エラボトックスとおでこヒアルロン酸を組み合わせて、顔の形を整える考え方
エラボトックスを2回行い、額へジュビダームビスタ ボリューマXCを3本注入した、数ヶ月の症例です。正面では咬筋による下顔面幅、斜位では額の丸みと投影を比べ、輪郭を細くする治療と曲面を補う治療の役割を分けます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年12月24日
- 実質更新日
- 2026年8月9日


Contents
目次
正面では、咬筋が作る下顔面の横幅を比べます
正面写真は左が数ヶ月前、右が現在です。この間にエラボトックスを2回行い、右では下顎角付近から顎先へ向かう外側の輪郭が滑らかに見えます。
エラボトックスは、噛みしめたときに張る咬筋の厚みと動きを弱め、下顔面の横幅を整える治療です。安静時と噛みしめ時を比べ、骨格や皮下脂肪による幅と分けたうえで、初回後の左右差と咀嚼時の違和感も見て2回目を決めます。
2回目を初回後の反応に合わせる理由として、2回目を追加した群では6か月時点の左咬筋厚と筋活動が1回群より低く、咀嚼能力は両群で有意差がなかったとの報告がありました(参考文献1)。
斜位では、額の丸みと前方への投影を確認します
左斜位も左が数ヶ月前、右が現在です。額へジュビダームビスタ ボリューマXCを3本使用し、右では眉上から生え際へ続く曲面が丸く、前方への投影が滑らかに見えます。
額は正面だけでは前後方向の変化が分かりにくいため、斜位で眉骨の上、中央のくぼみ、生え際までの曲線を追います。こめかみとの境界も確認しますが、この症例では額へ注入しています。
額の丸みを斜位で確認し、数ヶ月後にも過不足を見直す理由として、ヒアルロン酸注入後1か月に医師評価で97.5%が改善し、3D計測の体積増加は12か月まで有意に保たれた一方、改善度は経時的に低下したとの報告がありました(参考文献2)。
下顔面の幅と上顔面の曲面を、別の治療で整えます
この症例では、下顔面は咬筋の張りを2回のボトックスで調整し、上顔面は額へボリューマXC 3本を注入して曲面を補いました。減らす治療と足す治療を同じ部位へ重ねるのではなく、顔の上下で役割を分けています。
診療では、正面で下顔面幅、斜位で額の投影を先に設計します。治療後は同じ正面・斜位で、咬筋の戻り、噛みにくさや笑顔の左右差、額の腫れが引いた後の丸みと凹凸を見直し、次回も同じ量を繰り返すかを決めます。
額への注入後に皮膚が白くなる、網目状に変色する、強い痛みや見え方の異常がある場合は、通常の腫れや内出血と分けて直ちに連絡が必要です。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 安静時と噛みしめ時の正面を比べ、下顔面幅のうち咬筋が占める範囲と左右差を触診します。骨格や皮下脂肪による幅は、エラボトックスとは別に評価します。
- 額は正面と斜位で、眉骨の上、中央のくぼみ、生え際までの曲線と、こめかみへ移る境界を確認し、ボリューマXCを額へ配分します。
- 咬筋は初回後の厚みと噛みしめ時の動きを見て2回目を考え、額は腫れが引いた時点で丸みと左右差を見直します。この症例の回数と量は、エラボトックス2回、額のボリューマXC 3本です。
- 数ヶ月後に同じ正面・斜位を撮影し、下顔面の横幅、額の投影、噛みにくさ、笑顔の左右差、額の凹凸を別々に再評価します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| エラボトックス2回 | 噛みしめ時に咬筋が張り、下顎角付近の横幅へ筋肉の厚みが関わる状態 | 骨格や皮下脂肪が横幅の主因、咀嚼機能を弱めると不都合が大きい状態 | 症例は2回。初回後の咬筋厚、左右差、噛みやすさを確認して次回を決める | 内出血、腫れ、咬む疲れ、左右差、笑顔の変化。まれに嚥下・呼吸への影響 | エラ1回55,000円。症例の2回は現在の料金で110,000円 | ボトックスビスタを用いる場合、咬筋は国内承認範囲外。コアトックスを用いる場合は国内未承認 |
| 額のボリューマXC 3本 | 眉骨上から生え際までの曲面が平坦、または額中央のくぼみが斜位で目立つ状態 | 額のボリュームが十分、活動性の炎症・感染がある、血管リスクを許容できない状態 | 症例は3本を使用。腫れが引いた後に正面・斜位で丸みと左右差を再評価 | 痛み、腫れ、内出血、頭痛、凹凸・しこり。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視力障害・失明、脳卒中 | 1本1cc 77,000円×3本+前額施術料22,000円=253,000円 | ボリューマXCは国内承認品(22800BZX00338000)だが、額への使用は国内承認範囲外 |
| エラボトックス2回+額ボリューマXC 3本 | 咬筋による下顔面幅と、額の平坦さ・くぼみが同時に顔型へ関わる状態 | 下顔面または額の一方だけで整う状態、いずれかの治療の禁忌に該当する状態 | 各部位の変化が出る時期に正面・斜位を分けて再評価 | 両施術の内出血、腫れ、左右差、咀嚼・表情の違和感。額のヒアルロン酸ではまれに重い血管合併症 | 症例と同じ回数・本数は現在の料金で合計363,000円 | ボリューマXC自体は国内承認品だが額は適応外。咬筋ボトックスも国内承認範囲外または製剤により国内未承認 |
費用の目安
- ボトックス エラ:1回55,000円(税込)
- 症例のエラボトックス2回:110,000円(税込)
- ヒアルロン酸注入:1本1cc 77,000円(税込)
- 前額施術料:22,000円(税込)
- 症例のボリューマXC 3本+前額施術料:253,000円(税込)
- 症例と同じ回数・本数の合計:363,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込。使用した場合)
現在の料金では、エラボトックス2回が110,000円、ボリューマXC 3本と前額施術料が253,000円で、合計363,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。
リスク・副作用・注意点
- エラボトックス:痛み、内出血、腫れ、左右差、咬む疲れ、笑顔の変化、頬のこけ、局所・遠隔筋の筋力低下、嚥下・呼吸への影響、過敏症
- 額ヒアルロン酸:痛み、腫れ、圧痛、内出血、頭痛、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、遅発性炎症・結節、血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力障害・失明、脳卒中
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の減少した中顔面・下顎部・こめかみのボリューム増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ使用します。額は国内承認範囲に含まれないため適応外使用です。ボトックスビスタ(承認番号22100AMX00398000)の国内承認は65歳未満の眉間・目尻の表情皺で、咬筋は適応外使用です。コアトックスを選ぶ場合は国内未承認医薬品です。
額への注入後に皮膚の青白化、網目状変色、異常に強い痛み、見え方の異常がある場合は直ちに連絡してください。ボツリヌストキシン後の息苦しさ、飲み込みにくさ、全身の強い筋力低下も緊急の連絡が必要です。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Exploring botulinum toxin's impact on masseter hypertrophy: a randomized, triple-blinded clinical trial
研究デザイン: 無作為化・三重盲検試験。初回治療3か月後に生理食塩水または2回目のabobotulinum toxin Aへ割り付け、1・3・6か月に超音波、筋電図、咀嚼能力を評価 / 対象: 咬筋肥大による下顔面拡大を訴えた女性26人が、初回に両側各75単位のabobotulinum toxin Aを受けた。3か月後の割付は生理食塩水11人、2回目投与12人 / 結果: 6か月時点で2回目投与群は生理食塩水群より左咬筋厚が小さく、筋電図活動も低かった。咀嚼能力に有意な群間差はなかった / 限界: 女性のみの小規模・6か月研究で、初回26人のうち割付解析は23人です。咬筋厚の有意差は左側だけで、abobotulinum toxin A両側各75単位を使用しており、製剤名・単位数が記録されていない今回の症例へ用量換算できません。反復投与では筋活動低下も示されたため、2回目を同量で自動反復する根拠にはなりません。PMC原著全文を2026年8月8日に確認しました。 / 利益相反: 著者は競合利益なしと申告しています。
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An Evaluation of VYC-17.5L for Forehead Contouring: A Prospective, Open-Label, Post-Marketing Study
研究デザイン: フランス1施設の前向き・非盲検・単群・市販後研究。初回注入、14日後の任意追加、1・3・6・9・12か月の医師・参加者評価と3D画像を実施 / 対象: 額の輪郭不整がある成人80人。平均年齢55.4歳、女性91.3%。初回平均0.92mL、追加を受けた26人は平均0.56mL。初回と追加の合計上限2mL / 結果: 1か月の医師GAISで97.5%が改善または大きく改善。3D画像の額体積増加は12か月まで有意でした。医師GAISの改善率は12か月に25.3%、参加者評価では54.7%へ低下 / 限界: 対照群のない単施設研究で、額輪郭に特化した妥当性確認済み尺度がなく、皮膚型II・IIIが76%超でした。使用製剤はVYC-17.5Lで、今回のボリューマXC(VYC-20L)3本とは製剤も量も異なり、国内の額適応を示す研究ではありません。研究設計・実施・資金提供はAllergan Aesthetics(AbbVie)が担い、複数著者が同社の社員・顧問・講師等です。PMC原著全文を2026年8月8日に確認しました。 / 利益相反: Allergan Aesthetics(AbbVie)が研究設計、実施、資金提供、データ解釈、出版物の確認に関与しました。著者の一部は同社社員で株式・オプションを保有する可能性があり、他の一部は同社の研究者、顧問、講師、トレーナーです。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. なぜエラボトックスと額のヒアルロン酸を組み合わせるのですか?
エラボトックスは咬筋の張りを弱めて下顔面の横幅を整え、額のヒアルロン酸は上顔面の丸みと前方への投影を補います。減らす部位と足す部位を分けて、正面と斜位の顔型を整える組み合わせです。
Q. エラボトックスは2回とも同じ量を打ちますか?
同じ量を自動的に繰り返すのではなく、初回後の咬筋の厚み、噛みしめ時の動き、左右差、咬む疲れを確認して2回目の量と位置を決めます。この症例では、数ヶ月の経過の中で2回治療しています。
Q. ボリューマ3本はすべて額に使ったのですか?
この症例では、ボリューマ3本を額へ使用しています。正面と斜位で眉骨上、中央のくぼみ、生え際までの曲線を確認して配分します。
Q. 治療後はいつ顔の形を比べますか?
この症例は数ヶ月前と現在を、正面と左斜位で比べています。途中では咬筋の動きと額の腫れを別々に確認し、数ヶ月後は同じ角度で下顔面幅と額の投影を再評価します。
Q. エラボトックスと額のボリューマXCは国内承認の治療ですか?
ボリューマXC自体は国内承認品ですが、国内承認範囲に額は含まれず適応外使用です。ボトックスビスタの国内承認は65歳未満の眉間・目尻の表情皺で、咬筋は適応外です。コアトックスを選ぶ場合は国内未承認医薬品です。使用製剤、入手経路、承認範囲、救済制度の対象外となる可能性を説明します。
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