医師解説

クマとり1か月後の経過と追加治療の考え方

CO2レーザーを用いた経結膜からのクマ取り(下眼瞼脱脂)について、術前と術後1か月を正面・両斜位・側面で比較した症例です。脂肪のふくらみが減った後に、涙溝・ゴルゴライン・頬前面の支持を見直し、追加治療が必要かを決めます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年1月17日
実質更新日
2026年8月9日
CO2レーザーによる経結膜下眼瞼脱脂の術前(上段)と術後1か月(下段)を正面で示すクマ取り症例

Contents

目次

  1. 正面では、脂肪のふくらみと左右差を1か月後に見直します
  2. 斜位・側面では、涙溝とゴルゴラインの残り方を確認します
  3. 追加治療は、1か月後に残る凹みを確認してから決めます
  4. 1か月までの生活制限と、急いで確認する症状
  5. 現行料金と、追加治療を行う場合の区分
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

正面では、脂肪のふくらみと左右差を1か月後に見直します

写真の上段が術前、下段がCO2レーザーを用いた経結膜からの下眼瞼脱脂後1か月です。術前は下眼瞼の内側・中央を中心に前方へ出るふくらみがあり、術後1か月は同じ正面でふくらみと左右差を確認しています。

眼窩骨の外側を中心とした支持の低下と、内側・中央の眼窩脂肪の突出が重なると、ふくらみの下に段差や影ができます。診察では『脂肪によるふくらみ』と『骨格・頬支持による凹み』を分け、内側・中央の脂肪を取りすぎて凹ませない範囲で調整します。

CO2レーザーを用いた後も結膜と皮膚側を同じ項目で確認する理由として、CO2レーザーではモノポーラ電気手術より結膜浮腫が少ない一方、術後の内出血、結膜炎、審美的満足度には差がなく、モノポーラ電気手術後に結膜肉芽腫が生じたとの報告がありました(参考文献1)。

斜位・側面では、涙溝とゴルゴラインの残り方を確認します

15秒の比較動画では、左右の斜位・側面と正面を移動しながら、術前と術後1か月の下眼瞼を比べています。斜位では下眼瞼のふくらみだけでなく、内側の涙溝から頬外側のゴルゴラインへ続く影、頬前面との高さの差を確認できます。

脱脂は眼窩脂肪によるふくらみを扱う手術で、涙溝やゴルゴラインそのものを消す手術ではありません。1か月後は、脂肪の残り、取りすぎによる陥凹、もともとの骨格性の凹み、まだ残る腫れ・硬さを正面と斜位で分けます。

手術後に涙溝と下眼瞼位置を見直す理由として、脂肪の切除不足は外科医評価で4.9%、涙溝変形は9.7%、下眼瞼後退は1.2%で、患者満足度は100点換算で平均92.8点だったとの報告がありました(参考文献2)。

追加治療は、1か月後に残る凹みを確認してから決めます

脱脂直後は腫れと色味の影響があるため、追加治療の最終判断を急ぎません。1か月後に、脂肪のふくらみがどこまで減ったか、涙溝・ゴルゴラインが本人の主訴として残るか、頬前面の支持不足が影を強めているかを見直します。

凹みが主因として残る場合は、ヒアルロン酸を表面の影へ一律に足すのではなく、中顔面の支持を補う治療として比較します。当院の経験では95%以上の方が脱脂後に追加注入を必要としていませんが、これは院内経験値であり、本人が気にする凹みの位置、むくみ、既往注入、眼窩周囲の血管安全を個別に確認します。

追加注入後にも目周りの形と腫れを再確認する理由として、眼窩下の凹みへ初回平均1mLを用いた経過では18%が3か月以内に追加治療を受け、内出血10%、腫れ3%、輪郭不整2%、チンダル現象1%との報告がありました(参考文献3)。

ジュビダームビスタ ボリューマXCの国内承認部位は中顔面・下顎部・こめかみです。涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は承認範囲に含まれず、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告されています(参考文献4)。

1か月までの生活制限と、急いで確認する症状

術後は点眼液と内服薬を使用し、1日クーリングとテーピングを行います。コンタクトレンズと目を激しく擦る行為は1週間避けます。術後数日は結膜側の創から少量の出血がみられることがあり、内出血によって頬が1週間程度黄色く見えることがあります。

1週間程度の内出血、内出血が強い場合の1ヶ月程度の腫れ、軽度の下眼瞼外反、左右差、軽度の凹凸は経過中に確認します。一方、急な眼窩痛、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野の変化、複視、止まりにくい出血は通常のダウンタイムとして待たず、直ちに連絡が必要です。

急な眼窩痛と視機能変化を緊急対応へ分ける理由として、眼窩内出血は約0.055%、永久的な視力喪失を伴うものは約0.0045%で、多くは術後3時間以内でしたが数日後にも起こり得るとの報告がありました(参考文献5)。

現行料金と、追加治療を行う場合の区分

現行の経結膜脱脂術は189,000円、手術時の吸入麻酔は11,000円で、本症例と同じ麻酔を用いる場合は合計200,000円です。いずれも税込・自由診療です。

後日にヒアルロン酸を行う場合は1本1cc 77,000円、カテラン針を使用する場合は11,000円が加算されます。追加注入はこの症例で実施した治療ではなく、1か月後に残る凹みと使用製剤・部位を決めてから別の治療として説明します。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面、両斜位、側面で、内側・中央・外側の脂肪突出、涙溝、ゴルゴライン、頬前面の支持を同じ順序で記録します。
  • CO2レーザーによる経結膜脱脂では、内側・中央を取りすぎず、下眼瞼のふくらみと凹みの境界を術中から意識します。
  • 術後1か月は脂肪の残り、取りすぎによる陥凹、もともとの骨格性の凹み、腫れ・硬さを分け、追加注入を急ぎません。
  • 追加治療を比較するときは、涙溝へ直接足す前に中顔面の支持、眼窩周囲の血管、むくみ、既往注入を確認し、必要な方だけ次の治療へ進みます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
CO2レーザーによる経結膜下眼瞼脱脂(掲載症例) 眼窩脂肪の前方突出による下眼瞼のふくらみがクマの主因となる状態 涙溝・ゴルゴライン、色素、血管、皮膚弛緩だけが主因、下眼瞼位置や眼表面の安全条件を満たさない状態 通常1回。1か月後に正面・両斜位・側面を再評価 内出血、腫れ、結膜出血、左右差、軽度の凹凸、軽度外反。まれに眼窩内出血・視機能障害 経結膜脱脂術189,000円+手術時吸入麻酔11,000円=200,000円 手術手技。使用するCO2レーザー、薬剤は販売名・承認された使用目的を個別確認
1か月後の経過観察(追加治療なし) 脂肪のふくらみが改善し、残る涙溝・ゴルゴラインが本人の主訴にならない状態 脂肪の明らかな残存、強い陥凹、下眼瞼位置異常、視機能症状がある状態 術後1か月を目安に形態・眼表面・視機能を確認 新たな施術によるダウンタイムなし。手術後の硬さ・むくみは継続確認 追加施術費なし。再診・処置は診療内容による 医薬品・医療機器を追加使用しない場合は該当なし
中顔面支持へのヒアルロン酸(追加候補) 1か月後に涙溝・ゴルゴラインと頬前面の支持不足が主訴として残る状態 強いむくみ、眼窩脂肪の残存、既往製剤不明、活動性炎症・感染、血流障害が疑われる状態 必要な場合のみ少量から1回。腫れが戻ってから再評価 腫れ、内出血、左右差、凹凸、青み、結節。まれに血管閉塞・視機能障害 1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円加算 製剤ごとに承認部位を確認。ボリューマXCの涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は国内承認範囲外

費用の目安

  • 経結膜脱脂術:189,000円(税込・自由診療)
  • 手術時の吸入麻酔:11,000円(税込)/本症例と同じ麻酔を含む合計200,000円(税込)
  • 後日に追加する場合のヒアルロン酸:1本1cc 77,000円(税込)
  • カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)追加

追加注入は本症例で実施が確認された治療ではなく、1か月後に必要性と製剤・本数を決める別治療です。

リスク・副作用・注意点

  • 術後数日の結膜側からの少量出血、1週間程度の内出血・黄色い色調、痛み、異物感、結膜浮腫など
  • 内出血が強い場合の1か月程度の腫れ、左右差、脂肪の残存・取りすぎ、軽度の凹凸、軽度の下眼瞼外反、乾燥、流涙、複視、感染など
  • まれに眼窩内出血、眼球突出、視力・視野障害、失明など
  • 追加ヒアルロン酸では腫れ、内出血、凹凸、青み、結節、感染、まれに血管閉塞・皮膚壊死・視覚障害など
  • 急な眼窩痛、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野変化、複視、止まりにくい出血は直ちに確認が必要
  • 国内承認・適応: 経結膜脱脂は手術手技です。本症例で用いたCO2レーザーの機種・承認番号・承認された使用目的は症例資料にないため、機器単位の承認範囲は確定していません。追加治療候補として例示したジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大が承認目的です。涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は承認範囲外で、電子添文は眼窩周囲への注入を警告しています。承認範囲外の使用では、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

通常の術後経過と緊急性のある眼窩・視機能所見を本文とFAQへ分けて集約しました。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Chen CF, Mao SH, Yen CI, et al. Plast Reconstr Surg. 2023;152(4):747-753. doi:10.1097/PRS.0000000000010255. PMID:36723988.

    Carbon Dioxide Laser Transconjunctival Lower Blepharoplasty: An Objective and Quantitative Comparison to Monopolar Electrosurgery

    研究デザイン: 経結膜的下眼瞼形成術でCO2レーザーとモノポーラ電気手術を比較した無作為化比較試験。 / 対象: 2018年8月から2021年3月に経結膜的下眼瞼形成術を受けた78人。年齢、性別、局所麻酔量、脂肪切除量は両群で差がなかった。 / 結果: CO2レーザー群は術中の熱感と術後結膜浮腫が少なかった。術後内出血、結膜炎、審美的満足度には差がなく、モノポーラ群の3人(7.89%)に結膜肉芽腫が生じた。 / 限界: CO2レーザーとモノポーラ電気手術だけの比較で、冷刃メスやバイポーラとの直接比較ではない。PubMed抄録では機器設定、割付隠蔽、追跡期間の詳細を確認できず、本症例の1か月結果を予測する資料ではない。原著全文は取得できず、PubMed抄録・書誌を2026年8月9日に再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため申告内容は未確認。

  2. Kashkouli MB, Pakdel F, Kiavash V, et al. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2013;29(4):249-255. doi:10.1097/IOP.0b013e31828ecfb9. PMID:23645352.

    Transconjunctival Lower Blepharoplasty: A 2-Sided Assessment of Results and Subjects' Satisfaction

    研究デザイン: 単一眼形成外科医が行った経結膜的下眼瞼形成術の診療録と術前後写真を用い、外科医評価と患者評価を比較した後ろ向き横断研究。 / 対象: 6か月以上追跡できた164人。女性133人、平均年齢50.7歳、平均追跡22.8か月。 / 結果: 外科医評価では脂肪の切除不足4.9%、涙溝変形9.7%、下眼瞼後退1.2%。患者評価では順に3.7%、0.6%、1.2%で、満足度は100点換算で平均92.8点だった。 / 限界: 単施設・単一術者の後ろ向き研究で、術式の詳細や併用手技が本症例と同一ではない。再手術例と追跡6か月未満を除外し、CO2レーザーの効果、術後1か月の個人結果、ヒアルロン酸追加の必要性を示さない。原著全文は取得できず、PubMed抄録・書誌を2026年8月9日に再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため申告内容は未確認。

  3. Hall MB, Roy S, Buckingham ED. JAMA Facial Plast Surg. 2018;20(5):367-372. doi:10.1001/jamafacial.2018.0230. PMID:29621374; PMCID:PMC6233621.

    Novel Use of a Volumizing Hyaluronic Acid Filler for Treatment of Infraorbital Hollows

    研究デザイン: 単一の民間診療所で診療記録と患者質問票を評価した後ろ向き観察研究。ボリューマXCを涙溝、鼻頬溝、眼瞼頬溝のいずれか又は複数へ使用した。 / 対象: 21〜85歳の101人、202眼。女性90人、平均年齢54歳、平均追跡12か月、初回平均使用量1mL。 / 結果: 18人(18%)が3か月以内に追加治療を受けた。内出血10%、腫れ3%、輪郭不整2%、チンダル現象1%で、ヒアルロニダーゼは3%に使用された。 / 限界: 比較群のない単施設の後ろ向き研究で質問票回答率は41〜42%。米国でのボリューマXC眼窩下使用を評価し、日本では承認範囲外使用に相当する。本症例は追加注入を実施しておらず、当院経験値95%以上を検証する研究でもない。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に再確認した。 / 利益相反: 著者は利益相反なしと申告した。

  4. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。承認目的、使用方法、警告、有害事象、臨床成績を記載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 中顔面・下顎部・こめかみが承認部位で、涙溝・ゴルゴラインへの直接使用は含まれない。血管内注入を禁止し、眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域へ注入しないよう警告する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の脱脂、1か月後の追加判断を検証する研究ではない。症例では追加注入を実施していない。PDF全6頁を2026年8月9日に再確認した。 / 利益相反: 製造販売業者アッヴィ合同会社の承認製品電子添文である。

  5. Hass AN, Penne RB, Stefanyszyn MA, Flanagan JC. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2004;20(6):426-432. doi:10.1097/01.iop.0000143711.48389.c5. PMID:15599241. Erratum: Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2005;21(2):169.

    Incidence of Postblepharoplasty Orbital Hemorrhage and Associated Visual Loss

    研究デザイン: 米国眼形成再建外科学会会員への質問票による回顧的調査。出血の発症時期、治療、視力喪失を集計。 / 対象: 237人の回答医師が経験した眼瞼美容手術269,433件。眼窩内出血149件、一時的視力喪失48件、永久的視力喪失12件。 / 結果: 眼窩内出血は約0.055%、永久的視力喪失を伴う出血は訂正後約0.0045%。多くは術後0〜3時間に起き、24時間後にリスクは低下したが、数日後にも発症した。 / 限界: 医師の記憶に基づく質問票で想起バイアスがある。上・下眼瞼、術式、切開器具が混在し、CO2レーザーによる経結膜脱脂だけの発生率ではない。原著全文は取得できず、PubMed抄録、訂正文、書誌を2026年8月9日に再確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため申告内容は未確認。

よくあるご質問

Q. この症例はどのようなクマ取りを行いましたか?

CO2レーザーを用いて結膜側から切開し、眼窩脂肪を調整する下眼瞼脱脂を行いました。麻酔は笑気麻酔です。写真と動画は術前と術後1か月を比較しています。

Q. クマ取り後に涙溝やゴルゴラインは消えますか?

脱脂は脂肪のふくらみを扱う手術で、骨格や頬支持による涙溝・ゴルゴラインは残ることがあります。1か月後にふくらみと凹みを分けて再評価します。

Q. 追加のヒアルロン酸はいつ検討しますか?

腫れと色味が落ち着く1か月後に、凹みが本人の主訴として残る場合だけ比較します。当院の経験では95%以上の方が脱脂後の追加注入を必要としていませんが、必要性は中顔面の支持、むくみ、既往注入を含めて判断します。

Q. 術後1週間は何に気をつけますか?

1日クーリングとテーピングを行い、コンタクトレンズと目を激しく擦る行為は1週間避けます。創からの少量出血や頬の黄色い内出血は経過中にみられることがあります。

Q. 料金と、すぐ連絡が必要な症状を教えてください。

経結膜脱脂術189,000円と手術時の吸入麻酔11,000円で、合計200,000円です。急な眼窩痛、片側だけ急速に増える腫れ、眼球突出、視力・視野の変化、複視、止まりにくい出血は直ちにご連絡ください。

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