中顔面にヒアルロン酸4ccでクマとほうれい線を一緒に整える考え方
目の下のクマとほうれい線が目立つ方へ、中顔面だけにジュビダームビスタ ボリューマXCを4cc使用した症例です。頬の位置を支えることで目元の凹みとほうれい線がどう変わるかを、正面・左右斜位の施術前後から説明します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2024年11月4日
- 実質更新日
- 2026年8月9日


Contents
目次
中顔面4ccの変化を、正面と左右斜位で確認します
施術前は目の下の凹みによるクマと、鼻翼から口角へ続くほうれい線が目立っています。中顔面だけにジュビダームビスタ ボリューマXCを合計4cc使用し、施術後は目の下の影が浅くなり、ほうれい線も薄く短く見えます。
正面では、目の下から前頬へ続く境界と、頬のボリュームがほうれい線へ重なる位置を見ます。斜位では頬の前方投影と鼻唇溝の深さ、頬から下顎線へ続く輪郭を比べます。下顎には注入していませんが、施術後はフェイスラインもすっきり見えています。
中顔面を支えた後にクマとほうれい線を再評価する理由として、Volumaを用いた中顔面治療では、8週時に96%が中顔面ボリューム尺度で改善し、78週時にも81.7%で改善が保たれたとの報告がありました(参考文献1)。
アラガン社の注入勉強会で、中顔面モデル治療を行いました
この症例は、アラガン社のヒアルロン酸注入勉強会で、モデルの方へ実際に中顔面注入を行ったときの記録です。掲載写真は、勉強会に参加した医師と講師の集合写真です。
中顔面の治療では、製剤名や総量だけでなく、正面・斜位でどの影が連動して変わるかを確認します。クマ、前頬の平坦さ、ほうれい線を同じ観察順で記録し、頬を支えた後に残る所見を次の診療へつなげます。
クマは、目の下の凹みと前頬の支えを一緒に見ます
目の下が暗く見えるときは、下眼瞼のふくらみ、涙溝から前頬へ続く凹み、皮膚の色、血管、むくみを分けます。この症例では、施術前に目の下の凹みが影を作っており、中顔面を支えた施術後にクマが軽く見えています。
評価は、正面で左右の影の幅を見た後、斜位で下眼瞼から頬へ続く曲面を確認します。目元の色そのものより凹みの影が主であれば、眼窩周囲へ直接注入するのではなく、中顔面の支持を整えた後の変化を先に確認します。
ほうれい線は、頬の位置を整えた後に残る深さを見ます
施術前は頬のボリュームがほうれい線の上に乗るように見えています。中顔面を支えた施術後は頬の位置が上がって見え、鼻翼から口角へ続く線が薄く短くなっています。
ほうれい線へ直接量を足す前に、前頬と外側頬の支持を整え、その後に鼻翼基部から口角へ残る深さを確認します。正面では線の長さ、斜位では頬との高低差を見て、必要な場合だけ残る溝を次の治療対象にします。
頬を支えた後に残るほうれい線を追う理由として、2種類のヒアルロン酸製剤と異なる深さを用いた全群で12週までしわ尺度が改善し、深い層への注入では軽い中顔面のリフトもみられた一方、52週にはしわ尺度がほぼ治療前へ戻ったとの報告がありました(参考文献2)。
中顔面の承認範囲と、眼窩下・顔面血管の安全を確認します
ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみで減少したボリュームを増大する目的の国内承認製剤です。この症例で記録されている治療範囲は中顔面のみで、目の下やほうれい線へ直接注入したとは説明していません。
中顔面には眼窩下動脈と顔面動脈の枝が走ります。注入後に通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・網目状変化、見え方の異常がある場合は、腫れや内出血と分けて直ちに血流と視機能を評価します。
ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する国内承認製剤です。眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域には注入しないよう電子添文に記載されています(参考文献3)。
中顔面の血流安全を確認する理由として、眼窩下動脈の枝は一般的な中顔面の注入範囲を走り、滑車上動脈・鼻背動脈・角動脈へつながっていたとの報告がありました(参考文献4)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に正面で、目の下の影、前頬の平坦さ、ほうれい線の長さを同時に記録します。
- 左右斜位では、下眼瞼から頬へ続く曲面と、頬のボリュームが鼻唇溝へ重なる位置を確認します。
- 中顔面を支えた後に正面へ戻り、クマとほうれい線がどこまで変わったか、下顎へ注入せずフェイスラインがどう見えるかを比較します。
- 追加治療は、目元の色・むくみ・脂肪突出と、頬を支えた後に残る鼻翼基部の深さを分けて決めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ボリューマXCで中顔面を支える | 前頬の平坦さと支持低下が、目の下の影とほうれい線を同時に強く見せる状態 | 皮膚色・血管・むくみがクマの主因、活動性の感染がある、骨格や筋活動の評価が先となる状態 | 1回後に正面・両斜位で再評価し、残る所見だけを追加 | 腫れ、赤み、内出血、圧痛、硬さ、しこり、凹凸、左右差。まれに血管閉塞・視覚障害 | 1本1cc 77,000円。症例と同量の4ccは308,000円 | ボリューマXCの中顔面への使用は国内承認 |
| 目の下の凹みへの直接注入 | 中顔面を支えた後も、限局した涙溝・眼瞼頬溝の形の影が残る状態 | 眼窩脂肪突出、皮膚色、血管、むくみが主、視機能リスクを許容できない状態 | 少量ごとに形を確認し、腫れが落ち着いた後に再評価 | 腫れ、内出血、青み、輪郭不整、遷延性浮腫。まれに血管閉塞・視覚障害 | 使用製剤と本数により算定 | ボリューマXCは眼窩周囲へ注入しないよう電子添文で警告 |
| ほうれい線への直接注入 | 中顔面を支えた後も、鼻翼基部から口角へ限局した溝が残る状態 | 頬の支持低下や下垂が主で、線だけを補うと重さが増して見える状態 | 頬の支持を再評価した後、残る線だけを少量ずつ調整 | 赤み、腫れ、内出血、圧痛、硬さ、凹凸。まれに血管閉塞 | 使用製剤と本数により算定 | ボリューマXCのほうれい線への直接使用は国内承認範囲外 |
費用の目安
- ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
- 症例と同量の4cc:308,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込・使用する場合)
自由診療です。カテラン針使用料は実際に使用する場合のみ加算されます。
リスク・副作用・注意点
- 痛み、赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸、硬さ、しこり、感染、遅発性炎症・結節など
- 注入部のしこり感が1〜2か月程度続くことがあります
- まれに血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを皮下又は骨膜上深部から増大する目的に使用します。本症例の記録は中顔面への使用です。目の下・眼窩周囲やほうれい線への直接使用は承認範囲に含まれず、電子添文は眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告しています。
通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・網目状変化、視力・視野など見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study
研究デザイン: Volumaを頬部へ1〜2回注入し24か月追跡した前向き多施設観察研究。 / 対象: 30〜60歳の中顔面ボリューム減少がある103人。72人が24か月評価を完了した。 / 結果: 8週時のMFVDS改善率は96%、78週時は81.7%。24か月を完了し78週追加治療を受けなかった45人では95.6%が改善を維持した。 / 限界: 対照群がなく、部位・器具・層は担当医裁量だった。本症例の4cc配分、クマ・ほうれい線・フェイスラインの個別効果を示さない。Allerganがスポンサーで著者に有償研究者・社員を含む。2026年8月9日にNCBI PMC原著全文とPubMed書誌を確認した。 / 利益相反: Allerganが研究を支援し、著者に同社の有償研究者及び社員を含む。
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Efficacy and safety of two hyaluronic acid fillers with different injection depths for the correction of moderate-to-severe nasolabial folds: A 52-week, prospective, randomized, double-blinded study in a Chinese population
研究デザイン: 52週前向き無作為化二重盲検比較試験。2製剤と浅層・深層注入を比較した。 / 対象: 中等度から重度のほうれい線がある中国人100人。Restylane又はYishumei、浅層又は深層注入へ割り付けた4群。 / 結果: 全4群で12週までWSRSとGAISが改善した。深層注入では軽い中顔面リフトがみられ、52週には全群のWSRSがほぼ治療前へ戻った。主な有害事象は腫れ、発赤、圧痛だった。 / 限界: 特定の2製剤と注入深度を比較した研究で、ボリューマXC 4cc、中顔面だけを支えた本症例、最適配分を示さない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。 / 利益相反: 公的研究費とChangzhou Pharmaceutical Research Institute of Chinaの助成がPubMedに記載される。詳細な著者利益相反は抄録に記載がない。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。承認目的、使用方法、警告、有害事象、臨床成績を示す公的資料。 / 対象: 21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下又は骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 中顔面・下顎部・こめかみが承認部位。血管内注入を禁止し、側副血行路が乏しい領域の例として眼窩周囲を挙げ、注入しないよう警告する。 / 限界: 承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の4cc配分、画像上のクマ・ほうれい線・フェイスラインの変化を検証する研究ではない。PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 公的な承認医療機器電子添文のため、研究者の利益相反項目はない。
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The infraorbital artery: Clinical relevance in esthetic medicine and identification of danger zones of the midface
研究デザイン: 眼窩下動脈、その主要分枝と吻合を剖出し、着色したヒアルロン酸の模擬注入を行った新鮮献体解剖研究。 / 対象: 新鮮献体18体。生体患者へのフィラー治療を追跡した研究ではない。 / 結果: 眼窩下動脈とその枝は一般的な注入範囲にあり、鼻枝を介して滑車上動脈、鼻背動脈、角動脈と吻合していた。中頬部の浅い範囲と眼窩下溝の骨膜近傍に危険域を示した。 / 限界: 献体解剖と模擬注入の結果で、生体の閉塞率、安全な注入量・器具・層、ボリューマXC 4ccの臨床成績を示さない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMed抄録では資金源と利益相反の記載を確認できなかった。
よくあるご質問
Q. この症例では何を何cc使用しましたか?
中顔面だけにジュビダームビスタ ボリューマXCを合計4cc使用しました。施術前後を正面・左右斜位で比較し、目の下のクマ、頬の位置、ほうれい線を確認しています。
Q. 中顔面への注入で、クマとほうれい線の両方が変わるのはなぜですか?
前頬の支持が整うと、目の下から頬へ続く凹みの影と、頬のボリュームがほうれい線へ重なる見え方が同時に変わるためです。正面と斜位で、2つの影がどこまで変わったかを別々に確認します。
Q. 目の下やほうれい線へ直接注入した症例ですか?
この症例で記録されている注入範囲は中顔面のみです。目の下やほうれい線への直接注入とはせず、中顔面を支えた後にクマとほうれい線がどう変わったかを評価しています。
Q. ボリューマXC 4ccの料金はいくらですか?
1本1cc 77,000円で、4ccは308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。いずれも税込・自由診療です。
Q. 治療後、すぐに連絡が必要な症状はありますか?
通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化や網目状変化、視力・視野など見え方の異常がある場合は、血流障害の可能性があるため直ちにご連絡ください。
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