唇をヒアルロン酸1ccで整えて、立体感と面長感のバランスを考える
ジュビダームビスタ ボリューマXC 1ccを唇へ使用し、厚みだけでなく、側面の投影、左右斜位の曲線、正面の上下唇バランスを整えた症例です。4方向の治療前後から、口元の立体感が顔の縦バランスへ与える変化を説明します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年10月27日
- 実質更新日
- 2026年8月9日




Contents
目次
側面では、唇の前方投影と鼻・あごのつながりを見ます
右側面は上段が治療前、下段が治療後です。治療後は上唇と下唇の前方投影が加わり、鼻下から口元、あご先へ続く横顔の曲線が明瞭になっています。あごの位置は変えず、唇の立体感で口元の重心を調整した変化です。
面長感を唇から整えるときは、顔の長さを変えるのではなく、鼻下・上下唇・あごの各区間に対して、口唇がどの位置に見えるかを確認します。側面で突出が強くなり過ぎない位置を見たあと、正面と左右斜位で幅と曲線を合わせます。
唇の前方投影は治療直後だけで決めず、腫れが落ち着いた後にも形を見直します。口唇用の別製剤による治療では、3か月時に1段階以上改善した割合が80.3%で、1年後にも60%を超えていたとの報告がありました(参考文献1)。
右斜位では、上唇中央から口角までの曲線を確認します
右斜位も上段が治療前、下段が治療後です。治療後は上唇中央の立ち上がりと、中央から口角へ移る輪郭が見えやすくなり、下唇との前後関係も整っています。
斜位は、正面だけでは分かりにくい上唇中央の投影、外側へ向かう曲線、上下唇の重なりを確認する角度です。厚みを一様に増やすのではなく、側面で決めた前方投影が口角まで自然につながるかを見ます。
左斜位で、反対側の曲線と左右差を見直します
左斜位は上段が治療前、下段が治療後です。治療後は上唇と下唇の厚みが横顔へ自然につながり、口元からあごへ移る下顔面の輪郭がなだらかに見えます。
片側の斜位だけで形を決めると、中央結節や外側の曲線の差を見落とします。右斜位と左斜位を同じ順序で比べ、唇の左右で投影がそろっているか、口を閉じたときに一部だけ強く当たらないかを再評価します。
正面では、キューピッド弓と上下唇の厚みを分けて見ます
正面は上段が治療前、下段が治療後です。治療後は上唇のキューピッド弓と赤唇高が見えやすくなり、下唇にも丸みが加わっています。上下唇の厚みと横幅を一緒に見ることで、1ccによる立体感を顔全体の中で確認できます。
正面は治療中にも鏡で確認し、中央だけが強く出ていないか、左右の口角まで輪郭が連続しているか、無理なく口を閉じられるかを見て終了点を決めます。
正面では、中央の高さ、口角までのS字状の曲線、上唇と下唇の比率、安静時の口唇閉鎖を記録します。口唇の変化を厚みだけでなく曲線として評価した別の注入法では、1週後に口角が平均1.02mm上がり、上唇中央から口角までの曲線長が6.5%増えたとの報告がありました(参考文献2)。
1ccの終了点は、腫れが落ち着いた後にも確認します
この症例で使用した製剤はジュビダームビスタ ボリューマXC、総量は1ccです。治療直後はやや腫れた印象が出るため、その場で厚みを追加せず、腫れが落ち着いた後に側面・左右斜位・正面を同じ順序で再評価します。
承認の有無はヒアルロン酸一般ではなく、販売名と注入部位の組み合わせで確認します。本症例で使用した製剤と、国内で口唇増大を承認目的に含む同シリーズの製剤は、承認範囲を分けて説明します。
唇には上・下唇動脈とその分枝が走ります。通常と異なる強い痛み、皮膚や粘膜の白色化、暗紫色または網目状の変化、冷たさ、見え方の異常がある場合は、予定の再診日を待たず直ちにご連絡ください。
ボリューマXCは国内承認製品ですが、承認された使用目的は21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大で、口唇への使用は承認範囲外です(参考文献3)。
国内で口唇増大を承認目的に含む同シリーズの製剤には、ジュビダームビスタ ボルベラXCがあります(参考文献4)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 側面で、鼻下から上下唇、あご先へ続く前方投影を確認し、口元が突出し過ぎない終了点を決めます。
- 左右斜位で、上唇中央から口角までの曲線と上下唇の重なりを比べ、片側だけ厚みが強くならないように確認します。
- 正面で、キューピッド弓、赤唇高、上下唇の比率、口唇閉鎖を記録し、1ccを顔の縦バランスの中で評価します。
- 治療直後の腫れを最終形とせず、腫れが落ち着いた時点で4方向を再撮影し、追加の必要性を判断します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ボリューマXC 1ccの口唇注入(掲載症例) | 側面の前方投影、左右斜位の曲線、正面の上下唇バランスを1ccで整える状態 | 既に口唇量が十分、口唇閉鎖が難しい、感染・炎症がある、既注入製剤が不明な状態 | 通常1回。腫れが落ち着いた後に4方向を再評価 | 腫れ、赤み、内出血、痛み、左右差、硬さ・結節など。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 | 1本1cc 77,000円+涙袋・唇施術料11,000円、計88,000円 | 製剤は国内承認品(22800BZX00338000)だが、口唇への使用は国内承認範囲外 |
| ボルベラXCの口唇注入 | 顔面のしわ・へこみ修正または口唇増大を国内承認目的に含む製剤で治療する状態 | 感染・炎症がある、血管障害リスクの確認ができない、非HA製剤が残る状態 | 通常1回。必要に応じて腫れが落ち着いた後に再評価 | 腫れ、赤み、内出血、痛み、左右差、硬さ・結節など。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 | 1本1cc 77,000円+涙袋・唇施術料11,000円、計88,000円 | 成人の顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的とする国内承認品(23000BZX00331000) |
| 腫れが落ち着いた後の段階的追加 | 初回1cc後に一部の投影・曲線・左右差が残り、口唇閉鎖と動きに問題がない状態 | 治療直後の腫れを最終形とみなして追加したい、血流障害や感染が疑われる状態 | 初回後に側面・左右斜位・正面を再撮影し、必要部位だけを追加 | 追加治療ごとに腫れ、内出血、痛み、左右差、硬さ・結節など | 追加1本1cc 77,000円。唇施術料11,000円、使用器具により別途加算 | 追加時も販売名と口唇への承認範囲を確認 |
費用の目安
- ヒアルロン酸:1本1cc 77,000円(税込)
- 涙袋・唇施術料:11,000円(税込)
- 本症例と同じ1本+唇施術料の現在の基本料金:88,000円(税込)
- カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)追加
すべて税込・自由診療です。本症例の使用量はボリューマXC 1ccと確認できるため、現在の1本料金と唇施術料で基本料金を算定しました。カテラン針は元素材に使用記載がないため、使用する場合だけ加算します。
リスク・副作用・注意点
- 治療直後の腫れ、赤み、痛み、圧痛、内出血、左右差、凹凸、違和感、硬さ・結節など
- アレルギー、感染、遅発性の炎症・結節、過修正、口唇閉鎖や表情の違和感など
- まれに血管閉塞、皮膚・粘膜の虚血や壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
- 通常と異なる強い痛み、白色化、暗紫色または網目状の変化、冷たさ、見え方の異常は直ちに確認が必要
- 国内承認・適応: 本症例のジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認医療機器(承認番号22800BZX00338000)ですが、承認目的は21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大で、口唇への使用は適応外です。ジュビダームビスタ ボルベラXCは、成人の顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的とする国内承認医療機器です(承認番号23000BZX00331000)。
captionに治療直後の腫れが示されるため本文へ1回保持し、血流障害の緊急症状は安全節とFAQへ集約しました。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Safety and Effectiveness of VYC-15L, a Hyaluronic Acid Filler for Lip and Perioral Enhancement: One-Year Results From a Randomized, Controlled Study
研究デザイン: 前向き多施設無作為化比較試験。VYC-15LとNASHAを比較し、30日後の任意タッチアップ後に1年間追跡した。 / 対象: 口唇充足度がminimal、mildまたはmoderateの成人225人。 / 結果: 3か月時の口唇充足度改善率はVYC-15L 80.3%、対照70.8%で、VYC-15Lは1年まで60%超の改善率を維持した。3か月時のFACE-Q口唇満足度改善は96.1%だった。 / 限界: VYC-15L(ボルベラXC)とNASHAを比較した研究で、本症例のボリューマXC 1cc、注入配分・層、面長感の変化を検証していない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に再確認し、原著全文は取得していない。
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9-point Injection Technique for Lip Augmentation and Lip Corner Lifting Using Sonographic Imaging of the Labial Artery Pathway
研究デザイン: 超音波で上下唇動脈を確認し、9点注入法を行った症例を後方視的に抽出して三次元画像と3か月経過を評価した単施設研究。 / 対象: 2017〜2022年に同手技を受けた382人から、超音波資料がそろう女性50人を抽出。平均35.7歳、18〜65歳。粒子型HA 1mLを1回使用した。 / 結果: 1週後に口角は平均1.02mm上昇し、口角角度は8.80%減少、上唇中央から口角までの曲線長は6.50%増加した。翌日に過量感を訴えた人は16%だったが1週後に腫れが軽減し、1週時に水疱様結節が10%で確認された。 / 限界: 対照群のない単一術者・単施設の後方視的研究で、全例女性、特定の粒子型HAと9点注入法による結果。本症例のボリューマXC、注入点・層、上下唇への配分、面長感を検証していない。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に再確認した。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器添付文書。 / 対象: 21歳以上の成人。中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリューム増大を目的に使用する。 / 結果: 皮下または骨膜上深部への注入として承認され、血管内注入を禁止し、誤注入による皮膚壊死、視力異常・失明、脳卒中等への注意を求めている。口唇は承認範囲に含まれない。 / 限界: 添付文書は承認範囲と安全情報を示す資料で、口唇へのボリューマXC 1ccの有効性、注入配分・層、治療前後の変化を検証する研究ではない。PDF全6頁を2026年8月9日に再確認した。
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ジュビダームビスタ ボルベラXC 添付文書
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器添付文書。 / 対象: 成人。顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的に使用する。 / 結果: 口唇粘膜内・皮下注入による口唇増大が承認され、血管内注入を禁止し、過修正や血管障害に注意を求めている。 / 限界: 添付文書は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例で使用したボリューマXC 1ccの治療結果や、製剤間の比較優位を示さない。PDF全6頁を2026年8月9日に再確認した。
よくあるご質問
Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを唇へ1cc使用しました。上唇・下唇の部位別配分は固定せず、側面・左右斜位・正面で立体感と曲線を確認します。
Q. 唇へ1cc入れると、なぜ面長感の見え方が変わるのですか?
唇の前方投影と赤唇高が加わると、鼻下・口元・あごの間で口元の重心が明瞭になるためです。顔の長さや骨格を変える治療ではなく、4方向から口元と下顔面の比率を整えます。
Q. 現在の料金はいくらですか?
ヒアルロン酸1本1ccは77,000円、涙袋・唇施術料は11,000円で、基本料金は合計88,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加算されます。すべて税込・自由診療です。
Q. ボリューマXCは唇への国内承認がありますか?
ボリューマXCは国内承認製品ですが、承認範囲は21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみで、唇への使用は適応外です。国内で口唇増大を承認目的に含む同シリーズの製剤にはボルベラXCがあります。
Q. 施術後にすぐ連絡した方がよい症状はありますか?
通常と異なる強い痛み、唇や周囲皮膚の白色化、暗紫色または網目状の変化、冷たさ、見え方の異常がある場合は、血流障害の可能性があるため直ちにご連絡ください。
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