二重あごに見える輪郭をヒアルロン酸4ccで整える考え方
脂肪量は多くないものの、平坦な頬と、前へ出た顎中央の周囲にできる影によって二重あごのように見えていた20代女性の症例です。頬中央、こめかみ、下顎骨外側、あご周囲へジュビダームビスタ ボリューマXC 4本・計4ccを配分し、1ヶ月後に斜位と正面から輪郭を確認しました。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2024年11月16日
- 実質更新日
- 2026年8月9日


Contents
目次
斜位では、頬の平坦さと顎中央周囲の影を分けて見ます
斜位写真は左が治療前、右がヒアルロン酸注入1ヶ月後です。20代女性で、二重あごを悩みとして脂肪吸引も検討されていましたが、診察では顎下の脂肪量は多くありませんでした。
治療前は頬中央が平坦で、顎中央は前へ出ている一方、その周囲に影が生じています。脂肪を減らすのではなく、頬中央にチークトップとなる立体感を作り、下顎骨外側とあご周囲の輪郭をつないだ後は、頬から顎先へ続く斜めの線が明瞭に見えます。
頬中央へ立体感を作った後に顎周囲の影を見直す理由として、ボリューマによる頬のボリューム変化は6か月時に1.83mLで無治療の0.11mLを上回り、医師評価98.2%、本人評価93.8%が改善したとの報告がありました(参考文献1)。
正面では、こめかみ・頬・下顎・あごのつながりを確認します
正面写真も左が治療前、右が1ヶ月後です。使用した製剤はジュビダームビスタ ボリューマXC 4本・計4ccで、頬中央に加え、こめかみ、下顎骨外側、あご周囲へ使用しました。部位別の配分量は固定せず、正面と斜位で不足する輪郭へ振り分けます。
治療後はこめかみから頬、下顎縁、顎先までの外輪郭が連続して見えます。正面で顎下の面積だけを比べるのではなく、頬の高点、下顎骨外側の線、顎中央周囲の影を同じ写真で追うと、脂肪が減ったように見える輪郭変化の成り立ちを確認できます。
頬から下顎縁までを正面と斜位で再評価する理由として、下顎輪郭へのヒアルロン酸治療では6か月時に両側が1段階以上改善した割合が69.0%で、無治療の38.0%を上回ったとの報告がありました(参考文献2)。
脂肪量が主因か、輪郭の影が主因かで治療を分けます
二重あごの診察では、顎下をつまんだ厚み、下顎縁を覆う脂肪、皮膚のゆるみ、顎先の位置を触診と正面・斜位で確認します。脂肪量が十分にある場合は脂肪減少治療を比較し、この症例のように脂肪が多くない場合は、頬と下顎の立体差が作る影を先に扱います。
顎中央がすでに前へ出ている状態では、顎先だけをさらに前へ出すのではなく、平坦な頬に高点を作り、こめかみから下顎骨外側、あご周囲までの途切れを補います。1ヶ月後は腫れが落ち着いた同じ正面・斜位で、頬の高さ、顎中央周囲の影、下顎縁の左右差を再評価します。
ボリューマXC 4ccの承認範囲・料金・安全確認
頬中央、こめかみ、下顎骨外側、あご周囲は、実際の注入位置が中顔面・こめかみ・下顎部の承認部位と、皮下または骨膜上深部という使用方法に沿うよう計画します。今回の4ccを一か所へ集中させる治療ではありません。
現在の料金はヒアルロン酸1本1cc 77,000円で、4本4ccは308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加算されます。
こめかみ、頬、下顎、あごでは血管走行が異なります。注入中から皮膚色と通常と異なる痛みを確認し、治療後に青白化、暗紫色または網目状の変化、冷たさ、視力・視野の異常があれば直ちに対応します。
頬から下顎までを一つの深さで扱わない理由として、顔面動脈は下顎部で皮膚から2.5〜15.0mm、口角部で3.7〜18.7mmと大きく異なる深さを走ったとの報告がありました(参考文献3)。
ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する国内承認製剤です(参考文献4)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 正面・両斜位で、顎下のつまみ厚、頬中央の平坦さ、顎中央の前方投影、下顎骨外側の輪郭を同じ順序で記録します。
- 脂肪量が多い場合の減量治療と、頬・こめかみ・下顎・あごの立体差が影を作る場合の注入治療を分けます。
- この症例では頬中央の高点を作り、その後にこめかみ、下顎骨外側、あご周囲へ4ccを配分して、顎中央だけを強調せず外輪郭をつなぎます。
- 1ヶ月後に同じ斜位と正面で、頬から顎先へ続く線、顎中央周囲の影、左右差を再評価します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ボリューマXC 4ccを頬・こめかみ・下顎・あごへ配分(掲載症例) | 顎下脂肪は多くなく、平坦な頬と顎中央周囲の影で輪郭が重く見える状態 | 顎下脂肪や強い皮膚のゆるみが主因、十分な顔面ボリュームがある、活動性炎症・感染、血流障害が疑われる状態 | 通常1回後、1ヶ月を目安に正面・斜位を再評価 | 腫れ、内出血、痛み、左右差、凹凸、硬さ・結節。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 | 4本4cc 308,000円。カテラン針使用時は11,000円加算 | ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみが国内承認範囲 |
| 顎下の脂肪減少治療 | 顎下をつまんだ厚みがあり、脂肪量が二重あごの主因となる状態 | 本症例のように脂肪量が少なく、頬と顎の立体差が作る影が主な状態 | 選択する機器・施術により1回〜複数回 | 選択する機器・施術により異なる | 選択する治療の料金表を参照 | 使用する機器・目的ごとに承認範囲を確認 |
| 本数を分けた段階的なヒアルロン酸注入 | 頬の高点を作った後に、こめかみ・下顎・あごの残る影を少量ずつ再評価したい状態 | 活動性炎症・感染、硬い結節、既注入製剤が判別できない、血流障害が疑われる状態 | 初回の腫れが引いてから、不足部位だけを再評価 | 各回の腫れ、内出血、痛み、左右差、凹凸、硬さ・結節。まれに血管閉塞 | 使用本数×1本1cc 77,000円 | 製剤の承認部位・深さに沿って治療範囲を選択 |
費用の目安
- ヒアルロン酸:1本1cc 77,000円(税込)
- 本症例と同じ4本4cc:308,000円(税込)
- カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)追加
すべて税込・自由診療です。元素材に器具の記載がないため、カテラン針は使用する場合だけ加算します。
リスク・副作用・注意点
- 注入部位の腫れ、赤み、痛み、圧痛、内出血、左右差、凹凸、硬さ・結節など
- アレルギー、感染、遅発性の炎症・結節、過修正、製剤の移動など
- まれに血管閉塞、皮膚の虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
- 通常と異なる強い痛み、青白化、暗紫色または網目状の変化、冷たさ、見え方の異常は直ちに確認が必要
- 国内承認・適応: 本症例のジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認医療機器(承認番号22800BZX00338000)です。成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大が承認目的で、皮下または骨膜上深部へ使用します。本症例では頬中央、こめかみ、下顎骨外側、あご周囲のうち、実際の位置が中顔面・こめかみ・下顎部に該当し、電子添文の深さに沿う範囲で使用します。血管内注入は禁止され、眉間・眼窩周囲は適用部位に含まれません。
血管安全と緊急症状は本文の安全節とFAQへ集約しました。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects
研究デザイン: 未治療対照を置いた前向き多施設無作為化比較試験。 / 対象: 18歳以上の中国人146人。ボリューマ処置群119人、未治療対照群27人。中顔面への注入量中央値は2mLで、三次元画像を用いて6か月評価した。 / 結果: 6か月時の頬部体積変化は処置群1.83mL、対照群0.11mLで、GAIS改善率は医師98.2%、本人93.8%だった。 / 限界: 中国人の中顔面へボリューマを使用した研究で、本症例の20代女性、頬・こめかみ・下顎・あごへの4cc配分、顎中央周囲の影、1ヶ月時の個人写真変化を直接評価していない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に再確認し、原著全文は取得していない。 / 利益相反: 著者に製造企業関係者を含むが、資金・利益相反の詳細はPubMed抄録では確認できない。
-
Safe and Effective Restoration of Jawline Definition With Hyaluronic Acid Injectable Gel VYC-25L: Results From a Randomized Controlled Study
研究デザイン: 米国19施設の評価者盲検・無治療対照の無作為化比較試験。初回と30日後の必要時追加後、12か月まで下顎輪郭の写真評価尺度、FACE-Q、GAIS、安全性を追跡した。 / 対象: 下顎輪郭の低下が中等度以上の成人206人。治療群157人、対照群49人。治療群の初回平均注入量は4.53mL、追加を含む平均総量は6.22mLだった。 / 結果: 6か月時に両側の下顎輪郭が1段階以上改善した割合は治療群69.0%、対照群38.0%。本人と医師のGAIS改善率は88.4%と89.0%だった。 / 限界: 使用製剤はVYC-25Lで本症例のボリューマXCとは異なる。主に白人女性が対象で、頬・こめかみとの同時治療、4ccの部位別配分、二重あごに見える影、1ヶ月時の個人変化を直接評価していない。PMC原著全文を2026年8月9日に再確認した。 / 利益相反: Allergan Aesthetics(AbbVie)が研究設計、実施、解析、論文確認を含めて資金提供した。著者には同社の研究者、顧問、講演者、社員が含まれる。
-
Evaluation of facial artery course variations and depth by Doppler ultrasonography
研究デザイン: 生体ドプラ超音波による顔面動脈の走行・径・皮膚からの深さの観察研究。 / 対象: 84人168側の顔面を、下顎骨下縁から終枝の角動脈まで観察した。 / 結果: 顔面動脈の最浅・最深値は下顎部2.5〜15.0mm、口角部3.7〜18.7mm、鼻翼部3.7〜23.5mmだった。 / 限界: ほうれい線周囲の血管走行を主目的とする観察研究で、個々の注入時の血管位置、ボリューマXC、こめかみ、4ccの配分、治療結果や合併症率を示さない。原著全文は取得できず、PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため申告内容は未確認。
-
ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文。使用目的、使用方法、警告、臨床成績、有害事象を収載。 / 対象: 承認目的は成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大。皮下または骨膜上深部へ注入する。承認時の比較臨床試験は加齢性中顔面ボリューム減少を対象とした。 / 結果: 血管内注入は禁止され、眉間・眼窩周囲には注入しない。承認時の中顔面試験では6か月時のMFVDS奏効率が処置群85.6%、未処置対照群38.9%だった。 / 限界: 電子添文は本症例の20代女性、4ccの部位別配分、注入順、器具、1ヶ月後の写真変化を示さない。比較臨床試験は中顔面が対象で、下顎部・こめかみの有効性を直接比較した試験ではない。PDF全6頁を2026年8月9日に再確認した。 / 利益相反: 製造販売業者アッヴィ合同会社の承認製品電子添文である。
よくあるご質問
Q. 二重あごに見えても、脂肪吸引を選ばないことがありますか?
あります。この症例は顎下の脂肪量が多くなく、平坦な頬と顎中央周囲の影が輪郭を重く見せていました。顎下のつまみ厚、皮膚のゆるみ、顎先の位置を確認し、脂肪量が主因か、輪郭の立体差が主因かで治療を分けます。
Q. この症例では何を何cc使いましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを4本、計4cc使用しました。治療部位は頬中央、こめかみ、下顎骨外側、あご周囲です。部位別の配分量は掲載していません。
Q. なぜ顎先だけでなく頬やこめかみにも注入するのですか?
この症例では顎中央がすでに前へ出ていたため、顎先だけをさらに強調する設計ではありません。頬に高点を作り、こめかみから下顎骨外側、あご周囲までをつなぐことで、正面と斜位の輪郭を整えます。
Q. 写真は施術直後ですか?
いいえ。治療前と、注入1ヶ月後の比較です。斜位では頬から顎先への線、正面ではこめかみ・頬・下顎・あごの外輪郭を確認しています。
Q. 料金と、すぐ連絡が必要な症状を教えてください。
4本4ccは308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加算されます。皮膚の青白化や網目状の変色、通常と異なる強い痛み、冷たさ、見え方の異常があれば直ちにご連絡ください。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。