医師解説

アドバテックス治療で海外の臨床経験をどう診療へ取り入れるか

タイでADVATx診療に携わるPatrick Lawson医師と、赤み、ニキビ、肝斑、肌質に対する診断・設定・患者選択を共有しました。得た臨床経験は、所見を波長と照射範囲へ置き換え、治療後の写真・皮疹数・色調変化を記録して当院の手順へ反映します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年6月11日
実質更新日
2026年8月9日
ADVATxの診断・設定について意見交換したPatrick Lawson医師と国内外の医師らの会食記録

Contents

目次

  1. Patrick Lawson医師とADVATxの臨床経験を共有しました
  2. 赤み・ニキビ・肝斑・肌質を所見ごとに治療設計します
  3. 設定は治療前の所見と前回反応から更新します
  4. 写真と症状記録を院内手順の更新につなげます
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

Patrick Lawson医師とADVATxの臨床経験を共有しました

タイでアドバテックス治療に携わるPatrick Lawson医師と会い、赤み、ニキビ、肝斑、肌質改善にADVATxを使うときの経験と考え方を共有しました。会食時の写真には、国内外の医師らが同席した様子が記録されています。

話題の中心は、機器名ではなく、どの所見を診断し、どの波長と照射範囲を選び、どの患者に届けるかという治療設計です。海外で蓄積された症例経験を、当院の患者選択、初回設定、治療後評価へ具体的に置き換えます。

赤み・ニキビ・肝斑・肌質を所見ごとに治療設計します

赤みでは面状の紅斑と線状の毛細血管、ニキビでは面皰と赤い丘疹・膿疱、肝斑では色の分布と刺激による変動、肌質では皮脂、毛穴、乾燥、ハリを記録します。589nmは血管性の赤み、1319nmは真皮の加熱と皮脂が関わる範囲へ配分します。

赤い丘疹・膿疱に赤みと皮脂が重なるときは、外用治療を土台にしながら589nmと1319nmを同じ治療計画へ組み込みます。炎症性皮疹数、赤みの面積、皮脂を別々に追うことで、次回に残す波長と変更する範囲が明確になります。

赤い丘疹・膿疱に赤みと皮脂が重なる状態へ外用レチノイドと両波長を併用した治療では、5回後1か月に72.5%で炎症性皮疹が75%を超えて減り、赤みがあった人の65.5%で75%を超える改善がみられたとの報告がありました(参考文献1)。

設定は治療前の所見と前回反応から更新します

初回は肌色、日焼け、肝斑の分布、炎症後色素沈着の既往、外用薬、前回治療後の赤みや乾燥を確認し、全顔とスポット、2波長の照射範囲を決めます。限局した毛細血管には589nmを集中的に用い、顔全体の赤みに炎症性ニキビや皮脂が重なる場合は両波長を組み合わせます。

外用治療を併用しているニキビでは、外用開始日とレーザー施術日を時系列で残します。皮疹数、赤み、色素、痛み、乾燥を同じ時点で記録し、外用を続ける範囲と照射を加える範囲を次回の治療へ反映します。

BPOを全顔に続け、片側だけに両波長を加えた治療では、3か月後の炎症性皮疹数がレーザー併用側で46%、BPO単独側で29%減少しましたが、両側間の差は有意ではなかったとの報告がありました(参考文献2)。

写真と症状記録を院内手順の更新につなげます

施術前と次回来院時は同じ照明・角度で撮影し、赤みの面積、目立つ血管、炎症性皮疹数、皮脂、色素変化を比較します。照射中の痛み、施術後のほてり・乾燥、それらが戻った時期も診療録へ残します。

国内外の医師との情報交換で得た診断・設定・患者選択の論点を、この院内記録と原著の結果に照らして見直します。適した症状、2波長の役割、治療間隔、治療後説明を同じ基準で更新し、次の診療へ反映します。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 初診では、面状の赤み、線状の毛細血管、面皰、赤い丘疹・膿疱、肝斑の分布、皮脂・毛穴を正面と左右斜位で記録します。
  • 血管性の赤みには589nm、炎症性ニキビと皮脂が重なる範囲には589nmと1319nmを配分し、外用・内服を続ける治療と同じ時系列で組み立てます。
  • 初回の照射範囲は肌色、日焼け、炎症後色素沈着の既往、前回治療後の赤み・乾燥から決め、全顔と医師スポットを使い分けます。
  • 次回来院時に同じ撮影条件で赤み、血管、皮疹数、皮脂、色素変化を比べ、痛みと回復日数も含めて波長、範囲、治療間隔を更新します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ADVATx 589+1319nm 全顔 面状の赤み、ニキビ後の赤み、炎症性ニキビに皮脂・毛穴・肌質の変化が重なる状態 感染、強い皮膚炎、日焼け直後、診断が定まっていない色素・血管病変 1回ごとに反応を確認。料金には5回コースあり 赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感。まれに色素沈着、水疱、やけど 全顔・スポット照射込み 1回30,000円/5回139,000円 国内未承認医療機器
ADVATx 589nm 医師スポット 鼻周囲などの糸状の毛細血管、限局した赤み、目立つ炎症性皮疹 顔全体へ均一に広がる赤み、血管以外の色素・凹凸・たるみが主な状態 血管の色・太さ・照射後反応を見て再評価 局所の赤み、ほてり、腫れ、色素沈着。まれに水疱、やけど 1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cmを超える場合は1cm2ごと4,400円 国内未承認医療機器
外用・内服によるニキビ・酒さ・肝斑治療 面皰、活動性の丘疹・膿疱、ほてり・刺激感、肝斑など原因治療を先に進める状態 炎症が落ち着いた後に毛細血管やニキビ後の赤みだけが残る状態 薬剤と症状に合わせて継続し、炎症・刺激・乾燥を再評価 乾燥、刺激、赤みなど薬剤固有の副作用 保険診療・自由診療、処方内容により異なる 処方薬ごとに国内承認された適応・用法を確認

費用の目安

  • ADVATx 589+1319nm 全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円
  • 顎下オプション:1回6,000円
  • 589nmスポット・医師施術:1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cmを超える場合は1cm²ごと4,400円
  • メソナJオプション:1回18,000円

全顔料金には必要な部位へのスポット照射が含まれます。

リスク・副作用・注意点

  • 照射中の痛み、照射後の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感
  • 色素沈着、水疱、やけどが起こることがあります。
  • 日焼け直後、照射部位の感染・強い皮膚炎がある場合は照射できないことがあります。
  • 国内承認・適応: 本施術で使用するADVATxは日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。当院では医師の責任のもと適法な輸入手続きにより入手しています。製造元は米国FDAで複数の適応について510(k)クリアランスを取得し、欧州CE認証を受けていると公表しています。未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

平均疼痛は3.68/10と3.4/10で、後者では軽い乾燥・赤み・皮むけが16.7%に生じ、2週間以内に自然軽快したとの報告がありました。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Lim JTE. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2024;12(1):e5550. doi:10.1097/GOX.0000000000005550.

    Efficacy and Safety of Solid-state Dual-wavelength Lasers for the Treatment of Moderate-to-severe Inflammatory Acne in Asian Populations

    研究デザイン: 外用レチノイドを夜に継続し、1319nmに続けて589nmを2〜3週間隔で計5回照射した前向き単群研究。最終照射1か月後に全員、3か月後に一部を評価 / 対象: Fitzpatrick III〜V型で中等症〜重症の炎症性ニキビ40人。16〜38歳、女性28人・男性12人。3か月評価は15人 / 結果: 最終照射1か月後、72.5%で炎症性皮疹数が75%を超えて減少しました。赤みのあった29人の65.5%で75%を超える改善がみられ、34人で自覚的皮脂スコアが1〜3点低下し、平均疼痛は3.68/10でした。 / 限界: 対照群のない単施設研究で、全員が外用レチノイドを併用したためレーザー単独効果を示しません。3か月評価は15人だけで、赤みと皮脂の評価法にも限界があります。著者は金銭的利益なしとし、Advalightがメディカルライティングと編集費用を負担しています。原著全文を2026年8月8日に確認しました。

  2. Boonpethkaew S, Ratanapokasatit Y, Chirasuthat S, Wattanakrai P. Arch Dermatol Res. 2025;317(1):635. doi:10.1007/s00403-025-04146-6.

    Efficacy and safety of the 589/1319 nm solid-state dual-wavelength laser combined with topical benzoyl peroxide for inflammatory acne vulgaris: a split-face randomized controlled trial

    研究デザイン: 単施設・単盲検の左右比較無作為化試験。全顔へ2.5%BPOを1日1回使用し、片側へ589/1319nmレーザーを2週間隔で4回追加して、最終照射3か月後まで追跡 / 対象: 軽症〜中等症の炎症性ニキビが両側にある18人。18〜41歳、女性15人・男性3人、Fitzpatrick III〜V型、タイの単施設 / 結果: 3か月後の炎症性皮疹数はレーザー併用側で46%、BPO単独側で29%減少しましたが、両側間の差は有意ではありませんでした。平均疼痛は3.4/10で、重篤な有害事象はありませんでした。 / 限界: 18人・単一民族の小規模研究で、両側ともBPOを使用したためレーザー単独効果は示しません。589nmと1319nmの寄与を波長別に比較しておらず、最適な照射条件も未確定です。研究費はMahidol Universityと同院皮膚科が負担し、機器はタイの販売会社から借用したと記載されています。原著全文を2026年8月8日に確認しました。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. Patrick Lawson医師とは何を共有しましたか?

ADVATxを赤み、ニキビ、肝斑、肌質改善へ使うときの診断、設定、患者選択、治療後評価について臨床経験と考え方を共有しました。

Q. 海外の臨床経験は当院の診療にどう反映しますか?

得た論点を、治療前の写真、赤みの面積、毛細血管、炎症性皮疹数、皮脂、色素変化、痛み、回復日数という院内の評価項目へ置き換え、波長・範囲・治療間隔の更新に使います。

Q. 589nmと1319nmはどう使い分けますか?

589nmは面状の赤み、毛細血管、ニキビ後の赤みへ用います。1319nmは真皮を加熱し、炎症性ニキビ、皮脂、毛穴が赤みと重なる範囲へ組み合わせます。

Q. 照射設定はどのように決めますか?

肌色、日焼け、肝斑の分布、炎症後色素沈着の既往、外用薬、前回治療後の赤み・乾燥から初回の範囲を決め、次回の写真と症状記録で波長、範囲、治療間隔を更新します。

Q. 国内で承認された医療機器ですか?

ADVATxは国内未承認医療機器です。医師の責任で適法に輸入して使用します。製造元は米国FDAで複数適応の510(k)クリアランス、欧州CE認証を公表していますが、国内未承認機器による健康被害は救済制度の対象外となる場合があります。

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