医師解説ヒアルロン酸

クマとほうれい線をヒアルロン酸4ccでメンテナンスするときの考え方

1年半前にヒアルロン酸注入を受け、最近ふたたびクマが気になってきた男性へ、ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計4cc使用したメンテナンス症例です。正面と両側の斜位で、目の下とほうれい線の影がやわらいだ変化を確認します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年12月3日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 1年半後に気になってきたクマとほうれい線を4ccで整えました
  2. 左斜位では、目の下から頬へ続く影の境界を見ます
  3. 右斜位では、ほうれい線の始まりと頬の支えを見直します
  4. 4ccの合計量より、正面と両斜位の終了点を優先します
  5. ボリューマXCの承認範囲と血流障害の早期所見
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

1年半後に気になってきたクマとほうれい線を4ccで整えました

1年半前にヒアルロン酸注入を受けた男性が、最近ふたたび目の下のクマを気にされ、メンテナンスを行った症例です。今回はクマとほうれい線を治療目標に、ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計4cc使用しました。

正面の治療前では、目の下から頬へ続く陰影と、鼻翼外側から口元へ伸びるほうれい線が重なり、疲れた印象が強く見えます。治療後は両方の影がやわらぎ、顔の中央が明るく見えます。

メンテナンスでは、経過した年数だけで初回と同じ治療を繰り返さず、前回の支え、現在の凹み、顔全体の輪郭を見直して終了点を決めます。

1年半後も前回の支えと現在の影を分けて見る理由として、ボリューマを中顔面へ用いた経過では、78週時も81.7%が1段階以上改善し、追加治療なしで24か月まで追跡できた症例では95.6%が1段階以上改善したとの報告がありました(参考文献1)。

左斜位では、目の下から頬へ続く影の境界を見ます

左斜位では、下眼瞼から前頬へ移る曲面と、鼻翼基部から始まるほうれい線を同時に確認します。治療後は目の下から頬へ続く影の幅が短くなり、頬から口元へのつながりもなだらかに見えます。

目の下が暗く見える原因は凹みだけではありません。眼窩脂肪の膨らみ、むくみ、皮膚色を分け、凹みによる影が主な部分と、中顔面の支えを補うことで変化する部分を見極めます。

目の下の凹みを脂肪突出やむくみと分ける理由として、ヒアルロン酸で内側涙溝を治療した経過では、4週までに全員が改善を自覚し、75%が治療に満足したとの報告がありました(参考文献2)。

右斜位では、ほうれい線の始まりと頬の支えを見直します

右斜位では、鼻翼基部のくぼみ、ほうれい線の長さ、前頬から口元へ落ちる影を確認します。治療後は鼻横から口元へ続く影が浅くなり、反対側の斜位と比べても顔の中央に重い膨らみを作らず整っています。

診療では中顔面の支えを先に見直し、その変化を確認した後に、鼻翼基部やほうれい線そのものへ追加の補正が必要かを判断します。目の下とほうれい線を同じ総量だけで評価せず、それぞれの影の終了点を分けます。

ほうれい線をクマとは別に評価する理由として、別のヒアルロン酸製剤を両側のほうれい線へ用いた経過では、12か月時も重症度の改善が維持されたとの報告がありました(参考文献3)。

4ccの合計量より、正面と両斜位の終了点を優先します

今回確認できる治療内容は、ボリューマXCを合計4cc使用し、クマとほうれい線の陰影を整えたことです。正面では目の下とほうれい線、斜位では下眼瞼から頬への曲面と鼻翼基部の深さを往復して見ます。

メンテナンス時は前回の製剤名、量、部位、施術日を診療記録で確認し、触診で残る支え、硬さ、むくみ、左右差を調べます。現在の所見に合わせて必要な部位を決め、影がやわらいでも顔の中央が重く見えないところで終了します。

ボリューマXCの承認範囲と血流障害の早期所見

ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています。目の下やほうれい線への直接使用は承認範囲に含まれず、電子添文では眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告されています。

施術後は赤み、腫れ、痛み、内出血、硬さ、しこり感が生じることがあります。皮膚が青白くなる、網目状に暗く変化する、通常と異なる強い痛み、見え方の異常がある場合は、通常の腫れとして待たず直ちにご連絡ください。

ジュビダームビスタ ボリューマXCの国内承認部位は中顔面・下顎部・こめかみです。目の下やほうれい線への直接使用は承認範囲に含まれず、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告されています(参考文献4)。

通常の内出血やしこり感と血流障害を分ける理由として、ヒアルロン酸による血流障害では、急に増す痛み、蒼白、その後の網目状の暗紫色変化を認めた段階で直ちに評価と治療を始めるとの報告がありました(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 最初に正面で、目の下の色、脂肪の膨らみ、むくみ、凹みによる影、前頬の平坦さ、ほうれい線の左右差を分けます。
  • 次に両側の斜位で、下眼瞼から前頬への曲面、鼻翼基部のくぼみ、ほうれい線の長さを確認します。
  • メンテナンスでは前回の診療記録と触診を組み合わせ、残っている支えを活かしながら、現在のクマとほうれい線へ必要な治療範囲を決めます。
  • 治療後は正面と両斜位を再確認し、目元と口元の影がやわらいでも、中顔面の幅や重さを増やし過ぎていない状態を終了点にします。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボリューマXCで中顔面の支えを補う 前頬の平坦さが目の下とほうれい線の影を同時に強めている状態 目の下の色、脂肪突出、むくみだけが主因の状態、頬のボリュームが十分な状態 1回後に正面・両斜位で再評価し、必要時のみ追加 赤み、腫れ、痛み、内出血、硬さ・しこり、左右差。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 1本1cc 77,000円。本症例の4本は308,000円 中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大で国内承認
目の下の凹みを直接補う 脂肪突出やむくみが強くなく、凹みによる影が主な状態 眼窩脂肪突出、強い浮腫、皮膚の色調だけが主因の状態 少量から1回。腫れが落ち着いた後に再評価 腫れ、内出血、青み、凹凸、遅発性浮腫。まれに血管閉塞・視覚障害 使用本数×1本1cc 77,000円 ボリューマXCの目の下への直接使用は国内承認範囲外。眼窩周囲は電子添文の警告対象
残るほうれい線を直接補う 中顔面の支えを見直しても鼻翼基部や線そのものの影が残る状態 表情時だけの線、頬の重さだけが主因、活動性の炎症・感染がある状態 少量から1回。中顔面とのつながりを再評価 赤み、腫れ、痛み、内出血、凹凸、左右差。まれに血管閉塞・皮膚壊死・視覚障害 使用本数×1本1cc 77,000円 ボリューマXCのほうれい線への直接使用は国内承認範囲外

費用の目安

  • ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
  • 本症例と同じ合計4本:308,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込)。使用する場合の合計例319,000円

すべて自由診療です。本症例と同じボリューマXC 4本は308,000円です。カテラン針を使用する場合のみ11,000円が加わります。

リスク・副作用・注意点

  • 赤み、腫れ、痛み、圧痛、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり、違和感、アレルギー、感染など
  • 遅発性反応、遅発性結節、持続性浮腫、青み、部位ごとの過不足など
  • まれに血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリューム増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ使用します。目の下やほうれい線への直接使用は承認範囲外で、電子添文は眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告しています。承認範囲外使用では、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

皮膚の青白化、紫色・網目状の変化、通常と異なる強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Callan P, Goodman GJ, Carlisle I, et al. Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2013;6:81-89. doi:10.2147/CCID.S40581. PMID:23687448; PMCID:PMC3610404.

    Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study

    研究デザイン: オーストラリア6施設の前向き観察研究。中顔面の容量不足へボリューマを初回4週間内に1〜2回使用し、78週時は規定条件で追加可能として24か月追跡した。 / 対象: 103人を治療し、72人が24か月来院、45人は78週の追加治療を受けず24か月評価対象となった。初回平均使用量は5.1mLだった。 / 結果: 中顔面容量不足スケールの1段階以上改善は78週で81.7%。追加治療なしで24か月まで評価した45人では43人(95.6%)が1段階以上改善した。 / 限界: 未処置対照がなく、24か月結果は完遂者かつ追加治療なしの45人に限られる。頬部中顔面へ平均5.1mLを用いた結果で、本症例の1年半前の治療内容、今回4ccの部位別配分、クマ・ほうれい線同時治療を直接検証しない。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: Allergan Australiaが資金提供し、複数著者が有償研究者、製品提供受領者、同社社員だった。

  2. Diwan Z, Trikha S, Etemad-Shahidi S, et al. A Prospective Study on Safety, Complications and Satisfaction Analysis for Tear Trough Rejuvenation Using Hyaluronic Acid Dermal Fillers. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2020;8(4):e2753. doi:10.1097/GOX.0000000000002753. PMID:32440421; PMCID:PMC7209844.

    A Prospective Study on Safety, Complications and Satisfaction Analysis for Tear Trough Rejuvenation Using Hyaluronic Acid Dermal Fillers

    研究デザイン: 複数施設の前向き症例集積。カニューレを用いてTeosyal Redensity 2を内側涙溝の骨膜上へ注入し、2〜4週で評価した。 / 対象: 24人、48側の涙溝。女性22人、男性2人だった。 / 結果: 4週までに全員が改善を自覚し、75%が満足と回答した。2週時には一過性の腫れ、内出血、圧痛などが記録された。 / 限界: 比較群のない小規模症例集積で追跡は短く、使用製剤はボリューマXCではない。本症例の合計4cc、ほうれい線との同時治療、注入部位や効果を直接示さない。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 著者らは本論文内容に関する金銭的利益相反なしと申告した。

  3. Sattler G, Philipp-Dormston WG, Van Den Elzen H, et al. A Prospective, Open-Label, Observational, Postmarket Study Evaluating VYC-17.5L for the Correction of Moderate to Severe Nasolabial Folds Over 12 Months. Dermatol Surg. 2017;43(2):238-245. doi:10.1097/DSS.0000000000000939. PMID:28165349; PMCID:PMC5414733.

    A Prospective, Open-Label, Observational, Postmarket Study Evaluating VYC-17.5L for the Correction of Moderate to Severe Nasolabial Folds Over 12 Months

    研究デザイン: 前向き、非盲検、観察的な市販後研究。中等度から重度の両側ほうれい線へVYC-17.5Lを使用し、必要時は2週後に追加して12か月追跡した。 / 対象: 成人70人を登録し65人が研究要件を完了。両側合計の平均使用量は3.0±1.0mLだった。 / 結果: 医師評価のほうれい線重症度は12か月時も有意な改善を維持した。予想外の有害事象は2件で、赤み・腫れ・感覚低下は4日、腫れは48時間で消失した。 / 限界: 対照群のない非盲検研究で、最適補正を目標に使用量を決め、2週後の追加も許容した。VYC-17.5Lをほうれい線へ使用した研究で、ボリューマXC、クマとの同時治療、今回4ccの部位別配分を検証しない。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: Allerganが資金提供し、著者に同社の講師、研究者、顧問、社員、元社員が含まれた。

  4. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。承認目的、使用方法、禁忌、警告、有害事象、臨床成績を記載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 中顔面・下顎部・こめかみが承認部位で、目の下やほうれい線への直接使用は含まれない。血管内注入を禁止し、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の4ccの部位別配分、治療順序、画像変化を検証する研究ではない。PMDA公式PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 公的承認資料のため該当しない。

  5. Murray G, Convery C, Walker L, Davies E. Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(5):E61-E69. PMID:34188752; PMCID:PMC8211329.

    Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion

    研究デザイン: Complications in Medical Aesthetics Collaborativeの創設理事4人が作成した、架橋ヒアルロン酸フィラーによる血流障害の認識・段階評価・初期対応に関する診療指針。 / 対象: 患者集団を登録して効果を比較した研究ではなく、血管閉塞を疑う臨床所見と対応を対象とする。 / 結果: 急に増す強い痛み、蒼白、暗紫色、網目状変化、毛細血管再充満時間の遅延を評価し、蒼白または網目状変化があれば対象領域へ直ちに治療するよう推奨した。 / 限界: 特定製品、クマ・ほうれい線への合計4cc、個別の治療結果を比較した試験ではなく、まれな合併症のため根拠の多くは理論、症例経験、専門家合意に基づく。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 著者らは本論文への資金提供なし、内容に関する利益相反なしと申告した。著者全員はCMAC創設理事である。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計4cc使用しました。治療目標は、最近ふたたび気になってきた目の下のクマとほうれい線の陰影です。

Q. 1年半後のメンテナンスでは、初回と同じ量を注入しますか?

初回と同じ量を自動的に繰り返す治療ではありません。前回の製剤、量、部位と現在の残り方を確認し、正面と両斜位で新たに目立つ影を見て必要量を決めます。

Q. クマとほうれい線は、同じ部位への注入で改善しますか?

中顔面の支えが両方の影へ関係することはありますが、目の下は脂肪突出・むくみ・皮膚色、ほうれい線は鼻翼基部と頬の位置でも見え方が変わります。それぞれの原因と終了点を分けて治療します。

Q. ボリューマXC 4ccの料金はいくらですか?

現在は1本1cc 77,000円で、4本は308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わり、合計319,000円です。

Q. 施術後、すぐ連絡したほうがよい症状はありますか?

皮膚の青白化、紫色・網目状の変化、通常と異なる強い痛み、見え方の異常、急に増える腫れがある場合は、予定の再診を待たず直ちにご連絡ください。

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