口周りのもたつき・しわを原因別に考える治療
口周りのもたつきやしわを、1顎骨の支持低下、2口角・顎の筋肉による引き込み、3皮膚・皮下脂肪のゆるみ、4唇の菲薄化に分け、ボラックス5cc、ボルベラ1cc、口角・顎ボトックス、ポテンツァのダイヤモンドチップで治療した症例です。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2024年3月9日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
正面で口周りの4つの原因を分けます
年齢とともに目立つ口周りの変化には、1骨量が減って顎の骨が細くなり、フェイスラインの支えが弱くなる、2口周りの筋肉がマリオネットラインを下へ引き込む、3皮膚と皮下脂肪がゆるむ、4唇が薄くなって縦じわが目立つ、という4つの要素があります。この症例は4要素すべてへ治療を行いました。
正面の治療前写真では、顎先から下顎線の輪郭、口角下のマリオネットライン、下顔面のもたつき、薄く見える唇を別々に見ます。治療後は、顎から下顎線へ続く輪郭が明瞭になり、口角下の影が浅く、唇の輪郭と厚みが出ています。
骨格の支えにはジュビダームビスタ ボラックスXCを合計5cc、薄くなった唇にはジュビダームビスタ ボルベラXCを1cc用いました。口角を下げる動きと顎の力みには口角・顎ボトックス、皮膚と皮下脂肪のゆるみにはポテンツァのダイヤモンドチップを組み合わせています。
顎の支持、口角下の引き込み、薄くなった唇へ治療を分ける理由として、下顔面では、マリオネットラインにフィラーとボツリヌストキシン、顎と下顎線にフィラー、動きが強い口周りにボツリヌストキシンを組み合わせるとの報告がありました(参考文献1)。
斜位で支持・筋肉・唇の変化を確認します
斜位では、顎先の前方への支え、口角から顎へ走るマリオネットライン、口唇の厚みを一つの輪郭として確認できます。この症例では治療後、下唇から顎先、下顎線へ続く線がつながり、口角下のくぼみと引き込みが目立ちにくくなっています。
骨格支持は安静時の顎先、下顎縁、口横の凹みで判断し、ボラックスXCを深い支持層へ配分します。筋肉の影響は口を閉じる、口角を下げる、顎へ力を入れる動きで確認し、口角・顎ボトックスの位置を決めます。唇は輪郭、赤唇高、縦じわ、閉じやすさを見て、ボルベラXC 1ccの中で上下のバランスを整えます。
治療計画は、まず正面と左右斜位で顎と下顎線の支持を設計し、次に表情で強くなる口角下制と顎の緊張を調整し、最後に全顔の輪郭へ合う唇の厚みを決めます。線だけを埋めるのではなく、支え、動き、口唇の順に原因をたどることで、口周り全体のつながりを保ちます。
皮膚・皮下脂肪のゆるみにはダイヤモンドチップを組み合わせます
もう一方の斜位では、口横から下顎線にかけて皮膚と皮下脂肪がつくる柔らかなもたつきを確認します。ポテンツァのダイヤモンドチップは針を使わず、皮膚表面からモノポーラRFとバイポーラRFを届けるタイトニング用チップで、この症例では注入やボトックスとは異なる層を担当しました。
ダイヤモンドチップの範囲は、口横を動かしたときの折れ込み、頬から下顎線へ続く皮膚のゆるみ、脂肪の厚みを見て決めます。治療後は正面だけでなく左右斜位を並べ、顎の支持、マリオネットライン、皮膚のもたつき、唇の厚みの4項目を同じ順に評価します。
口横から下顎線の皮膚・皮下脂肪のゆるみへRFを組み合わせる理由として、肌質の改善は71〜100%、皮膚の引き締まりは52.9〜100%にみられたとの報告がありました(参考文献2)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 口周りは、安静時の正面・左右斜位で顎先と下顎線の支持、口角下の凹み、皮膚のもたつき、唇の厚みを順に記録します。
- 次に、口を閉じる、口角を下げる、顎へ力を入れる動きを見て、静止画の凹みと筋肉による引き込みを分けます。
- 本症例では、ボラックスXC 5ccで骨格支持、口角・顎ボトックスで動き、ダイヤモンドチップで皮膚・皮下脂肪のゆるみ、ボルベラXC 1ccで唇を治療しました。
- 仕上がりは正面だけで決めず、左右斜位で下唇から顎先、下顎線へ続く輪郭が自然につながる位置を終点にします。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ボトックス | 診察で主因と治療層が一致し、期待できる変化と限界を理解できる状態 | 活動性炎症・感染、強い日焼け、妊娠等で安全条件を満たさない場合 | 施術内容と反応により1回または複数回 | 施術により赤み・腫れ・内出血・痂皮など | ヒアルロン酸注入 1本 1cc ¥77,000 | 製品・機器と使用目的により異なるため、販売名・承認番号・承認範囲をPMDAで照合 |
| 外科的リフト/切除 | 皮膚余剰が強く、変化量を優先 | 手術侵襲を許容できない場合 | 通常1回 | 腫れ・内出血・瘢痕。完成まで数か月 | 術式により異なる | 手術手技は機器承認とは別に説明 |
| 治療を急がず経過観察 | 診断が未確定、症状が軽い、生活要因の調整を先に評価できる状態 | 急速な悪化、出血・潰瘍、感染、視機能障害など早期評価が必要な状態 | 必要時に再診 | なし | 診察料・検査料は診療区分により異なる | 医薬品・医療機器を使用しない場合は該当なし |
費用の目安
- ヒアルロン酸注入 1本 1cc ¥77,000
- ボトックス・ビスタ 表情ジワ 1部位 ¥33,000 / 2部位 ¥55,000 / 3部位 ¥75,000
- デンシティ 全顔(250ショット) ¥99,000
口周り治療は、フィラー量、ボトックス部位数、熱治療の範囲で費用が変わります。実際の提案内容は診察時にご確認ください。
リスク・副作用・注意点
- ヒアルロン酸注入では、腫れ、内出血、左右差、血流障害などに注意が必要です。
- ボトックスでは、効きすぎによる表情の違和感や左右差が出ることがあります。
- RF治療では、一時的な赤み、熱感、乾燥が出ることがあります。
- 国内承認・適応: 製品・機器と使用目的により異なるため、販売名・承認番号・承認範囲をPMDAで照合
口周りは表情変化が出やすい部位のため、治療後の経過確認と微調整が大切です。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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PAN-ASIAN CONSENSUS—Key Recommendations for Adapting the World Congress of Dermatology Consensus on Combination Treatment with Injectable Fillers, Toxins, and Ultrasound Devices in Asian Patients
研究デザイン: アジア人の顔面美容治療について、フィラー、ボツリヌストキシン、MFU-Vの部位別の役割と組み合わせを検討した専門家コンセンサス / 対象: アジア各地域の専門医11人。賛同70〜90%を中等度、90%超を強い合意と定義した。 / 結果: 下顔面では、マリオネットラインにHAまたはCaHAフィラーとボツリヌストキシン、顎・下顎線にフィラー、表情運動が強い口周りにボツリヌストキシンを用い、所見に応じてMFU-Vを組み合わせることが推奨された。 / 限界: 患者を比較した臨床試験ではなく専門家合意で、患者アウトカムの効果量を示さない。利益相反があり、本症例のボラックスXC 5cc、ボルベラXC 1cc、口角・顎ボトックス、ダイヤモンドチップの組み合わせを直接検証していない。
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Radiofrequency-Based Treatments for Facial Rejuvenation: A Systematic Review of Efficacy, Safety, and Patient-Centered Outcomes
研究デザイン: 2015〜2025年に公表された非侵襲RFによる顔・首の若返り治療15研究のシステマティックレビュー。無作為化比較試験1件、前向きコホート3件、症例集積11件を含む。 / 対象: 計1,230人。女性1,048人、男性137人で、45人は性別の記載がなかった。モノポーラ、バイポーラ、フラクショナル、マルチポーラRFを含む。 / 結果: 肌質の改善は4研究で71〜100%、皮膚の引き締まりは2研究で52.9〜100%、満足度は13研究で82〜100%だった。 / 限界: 無作為化比較試験は1件のみで、機器、照射条件、評価法が不均一だった。ダウンタイムの報告が全研究で不足し、ポテンツァのダイヤモンドチップ単独や本症例の併用効果を示すレビューではない。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 口周りのしわはヒアルロン酸だけで治療できますか?
骨格支持の低下にはヒアルロン酸が役立ちますが、口角・顎の筋肉による引き込み、皮膚・皮下脂肪のゆるみ、唇の菲薄化が重なるときは、ボトックス、RF、唇へのヒアルロン酸を原因別に組み合わせます。
Q. この症例ではヒアルロン酸を何cc使用しましたか?
ジュビダームビスタ ボラックスXCを合計5cc、ジュビダームビスタ ボルベラXCを1cc、合計6cc使用しました。5cc・1ccはこの症例の量であり、毎回の標準量ではありません。
Q. 口角・顎ボトックスは何を変える治療ですか?
口角を下へ引く動きと、顎へ力を入れたときの収縮を弱め、マリオネットラインの引き込みと顎の力みを調整します。効きすぎると口元の動かしにくさ、左右差、発音・飲食時の違和感が出るため、安静時と表情時の両方から位置と量を決めます。
Q. ダイヤモンドチップは針を使うポテンツァと同じですか?
異なります。ダイヤモンドチップは皮膚表面へ接触させ、モノポーラRFとバイポーラRFを届ける針のないタイトニング用チップです。ニードルRFのように皮膚へ針孔を作らず、口横から下顎線の皮膚・皮下脂肪のゆるみを治療します。
Q. 製剤と機器の承認状況、主なリスクを教えてください。
ボラックスXC(承認番号30200BZX00254000)とボルベラXC(承認番号23000BZX00331000)は国内承認製品です。口角・顎へのボトックス使用は国内承認範囲外で、当院のポテンツァは国内未承認機器です。注入では腫れ、内出血、左右差、しこり、まれな血管閉塞、ボトックスでは口元の動かしにくさ、RFでは赤み、熱感、腫れ、まれな熱傷があります。未承認の使用・機器による健康被害は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
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