ボトックスを自然に仕上げるには量・位置・診断が大切です
ボトックスを自然に仕上げるには、筋肉の強さ、表情の癖、左右差、まぶたと眉の位置、骨格を診断します。必要な筋肉へ必要量を置き、しわを和らげながら目元の軽さと自然な表情を残します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年6月5日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
同じ眉間でも、量と位置は一人ずつ変えます
眉間という同じメニューでも、眉を寄せる力、表情の癖、左右の動き、まぶたの開き方、額と眼窩の骨格は人ごとに異なります。眉間の縦じわを作る皺眉筋と鼻根筋のうち、どこが強く働くかを表情で見て、左右それぞれの量と位置を決めます。
強い筋肉へ一律に多く入れるのではなく、必要な筋肉を見極め、必要量で動きを弱めます。眉を寄せる動きはやわらげても、眉を上げる・目を開ける・笑う動きまで失わないことが自然な仕上がりにつながります。
診察では、筋肉の強さ、表情の癖、左右差、まぶたの状態、骨格の5点を一続きで見ます。しわの線だけを追わず、その線を作る動作と、治療後にも残したい表情から注入範囲を組み立てます。
額で目を開けているときは、眉を支える動きを残します
額の前頭筋には眉を持ち上げる働きがあります。正面を楽に見た状態、眉を上げた状態、額を動かさずに目を開けた状態を比べ、まぶたの開きに前頭筋の助けが必要かを調べます。
まぶたの下がりや上まぶたの皮膚のかぶさりを額の力で補っている方では、額へ強く効かせると目元が重くなり、眉が下がって見えやすくなります。この場合は、眉を支える前頭筋の動きを残しながら、横じわを作る範囲へ量を絞ります。
左右で眉の高さや前頭筋の収縮が違うときは、同じ単位を左右対称に置くことより、治療後の眉とまぶたの位置がそろう配分を優先します。
額で目を開ける働きを保ちながら横じわを弱める理由として、眉の位置を保つため、額の横じわには低用量または希釈したボツリヌストキシンAを用いるとの報告がありました(参考文献2)。
2週間後の表情を、次回の量と位置へ反映します
自然な表情を残すため、しわを完全に止める強さではなく、会話、笑顔、眉を上げる動きのうち何を残したいかを治療前に共有します。表情が重い、眉が下がる、笑いにくいといった効かせすぎを避けるため、最初の設計では必要な範囲へ量を集約します。
治療後は約2週間で、安静時と眉間・額・目尻を動かしたときの左右差、眉とまぶたの位置、残ったしわを見直します。効き方と持続期間を記録し、次回は3か月以上の間隔を空けて量と位置を更新します。
初回から効かせすぎず、眉・まぶたと表情を見直す理由として、少なくとも一つの治療関連有害事象があった割合は18%で、主な事象は頭痛、疼痛、こわばり、眼症状だったとの報告がありました(参考文献1)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 安静時に眉とまぶたの高さを記録し、眉を寄せる、眉を上げる、目を細める、笑う動作で主に働く筋肉と左右差を特定します。
- 前頭筋を動かさずに目を開けられるか、上まぶたの皮膚のかぶさりや眼瞼下垂がないかを見て、額へ残すべき筋力を決めます。
- 弱めたい筋肉と残したい表情を先に選び、眉・まぶたの位置を変えすぎない量を左右別に配分します。
- 約2週間後に同じ表情を再撮影し、自然な動き、左右差、目元の重さ、持続期間を次回の設計へ反映します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 眉間のボトックスビスタ | 眉を寄せると深くなる縦じわ、皺眉筋・鼻根筋の収縮が主な状態 | 感染のある注入部位、全身性の神経筋接合部疾患、妊娠・授乳中。眉・まぶたが低い状態では慎重に設計 | 通常1回。約2週間後に表情を評価し、再投与は3か月以上空ける | 注射部の痛み・腫れ・内出血、頭痛、左右差、眉・眼瞼下垂、表情の違和感 | 表情じわ 1部位33,000円 | ボトックスビスタは65歳未満の成人の眉間表情じわに国内承認 |
| 目尻のボトックスビスタ | 笑うと目尻に広がる放射状のしわ、眼輪筋の収縮が主な状態 | 閉瞼不全、強いドライアイ、眼周囲の炎症。皮膚のゆるみだけが主な状態 | 通常1回。約2週間後に笑顔と閉瞼を評価し、再投与は3か月以上空ける | 注射部の痛み・腫れ・内出血、左右差、閉瞼不全、複視、眼の乾燥・流涙 | 表情じわ 1部位33,000円 | ボトックスビスタは65歳未満の成人の目尻表情じわに国内承認 |
| 額のボツリヌストキシン注射 | 眉を上げると出る横じわで、前頭筋の動きを一部残せる状態 | 前頭筋で目を開けている状態、眉・まぶたが低い状態、上まぶたの皮膚のかぶさりが強い状態 | 通常1回。約2週間後に眉・まぶたの位置を評価し、再投与は3か月以上空ける | 注射部の痛み・腫れ・内出血、眉の下垂、まぶたの重さ、左右差、表情の違和感 | 表情じわ 1部位33,000円。眉間と2部位なら55,000円 | ボトックスビスタの額横じわへの使用は国内適応外 |
費用の目安
- ボトックスビスタ 表情じわ 1部位 33,000円
- ボトックスビスタ 表情じわ 2部位 55,000円
- ボトックスビスタ 表情じわ 3部位 75,000円
- ボトックスビスタ 表情じわ 4部位 88,000円
ボツリヌストキシン注射は自由診療です。額と眉間を治療する場合は2部位55,000円です。
リスク・副作用・注意点
- 注射部の疼痛、腫脹、出血斑、熱感のほか、頭痛、眼瞼下垂、局所の筋力低下が生じることがあります。
- 眼周囲では閉瞼不全、複視、眼の乾燥、流涙、角膜障害が報告されています。
- ショック・アナフィラキシー、遠隔筋への影響、嚥下障害、呼吸障害は頻度が低くても緊急対応が必要です。妊娠中・妊娠の可能性がある方、授乳中の方は禁忌です。
- 国内承認・適応: ボトックスビスタ(A型ボツリヌス毒素、承認番号22100AMX00398000)は、65歳未満の成人における眉間または目尻の表情じわを効能・効果として国内承認されています。額の横じわなど、それ以外の美容目的への使用は国内適応外です。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Adverse events in nonsurgical facial aesthetic procedures: a systematic review and meta-analysis
研究デザイン: 顔面の非手術美容治療42研究を対象としたシステマティックレビュー・メタ解析。上顔面ボツリヌストキシンAの有害事象は14研究で統合 / 対象: ヒアルロン酸、上顔面ボツリヌストキシンA、吸収糸を用いた治療の計8,853人。上顔面ボツリヌストキシンAは6,254人 / 結果: 上顔面ボツリヌストキシンAで、少なくとも一つの治療関連有害事象があった割合は18%(95%信頼区間10〜32%)でした。主な事象は頭痛、疼痛、こわばり、眼症状で、眼瞼下垂は報告のある2研究で治療後14〜15日以内に発現しました。 / 限界: 上顔面ボツリヌストキシンAの統合解析はI2=96.9%と異質性が高く、製剤、部位、量、有害事象の定義、重症度、発症・回復時期が統一されていません。自然な表情を残す個別設計の優劣を比較した研究ではありません。著者は利益相反なしと報告しています。
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Pan-Asian consensus recommendations for facial aesthetic treatment
研究デザイン: アジア人の顔面美容治療について11人の専門医が行ったコンセンサス / 対象: アジア各地域の専門医11人。70〜90%の賛同を中等度、90%以上を強い合意、全員一致を絶対的合意と定義 / 結果: 額の横じわに対し、眉の位置を保つため低用量または希釈したボツリヌストキシンAを用いること、眉の位置は元来低い場合があり治療設計へ影響することが示されました。 / 限界: 患者を対象に量や注入位置を比較した試験ではなく、専門家合意です。具体的な製剤換算、個別の単位数、眼瞼下垂がある患者の効果量は示していません。複数の著者がボツリヌストキシン製剤・注入製剤・機器メーカーとの関係を開示しています。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 同じ眉間ボトックスでも、人によって量が違うのはなぜですか?
眉を寄せる筋肉の強さ、働く範囲、左右差、眉とまぶたの位置、骨格が異なるためです。しわの線だけでなく、表情を動かしたときの皺眉筋と鼻根筋を見て左右の量と位置を決めます。
Q. 額のボトックスで目元が重くなるのはなぜですか?
額の前頭筋で眉を上げ、まぶたを開ける動きを補っている方では、その筋力が弱まると眉や上まぶたが重く感じられます。治療前に額を動かさず開瞼できるかを調べ、眉を支える動きを残す設計にします。
Q. ボトックスをしても自然な表情は残せますか?
弱める筋肉と残す動きを分け、必要な範囲へ必要量を置くことで、会話や笑顔の動きを保ちながら表情じわをやわらげることを目指します。左右差と希望する効き方は治療前に共有します。
Q. 治療後はいつ評価し、どのくらい間隔を空けますか?
当院では約2週間後に眉・まぶたの位置、左右差、残した表情を評価します。ボトックスビスタの効果は通常3〜4か月で消失し、電子添文では3か月以内の再投与を避けるとされています。
Q. 額と眉間を治療すると、費用と国内承認はどうなりますか?
表情じわは1部位33,000円で、額と眉間の2部位なら55,000円です。ボトックスビスタは65歳未満の成人における眉間・目尻の表情じわが国内承認範囲で、額の横じわへの使用は適応外です。
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