医師解説ヒアルロン酸

ヒアルロン酸4ccで頬・フェイスライン・唇をメンテナンスするときの考え方

前回のヒアルロン酸治療から約1年後、頬のこけと疲れた印象が再び気になった症例です。ボリューマXC 3.4ccで頬・フェイスラインを支え、ボルベラXC 0.6ccで上唇を整え、正面と斜位で全顔を再評価しました。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年9月13日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 約1年後は、現在の頬・フェイスライン・唇を正面から見直します
  2. ボリューマXC 3.4ccとボルベラXC 0.6ccの役割を分けます
  3. 斜位では、頬の投影・フェイスライン・上唇を一続きで確認します
  4. 製剤の承認目的を分け、しこりの経過と血流障害を確認します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

約1年後は、現在の頬・フェイスライン・唇を正面から見直します

前回の施術から約1年が経ち、最近また顔がこけて疲れて見えるため、明るく元気な印象へ整えたいという希望がありました。今回使用した製剤は、ジュビダームビスタ ボリューマXC 3.4ccとジュビダームビスタ ボルベラXC 0.6ccで、合計4ccです。

正面の治療後は、頬の中央から外側へ続く丸みが増し、頬から下顎へ続くフェイスラインがなだらかに見えます。上唇は中央の高さと赤唇の厚みが増し、人中が視覚的に短く見える口元へ変化しています。

メンテナンスでは、現在の頬のこけ、フェイスラインの支持、上唇の高さを同じ正面写真で記録します。4ccは今回の全量として扱い、頬・フェイスラインを支える製剤と、よく動く唇を整える製剤の役割を分けます。

約1年後のメンテナンスでは、部位ごとの残り方を正面・斜位と触診で確認して量を決めます。MRIでは、外側のこめかみ・頬と中顔面のヒアルロン酸は27か月時も確認できる一方、顎周囲は19か月時にほぼ消失していたとの報告がありました(参考文献1)。

ボリューマXC 3.4ccとボルベラXC 0.6ccの役割を分けます

ボリューマXC 3.4ccは、頬の前方・外側の支持と、頬から下顎部へ続くフェイスラインを整えるために使用しました。正面で頬幅と左右差を確認し、こけて見える範囲を支えた後に外輪郭のつながりを見ます。

ボルベラXC 0.6ccは唇へ使用しました。上唇中央の高さ、キューピッド弓から口角へ続く曲線、安静時に口を閉じた状態を確認し、顔全体の新しい重心に口元を合わせます。

頬を支えた後は、高点だけでなく外側・下側の頬までの曲面を確認します。ボリューマXC治療後、外側・下側の頬に満足した割合は治療前59.0%から6か月時97.6%、24か月時89.8%へ上がったとの報告がありました(参考文献2)。

ボルベラXCで上唇を整えた後は、赤唇の高さと口周囲を時間経過で確認します。口唇充足度が改善した割合は3か月時80.3%で、1年まで60%を超え、口周囲の線は3か月時65.4%、1年時66.2%に改善がみられたとの報告がありました(参考文献3)。

斜位では、頬の投影・フェイスライン・上唇を一続きで確認します

斜位の治療後は、頬骨下から前頬へ続く曲面がふっくらし、口角横から下顎へ続く線がなだらかに見えます。頬の高点が前方へ移ることで、正面で感じた疲れた影も斜位では浅く見えます。

上唇は赤唇の前方投影と中央の高さが増し、鼻下から上唇へ移る角度が変化しています。上唇だけを拡大して見るのではなく、頬の投影、鼻唇溝、口角、顎先との前後関係を同じ斜位で確認します。

次のメンテナンス時期は、前回からの月数だけで決めず、正面と斜位で頬・フェイスライン・唇の変化を記録し、触診で残る製剤と新しく生じた支持不足を確認して決めます。

製剤の承認目的を分け、しこりの経過と血流障害を確認します

ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみで減少したボリュームを増大する製剤、ボルベラXCは顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大に用いる製剤です。今回の頬・フェイスラインと唇では、目的に合わせて2製剤を使い分けます。

この症例の案内では、注入部のしこりを1〜2か月ほど感じることがあります。腫れ、圧痛、硬さ、左右差が少しずつ弱まるかを再診で確認します。

通常と異なる強い痛み、皮膚や口唇の白色化・紫色または網目状の変化、視力・視野の異常がある場合は、予定日を待たずに連絡してください。頬・下顎部では顔面動脈、唇では上唇動脈の走行を重ね、注入中から皮膚色と痛みを確認します。

ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみで減少したボリュームを増大する目的の国内承認製剤です(参考文献4)。

ボルベラXCは、成人の顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的とする国内承認製剤です(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 約1年前の治療歴と現在の希望を時系列で確認し、正面では頬のこけ、口角横の影、フェイスライン、上唇中央の高さを一枚で記録します。
  • 斜位では、頬の前方投影、頬骨下の影、口角から下顎へ続く線、上唇の前方投影を見て、今回支える範囲を決めます。
  • ボリューマXC 3.4ccは頬・フェイスライン、ボルベラXC 0.6ccは唇という製剤別の目的を保ち、合計4ccを全顔のバランスとして評価します。
  • 腫れが落ち着いた再診で正面・斜位と触診を繰り返し、頬のこけ感、下顔面の曲線、上唇の高さが安定する時点を次回メンテナンスの基準にします。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボリューマXCで頬・フェイスラインを支える 約1年後に頬のこけ、口角横の影、中顔面・下顎部の支持不足が再び目立つ状態 眼窩周囲への使用、活動性の炎症・感染、残る製剤で既に十分なボリュームがある状態 通常1回後、正面・斜位と触診で再評価。本症例は3.4cc 腫れ、痛み、内出血、左右差、凹凸・しこり。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害、脳卒中 1本1cc 77,000円。今回の4本の製剤費は合計308,000円 中顔面・下顎部・こめかみは国内承認。承認番号22800BZX00338000
ボルベラXCで上唇を整える 上唇中央の高さ、赤唇の厚み、口角までの曲線を整え、人中を視覚的に短く見せたい状態 活動性の口唇ヘルペス・炎症・感染、前回注入後の強い腫れや硬さが残る状態 通常1回後、腫れが落ち着いた時点で安静時・笑顔を再評価。本症例は0.6cc 腫れ、痛み、内出血、硬さ、左右差、しこり、口唇ヘルペス。まれに血管閉塞・組織壊死 1本1cc 77,000円+唇施術料11,000円。本症例の4本+唇施術料は319,000円 顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大は国内承認。承認番号23000BZX00331000
写真・触診で経過を確認する 頬・フェイスライン・唇の形が保たれ、現在の満足度が高く、残る製剤と変化を追える状態 強い痛み、皮膚・口唇の色調変化、視覚異常、感染所見など早期治療が必要な状態 正面・斜位と触診を定期的に比較し、支持不足が現れた部位から再計画 注入を行わない観察時はなし 再注入する場合は使用本数と部位加算に応じる 医療機器を使用しない経過観察は該当なし

費用の目安

  • ヒアルロン酸 1本1cc:77,000円(税込)
  • 本症例と同じ4本の製剤費:308,000円(税込)
  • 涙袋・唇施術料:11,000円(税込)
  • 本症例と同じ4本+唇施術料:319,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込、使用する場合)

本症例はボリューマXC 3.4ccとボルベラXC 0.6ccの合計4ccで、現在料金は1ccシリンジ4本と唇施術料の319,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。

リスク・副作用・注意点

  • ボリューマXC・ボルベラXCでは、発赤、腫れ、痛み、圧痛、内出血、硬さ、しこり、凹凸、左右差、感染、アレルギー、遅発性結節が生じることがあります。本症例の案内では、注入部のしこりを1〜2か月ほど感じることがあります。
  • 唇では一時的な強い腫れ、硬さ、左右差、口唇ヘルペス、口を動かしたときの違和感が出ることがあります。
  • 血管内への誤注入または血管・神経の圧迫により、血管閉塞、皮膚・口唇の壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中が起こる可能性があります。
  • 通常と異なる強い痛み、皮膚・口唇の白色化・紫色または網目状の変化、視力・視野の異常がある場合は、直ちに連絡してください。
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは、21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみで減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ注入する国内承認品です(承認番号22800BZX00338000)。眉間・眼窩周囲は承認範囲に含まれません。ジュビダームビスタ ボルベラXCは、成人の顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的とする国内承認品です(承認番号23000BZX00331000)。眼瞼は承認範囲に含まれません。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Master M, Roberts S. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2022;10(4):e4252. doi:10.1097/GOX.0000000000004252. PMID:35433153; PMCID:PMC9007185.

    Long-term MRI Follow-up of Hyaluronic Acid Dermal Filler

    研究デザイン: 複数回の顔面ヒアルロン酸注入後にMRIを2日、19か月、21か月、27か月で撮影し、部位ごとの信号変化を追跡した単一症例報告 / 対象: 中顔面のボリューム不足、フェイスライン、顎を3回に分けて異なる製剤で治療した47歳男性1人。3回目は外側側頭頬部と顎周囲へ計4mLを使用した。 / 結果: 外側側頭頬部と中顔面のヒアルロン酸信号は27か月時も確認できた。顎周囲では19か月時に大部分が消失し、27か月時はmenton上にわずかな信号のみ残った。別の脂肪区画への移動は認めなかった。 / 限界: 1人の症例で、部位、製剤、量、注入層が異なる。初回・2回目直後のMRIと連続した臨床写真がなく、本症例の約1年後の減り方、ボリューマXC 3.4cc・ボルベラXC 0.6ccの残存を示していない。

  2. Few J, Cox SE, Paradkar-Mitragotri D, Murphy DK. Aesthet Surg J. 2015;35(5):589-599. doi:10.1093/asj/sjv050. PMID:25964628; PMCID:PMC4482214.

    A Multicenter, Single-Blind Randomized, Controlled Study of a Volumizing Hyaluronic Acid Filler for Midface Volume Deficit: Patient-Reported Outcomes at 2 Years

    研究デザイン: 米国・カナダ15施設で行われた単盲検無作為化未処置対照試験のうち、ボリューマXC処置群の患者報告を24か月まで追跡した解析 / 対象: 35〜65歳で中等度〜重度の加齢性中顔面ボリューム不足がある成人。処置群235人、未処置対照47人で、患者報告の効果は処置群について解析した。 / 結果: 外側・下側の頬に満足した割合は治療前59.0%、6か月時97.6%、24か月時89.8%だった。患者評価で頬ボリュームが改善した割合は6か月時92.8%、24か月時79.0%だった。 / 限界: 患者は処置を認識しており、患者報告尺度の一部は未検証だった。加齢性中顔面ボリューム不足を対象とし、本症例のボリューマXC 3.4cc、下顎部、約1年後のメンテナンスを検証していない。

  3. Geronemus RG, Bank DE, Hardas B, Shamban A, Weichman BM, Murphy DK. Dermatol Surg. 2017;43(3):396-404. doi:10.1097/DSS.0000000000001035. PMID:28157728.

    Safety and Effectiveness of VYC-15L, a Hyaluronic Acid Filler for Lip and Perioral Enhancement: One-Year Results From a Randomized, Controlled Study

    研究デザイン: VYC-15LとNASHA製剤を比較し、任意のタッチアップ後1年まで追跡した前向き多施設無作為化比較試験 / 対象: 口唇のボリューム増大を希望する成人225人。口唇充足度が最小、軽度または中等度の人を対象とした。 / 結果: 3か月時の口唇充足度奏効率はVYC-15L 80.3%、対照70.8%で、VYC-15Lは1年まで60%を超えた。口周囲の線は3か月時65.4%、1年時66.2%に改善がみられた。 / 限界: 特定製剤と対照製剤の比較で、本症例のボルベラXC 0.6cc、人中の見え方、先行するボリューマXC 3.4cc、約1年後のメンテナンスを個別に検証していない。PubMed抄録を確認し、原著全文は取得していない。

  4. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文。使用目的、警告、臨床成績、有害事象を収載 / 対象: 承認目的は21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大。 / 結果: 皮下または骨膜上深部への注入が承認され、血管内注入は禁止されている。眉間・眼窩周囲は適用部位に含まれない。 / 限界: 電子添文は個別症例の治療計画を示すものではなく、本症例の頬・フェイスラインへの3.4cc配分、注入層・器具を確認できない。

  5. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボルベラXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号23000BZX00331000.

    ジュビダームビスタ ボルベラXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文。使用目的、警告、臨床成績、有害事象を収載 / 対象: 承認目的は成人の顔面のしわ・溝、陥凹の修正と口唇増大。 / 結果: 口唇への注入が承認され、血管内注入は禁止されている。眼瞼は適用部位に含まれない。 / 限界: 電子添文は個別症例の治療計画を示すものではなく、本症例の上唇0.6cc、注入範囲・層・器具を確認できない。

よくあるご質問

Q. このメンテナンス症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

頬・フェイスラインへジュビダームビスタ ボリューマXC 3.4cc、唇へジュビダームビスタ ボルベラXC 0.6ccを使用し、合計4ccです。

Q. 前回から約1年後に、どこを見直しましたか?

正面で頬のこけ、口角横の影、フェイスライン、上唇中央の高さを確認し、斜位で頬の投影、下顔面の曲線、上唇の前後位置を見直しました。

Q. 唇へ0.6cc入れると、なぜ人中が短く見えるのですか?

上唇中央の高さと赤唇の前方投影が増すと、鼻下から赤唇までの見える距離と角度が変わります。皮膚の人中を切除する治療ではなく、上唇の形によって視覚的に短く見せる方法です。

Q. 注入後のしこりは、どのくらい続きますか?

この症例の案内では、注入部のしこりを1〜2か月ほど感じることがあります。通常と異なる強い痛み、皮膚・口唇の白色化や紫色・網目状の変化、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。

Q. この症例と同じ4ccの料金と承認状況を教えてください。

ヒアルロン酸4本の製剤費308,000円と唇施術料11,000円で、合計319,000円(税込)です。カテラン針を使用する場合は11,000円(税込)が加わります。ボリューマXCとボルベラXCはいずれも国内承認品で、頬・下顎部と口唇の目的に合わせて使い分けます。

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