医師解説

目の下のクマは原因ごとに治療方針が変わります

目の下のクマは、骨格の凹み、眼窩脂肪の突出、両者の混在で治療が変わります。膨らみ主体は脱脂、凹み主体はヒアルロン酸で支持し、混在例は脱脂後1か月に残る凹みと皮膚質を再評価して必要な治療だけ追加します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年1月28日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 骨の凹みと脂肪の突出は人によって割合が違います
  2. 眼窩脂肪の区画と加齢変化を部位ごとに見ます
  3. 膨らみは脱脂、凹みは支持、混在例は段階的に整えます
  4. 脱脂は取る量を決め、座位で左右を確認する手術です
  5. 裏ハムラ法と脂肪注入を第一選択にしない当院の考え方
  6. 過剰切除と一律な切除を避けて凹みを防ぎます
  7. タイプ診断から治療の順序を一緒に決めます
  8. 診療で確認するポイント
  9. 治療選択の比較
  10. 費用の目安
  11. リスク・副作用・注意点
  12. 関連記事
  13. 関連施術・関連症状のご案内
  14. 執筆・監修
  15. 参考にした一次情報・ガイドライン
  16. よくあるご質問

骨の凹みと脂肪の突出は人によって割合が違います

改善しにくいクマでは、眼窩周囲の骨が痩せて目の下の支えが減る変化と、眼窩隔膜から脂肪が前へ出る変化を分けます。骨格の凹みは影を作り、脂肪突出は膨らみの下に段差を作るため、どちらも暗く見える原因になります。

脂肪の膨らみが主な人、骨格の凹みが主な人、両方が混在する人では、同じクマでも治療の主役が異なります。正面だけでなく斜位と側面を見て、膨らみの頂点、涙溝、眼窩縁から頬へ続く凹みの位置を記録します。

茶色い色素や青紫色の血管透見が重なる場合も、先に立体的な影の割合を決めます。構造を整えた後も残る色や細かな小じわは、皮膚の治療へ分けて考えます。

眼窩脂肪の区画と加齢変化を部位ごとに見ます

下眼瞼の眼窩脂肪は内側・中央・外側の3区画に分かれ、内側と中央の間を下斜筋が通ります。上眼瞼は内側と中央の2区画で、涙腺も含めて目の周囲を立体的に支えています。

加齢では眼窩隔膜が緩み、下眼瞼の脂肪が前へ逸脱しやすくなります。同時に眼窩骨の吸収、眼球の位置、皮膚のたるみや小じわも変化するため、脂肪量だけを見てもクマ全体の形は決まりません。

内側・中央の膨らみと、眼窩下外側から頬骨前面の凹みを分けることが、取りすぎを避ける切除量と、支持を補う位置を決める基準になります。

膨らみは脱脂、凹みは支持、混在例は段階的に整えます

若い頃から下眼瞼の膨らみがあり、上方視で脂肪突出が強くなる状態は脱脂を主役にします。内側・中央を一律に取らず、前へ出た脂肪だけを部位ごとに調整します。

ここ2〜3年で凹みが目立ち、眼窩縁から頬へ支えが不足している状態は、ヒアルロン酸で骨を埋めるのではなく、段差を支える治療を考えます。膨らみと凹みが混在するときは、先に余分な脂肪を整えます。

脱脂直後は腫れ、色、小じわが変動するため、1か月後に正面と斜位で最終評価します。当院では、この時点で多くの方を追加注入不要と判断しています。残る凹みにはヒアルロン酸、色むら・くすみ・細かな小じわにはジュベルックやプルリアルなどの皮膚質治療を必要な範囲だけ追加します。

脂肪突出やむくみが主な目元へヒアルロン酸を先行しない理由として、眼周囲注入後に4週を超えて続く浮腫は0〜15%にみられ、皮膚弛緩、頬上部の膨らみ、突出した眼窩脂肪などがリスク因子との報告がありました(参考文献2)。

脱脂は取る量を決め、座位で左右を確認する手術です

当院のCO2レーザー脱脂は、皮膚表面に切開創を作らず、下まぶたの結膜側から突出した眼窩脂肪へ到達します。CO2レーザーで結膜側を切開し、止血しながら前へ出た脂肪を確認します。

笑気麻酔と局所麻酔で意識を保ち、術中に目の向きと左右差を確認します。仰向けだけでなく座位でも重力がかかった膨らみを見て、医師2名で切除量と左右差を共有します。

手術の目的は脂肪を取り切ることではありません。前へ出た区画だけを選び、内側・中央の温存と外側の調整を分け、眼窩縁から頬へ続く立体感を残します。

突出脂肪だけを調整し、術後に涙溝を再評価する理由として、下眼瞼形成後の不適切な脂肪除去は0〜4.9%、眼周囲の凹みは0〜9.8%、術後の微調整は3.1〜31%との報告がありました(参考文献1)。

裏ハムラ法と脂肪注入を第一選択にしない当院の考え方

当院では、裏ハムラ法を第一選択にしていません。移動した脂肪が届く内側から中央の涙溝だけでなく、眼窩下外側と頬骨前面の凹み、今後も進む骨格変化まで含めると、長期に再調整しやすい方法を残す方が当院の治療方針に合うためです。

脂肪移動に靱帯剥離などを組み合わせるほど、手術範囲、腫れ、瘢痕、将来の修正は複雑になります。過剰に突出した脂肪は脱脂で平坦化し、残る支持不足だけをヒアルロン酸で補う方針にすると、経年変化に合わせて微調整できます。

当院では、クマのボリューム補充を目的とする体脂肪注入も原則として選択肢に含めません。生着量と部位差を後から細かく調整しにくいためです。ナノファットは皮膚の質感や色調を扱う方法で、膨らみや凹みの形を整える治療とは分けます。

過剰切除と一律な切除を避けて凹みを防ぎます

脱脂後の凹みは、眼窩脂肪を必要以上に切除することと、部位ごとの膨らみの差を見ずに均一に取ることで生じやすくなります。脱脂をすれば必ず凹むのではなく、切除量と区画別の設計が仕上がりを左右します。

過剰に突出した脂肪だけを選択し、凹みやすい内側・中央は温存を重視します。外側は骨格の凹みとの境界を見ながら調整し、座位で残る膨らみと眼窩縁の影を確認します。

1か月後に膨らみが残るのか、骨格の凹みが残るのかを改めて分けます。追加治療を術中に重ねず、回復後に必要な支持または皮膚質治療だけを選ぶことも、凹ませないための治療設計です。

タイプ診断から治療の順序を一緒に決めます

診察では、若い頃からの膨らみか、ここ数年で目立った凹みか、朝に変動するむくみかを時系列で確認します。正面・斜位・上方視を同じ照明で撮影し、脂肪、骨格、皮膚、色調の割合を一つずつ決めます。

治療は最初から複雑にせず、膨らみを減らすのか、凹みを支えるのか、皮膚の色と質感を整えるのかを順番に選びます。ご予約は電話、LINE、ホームページから受け付けています。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 若い頃からの膨らみか、ここ2〜3年で進んだ凹みか、朝に変動するむくみかを聞き、過去の写真と現在を比べます。
  • 座位の正面・左右斜位・上方視を同じ照明で撮影し、内側・中央・外側の脂肪突出、涙溝、眼窩下外側の骨格支持を触診します。
  • 脂肪突出が主なら部位別の脱脂、固定した凹みが主なら頬から涙溝への支持、両者が混在すれば脱脂を先に選びます。
  • 脱脂後は1か月で同条件の写真を撮り、残る凹み、色むら、くすみ、小じわを分けて追加治療を決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
CO2レーザー経結膜脱脂 若い頃からの膨らみ、上方視で増える内側・中央・外側の眼窩脂肪突出が主な状態 固定した凹み、色素・血管だけが主な状態。強い皮膚余剰や下眼瞼弛緩は別術式を検討 通常1回。1か月後に膨らみ・凹み・皮膚質を再評価 腫れ・内出血は1〜2週が目安。結膜浮腫、出血、左右差、凹凸、取り残し・取りすぎ、下眼瞼位置変化など 経結膜脱脂189,000円。手術時の吸入麻酔11,000円 自由診療の手術。CO2レーザーは使用する販売名・機種ごとに承認範囲を説明
ヒアルロン酸による支持 眼窩縁から頬へ続く固定した凹み、骨格支持の低下が主で、脂肪突出と浮腫が少ない状態 強い脂肪突出、フェストゥーン・持続性浮腫、皮膚余剰、色素・血管だけが主な状態 通常1回。2〜4週で腫れ、凹凸、左右差を再評価 腫れ、内出血、むくみ、凹凸、青色調。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視力障害 1本1cc 77,000円。カテラン針を使用する場合11,000円 ボリューマXCは中顔面などへの使用が国内承認。眼窩周囲への直接注入は行わず、部位・製剤により適応外使用を説明
ジュベルック等の皮膚質治療 構造治療後に残る色むら、くすみ、細かな小じわ、皮膚の質感が主な状態 眼窩脂肪の膨らみ、涙溝・骨格性の凹みなど立体形状が主な状態 製剤・皮膚所見により複数回。脱脂後は1か月評価後に検討 注射痕、赤み、腫れ、内出血、膨疹、硬結、感染、アレルギーなど ジュベルック1cc 33,000円/3cc 55,000円 ジュベルック、プルリアルは国内未承認。医師の個人輸入等で入手し、救済制度の対象外となる場合がある

費用の目安

  • 経結膜脱脂 189,000円
  • 手術時の吸入麻酔 11,000円
  • ヒアルロン酸注入 1本1cc 77,000円
  • カテラン針を使用する場合 11,000円
  • ジュベルック 1cc 33,000円/3cc 55,000円

いずれも自由診療です。組み合わせる場合は実施する治療の料金を合算します。

リスク・副作用・注意点

  • 経結膜脱脂では腫れ、内出血、結膜浮腫、出血、感染、左右差、脂肪の取り残し・取りすぎ、凹み、下眼瞼位置異常、ドライアイ、複視などが生じることがあります。
  • ヒアルロン酸注入では腫れ、内出血、凹凸、青色調、感染、持続性・遅発性浮腫、遅発性結節が生じることがあります。血管内への誤注入または組織圧迫により、皮膚壊死、視力障害・失明、脳卒中などの重篤な合併症が起こる可能性があります。
  • ジュベルック・プルリアル等の注入では、痛み、注射痕、赤み、腫れ、内出血、膨疹、硬結、結節、感染、アレルギーなどが生じることがあります。
  • 国内承認・適応: 経結膜脱脂は自由診療の手術です。ジュビダームビスタ ボリューマXCは成人の中顔面、下顎部、こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています(承認番号22800BZX00338000)が、眼窩周囲へ注入しません。目の下へ直接注入する場合は製剤と部位に応じて国内適応外使用です。ジュベルックとプルリアルは国内未承認で、医師の個人輸入等により入手し、国内の医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Gimenez AR, Rohrich R, Borab Z, Fisher S, Fagien S, Rohrich RJ. Safety and Complications in Lower Eyelid Blepharoplasty: A Systematic Review. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2025;13(9):e7102. doi:10.1097/GOX.0000000000007102.

    Safety and complications in lower eyelid blepharoplasty: a systematic review

    研究デザイン: 下眼瞼形成術36研究のシステマティックレビュー。34件の観察研究と2件の前向き臨床試験を収載 / 対象: 原則として50人以上・1年以上追跡し、転帰と合併症率を示した研究を収載しましたが、一部は基準を厳密に満たさない研究も著者判断で含まれました / 結果: 収載研究では下眼瞼位置異常0〜12%、外反0〜11.3%、下眼瞼後退0〜4.3%でした。審美的合併症として眼周囲の凹み0〜9.8%、不適切な脂肪除去0〜4.9%、術後の微調整3.1〜31%が報告されました。 / 限界: 術式、対象、評価法、追跡期間が不均一でメタ解析は行われていません。一部は選択基準を満たさず、CO2レーザー、医師2名確認、座位確認、当院の区画別切除法の効果を直接比較していません。Rod J Rohrich医師はAllergan/AbbVie、Galdermaなど複数企業との関係を開示し、他の著者は関連する経済的利益なしと報告しています。

  2. Nalcı Baytaroğlu H, Hoşal MB. Complications of Periorbital Cosmetic Hyaluronic Acid Filler Injections: A Major Review. Turk J Ophthalmol. 2025;55(5):276-286. doi:10.4274/tjo.galenos.2025.45213.

    Complications of periorbital cosmetic hyaluronic acid filler injections: a major review

    研究デザイン: 眼周囲ヒアルロン酸注入の前向き・後ろ向き研究、症例集積、症例報告を扱った主要レビュー / 対象: 涙溝、上眼瞼溝、眉周囲への注入研究を横断し、単一の総対象人数は設定されていません / 結果: 4週を超える持続性浮腫は収載研究で0〜15%と報告され、皮膚弛緩、アレルギー・酒さ、既存の頬上部の膨らみ、突出した眼窩脂肪などが患者側のリスク因子として挙げられました。早期の浮腫・内出血・凹凸・青色調のほか、まれな視力障害も記載されています。 / 限界: 製剤、注入層、手技、追跡期間が不均一で、重い合併症は症例報告・症例集積に依存します。治療法別の発生率や、個人における脱脂と注入の優劣は比較できません。著者は利益相反と研究助成なしを報告しています。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 目の下のクマは何が原因ですか?

治療を左右する構造要因は、眼窩周囲の骨格が痩せて生じる凹みと、眼窩脂肪が前へ出て生じる膨らみです。両方が混在することも多く、色素、血管、むくみ、皮膚の薄さが重なる場合は構造治療の後に分けて評価します。

Q. なぜ裏ハムラ法を第一選択にしないのですか?

当院は、内側から中央の涙溝だけでなく、外側の骨格性の凹みと将来の骨吸収まで見て、後から調整しやすい治療を優先します。突出脂肪を脱脂で整え、必要な支持だけをヒアルロン酸で補う方が、手術範囲を増やさず段階的に調整できると考えています。

Q. 脂肪注入やナノファットは行いますか?

当院ではクマのボリューム補充を目的とする体脂肪注入を原則選びません。生着量と部位差を後から細かく調整しにくいためです。ナノファットは皮膚の質感や色調を扱う方法で、膨らみや凹みの構造治療とは分けます。

Q. 脱脂をすると目の下が凹みませんか?

過剰切除と一律な切除を避け、前へ出た脂肪だけを区画ごとに調整します。内側・中央は温存を重視し、座位で左右と眼窩縁の影を確認します。凹み、左右差、取りすぎなどのリスクはあるため、1か月後に残る膨らみと凹みを再評価します。

Q. 主な治療の費用と承認状況を教えてください。

経結膜脱脂は189,000円、手術時の吸入麻酔は11,000円です。ヒアルロン酸は1本1cc 77,000円、カテラン針を使う場合は11,000円です。ジュビダームビスタ ボリューマXCは中顔面などへの使用が国内承認されていますが、眼窩周囲へ直接注入する製剤ではありません。ジュベルックとプルリアルは国内未承認です。

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