症例紹介

まぶたの左右差とたるみへ二重切開を行った術後2か月症例

二重幅と顔の雰囲気を大きく変えず、右は二重線を作り、左はまぶたのたるみを整えた二重切開の症例です。術後2か月では左右の見え方が揃い、ご本人はアイメイクをほとんど必要としなくなったと話されました。左右別に診察・設計する理由と、2か月時点の見方を解説します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年10月5日
実質更新日
2026年8月9日
右の二重線と左のまぶたのたるみを二重切開で整えた術前と術後2か月の開眼正面比較

Contents

目次

  1. 右の二重線と左のたるみを、別々の目標として整えました
  2. 術後2か月は、開眼と閉眼で二重線と切開線を見ます
  3. 皮膚余剰・挙筋機能・額の代償を左右別に確認します
  4. 2か月の左右差だけで修正を急がず、変化の方向を見ます
  5. 閉じにくさ・乾燥と、緊急性のある視機能変化を分けます
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

右の二重線と左のたるみを、別々の目標として整えました

上段が術前、下段が二重切開の術後2ヶ月です。ご希望は二重幅と目元の雰囲気を大きく変えず、右には二重線を作り、左では皮膚のかぶさりを整えることでした。

術後は開眼時の二重線と皮膚の収まりが左右で近づき、正面から見た左右差が目立ちにくくなっています。ご本人は、アイメイクをほとんどする必要がなくなったと感じていました。

二重線と左右差を継続して見る理由として、切開法後の主な形態上の課題は左右差12.35%と二重幅の狭小化8.64%で、95.1%が良好または非常に良好と評価したとの報告がありました(参考文献1)。

術後2か月は、開眼と閉眼で二重線と切開線を見ます

開眼では二重線の高さ、まつ毛側の皮膚の見え方、黒目の見え方、眉の高さを比べます。閉眼では両眼を閉じる動きと、二重線に沿う切開線の連続性、左右の線の位置を確認できます。

術後2か月は大きな腫れが落ち着いていても、切開線の色や硬さは変化の途中です。赤み、硬さ、段差、つっぱり、目を閉じたときの隙間を確認し、同じ開眼・閉眼条件で経過を追います。

切開線を3か月まで追う理由として、上眼瞼手術の傷あと評価と硬さは、使用した外用にかかわらず1か月から3か月にかけて改善したとの報告がありました(参考文献2)。

皮膚余剰・挙筋機能・額の代償を左右別に確認します

左右差があるときは、二重線の有無だけでなく、皮膚のかぶさり、既存線の位置、まぶた縁の高さ、眉の高さを片側ずつ記録します。同じ切除量に揃えるのではなく、残したい二重幅と目元の雰囲気に合わせて左右の役割を決めます。

眉を固定してMRD1と挙筋機能を測り、額で目を開ける前頭筋代償も確認します。皮膚のかぶさりが主なら皮膚と二重線を整え、開瞼機能の低下がある場合は眼瞼下垂手術を含めて計画を分けます。

皮膚余剰と開瞼機能を分けて手術を選ぶ理由として、上眼瞼形成の20.5%で眼瞼下垂修正が併用され、再手術率は上眼瞼形成のみ3.8%、併用9.2%との報告がありました(参考文献3)。

2か月の左右差だけで修正を急がず、変化の方向を見ます

術後2か月で左右差が残る場合は、腫れ、切開線の硬さ、眉の力み、二重線の固定、開瞼機能のどこに差があるかを確認します。術前と前回の写真を並べ、差が小さくなる方向か、一定のままかを見ます。

視機能の問題や創部トラブルがなければ、傷あとがさらに変化する期間を見てから修正の必要性を判断します。幅だけを合わせる再切開ではなく、皮膚余剰、線、挙筋機能の原因に応じて修正内容を決めます。

閉じにくさ・乾燥と、緊急性のある視機能変化を分けます

閉じにくさ、乾燥感、異物感、まばたきの違和感があるときは、二重線だけでなく涙液と角結膜を確認します。目を閉じたときの隙間と角膜の乾燥を見て、保湿や点眼の必要性を判断します。

急に強くなる眼窩の痛み、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野の変化、複視、止まりにくい出血は、通常のダウンタイムとして待たず直ちに評価します。発熱、膿、傷の離開、閉じにくさと角膜痛がある場合も予定の再診を待たず連絡してください。

眼表面も術後評価へ含める理由として、上眼瞼形成後は1か月と6か月でドライアイ症状と角結膜染色が増え、涙液層破壊時間が短くなったとの報告がありました(参考文献4)。

急な眼窩痛と視機能変化を緊急対応へ分ける理由として、眼窩内出血は約0.055%、永久的な視力喪失を伴うものは約0.0045%で、多くは術後3時間以内でしたが数日後にも起こり得るとの報告がありました(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 術前と術後2か月を同じ正面・同じ開眼条件で並べ、二重線、皮膚のかぶさり、まぶた縁、眉の高さを左右別に記録します。
  • 閉眼では切開線の赤み・硬さ・段差、左右の線、閉じたときの隙間を確認し、開眼時の二重線と対応させます。
  • 眉を固定してMRD1と挙筋機能を測り、皮膚余剰、二重線、前頭筋代償、開瞼機能のどこに左右差があるかを分けます。
  • 2か月の見た目だけで修正を急がず、術前からの変化と傷あとの経過を追い、視機能障害や創部トラブルがあれば時期を待たず対応します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
二重切開法 二重線と皮膚のかぶさりを直接調整し、左右別に形を整えたい状態 希望幅が定まっていない、開瞼機能低下だけが主な状態 通常1回。2か月以降も傷あとと左右差を経時評価 腫れ、内出血、傷あと、左右差、多重線、二重線の消失、幅変更の難しさ 両目275,000円 手術手技。自由診療
眼瞼下垂手術 MRD1・挙筋機能・視野から開瞼機能の低下を認める状態 開瞼機能が保たれ、二重幅や整容面だけを整えたい状態 通常1回。腫れが落ち着いた後に機能と左右差を再評価 腫れ、内出血、低矯正・過矯正、左右差、閉瞼不全、ドライアイ、角膜障害 診断・術式・自己負担割合により異なる 手術手技。機能障害の診断と術式により保険適用

費用の目安

  • 二重切開法(両目):275,000円(税込)

本症例で明記されている治療は二重切開法です。眼瞼下垂手術は機能障害の診断、術式、自己負担割合により保険診療の費用が変わります。

リスク・副作用・注意点

  • 二重切開では、腫れ、内出血、痛み、感染、傷の離開、傷あとの赤み・硬さ、左右差、多重線、二重線の消失、希望幅との差が起こることがあります。ダウンタイムは2週間〜1か月程度が目安です。
  • 広く作った二重幅を狭くする修正は難しく、修正手術でも希望どおりの幅や左右差にならないことがあります。
  • 閉瞼不全、乾燥感、異物感、角膜障害が起こることがあります。急な視力・視野の変化、強くなる眼窩痛、眼球突出、急速な片側の腫れ、止まりにくい出血は直ちに連絡が必要です。
  • 国内承認・適応: 二重切開法と眼瞼下垂手術はいずれも手術手技で、医療機器の承認番号を付す治療ではありません。二重形成は自由診療です。機能障害を伴う眼瞼下垂手術は、診断と術式により保険診療となる場合があります。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Zhang T, Liu L, Fan J, et al. Upper blepharoplasty in Asian population: A novel technique based on functional zoning and dynamic reconstruction with anatomical structure. J Cosmet Dermatol. 2024;23(11):3684-3692. doi:10.1111/jocd.16444. PMID:39092866.

    Upper blepharoplasty in Asian population: A novel technique based on functional zoning and dynamic reconstruction with anatomical structure

    研究デザイン: 特定の眼輪筋処理を用いた二重切開法の傷あと、機能、形態、満足度を調べた単施設後ろ向き研究。 / 対象: 18〜39歳の86人が手術を受け、追跡できた81人を解析した。全手術を同じ術者が行った。 / 結果: 91.36%が傷あとを目立たない、またはほぼ見えないと回答した。主な問題は左右差12.35%と二重幅の狭小化8.64%で、95.1%が良好または非常に良好、96.3%が高いまたは非常に高い満足度と回答した。 / 限界: 単一術者による特定術式の後ろ向き研究で、対照群がなく、5人が追跡不能だった。本症例の左右別設計、切開幅、固定法、皮膚処理、術後2か月の完成度を直接検証していない。PubMed書誌・抄録で確認し、原著全文は取得していない。

  2. Güçlü ES, Özer Ö, Çelik S, Eröz P, Baysal Z. Comparison of the Cosmetic Efficacy of Extractum Cepae and Silicone-Based Gel in Upper Blepharoplasty. J Craniofac Surg. 2024;35(7):e658-e660. doi:10.1097/SCS.0000000000010472. PMID:39016346.

    Comparison of the Cosmetic Efficacy of Extractum Cepae and Silicone-Based Gel in Upper Blepharoplasty

    研究デザイン: 上眼瞼形成後にタマネギ抽出物配合ゲル、シリコーンゲル、追加外用なしの3群を比較した臨床研究。抄録では割付方法と前向き・後ろ向きの別が明記されていない。 / 対象: 抜糸後の240人を3群に分け、術後1か月と3か月のカラー写真を2人の医師が評価した。 / 結果: 3群すべてで傷あと評価の平均値が1か月より3か月で低下し、硬さの評価も1か月より3か月で改善した。群間で外用製品による有意な差はなかった。 / 限界: 割付方法と術式詳細が抄録では明確でなく、写真評価である。二重切開の左右別設計を対象とせず、本症例の2か月時点の傷あとや特定外用の必要性を示さない。PubMed書誌・抄録で確認し、原著全文は取得していない。

  3. Falcon Rodriguez L, Kuruoglu D, Salinas CA, et al. Eyelid and Brow Rejuvenation: Technical Pearls and Outcomes of Upper Blepharoplasty with or without Ptosis Correction and Brow Lift. Plast Reconstr Surg. 2024;154(6):1199-1207. doi:10.1097/PRS.0000000000011324. PMID:38315110.

    Eyelid and Brow Rejuvenation: Technical Pearls and Outcomes of Upper Blepharoplasty with or without Ptosis Correction and Brow Lift

    研究デザイン: 上眼瞼形成単独と眼瞼下垂修正併用の治療内容・再手術を診療録から検討した後ろ向きコホート研究。 / 対象: 上眼瞼形成を受けた278人・533件。平均年齢67.3歳、平均追跡8.3か月で、109件に眼瞼下垂修正が併用された。 / 結果: 眼瞼下垂修正は全手術の20.5%に併用された。再手術率は上眼瞼形成単独3.8%、眼瞼下垂修正併用9.2%で、3か月以上続く新たなドライアイは0.8%に生じ、全例で改善した。 / 限界: 高齢者を中心とする単施設の後ろ向き研究で、アジア人の二重切開や左右別の皮膚調整を対象とした比較試験ではない。本症例に眼瞼下垂修正を併用したかは示さない。PubMed書誌・抄録で確認し、原著全文は取得していない。

  4. Aygun O, Arat YO, Dikmetas O, et al. Effect of upper eyelid blepharoplasty on the ocular surface, tear film, and corneal microstructure. Arq Bras Oftalmol. 2024;87(3):e20220220. doi:10.5935/0004-2749.2022-0220. PMID:38537039; PMCID:PMC11627281.

    Effect of upper eyelid blepharoplasty on the ocular surface, tear film, and corneal microstructure

    研究デザイン: 皮膚と眼輪筋の一部を切除する上眼瞼形成の前、1か月、6か月に眼表面と涙液を測定した単施設前向き研究。 / 対象: 上眼瞼形成を受けた22人・22眼。平均61歳で、既往の眼瞼手術や術前ドライアイがある人は除外された。 / 結果: 術後1か月と6か月でドライアイ症状と角結膜染色が増え、涙液層破壊時間が短縮した。Schirmer試験と角膜微細構造には有意な変化がなかった。 / 限界: 少数・単一術者・対照群なしで、皮膚・眼輪筋切除を伴う上眼瞼形成の結果であり、本症例の二重切開法や左右別の皮膚調整を直接検証していない。

  5. Hass AN, Penne RB, Stefanyszyn MA, Flanagan JC. Incidence of Postblepharoplasty Orbital Hemorrhage and Associated Visual Loss. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2004;20(6):426-432. doi:10.1097/01.iop.0000143711.48389.c5. PMID:15599241. Erratum: Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2005;21(2):169.

    Incidence of Postblepharoplasty Orbital Hemorrhage and Associated Visual Loss

    研究デザイン: 米国眼形成再建外科学会会員への質問票による回顧的調査。出血の発症時期、治療、視力喪失を集計した。 / 対象: 回答医師237人が経験した眼瞼美容手術269,433件。眼窩内出血149件、一時的視力喪失48件、永久的視力喪失12件。 / 結果: 眼窩内出血は約0.055%、永久的視力喪失を伴う出血は訂正後約0.0045%。多くは術後0〜3時間に起き、24時間後にリスクは低下したが数日後にも発症した。 / 限界: 医師の記憶に基づく質問票で想起バイアスがある。上・下眼瞼、術式、併用手技が混在し、二重切開法だけの発生率ではない。

よくあるご質問

Q. 左右で違う手術設計にすることはありますか?

あります。二重線を作る側と皮膚のかぶさりを整える側では目標が異なるため、既存線、皮膚余剰、まぶた縁、眉位置、挙筋機能を左右別に確認します。同じ切除量に揃えるのではなく、残したい二重幅と雰囲気に合わせます。

Q. 術後2か月の二重線は完成ですか?

大きな腫れは落ち着いて評価しやすい時期ですが、切開線の色や硬さ、細かな腫れ、左右差はその後も変化します。術前と前回の写真を比べ、変化の方向を見ながら判断します。

Q. 閉眼写真では何を確認しますか?

切開線の連続性、赤み、硬さ、段差、左右の線、目を閉じたときの隙間を確認します。開眼時の二重線だけでは分からない傷あとと閉瞼機能を評価できます。

Q. 二重切開と眼瞼下垂手術はどう使い分けますか?

二重切開は主に皮膚と二重線を整える自費手術です。まぶた縁が瞳孔へかかり、MRD1・挙筋機能・視野に機能低下がある場合は眼瞼下垂手術を検討します。

Q. 予定日を待たず連絡したほうがよい症状はありますか?

急に強くなる眼窩の痛み、急速な片側の腫れ、眼球突出、視力・視野の変化、複視、止まりにくい出血、発熱、膿、傷の離開、閉じにくさと角膜痛がある場合は、予定の再診を待たず連絡してください。

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