医師解説ヒアルロン酸

涙袋と唇をヒアルロン酸1ccで整えて、中顔面と口元の印象を考える

涙袋と唇へジュビダームビスタ ボルベラXCを合計1cc使用し、目元と口元を一緒に整えた症例です。涙袋のふくらみと口唇の厚み・輪郭が加わることで、中顔面が視覚的に短く、華やかに見える変化を正面と斜位で確認します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2023年8月28日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面では涙袋と唇を一つの顔立ちとして見ます
  2. 斜位では唇の投影と人中との比率を見ます
  3. 合計1ccを涙袋と唇の二つの終了点へ配分します
  4. ボルベラXCの承認範囲と施術後の連絡目安
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

正面では涙袋と唇を一つの顔立ちとして見ます

ジュビダームビスタ ボルベラXCを合計1cc使用し、涙袋と唇を整えた症例です。治療後は下まぶた直下のふくらみが見えやすくなり、上唇・下唇にも厚みと輪郭が加わっています。

涙袋と唇を同時に整えると、目元から口元までの中央部分に立体感が生まれます。顔の実際の長さが変わるわけではありませんが、唇の存在感が増し、人中が相対的に短く見えることで、中顔面が短く華やかに見えます。

涙袋は、正面の安静時だけでなく笑ったときの眼輪筋の動き、左右の高さと幅、目袋や涙溝との境界を確認します。目袋の膨らみやむくみを涙袋として大きくせず、下まぶた直下に自然な光が入る範囲を終了点にします。

涙袋を目袋や涙溝と分け、下まぶた直下へ限局して考える理由として、下内側眼瞼動脈は瞼板に沿って眼輪筋の深部を走り、外側へ向かうにつれて細くなるとの報告がありました(参考文献1)。

斜位では唇の投影と人中との比率を見ます

斜位では、上唇と下唇の前方への投影、赤唇の見える量、口角までの輪郭を確認します。治療後は上下の唇の輪郭が明瞭になり、口元に立体感が加わっています。

唇は厚みだけを増やすのではなく、上唇中央の山、下唇中央の丸み、口角へのつながり、閉口時の形をそろえます。唇が前へ出過ぎない範囲で輪郭を整えることで、正面の華やかさと斜位の自然さを両立させます。

口唇を直後の腫れだけで決めず経過を追う理由として、ボルベラと同じVYC-15Lでは、3か月時の医師評価改善率84.7%、未処置0%で、本人評価でも65%が改善したとの報告がありました(参考文献2)。

合計1ccを涙袋と唇の二つの終了点へ配分します

この症例で確認できる使用量は、涙袋と唇を合わせてボルベラXC 1ccです。涙袋と唇へ同じ比率で分けるのではなく、目元は下まぶた直下の幅と左右差、口元は上下唇の輪郭と閉じやすさをそれぞれの終了点にします。

治療中は正面で目元と唇を交互に見た後、斜位で口唇の投影を確認します。限られた総量のなかで一方を完成させてから余りを使うのではなく、両部位に必要な変化を少しずつ確認し、顔の中央に統一感が出るところで止めます。

口唇を一定の深さだけで一周しない理由として、上唇動脈は口角から正中へ深部から浅部へ走り、平均深さ5.68mm、平均径1.36mmで個人差があったとの報告がありました(参考文献3)。

ボルベラXCの承認範囲と施術後の連絡目安

施術前に過去のヒアルロン酸注入歴、局所麻酔薬への反応、感染や口唇ヘルペスの有無を確認します。同じ製剤を二つの部位へ使う症例でも、口唇と涙袋は承認範囲と注意点を分けて説明します。

施術後は赤み、腫れ、痛み、内出血、硬さ、左右差が生じることがあります。目周りでは青み、凹凸、長引くむくみ、口唇では一時的な閉じにくさや口唇ヘルペスの再燃にも注意します。皮膚色が白色・暗紫色へ変わる、強い痛みが増す、見え方が変わる場合は直ちにご連絡ください。

ジュビダームビスタ ボルベラXCは、顔面のしわ・溝・くぼみの修正と口唇増大で国内承認されています。口唇は承認範囲に含まれますが、涙袋への使用は承認範囲外です(参考文献4)。

通常の腫れや内出血と血流障害を分ける理由として、急に増す痛み、皮膚の蒼白、その後の網目状の暗紫色変化を認めた段階で直ちに評価と治療を始めるとの報告がありました(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 最初に正面の安静時と笑顔で、涙袋の高さ・幅・左右差を、眼窩脂肪の膨らみ、涙溝、むくみと分けます。
  • 次に口唇を閉じた状態と軽く開いた状態で、上唇・下唇の比率、輪郭、口角、人中の見える長さを確認します。
  • 合計1ccを固定比率で分けず、涙袋の自然な光と口唇の立体感を正面・斜位で交互に確認し、両方の終了点を合わせます。
  • 腫れが落ち着いた後に左右差、涙袋と目袋の境界、唇の輪郭と閉口機能を再確認し、必要な場合だけ追加や修正を検討します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボルベラXCを涙袋へ使用 眼輪筋上の自然なふくらみが少なく、目袋の突出や強いむくみが主因ではない状態 眼窩脂肪の突出、強い浮腫、目の下の色だけが主な状態、活動性の炎症がある状態 少量から1回。腫れが落ち着いた後に左右差を再評価 赤み、腫れ、内出血、青み、凹凸、左右差、長引くむくみ。まれに血管閉塞・視覚障害 1本1cc 77,000円+涙袋・唇施術料11,000円 涙袋への使用は国内承認範囲外
ボルベラXCを唇へ使用 上下唇の厚み、輪郭、口角へのつながりを自然に整えたい状態 強い腫れ・炎症・感染・活動性口唇ヘルペスがある状態、閉口機能を損なう過量補正 1回後、腫れが落ち着いてから輪郭と閉口時の形を再評価 赤み、腫れ、痛み、内出血、硬さ、左右差、ヘルペス再燃。まれに血管閉塞 1本1cc 77,000円+涙袋・唇施術料11,000円 口唇増大を含む目的で国内承認
涙袋と唇を合計1ccで同時に整える 目元直下と口唇の立体感を一緒に整え、中顔面と口元のバランスを変えたい状態 一方の部位だけに大きな変化を求める状態、目袋・むくみ・皮膚色が目元の主因である状態 1回後、目元と口元を別々に再評価。必要時のみ追加 両部位の腫れ、内出血、左右差。目周りでは青み・遅発性浮腫、唇では硬さ・ヘルペス再燃 本症例と同じ1cc+施術料で88,000円。カテラン針使用時99,000円 口唇は承認範囲内、涙袋は承認範囲外

費用の目安

  • ジュビダームビスタ ボルベラXC:1本1cc 77,000円(税込)
  • 涙袋・唇施術料:11,000円(税込)
  • 本症例と同じ合計1cc+施術料:88,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込)。使用する場合の合計例99,000円

すべて自由診療です。本症例と同じボルベラXC 1本と涙袋・唇施術料は88,000円です。カテラン針を使用する場合のみ11,000円が加わります。

リスク・副作用・注意点

  • 赤み、腫れ、痛み、圧痛、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり、違和感、アレルギー、感染など
  • 目周りの青み、長引くむくみ、表情時の不自然さ、口唇の一時的な閉じにくさ、口唇ヘルペス再燃など
  • まれに血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボルベラXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号23000BZX00331000)で、成人の顔面のしわ・溝・くぼみの修正と口唇増大を目的に使用します。口唇は承認範囲に含まれますが、涙袋への使用は承認範囲外です。電子添文は血管内注入を禁止しています。承認範囲外使用では、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

皮膚の青白化、紫色・網目状の変化、通常と異なる強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Cong LY, Lee SH, Tansatit T, Hu KS, Kim HJ. Topographic Anatomy of the Inferior Medial Palpebral Artery and Its Relevance to the Pretarsal Roll Augmentation. Plast Reconstr Surg. 2016;138(3):430e-436e. doi:10.1097/PRS.0000000000002434. PMID:27556617.

    Topographic Anatomy of the Inferior Medial Palpebral Artery and Its Relevance to the Pretarsal Roll Augmentation

    研究デザイン: 韓国人・タイ人の解剖体を用いた肉眼解剖研究。下内側眼瞼動脈の分岐型、走行、直径を調べた。 / 対象: 解剖体21体、31側の下眼瞼。男性15体、女性6体だった。 / 結果: 下内側眼瞼動脈は瞼板に沿って瞼板前部眼輪筋の深部を走行した。直径は内側の入口で0.94±0.22mm、外眼角で0.37±0.11mmだった。 / 限界: 解剖体の血管走行を示す研究で、生体の表情変化、ボルベラXC、涙袋と唇への合計1cc、臨床効果や合併症率を検証しない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: PubMedに利益相反声明の収載はなかった。

  2. Li D, Gao Z, Sun J, et al. Safe and Effective Lip Enhancement with VYC-15L in Chinese Adults. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2022;15:2427-2436. doi:10.2147/CCID.S382194. PMID:36387967; PMCID:PMC9661899.

    Safe and Effective Lip Enhancement with VYC-15L in Chinese Adults

    研究デザイン: 多施設、評価者盲検、無作為化3対1の比較試験。VYC-15Lによる口唇増大と未処置を比較し、未処置群は3か月後に任意で治療可能とした。 / 対象: 修正ITT解析163人、年齢中央値34歳、女性96.9%だった。 / 結果: 3か月時の医師評価による1段階以上改善はVYC-15L群84.7%、未処置群0%。治療群の本人評価では65%が1段階以上改善した。 / 限界: 中国人成人を対象とした3か月比較で、涙袋との同時治療、合計1ccの部位別配分、本症例の画像変化を直接検証しない。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 著者2人はAbbVie社員で同社株を保有し、その他の著者は利益相反なしと申告した。

  3. Zhu GS, Liao ZF, Chen CL, et al. Three-Dimensional Computed Tomography Scanning Study of the Superior Labial Artery in Chinese Individuals for Assessing Filler Injection Safety. Aesthetic Plast Surg. 2024;48(19):3962-3970. doi:10.1007/s00266-024-04187-8. PMID:39048770.

    Three-Dimensional Computed Tomography Scanning Study of the Superior Labial Artery in Chinese Individuals for Assessing Filler Injection Safety

    研究デザイン: 酸化鉛を注入した解剖体頭部のCT画像を三次元再構成し、上唇動脈の走行、深さ、直径を計測した解剖研究。 / 対象: 漢民族の解剖体頭部52体を評価した。 / 結果: 上唇動脈は全例で同定され、口角から正中へ深部から浅部へ走行した。平均直径は1.36±0.28mm、平均深さは5.68±1.68mmだった。 / 限界: 解剖体CTによる血管位置の研究で、生体での動的変化、ボルベラXCの臨床成績、合併症率、涙袋との同時治療を検証しない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: PubMedに利益相反声明の収載はなかった。

  4. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボルベラXC 電子添文. 医療機器承認番号23000BZX00331000.

    ジュビダームビスタ ボルベラXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。使用目的、禁忌、警告、使用方法、有害事象、臨床成績を記載する公的資料。 / 対象: 18歳以上の成人における顔面のしわ・溝・くぼみの修正および口唇増大を目的とする。 / 結果: 口唇増大は承認目的に含まれる。涙袋への使用は承認範囲に含まれず、血管内へ注入しないことを明記する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、涙袋と唇へ合計1ccを配分した本症例の結果を検証する研究ではない。PMDA公式PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 公的承認資料のため該当しない。

  5. Murray G, Convery C, Walker L, Davies E. Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(5):E61-E69. PMID:34188752; PMCID:PMC8211329.

    Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion

    研究デザイン: Complications in Medical Aesthetics Collaborativeの創設理事4人が作成した、架橋ヒアルロン酸フィラーによる血流障害の認識・段階評価・初期対応に関する診療指針。 / 対象: 患者集団を登録して効果を比較した研究ではなく、血管閉塞を疑う臨床所見と対応を対象とする。 / 結果: 急に増す強い痛み、蒼白、暗紫色、網目状変化、毛細血管再充満時間の遅延を評価し、蒼白または網目状変化があれば直ちに治療するよう推奨した。 / 限界: 特定製品、涙袋・口唇への合計1cc、個別の治療結果を比較した試験ではなく、まれな合併症のため根拠の多くは理論、症例経験、専門家合意に基づく。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 著者らは本論文への資金提供なし、内容に関する利益相反なしと申告した。著者全員はCMAC創設理事である。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

ジュビダームビスタ ボルベラXCを、涙袋と唇を合わせて合計1cc使用しました。部位ごとの配分は固定せず、目元と口元の終了点に合わせて決めます。

Q. 涙袋と唇を整えると、なぜ中顔面が短く見えるのですか?

涙袋で目元直下に立体感が生まれ、唇の厚みと輪郭が加わると、人中が相対的に短く見えるためです。顔の骨格や皮膚の実際の長さを短くする治療ではありません。

Q. 涙袋と唇へ半分ずつ注入しますか?

半分ずつとは限りません。涙袋の左右差と眼輪筋の動き、唇の上下比・輪郭・閉口時の形を確認し、合計1ccの範囲で各部位に必要な量を決めます。

Q. ボルベラXC 1ccで涙袋と唇を施術する料金はいくらですか?

ボルベラXC 1本1cc 77,000円に、涙袋・唇施術料11,000円が加わり、合計88,000円です。カテラン針を使用する場合はさらに11,000円が加わり、合計99,000円です。

Q. 涙袋と唇への使用は国内承認されていますか?

ボルベラXCは口唇増大を含む目的で国内承認されています。涙袋への使用は承認範囲外です。施術後に皮膚の蒼白・暗紫色変化、強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。

ご予約・ご相談はこちら

気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。