました。正面と斜位の比較では、照射直後から黒い色調が薄くなり、眉の外形も細く見えています。

この症例では、目の下の凹みにも同じ時期にヒアルロン酸を注入しています。眉の色と太さはレーザー、下眼瞼から頬へ続く凹みは注入で別々に整え、目元全体の印象をすっきり見せています。

照射直後は発赤や腫れを含む時点です。皮膚が回復した後に残る色と輪郭を再撮影し、次の照射または新しい眉デザインへ進むかを決めます。

黒褐色の残存色と輪郭から694nmルビーを選びます

診察では、現在の色を黒・灰・褐色・赤・橙などに分け、希望する眉の外形からはみ出す範囲、色の濃淡、にじみ、瘢痕、自眉の密度を確認します。施術時期、手彫りか機械彫りか、使用した色素が分かる記録も、照射後に現れうる色を考える手掛かりになります。

この症例のように黒から褐色に見える眉には、当院のQスイッチルビーレーザー・ナノスターアールの694nmを候補にします。色素の構成が不明なときは狭い範囲の反応を先に見て、黒化、別の色の出現、皮膚反応を確認してから照射範囲を広げます。

1回ごとに現れた色を見て次の照射を決めます

複数の色素を混ぜた眉では、表面の黒や茶が薄くなった後に赤、橙、黄、緑などが見えることがあります。照射部の赤み、腫れ、痂皮が治まり、色調が安定した再診時に、残存色へ694nmを続けるか、別波長を検討するかを決めます。

1回で目立ちにくくなっても、完全除去を急いで高密度に重ねません。残したい自眉、色素が入った深さ、外形からはみ出す部分を見直し、必要な範囲だけを次の治療対象にします。

黒から褐色の残存色へ次の波長を決める前に回復後の色を見る理由として、初回照射後に26.3%で赤・橙・黄・緑・青など、それまで見えなかった色が現れ、治療回数は平均2.8回だったとの報告がありました(参考文献1)。

薄くした後に表情で動く眉を描き直します

希望する新しい眉が古い外形の内側へ収まらない場合は、先に濃い部分とはみ出す部分を薄くします。色と皮膚反応が安定した後、自眉の毛流れ、眉を上げたときの高さ、眉頭・眉山・眉尻の左右差を見て、新しい輪郭を決めます。

残存色が新しい形や色を妨げない段階で、毛並み、パウダー、ミックスのうち希望する仕上がりに合う方法を選びます。除去と再施術を一続きの計画にすると、古い色を隠すためだけに濃い色や太い形を重ねることを避けやすくなります。

除去後すぐに新しい線を重ねず、表情を含めて眉形を決める理由として、眉の形は重力、前頭筋、眼輪筋、皺眉筋などの動きで変化し、左右差にも関わるとの報告がありました(参考文献2)。

目の下の凹みはヒアルロン酸で別に整えました

同じ症例では、眉の修正に加えて目の下の凹みへヒアルロン酸を注入しました。斜位では、下眼瞼から頬へ続く段差がなだらかになり、眉の色が軽くなった変化と合わせて目元が明るく見えています。

注入前には、涙溝の位置、眼窩脂肪の膨らみ、頬の支持、朝に変動するむくみを確認します。凹みが主な範囲だけを支え、眉へのレーザー照射と下眼瞼への注入は、それぞれの回復と仕上がりを分けて評価します。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • まず眉の黒・灰・褐色・赤などの残存色と、希望する新しい輪郭からはみ出す範囲を正面・斜位・表情時で記録します。
  • 黒褐色が主な範囲には694nmルビーを候補にし、色素の種類が不明な場合は狭い範囲の反応を確認してから、残したい自眉を避けて照射範囲を決めます。
  • 回復後に現れた色と皮膚反応を再評価し、必要な追加照射を終えてから、毛流れと表情に合う新しい眉をデザインします。
  • 目の下の凹みが同時に気になる場合は、眉の色素除去とは別に下眼瞼と頬の段差を診察し、適する範囲へヒアルロン酸を行います。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
Qスイッチルビーレーザーによる眉アートメイク除去 黒〜褐色の残存色が濃く、新しい眉の形や色を妨げる状態 赤・橙・黄など694nmと標的が合わない色、活動性の皮膚炎・感染、眼球保護ができない状態 1回ごとに治癒後の色を再評価。眉・アイライン除去の既報では平均2.8回 痛み、赤み、腫れ、白色変化、水疱、痂皮、色素沈着・脱失、眉毛の白色化・減少、瘢痕 片眉またはアイライン1部位 1回:通常9,900円/モニター6,600円 ナノスターアールは国内承認機器(22900BZX00055000)。アートメイク除去は自由診療で承認使用目的外
除去後の眉アートメイク 古い色が薄くなり、希望する輪郭と色を自眉・表情に合わせて描き直せる状態 濃い旧色素が新しい輪郭からはみ出す、照射後の皮膚反応や色調が安定していない状態 除去後の色と皮膚が安定してから再施術。眉アートメイクは2回セット 痛み、出血、赤み、腫れ、かゆみ、痂皮、感染、色むら、退色・変色 除去+眉アートメイク:通常89,000円/モニター69,000円 医行為。医師または医師の指示を受けた看護師が医療機関で施術
目の下のヒアルロン酸注入 下眼瞼から頬へ続く凹みが目元の影をつくり、強い脂肪突出やむくみが少ない状態 眼窩脂肪の膨らみ、持続性浮腫、皮膚余剰、色素だけが主な状態 通常1回。腫れが落ち着いた後に凹凸と左右差を再評価 痛み、赤み、腫れ、内出血、むくみ、凹凸、青色調。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視力障害 1本1cc 77,000円 症例の使用製剤・注入量は記録上特定できず、製剤ごとの国内承認範囲を適用

費用の目安

  • アートメイク除去 1回・片眉またはアイライン1部位:通常9,900円/モニター6,600円
  • アートメイク除去+眉アートメイク:通常89,000円/モニター69,000円
  • 眉アートメイク 2回:通常154,000円/モニター120,000円
  • ヒアルロン酸注入 1本1cc:77,000円

自由診療・税込です。モニター料金には症例写真・動画の撮影と、説明、SNS、Web、広告等での利用条件があります。

リスク・副作用・注意点

  • ルビーレーザーでは痛み、赤み、腫れ、白色変化、水疱、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、まれに瘢痕が生じることがあります。
  • 混合色素では照射後に別の色が現れたり、鉄・チタンを含む色素では黒化したりすることがあります。眉毛の白色化・減少と眼球障害を避けるため、照射範囲と眼球保護を確認します。
  • アートメイクでは感染、色素へのアレルギー反応、肉芽腫、瘢痕、にじみ、左右差、退色・変色が生じることがあります。
  • 目の下のヒアルロン酸では痛み、赤み、腫れ、内出血、むくみ、凹凸、青色調が生じ、まれに血管閉塞、皮膚壊死、視力・視野障害が起こることがあります。
  • 国内承認・適応: 当院が使用するナノスターアールは、承認番号22900BZX00055000の国内承認Qスイッチルビーレーザーです。アートメイク除去は美容目的の刺青色素を対象とする承認使用目的外の自由診療で、公的な医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。アートメイクは医行為で、医師または医師の指示を受けた看護師が医療機関で行います。症例の目の下に使用したヒアルロン酸の製剤名・注入量は特定できないため、製剤固有の承認表示は行いません。

アートメイクが残っていてもMRIを一律に避ける必要はありません。予約時と検査当日に部位をMRI担当者へ伝え、検査中に熱感、灼熱感、腫れを感じたら直ちに知らせます。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Kream E, Jairath N, Bajaj S, Orbuch D, Wang JV, Geronemus RG. J Clin Aesthet Dermatol. 2023;16(11):47-49.

    Laser Removal of Eyeliner and Eyebrow Tattoos: Chart Review, Experiences, and Learnings

    研究デザイン: 2017年1月から2022年10月までの眉・アイライン美容タトゥー除去を調べた単施設後ろ向き診療録研究 / 対象: 評価可能な写真がある76人。平均47歳、女性98.7%、Fitzpatrick皮膚型I〜VI、眉42人、アイライン33人、両部位1人。治療は平均2.8回、範囲1〜12回 / 結果: 初回照射後、20人26.3%で、それまで見えなかった赤、橙、黄、緑、青が現れました。診療録上、瘢痕、永久的な減毛、壊死、熱傷、長引く紅斑・腫脹・色素異常は記録されませんでした。 / 限界: 単施設・後ろ向きで、評価可能な写真がある症例に限られ、色素、機器、波長、設定、回数が不均一です。完全除去率や波長間の直接比較はなく、ナノスターアール694nmまたは当院の照射条件を検証していません。有害事象は診療録記載に依存します。研究資金なし。Geronemus医師はCandela、Cynosure、Lutronicのadvisory board、Wang医師はLutronicのadvisory boardと開示しています。原著全文を2026年8月8日に確認しました。

  2. Shishak M, Kuthial M. Skin Appendage Disord. 2025;11(4):355-359. doi:10.1159/000543753.

    Eyebrow Microblading: Science, Art, and Complications

    研究デザイン: PubMed・MEDLINEで眉microblading、美容眉タトゥー、眉毛脱落、合併症を検索し、解剖、デザイン、手技、術後ケア、合併症をまとめた包括的ナラティブレビュー / 対象: 単一の患者集団や統合対象人数はありません。眉形の選好研究、解剖研究、症例報告、手技・合併症の既報を含みます / 結果: 眉の位置と左右差は重力、靱帯、前頭筋、眼輪筋、皺眉筋などの動きに影響され、眉形の希望にも個人差があると記載されています。混合色素では緑色調、変色、にじみ、黒化が起こりうるとの報告があります。 / 限界: 検索期間、選定件数、質評価、デザイン法同士の比較成績は示されず、症例報告を含む不均一な文献の記述的レビューです。レーザー除去後の再施術時期や694nmルビーの効果を検証していません。著者は利益相反なし、スポンサー・資金提供なしと報告しています。原著全文を2026年8月8日に確認しました。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 眉アートメイクは1回のレーザーで消えますか?

この症例は1回直後から黒い色調と太さが軽く見えましたが、1回での完全除去を前提にはしません。皮膚が回復した後に残る色と輪郭を確認し、必要な追加照射を決めます。眉・アイライン除去の既報では平均2.8回でした。

Q. 照射後に赤や橙など別の色が出ることはありますか?

複数の色素を混ぜた眉では、黒や茶が薄くなった後に赤、橙、黄、緑などが現れることがあります。鉄やチタンを含む色素では黒化することもあるため、施術記録と狭い範囲の反応を確認し、回復後の色に合わせて次の波長を選びます。

Q. 眉毛も抜けてしまいますか?

一時的な白色化や減毛が起こることがあり、まれに減毛が残る可能性があります。残したい自眉の範囲を確認し、眼球保護を行ったうえで、古い色素がある部分だけを照射します。

Q. 除去後はいつ眉アートメイクを入れ直しますか?

赤み、腫れ、痂皮が治まり、残存色と皮膚の状態が安定してから新しい輪郭を決めます。濃い旧色素が新しい形からはみ出す場合は追加除去を先に行い、自眉と表情の左右差に合わせて再施術します。

Q. アートメイクが残っていてもMRIを受けられますか?

MRIを一律に避ける必要はありません。予約時と検査当日にアートメイクの部位をMRI担当者へ伝え、検査中に熱感、灼熱感、腫れを感じたら直ちに知らせてください。

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