医師解説ヒアルロン酸

あごをヒアルロン酸1ccで整えるとき、正面・斜め・横顔の自然さを考える

ヒアルロン酸1ccをあごへ使用し、術前と術直後を一枚の比較で示した症例です。上段の側面、中央の正面、下段の斜位を順に見ながら、シャープさ・フェイスライン・Eラインがどの角度でも自然につながる終了点を考えます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年12月23日
実質更新日
2026年8月9日
あごへヒアルロン酸1ccを使用した側面・正面・斜位の術前・術直後を一枚に並べた比較

Contents

目次

  1. 一枚の比較で、側面・正面・斜位を順に確認します
  2. 正面と斜位では、シャープさとフェイスラインを見ます
  3. 側面では、口元とあご先のEラインを見ます
  4. 術直後と、腫れが落ち着いた後を分けて見ます
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

一枚の比較で、側面・正面・斜位を順に確認します

比較写真は左列が術前、右列が術直後です。上段に側面、中央に正面、下段に斜位が並び、ヒアルロン酸1ccであごを整えた後の変化を同じ一枚で確認できます。

あごは、正面のシャープさ、斜位のフェイスライン、側面のEラインという3つの見え方を持ちます。一方向だけを基準にせず、3方向を往復しながら、あご先が顔全体の輪郭へ自然につながる位置を終了点にします。

あごの側面角度と下顔面・下顎輪郭を一緒に評価する理由として、ボラックスXCを用いた別の報告では、24週時の顔面角変化が2.97度、無処置群0.09度で、下顔面・下顎輪郭の満足度スコアの変化は44.1と4.2だったとの報告がありました(参考文献1)。

正面と斜位では、シャープさとフェイスラインを見ます

中央の正面では、術直後にあご先の中心と終点が明瞭になり、左右の下顎ラインが中央へ集まる位置を確認できます。あご先を単に細くするのではなく、顔の中心線、縦の長さ、横幅を一緒に見ます。

下段の斜位では、口角横からあご先、下顎下縁へ続く輪郭が術直後に明瞭になっています。正面でシャープでも斜位であご先だけが尖って見える場合は足し過ぎになるため、前方投影とフェイスラインが段差なくつながる範囲を選びます。

あごの前方投影・縦の長さ・横幅を分けて診る理由として、形態に合わせてヒアルロン酸を使用した報告では、輪郭の変化は多くで6か月まで、一部で12か月まで確認されたとの報告がありました(参考文献2)。

側面では、口元とあご先のEラインを見ます

上段の側面では、術直後にあご先が前へ出て、下唇下のくぼみからあご、首へ続く輪郭が明瞭になっています。鼻先とあご先を結ぶEラインに対する口元の位置を確認し、横顔の終点を決めます。

側面だけで前方投影を増やすと、正面ではあごが長く、斜位では先端だけが突出して見えることがあります。Eラインを一つの目安とし、最後に中央の正面と下段の斜位へ戻って、同じ1ccの変化が3方向で自然かを確認します。

術直後と、腫れが落ち着いた後を分けて見ます

掲載写真の右列は術直後です。注入後の発赤、腫れ、痛み、内出血、硬さは輪郭へ影響し、注入部には1〜2か月ほどしこりを感じることがあります。落ち着いた後に同じ3方向で、あご先の中心、フェイスライン、口元との前後差を見直します。

通常と異なる強い痛み、皮膚が白色・暗紫色や網目状に変わる、冷たさが続く、見え方に異常がある場合は、予定日を待たず直ちにご連絡ください。血流障害、感染、遅発性炎症を分け、必要な処置へつなげます。

強い痛みや皮膚色変化を待たずに連絡いただく理由として、ヒアルロン酸による血流障害では、急に増す痛み、蒼白、その後の網目状の暗紫色変化を認めた段階で、直ちに評価と治療を始めるとの報告がありました(参考文献3)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 側面では、鼻先・上下口唇・あご先の前後関係と、下唇下から首へ続く輪郭を見ます。
  • 正面では、顔の中心線に対するあご先の位置、縦の長さ、横幅を確認し、左右の下顎ラインが自然に中央へ戻る位置を決めます。
  • 斜位では、口角横からあご先、下顎下縁へ続く曲線を見て、あご先だけが突出していないかを確認します。
  • 本症例ではヒアルロン酸1ccを使用し、側面のEライン、正面のシャープさ、斜位のフェイスラインが一枚の比較で自然につながる位置を終了点にしました。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ヒアルロン酸1ccであごを整える 側面の前方投影、正面のあご先、斜位のフェイスラインを同時に少量調整したい状態 すでにあごの長さ・突出が十分な状態、顎変形・咬合が輪郭の主因である状態、注入部に活動性の炎症・感染がある状態 通常1回。腫れが落ち着いてから同じ3方向で再評価 発赤、腫れ、痛み、内出血、1〜2か月ほどのしこり感、左右差など。まれに血流障害 1本1cc 77,000円 症例資料に製剤名の記載がないため、本症例固有の国内承認番号は特定していない
腫れが落ち着いてから残る方向だけを再評価 術直後の変化が落ち着いた後も、正面の左右差、斜位の段差、側面の支え不足が残る状態 腫れが変化中の時期、すでに3方向が自然につながる状態、強い痛みや皮膚色変化がある状態 初回後に同じ側面・正面・斜位で見直し、必要な場合のみ追加 追加注入に伴う発赤、腫れ、痛み、内出血、硬さ・しこり、左右差など 追加1本1ccごとに77,000円 承認の有無・使用目的は追加時に使用する製品ごとに異なる

費用の目安

  • ヒアルロン酸注入:1本1cc 77,000円(税込)
  • カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)追加

本症例で確認できる使用量はヒアルロン酸1ccです。カテラン針の使用は症例資料から断定せず、使用する場合にのみ加算されます。すべて自由診療です。

リスク・副作用・注意点

  • 発赤、腫れ、痛み、圧痛、内出血、1〜2か月ほどのしこり感、左右差、凹凸など
  • アレルギー、感染、遅発性炎症、硬結、位置ずれなど
  • まれに血管閉塞、皮膚障害・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
  • 国内承認・適応: 症例資料から確認できるのはヒアルロン酸1ccまでで、製剤の販売名は記載されていません。国内承認の有無と承認範囲は製品ごとに異なるため、本症例固有の承認番号は特定していません。

通常と異なる強い痛み、白色・暗紫色や網目状の皮膚色変化、冷感、見え方の異常は待たずに連絡が必要です。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Xie Y, Li Q, Zhao H, et al. VYC-25L Is Safe and Effective for Enhancing the Chin and Jawline by Correcting Chin Retrusion in Chinese Adults. Aesthet Surg J. 2025;45(7):699-708. doi:10.1093/asj/sjaf033. PMID:40246546; PMCID:PMC12168443.

    VYC-25L Is Safe and Effective for Enhancing the Chin and Jawline by Correcting Chin Retrusion in Chinese Adults

    研究デザイン: 中国本土7施設で行われた前向き・第3相・2対1無作為化・24週無処置対照試験。治療群は初回治療後4週に必要時の追加注入を認め、52週まで追跡した。 / 対象: 中等度から重度のあご後退とG-Sn-Pog角172.5度未満がある中国人成人150人を無作為化し、修正ITT解析は治療群97人・対照群51人。平均年齢31.2歳、女性88.5%で、治療群の全領域平均注入量は2.4mLだった。 / 結果: 24週時のG-Sn-Pog角変化は治療群2.97度、対照群0.09度で、群間差3.08度だった。下顔面・下顎輪郭のFACE-Qスコア変化は治療群44.1、対照群4.2で、効果は52週まで維持された。 / 限界: 対象は中等度から重度のあご後退がある中国人成人に限られ、ボラックスXCの平均注入量2.4mLは本症例の1ccより多い。本症例の製剤は特定できず、同じ製剤・注入法・対象とは限らない。Allergan Aestheticsが研究設計、研究、解析、データ収集、解釈、論文確認を含めて資金提供し、8人は同社治験責任医師、2人は同社社員だった。PMC原著全文、PubMed書誌、Funding・Disclosuresを2026年8月9日に確認した。

  2. Chen B, Ma L, Wang J. Chin Augmentation With Hyaluronic Acid: An Injection Technique Based on Anatomical Morphology. Dermatol Surg. 2022;48(7):747-751. doi:10.1097/DSS.0000000000003459. PMID:35482662; PMCID:PMC9241653.

    Chin Augmentation With Hyaluronic Acid: An Injection Technique Based on Anatomical Morphology

    研究デザイン: 2018年1月から2021年5月までの診療記録を後ろ向きに評価した症例集積。あごの前方投影、縦の長さ、横幅に対応する形態指標を用い、直後、6か月、1年の経過と有害事象を評価した。 / 対象: 過去にあごの注入または手術を受けた人を除外した326人。平均年齢26.4歳、女性298人・男性28人で、注入量中央値は1.85mLだった。 / 結果: 全例で直後の形と輪郭が改善し、多くは6か月まで、一部は12か月まで変化が確認された。腫れ・痛み87.1%、内出血9.5%、左右差2.5%だった。 / 限界: 対照群がない後ろ向き研究で、評価者盲検化や標準化された患者報告尺度を用いていない。製剤は本症例に使われた製品へ限定されず、注入量中央値は1.85mLで、本症例の1ccや一枚の3方向比較を直接検証しない。著者は商業的支援者との重要な利害関係はないと申告した。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  3. Murray G, Convery C, Walker L, Davies E. Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(5):E61-E69. PMID:34188752; PMCID:PMC8211329.

    Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion

    研究デザイン: Complications in Medical Aesthetics Collaborativeの創設理事4人が作成した、架橋ヒアルロン酸フィラーによる血流障害の認識・段階評価・初期対応に関する診療指針。 / 対象: 患者集団を登録して効果を比較した研究ではなく、血管閉塞を疑う臨床所見と対応を対象とする。 / 結果: 急に増す強い痛み、蒼白、暗紫色、網目状変化、毛細血管再充満時間の遅延を評価し、蒼白または網目状変化があれば対象領域へ直ちに治療するよう推奨した。 / 限界: 診療指針であり、特定製品、あご1cc、個別の治療結果を比較した試験ではない。まれな合併症のため、根拠の多くは理論、症例経験、専門家合意に基づく。著者全員はCMAC創設理事で、当該論文への資金提供はなく、内容に関する利益相反はないと申告した。PMC原著全文、PubMed書誌、Funding・Disclosuresを2026年8月9日に確認した。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. この症例では、ヒアルロン酸を何cc使いましたか?

あごへ総量1cc使用した症例です。左列が術前、右列が術直後で、上段の側面、中央の正面、下段の斜位を比較しています。

Q. あごは、なぜ正面・斜め・横顔で確認するのですか?

正面ではシャープさと左右差、斜位ではフェイスラインとのつながり、側面では口元とあご先の前後差が見えます。一方向だけで量を決めず、3方向で同じ人として自然に見える位置を終了点にするためです。

Q. この症例で使ったヒアルロン酸製剤の承認状況は分かりますか?

症例資料で確認できるのは、あごへヒアルロン酸1ccを使用したことまでです。製剤の販売名は記載されていないため、本症例固有の承認番号は特定していません。国内承認の有無と承認範囲は製品ごとに異なります。

Q. あごのヒアルロン酸1ccの料金はいくらですか?

現在の通常料金は1本1cc 77,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。

Q. 注入後、すぐに連絡が必要な症状はありますか?

通常と異なる強い痛み、白色・暗紫色や網目状の皮膚色変化、冷たさ、見え方の異常がある場合は、予定日を待たず直ちにご連絡ください。

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