肝斑とシミが混在する両頬へアドバテックス2回を行った症例
両頬に肝斑様の面状色素と輪郭の明瞭なシミが混在する状態へ、アドバテックスを先行して2回行った症例です。両頬の拡大写真では背景の褐色調が淡くなり、濃い点状・斑状色素を次の治療対象として残しています。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年3月27日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
両頬で、アドバテックス2回後の面状色素と濃いシミを比較します
上段と下段は左右それぞれの頬の拡大で、各左が治療前、右がアドバテックス2回後です。治療前は頬骨部から外側頬へ広がる面状の褐色調と、輪郭の明瞭な点状・斑状の濃いシミが同じ範囲にあります。
肝斑の刺激を抑えながら背景の色むらを整えるため、この症例ではアドバテックスを先に行いました。2回後は両頬の面状の褐色調が淡く見え、濃い点状・斑状色素は残っています。まず背景を整え、その後に残る濃いシミを別の治療対象として見直す経過です。
面状の肝斑、濃いシミ、背景の赤みを別々に記録します
面状の色素は左右対称性、頬骨部からの広がり、境界のぼやけ方を見ます。濃いシミは一つずつ輪郭、色の均一性、隆起の有無を記録し、背景の赤みは面状紅斑、細い血管、熱感の位置を褐色色素と重ねて確認します。
アドバテックスの589nmは酸化ヘモグロビン、1319nmは真皮の水を主な吸収対象とします。2回の途中は赤み、熱感、乾燥が戻った時点で同じ頬を撮影し、面状色素と血管性の赤みをそれぞれ採点して次回の照射範囲を決めます。
色素の均一性と赤みを同じ写真条件で追う根拠として、色素の均一性評価は平均5.5から最終照射4週後6.9、12週後6.8へ改善し、照射後の紅斑は48時間以内に自然消退したとの報告がありました(参考文献1)。
遮光と摩擦を減らすケアを、2回の照射と並行して続けます
肝斑様の面状色素は、照射日だけでなく日々の光曝露と摩擦で色調が揺れます。頬骨部まで日焼け止めを塗り、屋外時間に応じて塗り直し、クレンジングやマスクが繰り返し触れる位置を両頬の色むらと照らし合わせます。
外用を使用している場合は製品名、濃度、頻度、赤み・皮むけを記録します。刺激が出た時期は保湿を中心にし、落ち着いた色調を基準にしてアドバテックス2回後の変化を比較します。
照射と並行して可視光まで遮る理由として、8週後に紫外線・可視光遮光群は紫外線のみの遮光群より、MASIで15%、色彩計で28%、組織のメラニン量で4%大きく改善したとの報告がありました(参考文献2)。
2回後は、残った濃いシミと面状色素から次の治療を決めます
再評価では、面状の褐色調、背景の赤み、点状・斑状の濃い色素を治療前と同じ頬の位置で比べます。面状色素と赤みが穏やかになっていればアドバテックスを継続する範囲を更新し、残る濃いシミは病変ごとに色素レーザーの対象を決めます。
濃いシミを扱った後も、両頬の面状色素は同じ照明で追います。新しい濃染、赤み、乾燥が出た位置を記録し、遮光・外用、アドバテックス、限局した色素治療の順序を次回の所見から調整します。
589nm・1319nmの機器仕様と国内での位置づけを分けて示します
ADVATxは589nmと1319nmを搭載する非蒸散性レーザーです。米国FDAの510(k) K250189では、589nmに良性血管病変と良性色素性病変、1319nmに小じわ、萎縮性ニキビ跡、軽度から中等度の炎症性ニキビが記載されています。
日本では未承認医療機器で、当院では自由診療として使用します。米国でのクリアランス、国内での承認状況、本症例の2回経過、現在の料金を区別し、照射中の熱感、赤み、乾燥、色調変化などを治療前に説明します。
米国FDAの510(k) K250189では、ADVATxの589nmに良性血管病変と良性色素性病変、1319nmに小じわ、萎縮性ニキビ跡、軽度から中等度の炎症性ニキビが記載されています(参考文献3)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 左右の頬を同じ照明と距離で撮り、頬骨部から広がる面状色素、輪郭の明瞭なシミ、背景の赤みを別々に記録します。
- 肝斑様の面状色素と赤みが重なる範囲へアドバテックスを先行し、照射後の熱感・赤み・乾燥が戻った時点で次の範囲を更新します。
- 2回後は背景の褐色調が淡くなった範囲と、残る点状・斑状色素を見比べ、アドバテックスを続ける部位と限局した色素治療へ移る病変を決めます。
- 濃いシミを扱った後も両頬の面状色素を追い、色戻りが出た位置に合わせて遮光、外用、機器治療の順序を調整します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 遮光・摩擦を減らすケア | 左右対称の面状色素、光曝露や摩擦で濃淡が変わる両頬の色むら | 隆起、出血、急な形の変化がある病変をセルフケアだけで扱う場合 | 毎日。照射間も継続し、同じ写真条件で再評価 | 製品による赤み、乾燥、刺激、接触皮膚炎 | 使用する製品・処方により異なる | 要確認 |
| ADVATx 589+1319nm | 肝斑様の面状色素に背景の赤み・細い血管が重なる状態 | 感染、強い皮膚炎、強い日焼け、熱感や刺激が続く部位 | 症例は2回。毎回、面状色素、赤み、濃いシミを再評価 | 熱感、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、色調変化。まれに水疱、熱傷 | 全顔・スポット照射込み1回30,000円/5回139,000円(税込) | 要確認 |
| 濃いシミへのスポット色素レーザー | 背景の面状色素が落ち着いた後に残る、診断済みの境界明瞭なシミ | 肝斑様の面状色素、診断が確定していない病変、活動性皮膚炎 | 病変ごとに1回後の痂皮と色調を再評価 | 赤み、腫れ、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失。まれに熱傷、瘢痕 | 1cm×1cmまで6,600円/超過は1cm2ごと4,400円(税込) | 要確認 |
費用の目安
- ADVATx 589+1319nm 全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円(税込)
- ADVATx 顎下オプション:1回6,000円(税込)
- 濃いシミへのルビースポット照射:1cm×1cmまで6,600円/超過は1cm²ごと4,400円(税込)
症例で実施した治療はADVATx2回。スポット色素レーザーは2回後に残る濃いシミの比較選択肢として現在の料金を示した。
リスク・副作用・注意点
- ADVATx:熱感、刺激感、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、色調変化、水疱、熱傷など
- 肝斑様の面状色素:刺激や光曝露による濃化、改善後の色戻り
- スポット色素レーザー:痛み、赤み、腫れ、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、瘢痕など
- 国内承認・適応: ADVATxは日本国内未承認医療機器で、当院では医師の判断により適法な個人輸入手続で導入し、自由診療として使用しています。米国FDAでは510(k) K250189のクリアランスがあり、589nmに良性血管病変と良性色素性病変、1319nmに小じわ、萎縮性ニキビ跡、軽度から中等度の炎症性ニキビが記載されています。米国のクリアランスは日本国内の承認を意味しません。未承認機器による健康被害は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
強い痛み、水疱、増える腫れ、急な色調変化は早期連絡の対象とする。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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A Single-Center, Open-Label, Prospective Study of a 589/1319 nm Dual Wavelength Laser for the Treatment of Facial Hyperpigmentation
研究デザイン: 単施設・非盲検の前向き単群研究。589nm照射後に1319nmを照射し、3〜5週間隔で最大3回、最終照射4週後と12週後に評価 / 対象: 顔面に中等度から重度の色素沈着がある健康な女性17人を登録し、3人が追跡不能、14人が完遂。平均年齢43.4歳、Fitzpatrick II〜IV型 / 結果: 研究者による色素の均一性評価は平均5.5から最終照射4週後6.9、12週後6.8へ改善。重篤または予期しない有害事象はなく、照射後の紅斑は48時間以内に自然消退した。 / 限界: 対照群がなく、完遂14人は全員女性で、追跡は最終照射12週後まで。最大3回の照射結果で、本症例の2回経過、長期再発、肝斑と日光黒子を分けた効果は示さない。JDD掲載の原著全文を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 著者4人は開示事項なしと申告した。本文に研究資金提供者の記載はない。
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Near-visible light and UV photoprotection in the treatment of melasma: a double-blind randomized trial
研究デザイン: 二重盲検無作為化比較試験。紫外線・可視光を遮るSPF50以上の日焼け止めと、紫外線のみを遮るSPF50以上の日焼け止めを8週間比較 / 対象: 肝斑患者68人を無作為化し61人が完遂。両群とも4%ハイドロキノンを使用 / 結果: 紫外線・可視光遮光群は紫外線のみの遮光群より、MASIで15%、色彩計で28%、組織のメラニン量で4%大きい改善を示した。 / 限界: 両群が4%ハイドロキノンを使用した8週間の研究で、日焼け止め単独効果やADVATxとの併用効果を示さない。PubMed抄録・書誌を2026年8月9日に確認し、原著全文にはアクセスできなかった。 / 利益相反: PubMed抄録・書誌から資金提供と利益相反の詳細は確認できなかった。
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510(k) Summary for AdvaTx K250189
研究デザイン: 米国FDAの510(k)クリアランス文書と機器仕様。臨床研究ではなく、既承認機器との実質的同等性に基づく審査 / 対象: 該当なし(医療機器の規制・技術資料) / 結果: 589nmは良性血管病変と良性色素性病変、1319nmは小じわ、萎縮性ニキビ跡、軽度から中等度の炎症性ニキビを適応として記載。波長は589nmと1319nm。 / 限界: 米国の510(k)資料で、日本国内の承認を意味しない。提出機器は臨床試験を必要とせず実質的同等性で審査され、本症例の肝斑や2回治療の効果を示す患者研究ではない。 / 利益相反: 規制当局資料のため、臨床研究の利益相反情報は該当しない。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例では何回治療していますか?
アドバテックスを2回行った時点の経過です。両頬の拡大では面状の褐色調が淡く見え、濃い点状・斑状色素は残っています。
Q. 肝斑とシミが混在するとき、なぜアドバテックスを先に行うのですか?
この症例では、肝斑様の面状色素を強く刺激しないよう、背景の赤みや色むらを見ながらアドバテックスを先行しました。2回後に残る濃いシミを病変ごとに見直します。
Q. 残った濃いシミはどう治療しますか?
面状色素と赤みが落ち着いた後、輪郭の明瞭なシミを一つずつ診断し、必要に応じてスポットの色素レーザーを計画します。
Q. 現在の料金はいくらですか?
税込で、ADVATx全顔・スポット照射込みは1回30,000円、5回139,000円です。顎下を追加する場合は1回6,000円です。
Q. ADVATxは国内承認機器ですか?
日本では未承認医療機器です。当院では医師の判断により適法な個人輸入手続で導入し、自由診療として使用します。米国ではFDA 510(k) K250189のクリアランスがあります。
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