ヒアルロン酸はどのくらい持つ?2年後の追加注入の考え方
ジュビダームビスタ ボリューマXCを頬とフェイスラインへ3cc追加した症例です。前回注入から2年、凹みが気になり始めて約3ヶ月の正面・両斜位を比べ、残っている支えと戻った凹みを分けて追加位置を決めます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2021年11月29日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
2年後の正面で、戻った凹みと残る支えを分けます
ジュビダームビスタ ボリューマXCの持続は1年半〜2年が一つの目安です。この症例は2年前にも頬とフェイスラインへ注入しており、約3ヶ月前から同じ場所の凹みが気になり始めたため、今回も同じ2部位へ合計3ccを追加しました。
正面写真は左が追加前、右が追加後です。追加後は、頬外側の凹みで生じていた影とフェイスラインの段差がなだらかになり、頬から下顎へ続く輪郭が見えやすくなっています。
ヒアルロン酸を3cc足しても顔が大きく見えにくいのは、凹みの影と輪郭の途切れが減る視覚効果によるものです。単に前へ膨らませるのではなく、頬とフェイスラインの不足部位へ配分して、正面の横幅と重心を整えます。
2年という年数だけで一律に追加しない理由として、78週時に追加基準を満たした割合は40%で、追加せず104週まで完遂した集団では95.6%に1段階以上の改善が残ったとの報告がありました(参考文献1)。
左斜位で、頬の高まりから下顎縁へのつながりを見ます
左斜位も左が追加前、右が追加後です。正面では分かりにくい頬外側の浅い凹み、口横へ落ちる影、下顎角から顎先へ続く線を一枚で比べます。
追加後は頬の高まりから口元、フェイスラインへ続く面が滑らかに見えます。線を直接埋めるのではなく、その周囲の支えを補うことで、頬の突出を強くせずに影を浅くする配分です。
2年前と同じ部位を選んでいても、前回と同じ位置へ同じ量を機械的に重ねるわけではありません。写真と触診で残る支えを避け、今回戻った凹みへ3ccの中から必要量を配分します。
右斜位も比べ、片側だけを整えすぎないようにします
右斜位も左が追加前、右が追加後です。反対側でも頬外側の影、フェイスラインの凹凸、顎先までの連続を確認し、正面だけでは見落としやすい左右差を補正します。
追加後は頬から下顎縁への輪郭がなだらかになっています。片側の写真だけで量を決めず、正面と両斜位を往復し、左右それぞれの凹みの深さに合わせて配分します。
部位ごとに追加量と経過を分ける理由として、中顔面・口周囲・口唇では鼻唇溝より腫れ、凹凸・しこり、硬さが多く、痛み・赤み・内出血などには明確な部位差がなかったとの報告がありました(参考文献2)。
追加時期は年数ではなく、戻り方で決めます
この症例では前回から2年が経過し、約3ヶ月前から凹みの戻りを自覚したことが追加のきっかけでした。まだ頬や下顎の支えが残り、正面・両斜位の輪郭が保たれていれば、2年を過ぎても追加せず経過を見る選択があります。
追加するときは、前回の製剤、施術日、左右と部位、総量を診療記録で確認します。今回はボリューマXC 3ccですが、前回と同じ量を前提にせず、現在の不足量から決めます。
注入後に触れる硬さは1〜2か月ほど続くことがあります。追加前に硬さ、圧痛、動きにくいしこりがあれば、新しい凹みとは分けて位置を確認してから次の注入を考えます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 前回の施術日、ジュビダームビスタ ボリューマXCの使用本数、頬・フェイスラインの左右を診療記録で確認し、当時と現在の正面・両斜位を同じ順で並べます。
- 触診で頬の支え、フェイスラインの凹み、硬さ・しこりを分け、必要な場合は超音波で既存製剤と血管の位置を確認します。
- 残る支えを生かし、影が戻った部位だけを追加候補にして、正面の横幅と両斜位の輪郭を同時に整えます。
- 注入直後だけで完成量を決めず、腫れが引いた後に左右差と硬さを見直し、次回は今回の3ccではなく、その時点の不足量から計画します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 必要部位へボリューマXCを追加 | 頬・フェイスラインの凹みが戻り、残る支えを避けて補える状態 | 十分な支えが残る、硬いしこり・炎症・感染がある、追加で重く見える状態 | 通常1回。腫れが引いた後に正面・両斜位を再評価 | 腫れ、内出血、圧痛、左右差、硬さ・しこり。まれに血管閉塞 | 1本1cc 77,000円。症例の3ccは231,000円 | ジュビダームビスタ ボリューマXC/承認番号22800BZX00338000 |
| 本数を分けた段階的な追加 | 残存量や左右差を見ながら、追加後の重さを避けたい状態 | 活動性の炎症・感染、強い硬結、原因が判別できない凹凸 | 初回の腫れが引いてから、残る不足部位だけを再評価 | 各回の腫れ、内出血、圧痛、左右差、硬さ・しこり。まれに血管閉塞 | 使用本数×1本1cc 77,000円 | 使用製剤の承認範囲内で部位・深さを選択 |
| 追加せず経過観察 | 頬・下顎の支えが残り、凹みや左右差が気にならない状態 | 凹みの影と輪郭の途切れが明瞭に戻り、追加を希望する状態 | 正面・両斜位の変化を同条件で記録し、必要時に再評価 | なし | 診察区分により異なる | 医療機器を使用しないため該当なし |
費用の目安
- ヒアルロン酸注入 1本1cc:77,000円(税込)
- 症例のボリューマXC 3cc:231,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込。使用した場合)
今回の症例で使用したボリューマXC 3ccの製剤費は231,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。
リスク・副作用・注意点
- 腫れ、赤み、内出血、痛み、圧痛、左右差、硬さ・しこり、感染、遅発性炎症・結節、過矯正・凹凸
- 血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力障害・失明、脳卒中などの重い合併症
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)です。成人の中顔面、下顎部、こめかみなどで減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ注入する承認を受けています。現在の製造販売業者はアッヴィ合同会社です。症例の頬・フェイスラインはこの承認範囲に沿って扱います。
皮膚の青白化、網目状変色、異常な強い痛み、視覚異常が出た場合は直ちに連絡してください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study
研究デザイン: オーストラリア6施設の単群前向き24か月追跡研究。Juvéderm Volumaを頬部へ初回または4週までに追加し、78週・104週に基準を満たした場合のみ再治療 / 対象: 中顔面の軽度から重度のボリューム不足がある30〜60歳の103人。72人が104週を完遂し、45人は78週に追加治療を受けず104週を完遂 / 結果: 78週時は82人中33人(40%)が再治療基準を満たし、追加量は平均1.3mL/側。78週に追加せず104週を完遂した45人では43人(95.6%)が治療前より1段階以上改善 / 限界: 対照群がなく、104週の結果は追加せず完遂した45人に限られるため選択・完遂者バイアスがあります。豪州のJuvéderm Volumaを中顔面へ用いた結果で、日本のボリューマXC、フェイスライン、今回の3ccの持続を直接示しません。研究はAllergan Australiaが資金提供し、6著者が有償研究者、2著者がAllergan従業員でした。PMC原著全文を2026年8月8日に確認しました。 / 利益相反: Allergan Australiaが研究を資金提供し、研究製品を提供。PC、IC、GG、SL、PM、TSは有償研究者、JRとMHはAllergan従業員。GGは他社を含む有償研究・コンサルティング関係も申告しています。
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Adverse Events Reported From Hyaluronic Acid Dermal Filler Injections to the Facial Region: A Systematic Review and Meta-Analysis
研究デザイン: 顔面ヒアルロン酸注入後の9種類の有害事象を、鼻唇溝と中顔面・口周囲・口唇で比較したシステマティックレビュー・メタ解析 / 対象: 無作為化試験・臨床試験19研究。14種類のヒアルロン酸製剤を含む成人の顔面注入 / 結果: 鼻唇溝以外の中顔面・口周囲・口唇では、腫れ、凹凸・しこり、硬さを報告した研究割合が有意に高かった。痛み、赤み、内出血、圧痛、かゆみ、皮膚変色には明確な部位差なし / 限界: 製剤、部位、針・カニューレ、注入量、追跡方法が不均一です。研究が扱った鼻唇溝以外の部位にフェイスラインを独立して含まず、まれな血管閉塞の発生率は評価できません。Matthew J. EliasはAllerganから個人報酬を受け、研究結果は同社の推奨を受けたものではないと申告しています。PMC全文を2026年8月8日に確認しました。 / 利益相反: Matthew J. EliasはAllerganからpersonal feesを受けたと申告。論文は研究結果がAllerganの推奨を受けたものではないと明記しています。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. ボリューマXCは1年半〜2年で必ずなくなりますか?
なくなる時期を一律には決められません。この症例では前回から2年後に追加しましたが、気になり始めたのは約3ヶ月前でした。残る支えと戻った凹みを正面・両斜位、触診で分けて追加時期を決めます。
Q. 今回の3ccはどこに注入しましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXC 3ccを頬とフェイスラインへ配分しました。左右へ均等に分けるのではなく、正面・両斜位で見える凹みの深さに合わせて配分します。
Q. 2年前と同じ量を入れますか?
同じとは限りません。前回量を診療記録で確認し、現在残っている支えを避け、戻った凹みだけに必要量を追加します。今回は現在の正面・両斜位から必要量を決め、合計3ccを使用しました。
Q. ヒアルロン酸を足すと、なぜ小顔に見えることがありますか?
頬やフェイスラインの凹みで生じる影と輪郭の途切れが減ると、外側の線が滑らかに見えるためです。脂肪を減らす治療ではなく、面のつながりを整える視覚効果です。
Q. 追加注入後にすぐ連絡が必要な症状はありますか?
皮膚の青白化や網目状変色、通常と異なる強い痛み、見え方の異常があれば直ちに連絡してください。軽い腫れや内出血とは分け、血管閉塞の可能性を緊急評価します。
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