ヒアルロン酸の種類はどう違う?ボラックス・ボリューマ・ボリフトの選び方
ヒアルロン酸は、どの製剤も同じ硬さ・同じ動きをするわけではありません。形をはっきり作りたい部位、深い位置で支えたい部位、表情と一緒に動く部位では、必要な支持力となじみ方が異なります。
ボラックス、ボリューマ、ボリフトは、どれが上という関係ではありません。整えたい形、注入する層、周囲組織の動きから役割を分けて選びます。
Medical Information
この記事について
- 執筆・監修
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 公開日
- 2026年9月23日
- 最終更新日
- 2026年09月24日
画像・症例資料

画像の掲載元:頬こけ・こめかみの凹みはどう改善する?原因と治療
ヒアルロン酸の種類は硬さだけでは決まりません
美容医療で使うヒアルロン酸は、体内で分解されにくく形を保てるように架橋したゲルです。製剤によって、押し返す力、形を保つ力、組織へなじむ性質、変形から戻る性質が異なります。
硬い製剤ほど常に良いわけではありません。骨格の輪郭を作る部位では形の保持が必要ですが、頬や口元など表情で動く部位では、周囲と一緒に動きながら段差を作りにくいことも大切です。
支持力
骨膜上や深い皮下で形を支え、少量でも輪郭を作る力です。
なじみ
周囲の組織へ広がり、触れたときや表情を動かしたときに境界が目立ちにくい性質です。
動きへの追従
口元や頬など動く部位で、笑顔や会話の動きに合わせて変形する性質です。
ボラックスは輪郭をはっきり支える部位に使います
ボラックスXCは、顎先や下顎縁など、輪郭を直線的に整えたい部位で候補になる製剤です。形を保つ力を利用し、横顔の顎先、正面の下顎縁、口横の前後にある骨格性の凹みなどへ必要量を配置します。
輪郭を作る製剤でも、量を集め過ぎると顎が長く見えたり、下顔面が重く見えたりします。正面・斜位・横顔を見ながら、足りない投影だけを補います。
口横の膨らみが骨格の凹みで強く見える場合は、口横・フェイスラインの記事で原因を整理しています。 口横・フェイスラインの原因別治療
ボリューマは深い位置の支持とボリューム補充に使います
ボリューマXCは、頬、こめかみ、下顎部など、減った支持やボリュームを深い位置から補うときに用います。頬の高い位置、こめかみの凹み、下顎縁の段差を分け、顔全体へ量を配分します。
国内の電子添文では、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ注入する製剤です。前額や口周囲など承認範囲外の使用は、承認部位と区別して説明する必要があります。
頬こけやこめかみの凹みは、頬こけの記事で骨格・脂肪・加齢変化に分けて解説しています。 頬こけ・こめかみの凹みの治療
ボリフトは動く部位の溝や影へなじませます
ボリフトXCは、形を支えながらも周囲になじませたい部位で候補になります。ほうれい線や口角外側など、表情によって動く範囲では、溝だけを線状に埋めるのではなく、頬の支持と口元の動きを確認して配置します。
ほうれい線が深い場合も、線の直下へ多く入れるとは限りません。中顔面の支持低下が主因なら頬を先に整え、残る影へ必要量だけ追加します。
ほうれい線へ直接注入しない場合がある理由は、ほうれい線の記事で詳しく説明しています。 ほうれい線が深くなる原因
ボラックス・ボリューマ・ボリフトは役割で選びます
顎先や下顎縁の輪郭にはボラックス、頬・こめかみ・深い支持にはボリューマ、動く部位の溝や影にはボリフトという役割分担が基本です。ただし、同じ部位でも皮膚の厚み、残っている脂肪、過去の注入、必要な投影によって選択は変わります。
比較表では、主な役割、候補部位、注入層、動きへのなじみ、国内承認範囲を並べます。『最も硬いから長持ちする』など、一つの物性だけで持続や仕上がりを断定しません。
製剤を選んだ後の必要量は、ヒアルロン酸1ccの記事で部位別に解説しています。 ヒアルロン酸1ccでできる範囲
製剤がどのくらい残るか、いつ追加するかは、持続期間と追加時期の記事をご覧ください。 持続期間と追加時期
一つの製剤で全顔を同じように注入しません
全顔治療では、顎先や下顎縁で輪郭を作り、頬やこめかみで支持を補い、最後に動く部位の影を整えるなど、部位ごとに製剤と層を変えます。気になる一点へ量を集めず、正面・斜位・横顔のつながりで終了点を決めます。
過去に注入した製剤が残っている場合は、前回と同じ本数をそのまま追加しません。施術日、製剤名、部位、量を確認し、触診と写真で残存する支えを見て不足分だけを補います。
製剤選びと同じくらい、血管解剖と緊急対応が重要です
ヒアルロン酸注入では、痛み、赤み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、硬さ、感染、遅発性炎症や結節が起こることがあります。まれですが血管閉塞により皮膚壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中へ至る可能性があります。
注入中や直後の通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化、網目状の変色、毛細血管再充満の遅れ、見え方の異常がある場合は、直ちに注入を止めて対応します。視覚症状は院内処置だけで経過を待たず、眼科・救急と連携します。
よくある質問
ボラックス・ボリューマ・ボリフトはどれが一番長持ちしますか?
持続は製剤だけでなく、注入部位、層、量、動き、代謝、残存量で変わります。硬さだけで順位を決めず、目的に合う製剤を必要量使うことが大切です。
ボラックスとボリューマの違いは何ですか?
ボラックスは顎先や下顎縁など輪郭をはっきり作る役割、ボリューマは頬・こめかみ・下顎部など深い位置の支持とボリューム補充に使う役割が中心です。
ボリフトはほうれい線に向いていますか?
動く部位へなじませたい場合に候補になりますが、ほうれい線は中顔面の支持低下が原因のこともあります。頬を先に整え、残る影へ必要量だけ使います。
違う種類のヒアルロン酸を同じ日に使えますか?
部位ごとの役割に合わせて複数製剤を使い分けることがあります。製剤名、注入部位、層、量を記録し、全顔のバランスを見ながら配置します。
ヒアルロン酸は溶かせますか?
ヒアルロン酸製剤はヒアルロニダーゼで分解できます。形の修正と血管閉塞の緊急対応では目的と投与方法が異なるため、異常な痛みや皮膚色・視覚の変化があれば直ちにご連絡ください。
参考にした一次情報・ガイドライン
- https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/ResultDataSetPDF/112130_22800BZX00338000_A_02_01
- https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8211329/
- https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10226824/
- https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8542164/
- https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37563436/
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/
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