二重切開でラインを整えながら、まぶたの重さも考えるときの診察ポイント
10年前の埋没糸が外れ、既存の二重線へ皮膚が挟まり、まぶたを開けにくく感じた症例です。雰囲気を大きく変えずに切開法で二重線を整え、術後1週間の腫れ・左右差から術後1ヶ月までの経過を追いました。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年9月17日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
10年前の埋没法後に崩れた二重線を、切開法で整えました
この症例は、10年前に受けた埋没法の糸が外れ、埋没法で作った二重線へ皮膚が挟まって、まぶたを開けにくく感じていました。希望は顔の雰囲気を大きく変えず、二重線を整えて開けやすくすることでした。
写真は上段が術前、下段が切開法の術後1ヶ月です。術後は二重線の位置が整い、まつ毛側の皮膚が収まり、目元がすっきり見えます。術前の既存線、皮膚の折れ込み、左右差を開眼・閉眼の両方で記録し、自然に見える線を設計します。
術後1週間の腫れと左右差から、術後1ヶ月の変化を追います
上から術前、術後1週間、術後1ヶ月の開眼写真です。術後1週間ではまぶたの腫れ、黄色い内出血、結膜の赤み、二重幅の左右差があり、術後1ヶ月では腫れと色調が落ち着き、二重線が見やすくなっています。
埋没法の既往があるときは、残っている糸の位置、既存線の癒着、瘢痕の硬さを手術前に確認します。切開後は1週間の腫れだけで二重幅を決めず、1ヶ月、その後の数か月と同じ開眼条件で左右差と線の安定を評価します。
術後1週間と1ヶ月を分けて評価する理由として、別の全切開法では腫れが1週間以内に軽くなり、おおむね4週間で消失したとの報告がありました(参考文献1)。
閉眼写真で傷あと・皮膚余剰・まぶたの厚みを確認します
閉眼写真も上から術前、術後1週間、術後1ヶ月です。術後1週間には切開線の赤みと内出血が見え、術後1ヶ月には赤みが軽くなっています。閉眼時は切開線の連続性、傷あとの硬さ、皮膚の余り、左右の二重予定線を確認できます。
上まぶたの厚みは、皮膚余剰、既存線周囲の瘢痕、内側・中央の眼窩脂肪、眉下から外側のROOFを分けて触診します。二重切開では二重線と皮膚の折れ込みを整え、眼窩脂肪やROOFは膨らみが形に関与するときに調整を検討します。
閉じにくさと乾燥感を術後も確認する理由として、上眼瞼形成後の涙液層破壊時間は術前7.50秒から1ヶ月6.23秒、6ヶ月5.50秒へ短縮したとの報告がありました(参考文献2)。
二重切開と眼瞼下垂手術は、二重線と開瞼機能から選び分けます
二重切開は、一重を二重にする、崩れた二重線を作り直す、皮膚の折れ込みや上まぶたの厚みを整えることが主な目的です。この症例では既存線に皮膚が挟まる所見をもとに切開法を選び、二重線を整えました。
眼瞼下垂手術は、上まぶた縁が瞳孔へかかる状態、MRD1、挙筋機能、視野、額で目を開ける代償から機能低下を診断して行います。皮膚余剰と開瞼機能低下が併存するときは、眼瞼下垂修正と二重線の設計を同じ手術計画に組み込みます。
皮膚余剰と開瞼機能を分けて手術を選ぶ理由として、上眼瞼形成の20.5%で眼瞼下垂修正が併用され、再手術率は上眼瞼形成のみ3.8%、併用9.2%との報告がありました(参考文献3)。
二重線、皮膚、挙筋、脂肪を順に評価して手術範囲を決めます
まず希望する二重線と既存線の位置を開眼・閉眼で合わせ、皮膚を持ち上げたときに開けやすさが変わるかを見ます。次にMRD1と挙筋機能を測り、機能低下の有無を確認します。最後に眼窩脂肪とROOFの位置を触診し、厚みを調整する範囲を決めます。
埋没法は皮膚余剰が少なく、糸で二重線を作り直せる状態に向きます。既存線の癒着、皮膚の折れ込み、厚みを直接整える必要がある場合は切開法を選び、視野と開瞼機能の低下がある場合は眼瞼下垂手術へ分岐します。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 埋没法を受けた時期、線が外れた経過、残存糸と既存線の位置を確認し、開眼・閉眼で皮膚がどこへ折れ込むかを記録します。
- 皮膚余剰、既存線周囲の瘢痕、眼窩脂肪、ROOFを触診し、二重切開で調整する範囲を決めます。
- MRD1、挙筋機能、視野、額の代償を測り、二重線が主なら切開法、開瞼機能の低下が主なら眼瞼下垂手術を選びます。
- 術後1週間は腫れ・内出血・左右差を、術後1ヶ月以降は開眼と閉眼で二重幅、傷あと、閉じやすさ、乾燥感を追います。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 二重埋没法による再形成 | 皮膚余剰と瘢痕が少なく、糸で既存線を作り直せる状態 | 既存線へ皮膚が挟まる、瘢痕・厚み・開瞼機能低下が二重線を妨げる状態 | 通常1回。緩み・線の消失時は再治療を検討 | 腫れ、内出血、左右差、糸の露出、感染、線の消失 | 両目4点88,000円、6点110,000円 | 手術手技。自由診療 |
| 埋没法後の二重切開法 | 既存線の癒着、皮膚の折れ込み、上まぶたの厚みを直接整える状態 | 希望する二重線が定まっていない、切開後の回復期間を確保できない状態 | 通常1回。1週間・1ヶ月・その後の数か月で評価 | 腫れ、内出血、結膜の赤み、左右差、傷あと、多重線、線の消失 | 両目275,000円 | 手術手技。自由診療 |
| 二重切開法+ROOF切除 | 眉下から上まぶた外側のROOFが厚みと二重線に関与する状態 | 皮膚と既存線の調整だけで形を整えられる状態、上まぶたの容量が少ない状態 | 通常1回。二重切開と同時に検討 | 切開法の反応に加え、外側の腫れ、知覚変化、左右差、くぼみ | 切開法275,000円+ROOF切除110,000円 | 手術手技。自由診療 |
| 眼瞼下垂手術 | MRD1・挙筋機能・視野から開瞼機能の低下を認める状態 | 開瞼機能が保たれ、二重線や皮膚の折れ込みを整えたい状態 | 通常1回。腫れが落ち着いた後に機能と左右差を再評価 | 腫れ、内出血、低矯正・過矯正、左右差、閉瞼不全、ドライアイ、角膜障害 | 機能障害の診断と術式により保険診療。整容目的は自費 | 手術手技。診断・術式により保険適用 |
費用の目安
- 二重埋没法4点止め(両目):88,000円(税込)
- 二重埋没法6点止め(両目):110,000円(税込)
- 二重切開法(両目):275,000円(税込)
- ROOF切除オプション:110,000円(税込)
本症例の治療は二重切開法です。ROOF切除を行う場合はオプション料金が加わります。眼瞼下垂手術は機能障害の診断、術式、自己負担割合により保険診療の費用が変わります。
リスク・副作用・注意点
- 二重切開では、腫れ、内出血、痛み、結膜の赤み、感染、傷の離開、傷あとの赤み・硬さ、左右差、多重線、線の消失、希望幅との差が起こることがあります。
- 埋没法後の手術では、残存糸、癒着、瘢痕により出血・腫れが強くなり、調整範囲が広くなることがあります。
- ROOF・眼窩脂肪の調整では、外側の腫れ、知覚変化、左右差、上まぶたのくぼみ、血腫が起こることがあります。
- 眼瞼下垂手術では、低矯正・過矯正、左右差、閉瞼不全、ドライアイ、角膜障害、再手術が必要になることがあります。
- 急な視力・視野の変化、強くなる痛み、急速な片側の腫れ、止まりにくい出血、目が閉じにくく角膜が痛む症状は、直ちに連絡が必要です。
- 国内承認・適応: 二重埋没法、二重切開法、ROOF切除、眼瞼下垂手術はいずれも手術手技で、医療機器の承認番号を付す治療ではありません。二重形成と整容目的のROOF切除は自由診療です。挙筋機能・視野などの機能障害を伴う眼瞼下垂手術は、診断と術式により保険診療となる場合があります。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Full-Incision Double-Eyelid Blepharoplasty with Selective Neurovascular Preservation Method
研究デザイン: 選択的に神経血管を温存する全切開二重形成の術後腫脹と満足度を調べた単施設症例集積 / 対象: 2018年5月から2020年4月に同術式を受けた385人を解析し、6か月時に満足度を評価した。 / 結果: 腫れは1週間以内に軽くなり、おおむね4週間で消失した。6か月時に67.27%が非常に満足、28.31%が満足と回答した。 / 限界: 単一術式の症例集積で対照群がなく、10年前の埋没法後に全切開を行った本症例の腫れや左右差を直接検証していない。切開幅・固定法・組織処理も本症例とは異なる可能性がある。PubMed書誌・抄録で確認し、原著全文は取得していない。
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Effect of upper eyelid blepharoplasty on the ocular surface, tear film, and corneal microstructure
研究デザイン: 皮膚と眼輪筋の一部を切除する上眼瞼形成の前、1か月、6か月に眼表面と涙液を測定した単施設前向き研究 / 対象: 上眼瞼形成を受けた22人・22眼。平均61歳で、既往の眼瞼手術や術前ドライアイがある人は除外された。 / 結果: 涙液層破壊時間は術前7.50秒、1か月6.23秒、6か月5.50秒へ短縮した。ドライアイ症状スコアと角結膜染色も1か月・6か月に増加し、Schirmer試験と角膜微細構造には有意な変化がなかった。 / 限界: 22眼、単一術者、対照群なしで、既往の眼瞼手術がある人を除外している。10年前の埋没法後に二重切開を行った本症例や、異なる組織処理へ結果を直接当てはめられない。
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Eyelid and Brow Rejuvenation: Technical Pearls and Outcomes of Upper Blepharoplasty with or without Ptosis Correction and Brow Lift
研究デザイン: 上眼瞼形成単独と眼瞼下垂修正併用の治療内容・再手術を診療録から検討した後ろ向きコホート研究 / 対象: 上眼瞼形成を受けた278人・533件。平均年齢67.3歳、平均追跡8.3か月で、109件に眼瞼下垂修正が併用された。 / 結果: 眼瞼下垂修正は全手術の20.5%に併用された。再手術率は上眼瞼形成単独3.8%、眼瞼下垂修正併用9.2%で、3か月以上続く新たなドライアイは0.8%に生じ、全例で改善した。 / 限界: 高齢者を中心とする単施設の後ろ向き研究で、埋没法後に二重切開を行うアジア人症例を対象とした比較試験ではない。本症例に眼瞼下垂修正を併用したかは検証していない。PubMed書誌・抄録で確認し、原著全文は取得していない。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 以前の埋没法が外れたあとも、切開法で二重線を整えられますか?
残っている糸、既存線の癒着、皮膚の折れ込み、左右差を開眼・閉眼で確認して切開法を設計します。この症例では10年前の埋没法後に崩れた線を、雰囲気を大きく変えない範囲で整えました。
Q. 術後1週間の腫れや左右差は、そのまま残りますか?
術後1週間は腫れ、内出血、結膜の赤みで二重幅と左右差が強く見える時期です。この症例では術後1ヶ月にかけて腫れと色調が落ち着いています。その後も数か月かけて二重線と傷あとを評価します。
Q. 二重切開と眼瞼下垂手術は、どのように選びますか?
二重線、皮膚の折れ込み、まぶたの厚みを整える場合は切開法が中心です。上まぶた縁が瞳孔へかかり、MRD1・挙筋機能・視野から開瞼機能の低下を認める場合は眼瞼下垂手術を選びます。
Q. 眼窩脂肪やROOFは切開法で必ず取りますか?
眼窩脂肪は内側・中央、ROOFは眉下から外側の厚みに関わります。皮膚の折れ込みと厚みを診て、膨らみが二重線を妨げる場合に調整を検討します。ROOF切除は110,000円(税込)のオプションです。
Q. 二重切開後に早めの連絡が必要な症状を教えてください。
急に強くなる痛み、視力低下・視野異常、止まりにくい出血、急速に増える片側の腫れ、傷の離開、発熱や膿、目が閉じにくく角膜が痛む症状は、予定の診察日を待たず連絡してください。
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