小鼻の毛細血管拡張へアドバテックス5回を行った症例
鼻周囲に線状の毛細血管拡張がみられた方へ、ADVATxの589nmスポットを5回行った症例です。正面・斜位の治療前後では、小鼻の付け根から鼻翼溝に見えていた赤い血管が目立ちにくくなりました。局所照射を重ねる判断と他方式との分岐を解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年2月7日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
小鼻の線状血管を正面・斜位で比べます
鼻の周りに毛細血管拡張がみられた方へ、アドバテックスレーザーを5回照射した経過です。上段の正面では小鼻の付け根、下段の斜位では鼻翼溝に沿って見えていた赤い線が、5回後に目立ちにくくなっています。
本症例では、Vビームを使う場合より細かなミリ単位で照射範囲を追えるADVATxのスポット照射を選びました。小鼻周囲の限られた血管だけへ照射面積を絞り、痛みとダウンタイムを抑えることを目標にした治療設計です。
5回後は赤い線の残り方を正面と斜位の両方で確認します。正面で薄く見えても、鼻翼溝に沿う血管は斜位で残りが分かるため、同じ角度で比較して次の照射範囲を決めます。
小鼻の限られた血管には589nmスポットを使います
ADVATxの589nmは血液中のヘモグロビンを標的にする波長です。小鼻の付け根や鼻翼溝に一本ずつ見える血管へは、1.0mmの小径スポットで血管の走行を追い、周囲の皮膚へ照射範囲を広げすぎないようにします。
各回は、血管の線がどこまで薄くなったか、照射後の赤み・腫れがどの程度続いたかを確認してから次の範囲を決めます。本症例では5回後に小鼻周囲の線状の赤みが目立ちにくくなったため、残る血管だけを再評価する段階へ進みました。
589nmを複数回照射して色の残りを比較する根拠として、最終照射1か月後の顔面紅斑が医師評価で31%、患者評価で22.8〜23.2%改善したとの報告がありました(参考文献1)。
局所スポット・全顔照射・PDL/IPLを赤みの形で分けます
小鼻に一本ずつ見える血管が主なら589nmスポット、鼻から頬へ面状の赤みが広がる場合は589nmの全顔照射を選びます。皮脂や炎症性ニキビ、肌質の変化も一緒に扱う場合は、全顔で589nmと1319nmを組み合わせる方法があります。
太い血管や広い面状紅斑では、595nmのパルス色素レーザー(PDL/Vビーム)やIPLも候補です。血管の太さ、赤みの面積、肌色、紫斑を許容できる期間を並べ、小鼻だけを追うのか、顔面の赤み全体を治療するのかで機器を分けます。
面状紅斑と毛細血管拡張にPDLまたはIPLを選ぶ根拠として、両者とも赤み・毛細血管拡張・自覚症状を改善し、治療間に有意差を認めなかったとの報告がありました(参考文献2)。
5回後は残る血管と面状の赤みを別々に再評価します
照射を続けるかどうかは回数だけで決めません。鼻翼溝の線状血管が残っているか、小鼻全体の面状紅斑が残っているか、血管がいったん薄くなった後に再び見えていないかを同じ照明と角度で比べます。
線状血管だけが残れば589nmスポットの範囲を見直し、面状紅斑が残れば全顔照射やPDL・IPLを比較します。ほてり、丘疹・膿疱、鱗屑、かゆみを伴う場合は、酒さ・ニキビ・皮膚炎の治療を組み合わせてから残る血管を追います。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 当院では、洗顔後の小鼻を拡大して、鼻翼溝に沿う線状血管と小鼻全体の面状紅斑を分け、正面・左右斜位で記録します。
- 線状血管が限局していれば589nmスポットを先行し、照射直後の皮膚反応と次回来院時の血管の残りを見て、同じ枝へ重ねるか範囲を変えます。
- 5回後は残る血管、再拡張、面状紅斑を別々に確認し、終了、局所照射の継続、全顔照射、PDL・IPL、炎症治療のいずれへ進むかを決めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ADVATx 589nmスポット(医師施術) | 小鼻・鼻翼溝に一本ずつ見える毛細血管、圧迫で退色する局所の赤み | 面状紅斑だけが広い、強い日焼け・皮膚炎・感染がある状態 | 1回ごとに血管の残りと皮膚反応を確認。本症例は5回 | 痛み、熱感、赤み、腫れ、乾燥、色素沈着、水疱、やけど | 1cm×1cmまで6,600円/超える範囲は1cm2ごと4,400円 | 要確認 |
| ADVATx 589+1319nm全顔 | 鼻から頬へ広がる面状紅斑に、皮脂・炎症性ニキビ・肌質の所見が重なる状態 | 小鼻の局所血管だけを照射したい、強い日焼け・皮膚炎・感染がある状態 | 1回ごとに反応を確認。5回コースあり | 痛み、熱感、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、色素沈着、水疱、やけど | スポット込み1回30,000円/5回139,000円 | 要確認 |
| PDL(Vビーム)・IPL | 太い線状血管または面状紅斑が広く、血管径・肌色・紫斑許容期間が機器条件に合う状態 | 強い日焼け、活動性皮膚炎、光過敏、機器条件と肌色が合わない状態 | 複数回。各回の赤み・紫斑・腫れで再評価 | 痛み、赤み、紫斑、腫れ、水疱、色素変化など | 当院料金表に個別掲載なし | 要確認 |
費用の目安
- ADVATx 589nmスポット(医師施術)1cm×1cmまで:6,600円(税込)
- ADVATx 589nmスポット 1cm×1cm以上:1cm²ごと4,400円(税込)
- ADVATx 589+1319nm全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円(税込)
すべて自由診療・税込です。2026年7月20日改定のローカル料金正本と現行料金ページを2026年8月9日に照合しました。
リスク・副作用・注意点
- 照射中の痛み・熱感、照射後の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感が生じることがあります。
- まれに色素沈着、水疱、やけど、炎症の悪化、毛細血管の残存・再拡張が生じることがあります。
- 妊娠中、強い日焼け・皮膚炎・感染がある方、光過敏を起こす薬を使用中の方などは照射できない場合があります。
- 国内承認・適応: ADVATxは日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。当院では医師の責任のもと、適法な輸入手続きにより入手しています。米国FDAのK250189では、589nmについて顔面・下肢の毛細血管拡張、酒さなどの適応で510(k)クリアランスを取得していますが、米国でのクリアランスは日本の承認とは異なります。未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
掲載した5回経過は個別症例であり、同じ回数・設定・変化を保証するものではありません。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
Use of a novel 589-nm solid-state laser for treatment of facial erythema
研究デザイン: IRB承認の前向き単群研究。589nm固体レーザーを月1回、計4回照射し、各回前と最終照射1か月後に左右の顔面紅斑を医師と参加者が0〜4段階で評価。 / 対象: 顔面紅斑の治療を希望した24人。女性16人、男性8人、平均51.1歳。 / 結果: 最終照射1か月後、医師評価の紅斑は左右とも31%、参加者評価は右23.2%、左22.8%改善し、副作用は照射直後の一過性紅斑に限られたとの報告がありました。 / 限界: 対照群のない小規模単群研究で、0〜4段階の主観尺度を用いた。小鼻の線状毛細血管、局所スポットと全顔の比較、Vビームとの比較、本症例の5回治療を直接検証していない。PubMed抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。PubMed助成情報にAdvalightが記載され、独立した利益相反記載は抄録にない。
-
Comparative efficacy of nonpurpuragenic pulsed dye laser and intense pulsed light for erythematotelangiectatic rosacea
研究デザイン: 非紫斑形成性PDLとIPLを比較した無作為化・対照付き・評価者盲検の左右比較試験。月1回、計3回治療し、無治療対照も設けた。 / 対象: 中等症の顔面紅斑毛細血管拡張型酒さ患者29人。 / 結果: PDLとIPLはいずれも皮膚の赤み、毛細血管拡張、患者報告の関連症状を有意に減らし、両治療間に有意差はなかったとの報告がありました。 / 限界: 29人の小規模試験で、特定のPDL・IPL設定と中等症の顔面酒さを扱った。ADVATx、小鼻だけの線状血管、局所1.0mmスポット、5回治療を比較していない。PubMed抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。抄録・PubMed書誌に資金源と利益相反の記載はない。
-
医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
-
医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例では5回後に何が変わりましたか?
正面では小鼻の付け根、斜位では鼻翼溝に沿って見えていた線状の赤みが目立ちにくくなりました。正面だけでなく斜位も同じ条件で比べ、残る血管の走行を確認します。
Q. 小鼻の毛細血管拡張には必ず5回必要ですか?
掲載症例は5回後の経過です。必要回数は血管の太さと本数、面状紅斑の広がり、各回の皮膚反応で変わるため、毎回の写真と照射後の経過から次の範囲を決めます。
Q. ADVATxのスポット照射と全顔照射はどう分けますか?
小鼻に一本ずつ見える血管が主なら589nmスポット、鼻から頬へ面状の赤みが広がる場合は589nm全顔を選びます。皮脂、炎症性ニキビ、肌質の変化も重なる場合は1319nmを組み合わせます。
Q. VビームやIPLとの違いは何ですか?
ADVATxは589nmの1.0mmスポットで小鼻の限られた血管を追える機器です。Vビームは595nmのパルス色素レーザー、IPLは複数波長を含む光を面で照射します。血管の太さ、赤みの面積、肌色、紫斑を許容できる期間から選びます。
Q. 小鼻のスポット照射の費用と承認状況を教えてください。
589nmスポットは1cm×1cmまで6,600円、これを超える範囲は1cm2ごと4,400円です。全顔はスポット込みで1回30,000円、5回139,000円です。ADVATxは米国FDAで顔面毛細血管拡張などの適応について510(k)クリアランスを取得していますが、日本では未承認医療機器で、健康被害時に公的救済制度の対象外となる場合があります。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。