男性のクマとほうれい線をヒアルロン酸3ccで自然に整える考え方
目の下のクマと深いほうれい線で疲れた印象が強く見えた男性へ、ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計3cc使用した症例です。頬の高い位置を強調せず、全てカニューレで注入し、正面と両側の斜位から自然な影の変化を確認します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年1月18日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
正面では、目の下の影と深いほうれい線を同時に見ます
正面の治療前後写真では、目の下から頬へ続く影と、鼻翼の外側から口元へ伸びる深いほうれい線を比べます。男性では、これらの影が重なると疲れた印象や年齢感が強く見える一方、頬の丸みを大きく作ると希望する輪郭から離れることがあります。
この症例ではヒアルロン酸製剤のジュビダームビスタ ボリューマXCを合計3cc使用し、全てカニューレで注入しました。治療後は、目の下から前頬へ続く境界とほうれい線の影がやわらぎ、男性らしい輪郭を保ったまま顔の中央が明るく見えます。
ご本人は麻酔時以外の痛みがなく、ダウンタイムも少なく経過しました。これは本症例の経過であり、一般には痛み、腫れ、内出血が生じることがあります。
斜位では、頬の高い点を作り過ぎず前頬の支えを整えます
一方向の斜位では、下眼瞼から前頬へ移る曲面と、前頬からほうれい線へ続く高低差を確認します。この症例では頬の高い点を強く作るのではなく、目の下と口元の間を自然につなぐことを目標にしました。
前頬の支えが不足していると、目の下の境界とほうれい線の両方が影になりやすくなります。そこで中顔面の支えを確認し、正面で横幅を増やし過ぎていないか、斜位で目の下から頬への移行が滑らかになったかを往復して見ます。
前頬の支えを先に見る理由として、ボリューマを中顔面へ用いた経過では、78週時も81.7%が1段階以上改善し、追加治療なしで24か月まで追跡できた症例では95.6%が1段階以上改善したとの報告がありました(参考文献1)。
反対方向の斜位で、クマとほうれい線の残り方を別々に確認します
反対方向の斜位では、目の下の影が前頬までどのように続くか、ほうれい線が鼻翼基部からどの程度残るかを確認します。片側だけで終了点を決めず、正面と両斜位で自然な輪郭が保たれていることを見ます。
目の下は、凹みだけでなく脂肪の膨らみ、むくみ、皮膚色でも暗く見えます。ほうれい線も、前頬の支えと線そのものの深さを分けます。この症例では合計3ccを全てカニューレで注入していますが、目の下・前頬・ほうれい線への部位別配分は固定せず、各所見の終了点を別々に評価します。
目の下の凹みを形と腫れに分けて再確認する理由として、カニューレで内側涙溝を治療した経過では、4週までに全員が改善を自覚し、75%が治療に満足したとの報告がありました(参考文献2)。
ほうれい線を目の下とは別に評価する理由として、別のヒアルロン酸製剤を両側のほうれい線へ合計平均3.0mL使用した経過では、12か月時も重症度の改善が維持されたとの報告がありました(参考文献3)。
ボリューマXCの承認範囲と、注入後に連絡が必要な変化
ボリューマXCは、中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています。目の下やほうれい線への直接使用は承認範囲に含まれず、電子添文では眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告されています。
施術後は内出血が1週間程度、注入部のしこり感が1〜2か月程度続くことがあります。皮膚が青白くなる、網目状に暗く変色する、通常と異なる強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。
ジュビダームビスタ ボリューマXCの国内承認部位は中顔面・下顎部・こめかみです。目の下やほうれい線への直接使用は承認範囲に含まれず、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告されています(参考文献4)。
通常の内出血やしこり感と血流障害を分ける理由として、ヒアルロン酸による血流障害では、急に増す痛み、蒼白、その後の網目状の暗紫色変化を認めた段階で直ちに評価と治療を始めるとの報告がありました(参考文献5)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に正面で、目の下の色、脂肪の膨らみ、凹みによる影、前頬の平坦さ、ほうれい線の左右差を分けます。
- 次に両側の斜位で、下眼瞼から前頬への曲面と、前頬からほうれい線へ続く高低差を確認します。
- 男性の輪郭では、頬の高い点をどこまで残すかを希望と骨格に合わせ、中顔面の支えを見直した後に残る目の下とほうれい線を別々に評価します。
- 施術後は正面と両斜位を再確認し、影が短くなっても頬幅や丸みが強くなり過ぎていない状態を終了点にします。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 中顔面の支えをボリューマXCで補う | 前頬の平坦さが目の下とほうれい線の影を同時に強めている状態 | 頬のボリュームが十分、目の下の色・脂肪突出・むくみだけが主因の状態 | 1回後に正面・両側斜位で再評価し、必要時のみ追加 | 痛み、赤み、腫れ、内出血、硬さ・しこり、左右差。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 | 1本1cc 77,000円。症例と同じ3本は231,000円 | ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみのボリューム増大で国内承認 |
| 目の下の凹みを直接補う | 色や脂肪突出より、限局した凹みによる影が主因の状態 | むくみやすい、皮膚色・眼窩脂肪突出が主因、眼窩周囲の血管リスクを許容できない状態 | 少量ごとに形と腫れを確認し、必要時に別日に再評価 | 腫れ、内出血、凹凸、チンダル現象、遷延性浮腫。まれに重い血管・視覚合併症 | 使用本数×77,000円。カテラン針を使用する場合11,000円 | ボリューマXCの目の下への直接使用は国内承認範囲外。電子添文は眼窩周囲への注入を警告 |
| 残るほうれい線を直接補う | 中顔面を整えた後も、鼻翼基部から線そのものの深さが残る状態 | 前頬の重さ・支持不足が主因で、線だけを補うと口元が重く見える状態 | 中顔面の再評価後、残る線を必要量だけ補う | 痛み、腫れ、内出血、凹凸、硬さ・しこり。まれに血管閉塞、皮膚壊死 | 使用本数×77,000円。カテラン針を使用する場合11,000円 | ボリューマXCのほうれい線への直接使用は国内承認範囲外 |
費用の目安
- ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
- 症例と同じ3本:231,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込。症例と同様に使用する場合、3本との合計242,000円)
本症例と同じボリューマXC 3本は231,000円です。全てカニューレを使用した症例のため、現在のカテラン針使用料11,000円を加えた計算例は242,000円です。すべて自由診療です。
リスク・副作用・注意点
- 痛み、赤み、腫れ、圧痛、内出血、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、遅発性炎症・結節など
- 目周りではチンダル現象、遷延性浮腫、輪郭不整など
- まれに血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ使用します。目の下やほうれい線への直接使用は承認範囲外です。電子添文は、側副血行路が乏しい領域の例として眼窩周囲を挙げ、注入しないよう警告しています。承認範囲外使用では、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
原症例には1週間程度の内出血、1〜2か月程度のしこり感が記載されています。皮膚の青白化、網目状変色、通常と異なる強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちに連絡してください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study
研究デザイン: オーストラリア6施設の前向き観察研究。中顔面の容量不足へボリューマを初回4週間内に1〜2回使用し、78週時は規定条件で追加可能として24か月追跡した。 / 対象: 103人を治療し、72人が24か月来院、45人は78週の追加治療を受けず24か月評価対象となった。初回平均使用量は5.1mLだった。 / 結果: 中顔面容量不足スケールの1段階以上改善は78週で81.7%。追加治療なしで24か月まで評価した45人では43人(95.6%)が1段階以上改善した。 / 限界: 未処置対照がなく、24か月結果は完遂者かつ追加治療なしの45人に限られる。頬部中顔面へ平均5.1mLを用いた結果で、目の下・ほうれい線へ合計3ccを用いた本症例の部位別配分や効果を直接示さない。Allergan Australiaが資金提供し、複数著者が有償研究者、製品提供受領者、同社社員だった。PMC原著全文、PubMed書誌、Disclosureを2026年8月9日に確認した。
-
A Prospective Study on Safety, Complications and Satisfaction Analysis for Tear Trough Rejuvenation Using Hyaluronic Acid Dermal Fillers
研究デザイン: 複数施設の前向き症例集積。カニューレを用いてTeosyal Redensity 2を内側涙溝の骨膜上へ注入し、2〜4週で評価した。 / 対象: 24人、48側の涙溝。女性22人、男性2人だった。 / 結果: 4週までに全員が改善を自覚し、75%が満足と回答した。2週時には一過性の腫れ、内出血、圧痛などが記録された。 / 限界: 比較群のない小規模症例集積で追跡は短く、使用製剤はボリューマXCではない。本症例の男性、合計3cc、ほうれい線との同時治療やカニューレの安全優位性を直接検証しない。原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。
-
A Prospective, Open-Label, Observational, Postmarket Study Evaluating VYC-17.5L for the Correction of Moderate to Severe Nasolabial Folds Over 12 Months
研究デザイン: 前向き、非盲検、観察的な市販後研究。中等度から重度の両側ほうれい線へVYC-17.5Lを使用し、必要時は2週後に追加して12か月追跡した。 / 対象: 成人70人を登録し65人が研究要件を完了。両側合計の平均使用量は3.0±1.0mLだった。 / 結果: 医師評価のほうれい線重症度は12か月時も有意な改善を維持した。予想外の有害事象は2件で、赤み・腫れ・感覚低下は4日、腫れは48時間で消失した。 / 限界: 対照群のない非盲検研究で、最適補正を目標に使用量を決め、2週後の追加も許容した。VYC-17.5Lをほうれい線へ使用した研究で、ボリューマXCや目の下との同時治療、部位別配分を検証しない。Allerganが資金提供し、著者に同社の講師、研究者、顧問、社員、元社員が含まれた。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。
-
ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。承認目的、使用方法、警告、有害事象、臨床成績を記載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 中顔面・下顎部・こめかみが承認部位で、目の下やほうれい線への直接使用は含まれない。血管内注入を禁止し、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の3ccの部位別配分、画像変化、目の下・ほうれい線同時治療の効果を検証する研究ではない。PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。
-
Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion
研究デザイン: Complications in Medical Aesthetics Collaborativeの創設理事4人が作成した、架橋ヒアルロン酸フィラーによる血流障害の認識・段階評価・初期対応に関する診療指針。 / 対象: 患者集団を登録して効果を比較した研究ではなく、血管閉塞を疑う臨床所見と対応を対象とする。 / 結果: 急に増す強い痛み、蒼白、暗紫色、網目状変化、毛細血管再充満時間の遅延を評価し、蒼白または網目状変化があれば対象領域へ直ちに治療するよう推奨した。 / 限界: 特定製品、目の下・ほうれい線への合計3cc、個別の治療結果を比較した試験ではなく、まれな合併症のため根拠の多くは理論、症例経験、専門家合意に基づく。著者全員はCMAC創設理事で、論文への資金提供はなく、内容に関する利益相反はないと申告した。NCBI PMC EFetch原著全文、PubMed書誌、Funding・Disclosuresを2026年8月9日に確認した。
よくあるご質問
Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計3cc使用し、全てカニューレで注入しました。目の下・前頬・ほうれい線の部位別量を一律に決める治療ではありません。
Q. 男性の頬を高くし過ぎないのはなぜですか?
この症例では、目の下とほうれい線の影をやわらげながら、もとの男性らしい輪郭を保つことを目標にしたためです。正面で頬幅、斜位で前頬の曲面を確認し、頬の高い点を強調し過ぎないようにします。
Q. カニューレなら痛みやダウンタイムはありませんか?
この症例は麻酔時以外の痛みがなく、ダウンタイムも少なく経過しましたが、全ての方に同じとは限りません。カニューレを用いても痛み、腫れ、内出血、しこり感、血管合併症などは起こり得ます。
Q. ボリューマXC 3ccとカニューレの料金はいくらですか?
現在はボリューマXC 1本1cc 77,000円で、3本は231,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わり、合計242,000円です。
Q. ボリューマXCを目の下やほうれい線へ使うことは国内承認ですか?
ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています。目の下やほうれい線への直接使用は承認範囲に含まれず、目周りは電子添文でも注入しないよう警告される領域です。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。