医師解説しわ・たるみ

下顔面でヒアルロン酸とボトックスを組み合わせる考え方

ジュビダームビスタ ボリューマXC 4ccとボラックスXC 1ccの計5ccでフェイスラインを整え、口角・ガミースマイル・顎の3部位へボトックスを行った症例です。体重変化のない治療前と2週間後の正面・両斜位から、支えと動きの役割を分けます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年1月9日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面の2週間後は、フェイスラインの支えと口元の動きを一緒に見ます
  2. 左斜位で、口横の陰から顎先までの面をつなげます
  3. 右斜位と表情で、口角・ガミースマイル・顎を別々に調整します
  4. 支えを先に整え、2週間後に口元の動きを再評価します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

正面の2週間後は、フェイスラインの支えと口元の動きを一緒に見ます

正面写真は左が治療前、右が2週間後です。撮影の間に体重変化はありません。2週間後は口横から下顎縁へ落ちる陰が浅くなり、顎先までの輪郭が滑らかに見えます。

先にジュビダームビスタ ボリューマXC 4ccとボラックスXC 1cc、合計5ccでフェイスラインを整えました。その後、口角、ガミースマイル、顎の3部位へボトックスを行い、静止時の支えと表情時の引っ張りを別の治療で調整しています。

支えと筋肉の動きがともに下顔面の印象へ関わるときに併用する理由として、口周囲、唇のボリューム、口角を含む多くの評価時点で、併用はヒアルロン酸またはボツリヌストキシン単独より治療前からの改善が大きかったとの報告がありました(参考文献1)。

左斜位で、口横の陰から顎先までの面をつなげます

左斜位も左が治療前、右が2週間後です。正面では重なって見える口横の陰、下顎縁の凹凸、顎先の前方へのつながりを一枚で比べます。

ヒアルロン酸は、口元を直接膨らませるのではなく、フェイスラインの途切れを補って下顔面の支えを作る役割です。ボリューマXC 4ccとボラックスXC 1ccの部位別配分は、正面と両斜位で必要な支えを決めて行います。

顎先では、形を支える注入に顎の緊張調整を重ねる理由として、併用はヒアルロン酸単独より少ない製剤量で同程度の顎後退尺度の改善を保ち、最初の6か月は立体計測による表面・体積係数、最初の3か月は全般改善の反応率が高かったとの報告がありました(参考文献2)。

右斜位と表情で、口角・ガミースマイル・顎を別々に調整します

右斜位も左が治療前、右が2週間後です。反対方向からも口横の陰、下顎縁、顎先までを比べると、片側だけを整えすぎずに左右の輪郭をそろえられます。

口角は口角を下方へ引く動き、顎は力を入れたときの顎先の凹凸を見て、日常の表情を残す量にします。ガミースマイルは自然な笑顔で上口唇の上がり方と歯肉露出を測り、口角・顎とは別に注入位置を決めます。

ガミースマイルを2週間後に笑顔で見直す理由として、歯肉露出の平均値は6.20mmから3.30mmへ減り、上口唇挙上筋の活動も2週間で最も小さく、3か月後から戻って6か月後には治療前に近づいたとの報告がありました(参考文献3)。

支えを先に整え、2週間後に口元の動きを再評価します

この症例では、ヒアルロン酸でフェイスラインを整えた後に、口角・ガミースマイル・顎のボトックスを行いました。静止時の輪郭を先に作ると、残る陰が支えの不足によるものか、筋肉の引っ張りによるものかを表情ごとに見直せます。

2週間後は、正面・両斜位の静止写真に加え、自然な笑顔、口角を下げた表情、顎へ力を入れた表情を同じ条件で比べます。口元の動きが十分に残り、左右差がなければ追加せず、その時点の形を基準に次回を考えます。

ヒアルロン酸後は1週間程度の内出血、1〜2か月程度の注入部のしこり感が続くことがあります。皮膚の青白化や網目状変色、異常に強い痛み、見え方の異常は、通常の腫れや内出血と分けて直ちに連絡が必要です。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面と両斜位の静止写真で、口横から下顎縁へ続く陰、顎先の位置、左右の輪郭を見て、ヒアルロン酸で補う支えを決めます。
  • 自然な笑顔では歯肉露出と上口唇の挙上、口角を下げた表情では下向きの動き、顎へ力を入れた表情では顎先の凹凸を記録します。咬筋の張りは別に触診し、この症例の3部位へ含めません。
  • 先にボリューマXCとボラックスXCの計5ccで静止時のフェイスラインを整え、残る動きへ口角・ガミースマイル・顎のボトックスを配分します。
  • 2週間後に同じ正面・両斜位と表情を撮影し、陰の減り方、輪郭の連続、口角・笑顔・顎の動き、会話や食事の違和感を順に見直します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ヒアルロン酸5ccでフェイスラインを整える 静止時に口横から下顎縁の陰・凹みがあり、顎先までの輪郭の支えを補う状態 支えが十分にある、活動性の炎症・感染がある、筋肉の動きだけが主な状態 通常1回。腫れが引いた後に正面・両斜位を再評価 内出血は1週間程度、腫れ・圧痛・左右差、しこり感は1〜2か月程度。まれに血管閉塞 1本1cc 77,000円。症例の5ccは385,000円 ボリューマXC:22800BZX00338000/ボラックスXC:30200BZX00254000
口角・ガミースマイル・顎のボトックス3部位 口角の下向きの動き、笑顔時の歯肉露出、顎へ力を入れたときの凹凸が目立つ状態 支えの不足だけが主な状態、会話・食事に関わる動きを弱めると不都合が大きい状態 通常1回。効果がそろう2週間後に表情を再評価 内出血、赤み、左右差、笑い方・発音・咀嚼の違和感、効きすぎによる動かしにくさ 表情じわ3部位 75,000円 症例の製剤名は特定せず。口角・ガミースマイル・顎はボトックスビスタの国内承認範囲外
ヒアルロン酸5cc+ボトックス3部位 フェイスラインの支え不足と、口角・笑顔・顎の筋肉の動きが同時に関わる状態 支えまたは動きの一方だけで整う状態、どちらかの禁忌に該当する状態 支えを整えた後に動きを調整し、2週間後に正面・両斜位と表情を再評価 両施術の内出血、腫れ、しこり感、左右差、表情の違和感。ヒアルロン酸ではまれに血管閉塞 症例と同じ量・部位なら合計460,000円。カテラン針使用時は別途11,000円 ヒアルロン酸2製剤は国内承認品。ボツリヌストキシンの製剤と使用部位により適応外・未承認を含む

費用の目安

  • ヒアルロン酸注入 1本1cc:77,000円(税込)
  • 症例のヒアルロン酸5cc:385,000円(税込)
  • ボトックス表情じわ3部位:75,000円(税込)
  • 症例と同じ5cc+3部位の合計:460,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込。使用した場合)

症例のボリューマXC 4ccとボラックスXC 1ccの製剤費は385,000円、ボトックス3部位は75,000円で、合計460,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。

リスク・副作用・注意点

  • ヒアルロン酸:痛み、赤み、腫れ、圧痛、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、遅発性炎症・結節、血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力障害・失明、脳卒中
  • ボツリヌストキシン:内出血、赤み、左右差、表情・発音・咀嚼の違和感、局所や遠隔筋の筋力低下、嚥下・呼吸への影響、過敏症
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で皮下または骨膜上深部へ使用します。ボラックスXCも国内承認品(承認番号30200BZX00254000)で、成人の顔面のボリューム回復・増大を目的に皮下または骨膜上深部へ使用し、口唇・眉間・眼窩周囲は適応に含みません。症例のボツリヌストキシン製剤名は特定していません。ボトックスビスタ(承認番号22100AMX00398000)の国内承認は65歳未満の眉間・目尻の表情皺であり、口角・ガミースマイル・顎は適応外使用です。コアトックスを選ぶ場合は国内未承認医薬品です。

皮膚の青白化、網目状変色、異常な強い痛み、見え方の異常、息苦しさ、飲み込みにくさ、全身の強い筋力低下がある場合は直ちに連絡してください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Carruthers A, Carruthers J, Monheit GD, Davis PG, Tardie G. Dermatol Surg. 2010;36 Suppl 4:2121-2134. doi:10.1111/j.1524-4725.2010.01705.x. PMID:21134044.

    Multicenter, randomized, parallel-group study of the safety and effectiveness of onabotulinumtoxinA and hyaluronic acid dermal fillers (24-mg/ml smooth, cohesive gel) alone and in combination for lower facial rejuvenation

    研究デザイン: 多施設・無作為化・並行3群試験。24mg/mLヒアルロン酸ゲル単独、onabotulinumtoxinA単独、両者併用を比較 / 対象: 35〜55歳の女性90人。各群30人。口周囲と下顔面を治療 / 結果: すべての評価項目と多くの評価時点で、併用群は各単独群より治療前からの改善が大きかった。評価には口周囲、唇のボリューム、口角、Cosmetic Improvement、Global Aesthetic Improvementを含む / 限界: 女性35〜55歳、特定のonabotulinumtoxinAと24mg/mLヒアルロン酸ゲルを用いた研究で、今回の日本製剤、5cc、口角・ガミースマイル・顎の個別配分を直接評価していません。PubMed抄録には評価時点別の絶対値と統計量、資金源・利益相反が記載されず、原著全文へアクセスできなかったため抄録で確認できる範囲に限定しました。2026年8月8日にPubMed抄録を確認しました。 / 利益相反: PubMedレコードに利益相反記載はありません。原著全文へアクセスできず、資金源と著者の企業関係は確認できませんでした。

  2. Guo Y, Wang J, Wei W, et al. Aesthet Surg J. 2024;44(5):537-544. doi:10.1093/asj/sjad358. PMID:38036752.

    Treatment of Chin Retrusion With Botulinum Toxin Plus Hyaluronic Acid Filler in Comparison With Hyaluronic Acid Filler Alone: A Randomized, Evaluator-Blinded, Controlled Study

    研究デザイン: 評価者盲検・無作為化比較試験。ボツリヌストキシンを1週間先行したヒアルロン酸併用群とヒアルロン酸単独群を9か月追跡 / 対象: 中等度〜重度の顎後退がある23〜56歳の50人。各群25人、女性86%。50人全員が追跡を完遂 / 結果: 併用群の平均ヒアルロン酸量は2.08mL、単独群は2.75mL。追加注入は併用群12%、単独群68%。顎後退尺度は同程度でしたが、併用群は最初の6か月の表面・体積係数と最初の3か月の全般改善反応率が高く、軽度の治療関連反応は7日以内に消失 / 限界: 中国1施設で、中等度〜重度の顎後退を対象にHengliとAqualunaを用いた結果です。今回のボリューマXC・ボラックスXC、口角・ガミースマイルを含む3部位、合計5ccを直接評価しません。著者は利益相反なしと申告し、徐州医科大学附属病院と大学院研究プログラムの助成を受けました。Oxford Academic原著全文を2026年8月8日に確認しました。 / 利益相反: 著者は研究・執筆・出版に関する潜在的利益相反なしと申告。Scientific Research Project of the Affiliated Hospital of Xuzhou Medical UniversityとPostgraduate Research & Practice Innovation Programの助成を受けています。

  3. Mate PP, Nilesh K, Joshi A, Panda A. J Dent Res Dent Clin Dent Prospects. 2021;15(2):122-128. doi:10.34172/joddd.2021.021. PMID:34386184; PMCID:PMC8346717.

    Clinical and electromyographic evaluation of botulinum toxin type A in the treatment of gummy smile: A prospective clinical study

    研究デザイン: 単施設の前向き単群研究。ガミースマイルの型に応じてA型ボツリヌストキシンを上口唇挙上筋群へ注入し、治療前、2週、3か月、6か月を写真計測と筋電図で比較 / 対象: ガミースマイルの10人。前方型3人、後方型2人、混合型3人、非対称型2人 / 結果: 平均歯肉露出は治療前6.20mm、2週3.30mm、3か月4.40mm、6か月5.60mm。上口唇挙上筋の活動電位も2週で最小となり、6か月で治療前に近づいた / 限界: 対照群のない10人の小規模研究で、ガミースマイルの型と注入点が混在しています。インドのSIAXを1部位1.25単位で用いた結果で、日本のボトックスビスタやコアトックスの単位へ換算できず、今回の口角・顎や製剤不明の3部位治療を直接評価しません。資金提供なし、競合利益なしと申告しています。PMC原著全文を2026年8月8日に確認しました。 / 利益相反: 著者は資金提供なし、競合利益なしと申告しています。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. なぜヒアルロン酸を先に入れてからボトックスを行うのですか?

静止時のフェイスラインの支えを先に作ると、残る口元の陰や下向きの力を表情ごとに見直せるためです。この症例ではボリューマXC 4ccとボラックスXC 1ccで輪郭を整え、その後に口角・ガミースマイル・顎を調整しました。

Q. ヒアルロン酸5ccはすべて顎へ入れたのですか?

合計5ccはボリューマXC 4ccとボラックスXC 1ccで、フェイスラインを整えるために使用しました。顎だけへ5ccを集中させた治療ではありません。正面・両斜位で口横から下顎縁、顎先の支えを見て配分します。

Q. ボトックスはどの3部位に行いましたか?

口角、ガミースマイル、顎の3部位です。口角を下げる動き、笑顔時の歯肉露出、顎へ力を入れたときの凹凸を別々に見て、会話や食事に必要な動きを残します。

Q. 治療後はいつ仕上がりを確認しますか?

この症例は2週間後に正面・両斜位を撮影しました。ボトックスの効果がそろう時期に、静止時の輪郭だけでなく、自然な笑顔、口角を下げた表情、顎へ力を入れた表情も比べます。

Q. 口角・ガミースマイル・顎のボトックスは国内承認ですか?

ボトックスビスタの国内承認は65歳未満の眉間・目尻の表情皺で、口角・ガミースマイル・顎は適応外使用です。コアトックスを選ぶ場合は国内未承認医薬品です。使用製剤、入手経路、国内承認品との違い、救済制度の対象外となる可能性を説明します。

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