医師解説ヒアルロン酸注入

クマ感と骨格のゴツゴツ感をヒアルロン酸4.5ccでやわらげる考え方

たるみがほとんどない一方、頬からフェイスラインの骨格の角と凹みが影をつくり、クマ感と疲れた印象が強く見えた症例です。ジュビダームビスタ ボリューマXCを頬・フェイスラインへ計4.5cc使用し、正面と両斜位で輪郭の曲面を整えました。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年11月2日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面では、目の下から頬へ続く影と輪郭の角を見ます
  2. 一方の斜位では、頬骨から下顎縁までの曲線を追います
  3. 反対側の斜位で、頬とフェイスラインの左右差を確かめます
  4. たるみが少ない顔では、減らすより支えを補う部位を選びます
  5. ボリューマXC 4.5ccの承認範囲・料金・安全確認
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

正面では、目の下から頬へ続く影と輪郭の角を見ます

正面比較は左が治療前、右が治療後です。治療前は目の下から頬上部へ続く影と、頬骨からフェイスラインへ移る面の段差が強く、たるみが少なくても疲れた印象に見えていました。

頬とフェイスラインへボリューマXCを合計4.5cc使用した後は、目の下から頬へ移る影が薄く見え、頬外側から下顎縁までの輪郭がなだらかにつながっています。クマ感だけを一点で埋めるのではなく、正面で両頬の高点、頬骨下の影、下顎縁の左右差を一緒に確認します。

頬を補った後に目の下から頬へ続く影を見直す理由として、ボリューマによる6か月時の頬部体積変化は1.83mLで、無治療の0.11mLを上回り、医師評価98.2%、本人評価93.8%が改善したとの報告がありました(参考文献1)。

一方の斜位では、頬骨から下顎縁までの曲線を追います

一方の斜位も左が治療前、右が治療後です。治療前は頬骨下のくぼみと下顎縁の角が連続して見え、頬の中央より骨格の線が目立っています。

治療後は頬の高点から外側頬、下顎縁へ向かう面の途切れが減り、骨ばった印象がやわらいでいます。頬だけを前へ出すのではなく、斜位で頬からフェイスラインまでのつながりを見て終了点を決めます。

フェイスラインを両斜位で評価する理由として、下顎輪郭へのヒアルロン酸治療では6か月時に両側が1段階以上改善した割合が69.0%で、無治療群の38.0%を上回ったとの報告がありました(参考文献2)。

反対側の斜位で、頬とフェイスラインの左右差を確かめます

反対側の斜位でも、左の治療前と右の治療後を比べます。治療前に強く見えた頬骨下の影と下顎縁の角がやわらぎ、頬から顎先へ続く輪郭が一つの曲線に近づいています。

正面だけでは隠れる外側頬のくぼみや下顎縁の段差は、両斜位を往復して確認します。片側の輪郭だけを基準にせず、左右それぞれの頬の高点とフェイスラインのつながりをそろえます。

たるみが少ない顔では、減らすより支えを補う部位を選びます

この症例は皮膚のたるみより、頬から下顎へ続く骨格の凹凸が印象の中心でした。脂肪を減らす治療や引き締めを先に行うのではなく、頬とフェイスラインの不足した支えを補う設計です。

診察では頬を軽く持ち上げたときの影の変化、頬骨下のくぼみ、下顎縁の段差を正面と両斜位で見ます。頬の高点を大きくしすぎず、クマ感と輪郭の角が同時にやわらぐ曲面を目標にします。

ボリューマXC 4.5ccの承認範囲・料金・安全確認

本症例で使用した製剤はジュビダームビスタ ボリューマXC、総量は4.5cc、治療部位は頬とフェイスラインです。現在この製剤で治療する際は、実際の注入位置を中顔面・下顎部の承認範囲に照らして設計し、クマ感があっても眼窩周囲へ直接注入する治療とは分けます。

現行料金はヒアルロン酸1本1CC 77,000円、カテラン針を使用する場合は11,000円です。症例記録の4.5ccは実際の使用量で、料金表は1ccシリンジ単位のため、症例総額は使用したシリンジ本数と残注入の扱いで決まります。

注入時は顔面動脈の走行を部位ごとに想定し、少量ずつ輪郭を確認します。通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化、暗紫色や網目状の変化、冷たさ、視力・視野の異常がある場合は、直ちに評価します。

頬から下顎縁を一つの深さで扱わない理由として、顔面動脈は下顎部で皮膚から2.5〜15.0mm、口角部で3.7〜18.7mmと大きく異なる深さを走ったとの報告がありました(参考文献3)。

ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを皮下または骨膜上深部から補う国内承認製剤で、眼窩周囲と血管内への注入は禁止されています(参考文献4)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面で目の下から頬へ続く影、頬の高点、下顎縁の左右差を見て、クマ感を強めている輪郭の段差を特定します。
  • 両斜位で頬骨下のくぼみ、外側頬の支え、頬から下顎縁へ続く曲面を確認し、皮膚のゆるみよりボリューム不足が主な部位を選びます。
  • 頬とフェイスラインを部位ごとに少量ずつ補い、その都度正面と両斜位へ戻って、骨格の角がやわらぎながら頬の高点が大きくなりすぎない位置を探します。
  • 腫れが落ち着いた再診では同じ正面・両斜位でクマ感、頬骨下の影、下顎縁の段差を見直し、追加量は残った不足から決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
頬・フェイスラインへボリューマXC 4.5cc(掲載症例) たるみが少なく、頬骨下のくぼみと下顎縁の骨格の角がクマ感・疲れた印象を強める状態 頬のボリュームが十分、活動性炎症・感染、強い硬結、既注入製剤の状態が判別できない状態 通常1回後、腫れが落ち着いてから正面・両斜位を再評価 腫れ、内出血、痛み、左右差、凹凸、硬さ・しこり。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 ヒアルロン酸1本1CC 77,000円。カテラン針使用時11,000円 ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみが国内承認範囲
本数を分けた段階的な補整 頬と下顎縁のうち、どの不足がクマ感と輪郭へ影響するかを分けて確認したい状態 強い痛み、皮膚色の異常、視機能変化があり、緊急処置を優先する状態 初回の腫れが落ち着いてから、不足部位だけを再評価 各回の腫れ、内出血、痛み、左右差、凹凸、硬さ・しこり。まれに血管閉塞 使用本数×1本1CC 77,000円 製剤の承認範囲に沿って部位・深さを選択
脂肪減少・引き締め治療 頬・顎下の脂肪量や皮膚のゆるみが輪郭の主因となる状態 本症例のようにたるみが少なく、骨格の凹凸と影が主な状態 機器・施術により1回〜複数回 選択する機器・施術により異なる 選択する治療の料金表を参照 使用する機器・目的ごとに承認範囲が異なる

費用の目安

  • ヒアルロン酸:1本1CC 77,000円(税込)
  • カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)
  • 掲載症例の使用量:ボリューマXC 4.5cc。料金表は1ccシリンジ単位のため、症例総額は使用したシリンジ本数と残注入の扱いで決定

すべて税込・自由診療です。症例記録は4.5ccですが、現行料金表は1本1cc単位です。

リスク・副作用・注意点

  • 注入部位の腫れ、赤み、痛み、圧痛、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこりなど
  • アレルギー、感染、遅発性の炎症・結節、過修正、製剤の移動など
  • まれに血管閉塞、皮膚の虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
  • 通常と異なる強い痛み、青白化、暗紫色や網目状の皮膚変化、冷たさ、見え方の異常は直ちに確認が必要
  • 国内承認・適応: 本症例のジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認医療機器(承認番号22800BZX00338000)です。成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大が承認目的で、皮下または骨膜上深部へ使用します。血管内注入は禁止され、眼窩周囲は適用部位に含まれません。

症例captionの1〜2か月程度のしこり感を保持し、電子添文の血管閉塞・視機能に関わる緊急症状を安全節とFAQへ集約しました。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Li D, Wang X, Wu Y, et al. Plast Reconstr Surg. 2017;139(6):1250e-1259e. doi:10.1097/PRS.0000000000003355. PMID:28538556; PMCID:PMC5444429.

    A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects

    研究デザイン: 未治療対照を置いた前向き多施設無作為化比較試験。三次元画像で両側頬部の体積変化を盲検解析した。 / 対象: 18歳以上の中国人146人。ボリューマ処置群119人、未治療対照群27人。処置群の初回注入量は平均1.9mL、タッチアップを含む平均2.3mLだった。 / 結果: 6か月時の頬部体積変化は処置群1.83mL、対照群0.11mL。改善率は医師評価98.2%、本人評価93.8%だった。 / 限界: 中国人の内側頬部を中心とする研究で、涙溝・ほうれい線・上口唇は治療対象外。本症例の頬・フェイスライン合計4.5cc、部位別配分、クマ感、下顎縁を直接検証していない。 / 利益相反: 複数著者がAllerganの研究者を務め、2人はAllergan ChinaまたはAllergan, Inc.の社員、うち1人は株式を保有していた。著者への執筆謝礼はなかった。

  2. Rivkin A, Green JB, Bruce S, et al. Aesthet Surg J. 2024;44(12):1341-1349. doi:10.1093/asj/sjae147. PMID:38985546; PMCID:PMC11565862.

    Safe and Effective Restoration of Jawline Definition With Hyaluronic Acid Injectable Gel VYC-25L: Results From a Randomized Controlled Study

    研究デザイン: 米国多施設、評価者盲検、無治療対照の無作為化比較試験。12か月追跡した。 / 対象: 下顎輪郭の低下が中等度以上の成人206人。治療群157人、対照群49人。治療群の初回平均注入量は4.53mL、タッチアップを含む平均総量は6.22mLだった。 / 結果: 6か月時に両側の下顎輪郭が1段階以上改善した割合は治療群69.0%、対照群38.0%。本人と医師のGAIS改善率は88.4%と89.0%だった。 / 限界: 使用製剤はVYC-25L(米国名Volux XC)で、本症例のボリューマXCとは製剤が異なる。米国で主に白人女性を対象とし、本症例の頬との同時治療、4.5ccの配分、骨格のゴツゴツ感を直接検証していない。 / 利益相反: Allergan Aesthetics(AbbVie)が研究設計、実施、解析、論文確認を含めて資金提供した。著者には同社の研究者、顧問、講演者、社員が含まれる。

  3. Ten B, Kara T, Kaya TI, et al. J Cosmet Dermatol. 2021;20(7):2247-2258. doi:10.1111/jocd.13838. PMID:33171021.

    Evaluation of facial artery course variations and depth by Doppler ultrasonography

    研究デザイン: 生体ドプラ超音波による顔面動脈の走行・径・皮膚からの深さの観察研究。 / 対象: 84人168側の顔面を、下顎骨下縁から終枝の角動脈まで観察した。 / 結果: 顔面動脈の最浅・最深値は下顎部2.5〜15.0mm、口角部3.7〜18.7mm、鼻翼部3.7〜23.5mmだった。 / 限界: ほうれい線周囲の血管走行を主目的とする観察研究で、個々の注入時の血管位置、ボリューマXC、4.5cc、頬・下顎部の治療結果や合併症率を示さない。原著全文は取得できず、PubMed抄録・XMLと書誌を確認した。 / 利益相反: PubMed抄録・XMLに資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため不明。

  4. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文。使用目的、使用方法、警告、国内承認時の臨床成績、有害事象を収載。 / 対象: 承認目的は成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大。比較臨床試験は加齢性中顔面ボリューム減少の成人を対象とした。 / 結果: 承認時試験では6か月時の中顔面MFVDS奏効率が処置群85.6%、未処置対照群38.9%。眼窩周囲と血管内への注入は禁止されている。 / 限界: 電子添文は本症例の4.5ccの頬・フェイスライン別配分、注入順、層、器具、撮影時期、クマ感の変化を示さない。下顎部の比較臨床試験による安全性・有効性は確立されていないと記載されている。 / 利益相反: 製造販売業者アッヴィ合同会社の承認製品電子添文である。

よくあるご質問

Q. たるみが少なくてもヒアルロン酸が向くことはありますか?

あります。この症例では皮膚のたるみより、頬骨下のくぼみとフェイスラインの骨格の角が疲れた印象を強めていました。頬と下顎縁の支えを補うと、正面と両斜位で輪郭がなだらかに見えます。

Q. クマ感がある場合、目の下へ直接注入しますか?

クマ感は目の下の凹みだけでなく、頬骨周囲の段差と頬上部の影でも強く見えます。本症例の治療部位は頬とフェイスラインで、頬を整えた後に目の下から頬へ続く影を再評価します。

Q. 4.5ccは全員に必要な量ですか?

4.5ccはこの症例で頬とフェイスラインへ使用した総量です。正面と両斜位で頬骨下のくぼみ、下顎縁の段差、左右差を確認し、必要量を決めます。

Q. ボリューマXC 4.5ccの料金はいくらですか?

現行料金はヒアルロン酸1本1CC 77,000円、カテラン針を使用する場合は11,000円です。4.5ccは使用量で、料金表は1ccシリンジ単位のため、総額は使用したシリンジ本数と残注入の扱いで決まります。

Q. 注入後にすぐ連絡した方がよい症状はありますか?

通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化、暗紫色や網目状の変化、冷たさ、視力・視野の異常がある場合は直ちにご連絡ください。腫れ、内出血、圧痛、硬さ、しこり感も経過で確認します。

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