症例紹介ニキビ・ニキビ跡トライフィルプロ

頬のボックスカー型ニキビ跡をジュベルック注入とトライフィルプロで治療した症例

頬に散在するボックスカー型ニキビ跡へ、ジュベルック注入2回とトライフィルプロ瘢痕モード2回を組み合わせた症例です。マーキングした凹みの縁・深さ・癒着を選び、広い真皮の再構築と局所の剥離を分けて治療した経過を解説します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年5月18日
実質更新日
2026年8月9日
頬のボックスカー型ニキビ跡へジュベルック注入2回とトライフィルプロ瘢痕モード2回を行った治療前後写真

Contents

目次

  1. 上段の治療前と下段の治療後を、2つの距離で比較します
  2. ボックスカー型は、縁・底・引き込みを一つずつ選びます
  3. 散在する浅い凹凸には、ジュベルック注入を2回行いました
  4. マーキングした凹みには、トライフィルプロ瘢痕モードを2回行いました
  5. 頬の血管走行を考え、残った凹み・赤み・毛穴を再評価します
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

上段の治療前と下段の治療後を、2つの距離で比較します

上段2枚が治療前、下段2枚が治療後です。左列は頬全体を含む斜位、右列は同じ頬を近くで写しており、治療前は紫色で複数の凹みをマーキングし、治療後は白い円で比較範囲を示しています。

ジュベルック注入2回とトライフィルプロ瘢痕モード2回を組み合わせた後は、マーキング範囲に散在していた凹みの影が小さく見えます。頬全体を捉えた写真と近接写真のどちらでも凹凸が目立ちにくくなり、正面から見たときの赤みも目立ちにくくなった経過です。

ボックスカー型は、縁・底・引き込みを一つずつ選びます

ボックスカー型は、周囲の皮膚から凹みへ移る縁を追いやすく、底が比較的広く見えるニキビ跡です。頬へ斜めに光を当て、縁の鋭さ、影の幅、底の深さを見た後、皮膚を伸ばしたときの変化と触診での硬さを合わせます。

紫色のマーキングは、毛穴や赤みを一括して囲むためではなく、局所治療する凹みの位置を対応させるために使います。縁が浅く皮膚と一緒に動く凹みと、同じ位置に硬い引き込みが残る凹みを分けることで、ジュベルック注入と瘢痕モードの役割を割り当てます。

縁と引き込みがある凹みを局所治療点として選ぶ理由として、空気圧式生理食塩水注入と針サブシジョンはいずれも、12週後にボックスカー型・ローリング型瘢痕の直径と体積が治療前より有意に改善したとの報告がありました(参考文献1)。

散在する浅い凹凸には、ジュベルック注入を2回行いました

頬には、マーキングしたボックスカー型だけでなく、細かな凹凸と毛穴、赤みが面として広がっています。この症例ではジュベルック注入を2回行い、複数の浅い凹みが連続する真皮の再構築を図りました。

注入後は、腫れや内出血が落ち着いてから、頬全体の粗さと一つずつの凹みを分けて比べます。広い範囲が滑らかに見えても同じ位置に縁や硬さが残る凹みは、次の局所治療点として選び直します。

広く散在する凹みにジュベルック注入を加える理由として、PDLLAを真皮へ届けた治療では、ニキビ跡評価ECCAが初期評価から36.99%改善し、5か月後にコラーゲンと弾性線維の増加が確認されたとの報告がありました(参考文献2)。

マーキングした凹みには、トライフィルプロ瘢痕モードを2回行いました

トライフィルプロ瘢痕モードでは、医師が選んだ凹みへ針先を留め、炭酸ガスの圧で浅い瘢痕組織や癒着を水平方向へ剥離します。できた空間へジュベルックを届け、再び炭酸ガスで周囲へ広げることで、局所の引き込みと真皮の再構築を一連の工程で治療します。

この症例では瘢痕モードを2回行いました。頬全体へ同じ処置を重ねるのではなく、斜光と触診で縁や硬さが残る凹みを再びマーキングし、治療する点を各回で選びます。

マーキングした凹みへ炭酸ガス剥離とジュベルックを組み合わせる理由として、トライフィルプロとジュベルックを1回用いた治療では、4週後に全例で瘢痕の深さと輪郭が改善し、満足度VASは7〜9だったとの報告がありました(参考文献3)。

頬の血管走行を考え、残った凹み・赤み・毛穴を再評価します

頬には横顔面動脈や顔面動脈の枝、知覚神経が走ります。凹みの位置と深さ、皮膚の厚さ、過去の注入・手術歴を確認し、血管と神経を避ける針路を治療点ごとに選びます。

2回ずつの治療後も、近接写真では細かな毛穴と一部の凹みが確認できます。回復後に同じ斜位で撮影し、影をつくる凹み、赤み、毛穴、新しい炎症を別々に記録して、癒着が残る点だけを追加治療の候補にします。

頬で治療点と深さを一律にしない解剖学的な理由として、横顔面動脈には6つの分岐型と3つの走行域があり、皮膚からの平均深度は10.54mmだったとの報告がありました(参考文献4)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 頬全体と近接の斜位を同じ光の方向で撮影し、ボックスカー型の縁、底の深さ、皮膚を伸ばしたときの変化、触診での硬さをマーキングした位置ごとに記録します。
  • 散在する浅い凹凸にはジュベルック注入、同じ位置に縁と引き込みがある凹みにはトライフィルプロ瘢痕モードを割り当て、この症例ではそれぞれ2回行いました。
  • 頬の血管・知覚神経の走行を踏まえて治療点と針路を一つずつ決め、各回の赤み・腫れ・内出血・硬結が落ち着いてから次の点を選び直します。
  • 2回ずつの治療後は、浅くなった凹みと残ったボックスカー型、赤み、毛穴を分け、局所剥離を追加する範囲と広い肌質治療へ切り替える範囲を決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ジュベルック注入 頬へ散在する浅い萎縮性ニキビ跡、真皮の支持低下、広い範囲の細かな凹凸 同じ位置に強い癒着がある深い凹み、活動性の炎症・感染、使用薬剤への過敏症 この症例は2回。腫れ・内出血が引いた後に頬全体と局所を分けて再評価 赤み、腫れ、内出血、痛み、硬結・結節、肉芽腫、感染、色素沈着、血管障害 1cc 33,000円/3cc 55,000円(税込)×2回。症例の使用量は不明 要確認
トライフィルプロ瘢痕モード+ジュベルック 頬の浅い真皮にあり、縁と局所的な癒着を触れるボックスカー型・ローリング型 入口が狭く深いアイスピック型、広く深い癒着、活動性の炎症・感染・新鮮な傷 この症例は2回。回復後にマーキング位置の縁・影・硬さを再評価 赤み、腫れ、内出血、痛み、熱感、針跡、点状出血、皮下気腫、硬結、色素沈着、感染 1か所・ジュベルック込み18,000円(税込)×治療か所数×2回 要確認
手動サブシジョン 頬の広く深い癒着、伸展しても残る深い引き込み 浅い毛穴・赤みだけが主な状態、入口が狭く深いアイスピック型、活動性の炎症・感染 範囲ごとに1回行い、腫れ・内出血が引いてから追加範囲を再評価 赤み、腫れ、内出血、痛み、血腫、硬結、感染、血管・神経損傷、色素沈着、瘢痕 2×2cm 33,000円/5×5cm 66,000円(税込、薬剤別) 要確認

費用の目安

  • ジュベルック:1cc 33,000円/3cc 55,000円(税込)
  • トライフィルプロ シワ・瘢痕治療:1か所・ジュベルック込み18,000円(税込)
  • 手動サブシジョン:2×2cm 33,000円/5×5cm 66,000円(税込、薬剤別)

症例はジュベルック注入2回とトライフィルプロ瘢痕モード2回。ジュベルックの使用量と1回に治療したか所数が元素材にないため、症例総額は算出せず、2026年8月9日の当院料金を単位ごとに掲載しています。

リスク・副作用・注意点

  • ジュベルック注入:赤み、腫れ、内出血、痛み、硬結・結節、しこり、肉芽腫、感染、色素沈着、過敏反応、血管障害、皮膚障害
  • トライフィルプロ瘢痕モード:赤み、腫れ、内出血、痛み、熱感、針跡、点状出血、かさぶた、皮下気腫、硬結、色素沈着、感染
  • 頬の針治療:血管・神経損傷。時間とともに増す痛み、白色・暗紫色の皮膚変化、急な視機能変化は早期連絡の対象
  • 国内承認・適応: トライフィルプロは日本国内未承認の医療機器で、メトラス社より医師が個人輸入しています。韓国MFDS承認21-4246を取得しています。ジュベルックは日本国内未承認の医薬品で、ネイチャーフォース・ジャパン社より医師が個人輸入しています。未承認医療機器・医薬品による健康被害は、国内の医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

施術当日は飲酒、激しい運動、サウナ、入浴を避け、治療部位への強い圧迫・マッサージと日焼けを控えてください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Pravangsuk J, Udompataikul M, Cheyasak N, Kamanamool N. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(5):50-55. PMID:34188750.

    Comparison of Normal Saline Injection with Pneumatic Injector to Subcision for the Treatment of Atrophic Acne Scars

    研究デザイン: 顔面左右で空気圧式生理食塩水注入3回と針サブシジョン1回を比較し、評価者を盲検化した無作為化左右比較試験 / 対象: 中等度〜重度の萎縮性ニキビ跡がある20人を登録し、Fitzpatrick III〜IV型の18人が12週の追跡を完了 / 結果: 両治療とも12週後にボックスカー型・ローリング型瘢痕の直径と体積が治療前から有意に改善し、治療間の有効性と満足度に有意差はなかった。軽い血腫と皮下気腫は2週以内に軽快し、重篤な有害事象はなかった。 / 限界: 18人・12週の小規模短期試験で、空気圧式注入は生理食塩水、比較側は針サブシジョンであり、CO2ガス、トライフィルプロ、ジュベルック、2回治療を直接検証していない。研究資金なし、著者は利益相反なしと申告。PubMed原著抄録を2026年8月9日に確認した。

  2. Hyeong JH, Jung JW, Seo SB, Kim HS, Kim KH. Dermatol Surg. 2022;48(12):1306-1311. doi:10.1097/DSS.0000000000003627. PMID:36449872.

    Intradermal Injection of Poly-D,L-Lactic Acid Using Microneedle Fractional Radiofrequency for Acne Scars: An Open-Label Prospective Trial

    研究デザイン: 単施設・オープンラベル前向き試験。マイクロニードルRFを用いてPDLLAを4週間隔で計4回導入し、ECCAと満足度を評価 / 対象: 両頬に萎縮性ニキビ跡があるFitzpatrick III〜IV型の韓国人成人42人。組織評価は上腕へ1回治療した2人 / 結果: 最終評価でECCAは初期評価から36.99%改善し、満足度VASは79.65%改善した。2人の上腕組織では5か月後にコラーゲン・弾性線維の数と太さが増加した。施術後紅斑の平均回復期間は2.62日だった。 / 限界: 対照群・左右比較のない単施設研究で、対象は42人の韓国人に限られ、組織評価は頬ではなく上腕の2人だけだった。MFRFによる導入であり、手打ち注入、トライフィルプロ、ジュベルック注入2回を直接検証していない。著者は重要な商業的支援者との関係なしと申告。原著PDF全文を2026年8月9日に確認した。

  3. Yi KH, Rosellini I, Lee S, Lee HE. JPRAS Open. 2026;51:129-133. doi:10.1016/j.jpra.2026.05.001. PMID:42389218; PMCID:PMC13321042.

    Gas Subcision with PDLLA (Juvelook): Evaluating a Hybrid Mechanical-Biologic Approach for Atrophic Acne Scars

    研究デザイン: トライフィルプロによるCO2ガスサブシジョンとPDLLAを1回使用した前向き観察症例集積 / 対象: ローリング型・ボックスカー型の萎縮性ニキビ跡がある24〜38歳の5人、Fitzpatrick III〜V型。2週・4週に追跡 / 結果: 4週後に5人全員で瘢痕の深さと輪郭が定性的に改善し、満足度VASは7〜9だった。重篤な有害事象はなく、軽い一過性紅斑・浮腫は数時間で軽快した。 / 限界: 対照群のない5人の症例集積で、結果は定性的評価、追跡は4週まで。2回治療、ジュベルック単独注入との併用、CO2ガスとPDLLAの個別寄与、長期持続は示さない。抄録の4週評価とPubMed図説明の24週に不一致があるため、方法・結果が一致する4週評価のみを採用した。研究費・利益相反なしと申告。PubMed抄録・書誌・図説明を2026年8月9日に確認し、PMC全文エンドポイントは取得不能だったため抄録範囲で記載した。

  4. Ok F, Karip B, Temizsoy Korkmaz F, et al. Anat Sci Int. 2026;101(2):214-226. doi:10.1007/s12565-025-00898-3. PMID:40911136.

    A Comprehensive Classification and Depth Analysis of the Transverse Facial Artery Based on Cadaveric and Radiological Evidence

    研究デザイン: 献体解剖とCT血管造影を組み合わせ、横顔面動脈の起始・走行・分岐・皮膚からの深度を測定した解剖学的研究 / 対象: 献体解剖40半顔とCT血管造影180半顔 / 結果: 横顔面動脈を6つの分岐型と3つの走行域へ分類し、上方域が65%で最多だった。下方域は有意に深く、皮膚からの平均深度は10.54mmだった。 / 限界: 解剖学的研究で、トライフィルプロやジュベルックの治療成績・有害事象率、安全な固定深度を示す臨床試験ではない。本症例の個別血管走行も示さない。著者は経済的関係・利益相反なしと申告。PubMed抄録を2026年8月9日に確認した。

よくあるご質問

Q. この症例では何を何回行いましたか?

頬に散在するボックスカー型ニキビ跡へ、ジュベルック注入2回とトライフィルプロ瘢痕モード2回を組み合わせました。治療後はマーキング範囲の凹みが小さく見え、正面から見た凹凸と赤みも目立ちにくくなった経過です。

Q. ジュベルック注入とトライフィルプロ瘢痕モードは何が違いますか?

ジュベルック注入は頬へ散在する浅い凹凸の真皮再構築を狙い、瘢痕モードはマーキングした局所の癒着を炭酸ガスで剥離して同じ範囲へジュベルックを届けます。広い範囲と一つずつの凹みで役割を分けます。

Q. 2回ずつ行えば治療は終わりますか?

この症例は2回ずつの経過ですが、近接写真では毛穴と一部の凹みが残っています。回復後に縁、深さ、硬さ、赤みを再評価し、追加する治療点を選びます。

Q. 治療後に早めの連絡が必要な症状はありますか?

時間とともに強くなる痛み、急に広がる腫れ、皮膚の白色・暗紫色変化、膿や発熱、急な視機能変化がある場合は、予定日を待たず当院へ連絡してください。

Q. 費用と国内承認状況はどうなっていますか?

現在の料金は、ジュベルックが1cc 33,000円・3cc 55,000円、トライフィルプロのシワ・瘢痕治療が1か所・ジュベルック込み18,000円です。症例の使用量と治療か所数は記載されていないため総額は算出できません。トライフィルプロとジュベルックはいずれも日本国内未承認です。

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