1年経過で見る、ヒアルロン酸と二重切開を含む全顔バランスの考え方
ヒアルロン酸と二重切開を含む治療を重ね、1年前と現在を正面・左右斜位で比較した症例です。おでこ、頬、フェイスライン、目周りを別々の変化として見るだけでなく、上顔面から下顔面までのつながりで自然な全顔バランスを評価します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2023年7月29日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
正面では、おでこ・頬・フェイスライン・目周りを一続きで見ます
左が1年前、右が現在の正面です。1年間にヒアルロン酸と二重切開を行い、現在はおでこの丸み、頬の位置、フェイスラインの連続、目周りの印象が全顔の中でつながって見えます。
一つの部位だけを大きく変えるのではなく、上顔面・中顔面・下顔面の小さな変化が重なることで、正面の重心と輪郭が整っています。治療の評価では、各施術の変化と全顔で受ける印象の両方を同じ写真で確認します。
全顔を一つの仕上がりとして見ながら部位ごとの経過を追う理由として、注入後12週の体積維持は全顔65.5%、頬・中顔面79.2%、上口周囲62.7%、唇37.2%と部位で異なり、顔貌満足度と心理・社会機能も改善したとの報告がありました(参考文献1)。
斜位では、額から頬へ続く投影と輪郭を比べます
1年前と現在の斜位を並べると、額から眉上、頬の高い位置、口元、顎先へ続く曲線を比較できます。正面で自然に見える変化が、斜位でも一部だけ突出せず連続しているかを見ます。
ヒアルロン酸は注入直後の形だけでなく、部位ごとの残り方を長期で見直します。1年後は、以前の治療が残る位置と再調整が必要な位置を正面・斜位で照合し、全顔の重心を保ちます。
1年後に部位ごとの残存を見直す理由として、外側のこめかみ・頬と中顔面ではヒアルロン酸の信号が27か月時も確認され、顎周囲では19か月時に大部分が消失していたとの報告がありました(参考文献3)。
反対側の斜位では、目周りと頬・顎のつながりを確認します
反対側の斜位では、二重線と上まぶたの見え方、頬の前方投影、口元から顎へ続く輪郭を一枚の中で比べます。二重切開による目周りの変化を、頬やフェイスラインから切り離さず全顔の一部として評価します。
二重切開後は、二重線の左右差、開閉眼、傷あとを経過で追います。1年後は腫れの影響が少ない状態で、二重線が顔全体の重心と調和しているかを正面と両斜位で見直します。
二重線と傷あとを長く追う理由として、小切開による二重形成では満足度92%、左右差4.6%、多重線1.6%、線の移動1.9%で、刺入部の傷あとが目立たなくなるまで1年を要したとの報告がありました(参考文献2)。
ヒアルロン酸と二重切開は、役割と再評価の時期を分けます
ヒアルロン酸は、顔の支持や輪郭の不足を補う治療です。二重切開は、二重線と上まぶたの組織を直接整える手術です。1年間の計画では、注入部位の腫れと手術後の腫れを同じ時期に完成とせず、それぞれが落ち着いた時点で正面・両斜位を撮り直します。
再評価は、まず開閉眼と二重線、次に額・頬・フェイスラインの連続、最後に全顔の重心という順に行います。追加治療は、残った一つの所見を選び、既に整っている部位へ重ねすぎないようにします。
全顔治療では、注入部位ごとの血管とまぶたの機能を守ります
ヒアルロン酸は、額、こめかみ、頬、口元、顎で血管の走行と必要な深さが異なります。部位ごとに進入方向と深さを変え、強い痛み、皮膚の白色・紫色変化、見え方の異常があれば直ちに血流障害を評価します。
二重切開後は、腫れ・内出血・傷あと・左右差に加え、目を最後まで閉じられるか、乾燥や異物感がないかを確認します。全顔の見た目を整える治療でも、視機能と眼表面を優先して経過を追います。
注入部位ごとに方向と深さを変える理由として、全顔の解剖では必要な到達深度が上顔面から中顔面・下顔面・こめかみへ向かって深くなり、血管は多層に分布し、眉間・鼻背・こめかみで吻合が多かったとの報告がありました(参考文献4)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に1年前と現在の正面・左右斜位を同じ順で並べ、二重線、額、頬、口元、顎、フェイスラインの変化を部位別に記録します。
- 次に、ヒアルロン酸で補った支持と二重切開で整えた目周りを役割別に見て、既に整っている部位と残る所見を分けます。
- 追加治療は、開閉眼と二重線、各部位の輪郭、全顔の重心の順に再評価し、残った一項目だけを次の治療対象にします。
- 注入では部位別の血管安全、二重切開では閉瞼と眼表面を確認し、見た目と機能を同じ経過写真で追います。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸注入 | 額・頬・口元・顎などの支持や輪郭を補い、全顔の曲線を整えたい状態 | 感染・炎症がある状態、血流障害のリスクを許容できない状態、手術で組織を直接整える必要がある状態 | 注入後に正面・両斜位で再評価し、残る部位だけ追加 | 痛み、赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸。まれに血管閉塞 | 1本1cc 77,000円(税込) | 使用製剤・部位ごとに国内承認範囲を確認 |
| 二重切開法 | 二重線、上まぶたの皮膚・組織を直接整える必要がある状態 | 希望する二重線が定まらない状態、活動性感染、機能性眼瞼下垂の評価が先となる状態 | 通常1回。抜糸後、1か月、数か月、1年へ二重線と傷あとを追跡 | 腫れ、内出血、赤み、傷あと、左右差、二重線の乱れ、閉じにくさ | 切開法(両目)275,000円(税込) | 美容目的の自由診療手術 |
費用の目安
- ヒアルロン酸注入:1本1cc 77,000円(税込)
- 切開法(両目):275,000円(税込)
2026年8月9日に現行総合料金表を確認しました。症例記録はヒアルロン酸の本数・製剤を示していないため、現行の1本料金のみを掲載しています。
リスク・副作用・注意点
- ヒアルロン酸:腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、遅発性炎症・結節、血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害など
- 二重切開:腫れ、内出血、血腫、感染、傷あと、左右差、二重線の移動・消失・多重線、閉瞼不全、ドライアイなど
- 国内承認・適応: 症例で使用したヒアルロン酸製剤は特定されていません。現在当院では国内承認のジュビダームビスタシリーズを使用し、販売名ごとの承認目的・部位を確認して説明します。承認範囲外の部位へ使用する場合は適応外使用として説明します。二重切開は手術手技で、美容目的は自由診療です。
ヒアルロン酸後の強い痛み、皮膚の白色・紫色や網目状変化、見え方の異常、二重切開後の急な眼窩痛・片側腫脹・視機能変化は直ちにご連絡ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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A Large Prospective Volumetric and Patient-Reported Outcome Analysis of Hyaluronic Acid Facial Fillers
研究デザイン: 部位別の三次元体積測定とFACE-Qを行った前向き臨床研究。 / 対象: 40〜65歳の女性101人。複数の顔面部位を対象に、注入直後、2週、4週、12週を追跡した。 / 結果: 12週の体積維持は全顔65.5%、頬・拡張中顔面79.2%、上口周囲62.7%、唇37.2%で、顔貌、治療部位、心理・社会機能の患者報告アウトカムが改善した。 / 限界: 使用製剤・対象部位は本症例と同一ではなく、追跡は12週で、ヒアルロン酸と二重切開を含む1年経過を示さない。2026年8月9日にPubMed抄録と書誌を確認し、原著全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の詳細は記載されていない。
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A Modified Mini-incisional Technique for Double-eyelid Blepharoplasty
研究デザイン: 単施設で4か所小切開法を行った対照群のない症例集積。 / 対象: 16〜34歳の372人を3〜12か月、平均9か月追跡。明らかな皮膚余剰がある人は適応外。 / 結果: 342人(92%)が満足。左右差17人(4.6%)、多重線6人(1.6%)、線移動7人(1.9%)で、刺入部の傷あとは1年で目立たなくなった。 / 限界: 小切開法の結果で、本症例の二重切開の切開範囲、内部処理、回復や合併症率を示さない。対照群と標準化された患者報告尺度がない。2026年8月9日にNCBI PMC原著全文とPubMed書誌を確認した。 / 利益相反: 原著の利益相反開示を確認できず不明。
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Long-term MRI Follow-up of Hyaluronic Acid Dermal Filler
研究デザイン: 複数回の顔面ヒアルロン酸注入後に、2日、19か月、21か月、27か月のMRIで部位別信号を追った症例報告。 / 対象: 中顔面、フェイスライン、顎へ3回に分けて異なる製剤を使用した47歳男性1人。 / 結果: 外側のこめかみ・頬と中顔面では27か月時もヒアルロン酸に一致する信号が確認され、顎周囲では19か月時に大部分が消失した。 / 限界: 1人の症例で、部位・製剤・量・注入時期が本症例と異なる。個々の持続期間や本症例の1年後の変化を直接示さない。2026年8月9日にNCBI PMC原著全文とPubMed書誌を確認した。 / 利益相反: 著者は関連する金銭的利益相反なしと申告。
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A roadmap for safety during facial filler injections: A fresh frozen cadaver study
研究デザイン: 新鮮凍結献体の全顔7領域14注入点を解剖した原著研究。 / 対象: 新鮮凍結頭部30顔面。刺入深度を測定し、骨膜上へヒアルロン酸を注入後に解剖して製剤位置と血管の関係を確認した。 / 結果: 刺入深度は上顔面から中顔面、下顔面、こめかみへ向かって増し、血管の多層分布と吻合は眉間、鼻背、こめかみで目立った。 / 限界: 献体解剖であり、生体の拍動・血流、個人別の安全な量、血管閉塞率、本症例の注入部位・製剤・量を示さない。2026年8月9日にPubMed抄録と書誌を確認し、原著全文は取得できなかった。 / 利益相反: 浙江省の研究助成を受け、著者はその他の利益相反なしと申告。
よくあるご質問
Q. この1年間に行った施術は何ですか?
症例記録にある施術はヒアルロン酸と二重切開です。1年前と現在を正面・左右斜位で比べ、おでこ、頬、フェイスライン、目周りの変化を全顔のバランスとして確認しています。
Q. なぜ一つの施術だけでなく全顔で評価するのですか?
額、頬、目周り、顎、フェイスラインは連続して見えるためです。一部だけを大きく変えるより、各部位の小さな変化が正面と斜位の両方でつながるかを確認します。
Q. 1年後もヒアルロン酸が残ることはありますか?
あります。残り方は製剤と部位で異なるため、追加時は同じ量を繰り返さず、正面と斜位で残存する支持と戻った輪郭を見直します。
Q. 二重切開は1年後に何を確認しますか?
二重線の左右差、開閉眼、傷あと、まつ毛の向き、目周りが頬や額を含む全顔の重心と調和しているかを確認します。
Q. 現在の料金はいくらですか?
ヒアルロン酸は1本1cc 77,000円、切開法は両目275,000円です。いずれも税込・自由診療で、この症例のヒアルロン酸本数は症例記録にないため総額は算出していません。
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